今回は、バックプレートも新しく開発しました。この理由は、パラシュート回りを新しく変えたこと、および、欧米での販売も考慮して、バックプレートの剛性をあげる必要があったこと、それに、バックプレートの形状の変更で、更にランディング時、起きやすいハーネスになることが分かっていたなど、複数のメリットがあったからでした。
一般的にFRPの型は、型専用の樹脂を削り込んで成型しますが、その方法では時間もコストもかかってしまいます。
そのため、EXEでは上記の写真の方法でバックプレートの型を作っています。
この型はメス型になりますが、塩ビ板を曲げて木枠に密着させ、曲面を作り出しています。
これにマイラーを貼り付けます。一部、塩ビ板だけでは再現できない三次曲面は石膏を使っています。
この上からFRPを敷き詰めて、まずはオス型を作ります。
出来たオス型にグラインダーをかけて、最終的にきれいな三次曲面を持つ型に仕上げるのです。
この方法だと、コストも時間も大幅に節約することが出来ます。
バックプレートの形状は、なるべくシンプルな「板状」の形が好ましいです。
この理由は、ユーザーの体系に合わせた、理想的なバックプレートが作りやすい。そして、改良時の融通が利きやすいとう利点があるからです。
EXEのバックプレートはグラスファイバー製。
これは実験の結果、衝撃吸収性が高かったからです。
大きな衝撃がパイロットを襲ったとき、グラスファイバーは変形が大きく、バネのようにパイロットへの荷重を軽減してくれる効果があります。
その代わり、強度の必要な中央部分は、7N01製のアルミの角パイプを配しています。
この構造は今まで試した中で最も安全で、しかもコストも安いもので、EXEハーネスの特徴でもあります。
もし同じ性能のバックプレートをカーボンで作ったとしたら、ハーネス価格は5万円ほど上がってしまうでしょう。
カーボンは優れた材料ですが、その特性を十分理解せずに使ってしまうと、宝の持ち腐れになってしまいます。
カーボンが本当にその利点を引き出せる使い方は、他の材料とのハイブリッド化、あるいは、力学的に効果のある使い方をしたときなのです。
ハングのハーネスのバックプレートならば、私はカーボンを使わずとも優れた製品が出来ると考えております。