飛行中年

空を飛ぶことに薪ストーブ、そして、旅をこよなく愛する一人の中年のブログです。

新ハーネスへの挑戦 7

2011-10-02 10:33:08 | ハーネス(HG harness)

Photo パラシュート回り、バックプレートの開発が終わり、次におこなったのが、ハーネス表面「オーバーサーフェース」の開発です。

今回は、新しい立体裁断にトライしました。

今までの立体裁断よりも、美しく、そして、時間も短く製作できる可能性があったからです。

しかし、現在のハーネス表面を作る技術はとても繊細で難しく、型が完璧でも湿度で生地の寸法が変わってしまうため、かなり神経を使う仕事と言えます。

新しい立体裁断の型を作るに当たり、まずは実物大の模型から作ります。

そして、これに生地をあてて、一番美しくなる立体裁断を調べるわけです。

以前はコンピュータで簡単なプログラムを組んで、座標変換しながら立体裁断を計算するということにもトライしましたが、実は実際やってみると、座標の入力だけでも膨大な作業で、しかも、そのもとになるデーターを出すのも、正確にはやりづらい(結局実物のハーネスを図らないといけない。レーザー等で瞬時に立体の座標を読み取る機械があれば別ですが‥。)ため、結局、原始的な方法の方が効率的という結論になりました。

Photo_2 模型が出来たら、それに生地をかぶせて出来るだけしわが出来ないカットを探っていきます。

今回は腹回りのカットが新しくなるため、そこのところは特に重点的に調べました。

こうして立体裁断の型が製作されていきます。

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新ハーネスへの挑戦 6

2011-10-01 22:34:52 | ハーネス(HG harness)

Photo_2 今回は、バックプレートも新しく開発しました。この理由は、パラシュート回りを新しく変えたこと、および、欧米での販売も考慮して、バックプレートの剛性をあげる必要があったこと、それに、バックプレートの形状の変更で、更にランディング時、起きやすいハーネスになることが分かっていたなど、複数のメリットがあったからでした。

一般的にFRPの型は、型専用の樹脂を削り込んで成型しますが、その方法では時間もコストもかかってしまいます。

そのため、EXEでは上記の写真の方法でバックプレートの型を作っています。

この型はメス型になりますが、塩ビ板を曲げて木枠に密着させ、曲面を作り出しています。

これにマイラーを貼り付けます。一部、塩ビ板だけでは再現できない三次曲面は石膏を使っています。

この上からFRPを敷き詰めて、まずはオス型を作ります。

出来たオス型にグラインダーをかけて、最終的にきれいな三次曲面を持つ型に仕上げるのです。

この方法だと、コストも時間も大幅に節約することが出来ます。

バックプレートの形状は、なるべくシンプルな「板状」の形が好ましいです。

この理由は、ユーザーの体系に合わせた、理想的なバックプレートが作りやすい。そして、改良時の融通が利きやすいとう利点があるからです。

EXEのバックプレートはグラスファイバー製。

これは実験の結果、衝撃吸収性が高かったからです。

大きな衝撃がパイロットを襲ったとき、グラスファイバーは変形が大きく、バネのようにパイロットへの荷重を軽減してくれる効果があります。

その代わり、強度の必要な中央部分は、7N01製のアルミの角パイプを配しています。

この構造は今まで試した中で最も安全で、しかもコストも安いもので、EXEハーネスの特徴でもあります。

もし同じ性能のバックプレートをカーボンで作ったとしたら、ハーネス価格は5万円ほど上がってしまうでしょう。

カーボンは優れた材料ですが、その特性を十分理解せずに使ってしまうと、宝の持ち腐れになってしまいます。

カーボンが本当にその利点を引き出せる使い方は、他の材料とのハイブリッド化、あるいは、力学的に効果のある使い方をしたときなのです。

ハングのハーネスのバックプレートならば、私はカーボンを使わずとも優れた製品が出来ると考えております。

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新ハーネスへの挑戦 5

2011-10-01 09:41:46 | ハーネス(HG harness)

Photo パラシュートインナーバッグの開発が終わったところで、次にそれにあったパラシュートコンテナの開発に入りました。

今回のコンテナの開発に際し、そのサイズを最初から多きめにすることを考えておりました。

これは、私が15年ほど前に開発し、良好な結果を残せたシステムを、少し形を変えて応用するためでした。

15年ほど前、パラシュートを尻の後ろに配置することがはやったことがありましたが、この方法はパラシュートの取り出しにくさが問題となっていました。

そこで考えたのが、パラシュートコンテナの横幅をわざと大きくとり、パラシュートの取り出しと同時に、体の重みをうまく利用しパラシュート取り出し口が開くようにしたものでした。

このアイデアはよい結果をもたらしましたが、その後時代が進み、パラシュートはわきの位置に移動したため、そのままお蔵入りになっていました。

しかし、今回開発するハーネスにはこのアイデアが応用できそうです。

パラシュートコンテナの横幅に余裕を持たせれば、前回でもご説明したように、パラシュートインナーバッグの横幅をもともと今回のハーネスでは広くとっているわけですから、そのまま15年前のアイデアが使えるはずです。

上の写真をよく見ていただくと、パラシュート本体よりもコンテナの方が大きく設定されていることがお分かりいただけると思いますが、それは今説明した理由によるものです。

申し遅れましたが、上の写真はパラシュート周りの開発を行うために作ったテスト台で、本体のハーネスでテストする前に、いつもこの台を使い、コンテナの開発や機能テストを行っております。

そして、テストの結果、非常にパラシュートの取り出しがスムーズになったことを確認いたしました。

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