2021年5月11日、神戸大学のICCRCで前立腺肥大のレーザー光による除去手術が
全身麻酔下で施術されるため5月6日にPCR検査(唾液採取)を受ける予定です。
そこでPCR検査について調べてみました。
上の2枚の写真は神戸大学での新型コロナ唾液セットによる唾液採取法と注意点です。
注意点は「採取直前のうがい、飲食、歯磨きを避けて安静時のリラックスした
状態で唾液を採取」することです。採取量は1~2ml。
厚生省は新型コロナウイルス感染症の診断における鼻咽頭ぬぐい液及び唾液の有用性に
ついて、発症から9日以内であれば、両者で良好な一致が認められるとの研究結果が
示されたことから昨年(2020)6月2日から認可され広く実施されています。
詳細は下記サイト。
唾液を用いたPCR検査の導入について (mhlw.go.jp)
鼻に綿棒を入れる鼻腔ぬぐい液よりも、簡単にとれる唾液でPCR検査を行うことで、
患者の負担が軽減し、検体をとる医療従事者の感染リスクも減り、感染防護具の使用も
削減されることから現在広く採用されているようです。
PCR検査とは
以下は井上栄 著「感染症」広がり方と防ぎ方 Page220-222を要約
PCRはDNA合成酵素連鎖反応:Polymerase Chain Reactionの略です。
米国人のK.マリス(1944-2019)が発明したDNAを増幅させる巧妙な方法である。
関連サイト:キャリー・マリス氏が死去 PCR法でノーベル化学賞:朝日新聞デジタル (asahi.com)
彼は1993年のノーベル化学賞を受賞した。二本鎖DNA(+鎖と-鎖から成る二重ラセンで
両端は互いに相補的)を加熱して一本鎖にしてから、DNA合成酵素で+鎖を鋳型にして
-鎖を、-鎖を鋳型にして+鎖を試験管内で合成する。するとDNA鎖の量は2倍になります。
再び加熱して同じことをを繰り返すと4倍になる。この繰り返し20回でDNAは100万倍に
増幅されます。
コロナウイルスはRNAウイルスなので、ウイルス検出にRT-PCR法を使います。
RTはReverse Transcriptionの略称で、逆転写酵素を指す(転写とはDNA→RNAと遺伝情報を
移すことで、逆転写はそれを逆方向で行うこと)まず検体からRNAを抽出し、逆転写酵素を
使ってRNAをDNAにしてからPCRを行う。中国は今回の新型コロナウイルスの核酸塩基配列
の情報をすぐに公開したので、世界中ですぐにこのウイルスの検出が可能となった。
PCR検査全体の流れ
上の写真はPCR法を解説したものです。
出典:斎藤勝祐編著 新型コロナウイルス 緊急対策マニュアル(2020)Page39
PCR法の原理は新型コロナウイルスの構成要素であるRNA(Ribo nuclear acid)
に対して増やしたい遺伝子にくっつくことの出来るDNA(プライマー)を用意し、
酵素の働きと温度を上げ下げすることで目的の遺伝子を増やす方法です。
増えたDNAを染め出す特殊な装置に入れることで増えた遺伝子を目で確認できます。
現時点で最も信頼のおける検査法ですが時間がかかる難点があります。
PCR検査について詳しく解説されたサイト(北大病院)にリンクしておきます。
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