仏手柑

つやつやと指長にして仏手柑



　



ミカン科の」常緑低木。

シトロンの変種。







暖地で観賞用に栽培する。







果実は果底が指のように裂けているところからこの名がある。






まだぐうの仏手柑とはけつたいな



　

冬桜

逡巡の歩となつてをり冬桜



　



冬季に咲く種類の桜のこと。







木も小ぶりの上、花も一重で小さく梅に似ているが香りがない。







群馬県藤岡市鬼石の桜山公園の冬桜は天然記念物に指定され

ている。







あることを決められずにためらって歩いていると、冬桜が小さな

花を沢山つけているのに出会った。

寒さの中、けなげに咲く冬桜に心惹かれた。




子福桜


冬桜財布に護符をしのばせて



　

水仙

足軽く水仙の前とほりけり



　



ヒガンバナ科の多年草。

地中海地方原産。

海岸近くに群生するが、切花用に栽培もされる。

十二月～三月頃、茎の先端に数個の六弁花を横向きにつける。

花びらは白色で、中央に黄色い盃形の副花冠がある。







まだ数は少ないが、水仙が咲き出していた。

その前を軽快に歩いて通った。






水仙や耳朶にリストの「愛の夢」



　

冬紅葉(3)

東京の真ん中にゐて冬紅葉



　



大都会の新宿に森や池、芝生の広場などのある静かな新宿御

苑に行った。







暖かい日が長かったせいか未だに冬紅葉が散らずに見られた。







楓もかなり大木となり、人のあまり来ないところに見事な紅葉

が見られた。







大分歩いたところに楽羽亭という茶室があり、抹茶をいただいた。

茶請の名を訊ねると、「藪柑子」と答えた。







日が傾くと、日の当たったところだけ紅葉が輝くように明るく美し

かった。






彼女らも中国語なり冬紅葉



　

麦の芽

麦の芽の午後に光を得てをりぬ



　



初冬に蒔いた麦の種子から出た芽をいう。

霜や雪に耐え、少しずつ青々と伸びてゆく様は希望が持てて印

象的である。







畑に麦の芽が縞をなして出ていた。

午後の日差しに輝いて見えた。






麦の芽や学童の列長くして