目に沁むる冬菜の緑夕晴れて
冬の菜類の総称。
漬物にする菜類は九月頃種を蒔き、間引きを繰り返し順次収穫してゆく。
あたりが枯れ果てたなかで、冬菜の緑はひときわ鮮やかである。
夕方晴れてきた。
周りが枯れているなか、冬菜の緑が目に沁みた。
音もなく雨降つてをり冬菜畑
目に沁むる冬菜の緑夕晴れて
冬の菜類の総称。
漬物にする菜類は九月頃種を蒔き、間引きを繰り返し順次収穫してゆく。
あたりが枯れ果てたなかで、冬菜の緑はひときわ鮮やかである。
夕方晴れてきた。
周りが枯れているなか、冬菜の緑が目に沁みた。
音もなく雨降つてをり冬菜畑
散歩して果たして富士や寒茜
厳しい寒さの中で、暗赤色に染まった西の夕空をいう。
「夕焼」は夏の季語であるが、冬も短い夕焼が見られる。
「夕焼」は雲が夕焼色に染まる状態をいうことが多いが、「茜空」は晴れた空が茜色に染まる状態がイメージされる。
散歩をしていて、夕暮れ時に富士山が見えるかもしれないと思った。
そうしたら思った通り、シルエットの富士が寒茜の空をバックにくっきりと見られた。
父母の国あるやも知れず寒茜
寒三日月天空に風唸りゐて
冬の三日月よりも一段と冷厳な三日月をいう。
凍てつく大気の中の夕空にかかる細い月である。
夕空にあれば、これから夜の冷え込みが一段と進むことが予想される。
夕暮になると、寒三日月が輝き出した。
そのとき、天空では北風が唸っていた。
急ぎ足寒三日月を横目にし
寒雲の垂るる野道を歩きけり
寒々とした冬の雲をいう。
空一面を覆う陰鬱な雲やどんよりと垂れ込めた雪催いの雲がある。
「凍雲」は、寒空に凍りついたようにとどまって動かない雲をいう。
空には寒雲が垂れこめていた。
だが、その下の野道を日課として歩いた。
凍雲の世のモノクロとなりにけり
誰も来ぬところに確と寒椿
「椿」は春の季語だが、「寒椿」は冬季に咲くものを一般的に差している。
「冬椿」「早咲の椿」とも用いられる。
園芸品種のなかに、寒椿と呼ばれる八重咲きで、山茶花のように花弁がばらばらに散る木があるが、それはここでいう「寒椿」とは別である。
寒椿は寒気にめげずに美しく咲く。
その生命力に力づけられる。
公園でも人が誰も来ないようなところがある。
そこに寒椿が確と美しく咲いていた。
やうやくに礼状書きぬ寒椿