東武線踏切事故で元保安係に実刑 東京地裁判決
東武伊勢崎線・竹ノ塚駅(東京都足立区)の手動踏切で昨年3月、歩行者4人が電車にはねられ、2人が死亡した事故で、業務上過失致死傷の罪に問われた元同駅踏切保安係、小松完治被告(53)=懲戒解雇=に対し、東京地裁は3日、禁固1年6カ月(求刑禁固2年6カ月)の実刑判決を言い渡した。入江猛裁判長は「基本的な注意義務に違反する極めて重大な過失。安全確認を軽視する態度は強い非難に値する」と述べた。
判決は、ピーク時には1時間に3分しか開かない踏切で、本来は緊急時用の遮断機のロック解除ボタンが日常的に使われ、遮断機が上げられていたことに言及。「開かずの踏切」のため保安係が受けていた精神的重圧を解消するための対策を、東武鉄道はとっていなかったとし、会社側の問題点も指摘した。
一方で「安易な思いこみで列車の接近を忘れ、目視や指さし確認を怠っていた」と被告の怠慢が事故を招いたと指摘。「執行猶予が相当とは認められない」と述べた。
判決によると、遮断機を操作していた小松被告は昨年3月15日、上り準急の接近を表示板のランプが告げていたのに失念。次の電車が来るまで間があると考え、遮断機を上げた。そこに上り準急が差しかかり、2人を死亡させ、2人に1カ月の重傷を負わせた。 2006年02月03日asahi.com
前回も書いたが、もちろん直接踏み切りを開けてしまった保安係が、安全装置をも外ししまっているので悪いのだが、その一方で業務中に踏み切りを待つ歩行者などから「早く開けろ!」などと罵声を浴びせられていたことも多かったようで、保安係の「少しでも通してあげたい」と思う気持ちがあったからこそ起こってしまった悲劇ともいえる。判決で「ピーク時には1時間に3分しか開かない踏切で、本来は緊急時用の遮断機のロック解除ボタンが日常的に使われ、遮断機が上げられていたことに言及。「開かずの踏切」のため保安係が受けていた精神的重圧を解消するための対策を、東武鉄道はとっていなかった」というところに触れているのはやはり当然だろう。事故発生当初はとにかく「絶対起こってはならないような事故が起きた」とかの論調がかなり見受けられたし、私の記事にも・・
事故を踏切監視員の勤務態度や善意とか地域住民との人の流れ等の問題で根が深いと書かれておられましたが、それは事故を二度と起こさないことへの問題解決にはなりませんし、理由にもならないと考えます。
以下はレスのコピーです、私は事故の背景ではなく事故を起こさないシステムとケアが必要だと記事にいたしました。
レスのコピー全文
丁寧なコメントありがとうございます。
「事故の根」が深いであろうことは想像していました。ただもっと早い段階で手を打つべきであったことをハインリッヒの法則を紹介して東武鉄道と行政に言いたかったということです。
地元住民の反対や経費を理由に根が深いで済ませてはいけないと考えます。
そこに大きな危険があるとわかればすぐに対処するシステムを構築しなければ何も解決できません。全て先送りされて根が深いから、の理由で事故が起きているのです、そんな事例数多く見てきました。
何が重要か、それを誤るとこんな事故が起こるのです。絶対に根が深いからでは済まされない問題です。失礼します。
・・というコメントを頂いたのだが・・・
確かに早い手を打つのがよかったんでしょうが、どうしてそれが今まで引き延ばされていたのかまでも言及しないと根本は解決しないのではないか?と考えています。それが私が「根が深い」と書いた理由。なんせ地元商店街ですら「立体交差にすると人の流れが変わり商売に影響する」といって、開かずの踏切の問題解決を先延ばしにしてきていることもあるんです。「そこに大きな危険があるとわかればすぐに対処するシステムを構築しなければ何も解決できません。」というのは確かに正論ですが、そんなことわかっててそれでもできていなかった。それが証拠に、事故後踏切保安係がいない完全自動踏切にあっさり変わってしまった。その代わり保安係の融通でなるべくこまめにでも踏切を開けてあげることはもうできなくなった。そして根本的な解決方法として結局立体交差になることになった。じゃ、それまではなんだったの?ってことなんです。さすがに死亡事故まで起きたのなら地元商店街も表立って反対できないでしょう、今度ばかりは。そして東武はもっともっと反省しないと。
ネットで部外者が正論をいうのは簡単だけど、やはり当事者からすればいろいろあるんだなと、この事故で思い知らされました。私もその点には注意しながら記事を書いていきたいと思っている。
世の中そんな単純じゃないんだよなぁ~。