ほぼ日刊イトイ新聞に、
料理家の辰巳芳子さんのインタビューがあった。
その中で辰巳さんは
「いのちは時間の中にある」という発言をされていた。
いい加減な仕事をして時間を潰すということは、
命の無駄遣いと同じことだという趣旨だった。
ギクリ!
自分の一週間の生活を振り返ってみたら、
ところどころ胸を張れる時間もあるが、
土曜日なんか、一日中ダラダラして過ごすことが多い。
辰巳さんの前ではひれ伏すしかないな。
その辰巳芳子さんは、戦争で連れ合いを失った。
たった「三週間」の結婚生活だったそうだ。
結婚を申し込まれた時には、既に連れ合いは出征が決まっており、
辰巳さんのお父さんが
「三週間後に戦争に行くような男に娘はやれない。」
と断りに行くと、お連れ合いは泣いてしまった。
そのとき、辰巳さんは
「これから死ぬかもしれない人を 泣きっぱなしにさせてはいけない。」
と言って、結婚を決意した。
連れ合いは、三週間後に戦争に行って帰らぬ人になったが、
辰巳さんはそれからずっと、50年ものあいだ、
結婚してよかったのかどうか、ずっと結論が出せなかった。
結婚して、本当によかったのか。
「戦死」ということがどういうことなのか分からなかった。
戦争から50年が経ったときに、
テレビで連れ合いが亡くなったセブ島あたりの、
野ざらしの日本兵の死体を見た。
それは、本当に「不自然な死」だった。
辰巳さんが戦争に反対する理由は、ただひとつ。
それは、その死が「あまりに不自然」だからだという。
辰巳さんはそのとき、
「見てほしい、見てほしい」という呼びかけのようなものを、感じた。
「自分が死んだところを、見てほしい」という声だった。
実際にその島に行き、その場に立ってみたら
あの「野ざらしの空しさ」が、わかった。
そして、待ってくれている人がいるのといないのとでは、全然違うと思った。
自分の心に寄り添ってくれる人がいるのと、いないのとでは、全然違うと思った。
そのとき(結婚してよかった)と思った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
戦争はダメだ。
何が何でもダメだ。
参考:「ほぼ日刊イトイ新聞」辰巳芳子さんが教えてくれたこと
http://www.1101.com/home.html