すひかづら武蔵野に雨上がりけり
スイカズラ科の蔓性半常緑木本。
山野に自生する。
五月頃、葉腋に甘い香りのする筒形の花を二個ずつ並んでつける。
花は初めは白く、後に黄色に変わる。
そこから「金銀花」の名がある。
道端の藪に忍冬の花が咲いていた。
その武蔵野に降っていた雨が上がってきた。
佇みて缶珈琲や金銀花
すひかづら武蔵野に雨上がりけり
スイカズラ科の蔓性半常緑木本。
山野に自生する。
五月頃、葉腋に甘い香りのする筒形の花を二個ずつ並んでつける。
花は初めは白く、後に黄色に変わる。
そこから「金銀花」の名がある。
道端の藪に忍冬の花が咲いていた。
その武蔵野に降っていた雨が上がってきた。
佇みて缶珈琲や金銀花
矢車草しやがんで猫を呼ぶをみな
キク科の一年草または二年草。
ヨーロッパ原産。
正式名は「矢車菊」。
四~七月、細い枝先に菊に似た頭状花をつける。
花弁に深い切込みがあり、矢車の形に似るところからこの名がある。
花色は紫、赤、白、桃などさまざま。
矢車草が群生しているところがあった。
その横の道に入り込んだ猫を、若い女性がしゃがんで呼んでいた。
矢車草まちまちに揺れ風の道
今生の濁世に白しえごの花
エゴノキ科の落葉小高木。
林野に自生するが、庭園などに植栽もされる。
五月頃、長い花柄の先に白い漏斗状の五弁花を下垂する。
果皮が喉を刺激し、えごいところからこの名がある。
サポニンという毒があり、かつては洗濯に用いたり、搾り汁を川に流して魚を捕らえるのに使われた。
えごは山苣(やまぢさ)ともいう。
今生きているにごった世の中に、えごの花が真っ白に咲いていた。
えごの花散つたりレンタサイクルに
のけ反つて退りて土手の朴の花
モクレン科の落葉高木。
山地に自生し、高さは二十メートルを越える。
五月頃、枝先に香気の強い黄白色の六~九弁の大輪の花をつける。
下からは見えにくい。
「朴散華」と傍題にあるが、実際は散華せず、そのまましおれて落ちる。
川堤の道に朴の花が咲いていた。
のけ反って見上げたがよく見えず、後ろへ下がって仰いで見た。
天上の誰彼見るや朴の花
竹皮を脱ぐや散策路の脇に
筍は伸びるにつれて、その皮を一枚ずつ落としていく。
真竹や孟宗竹の皮には斑点があるが、淡竹の皮にはない。
竹の皮は葉鞘が変化したもので、自然に脱落するころに採取し、食材を包むのに用いる。
散策をしていると、篁があった。
その中で竹が皮を脱いでいた。
竹の皮散つて微かな音したり