今まで昨年の砺波のアクシデントについて、偉そうに述べさせていただきましたが、それでは、そのときの私の行動はどうであったか?については、実は、かなりお恥ずかしいものでありました。
当日はキャンセルを予想しながらも、「もしや、うまく積乱雲がなくなってくれたら」と色気を出してしまい、私はレッドラインまで飛んでしまいました。
ガストフロントに気づいたときは、もともと緊急時はこちらに逃げようと決めていた方向へと、回避行動に移りましたが、ときすでに遅し。ほぼ同時に無線機からキャンセルの連絡を聞きましたが、アッというまに沸いた雲に、あたり一面覆われてしまいました。
幸いリフトはそれほど強くなく安定しており、周りが見えないだけだったので、もともと決めていた回避場所に向かって、手元にあるGPS二台を使い、それぞれ場所がわかっていた違う二点を表示させ、三角測量の要領でその場所にほぼまっすぐに向かいましたが、それでも、おそらく2分程度は完全な雲中飛行を行ってしまったと思います。
実にお恥ずかしい話です。
砺波のアクシデントを振返り、最も今後考えていかなければならないことは、私は「選手の判断力」だと思います。
大会側が競技を進めているから、天気予報会社が大丈夫というから、という理由で、本当は危険が自分の身に迫っているのに、人の言うことを信じて、選手は競技を続けようとした、その判断力の弱さを考えなければならないように感じます。
人間の体は空を飛ぶようには出来ていませんが、しかし、人間は空を飛ぶことが出来る智恵をもっています。しかし、この智恵をちゃんと使わなければ、とたんに人間は空を飛ぶことが出来なくなります。
私達は空を飛ぶことにあまりにも慣れすぎて、そんな基本的なことを、いつの間にか忘れてしまっていたのではないでしょうか。
私を含め、今後、フライヤーみんなが考えていかなければならない問題だと思います。
そして、もう二度と砺波のアクシデントのような愚かな行為は、繰り返さないようにしなければなりません。