まもなく、辺野古・設計変更申請不承認に関する関与取消し訴訟の最高裁判決が出されます。以下、判決後の対応についての玉城デニー知事宛の要請の手紙案です（まだ未提出ですので、ご意見をお寄せください）。
辺野古・設計変更申請不承認に係る訴訟で県の敗訴が確定した場合の対応に関する要請 --- 「設計変更申請を承認しないでください！」
辺野古・設計変更申請不承認をめぐる２件の関与取消し訴訟は、本年３月１６日、福岡高裁那覇支部で、①国土交通大臣が不承認を取消した「裁決」は有効で訴訟対象にならないとして訴えを却下、②「是正の指示」は適法と認めて取消し請求を棄却しました。この高裁判決は、多くの行政法学者らも批判するように、地方自治をないがしろにする国の強権姿勢を追認したものでとても納得できないものです。県はただちに上告しましたが、この８月から９月には最高裁の判決が出されると言われています。
ただ、これまでの辺野古をめぐる裁判の現状から見て、最高裁の判決も極めて厳しい結果が予想されます。
ここで思い起こされるのが、２０１６年１２月２０日、当時の翁長知事の埋立承認取消しをめぐり、国が提起した違法確認訴訟の最高裁判決が出された際のことです。多くの県民が、「最高裁判決に執行力はない。取消しを取消してはならない」と県庁１Fロビーに座込んで抗議しましたが、翁長知事は判決当日の会見で、「行政が司法の最終判断を尊重することは当然。速やかに取消しの手続きを進めていく」と述べ、１２月２６日、自らが行った取消し処分を取消したため、工事が再開されてしまいました。
このようなことが繰り返されてはなりません。２０１６年の際は、このような県民の抗議はその後の「埋立承認撤回」に繋がりました。しかし今回、デニー知事が自ら行った設計変更申請不承認を承認してしまえば、辺野古新基地建設を止めるための方策はほとんど無くなり、実質的には、「辺野古新基地反対」という県政の柱を降ろすこととなります。そして大浦湾での工事が始まり、もう、取り返しのつかない事態となるでしょう。
知事が今回の設計変更申請を不承認とした大きな理由は、軟弱地盤の問題でした。それは専門家等による科学的な知見に基づいた判断だったはずです。設計変更申請を承認してしまえば、それは、「軟弱地盤は大した問題ではない、護岸・地盤の安定性は確保できる」と、それまでの見解を一転させることになります。裁判所が国に忖度した判決を出したとしても、それで軟弱地盤問題が解決するわけではありません。
知事は、設計変更申請を絶対に承認することなく、とことん頑張っていただきたいと思います。国は、代執行訴訟等を提起するでしょうが、県民、そして全国の支援者が知事を支援し続けます。自らの手で設計変更申請を承認してしまうことと、代執行でやむなく強行されることは決定的に異なります。
そもそも、今回の設計変更申請をめぐる県の敗訴が最高裁で確定しても、それは２０２１年の設計変更申請不承認理由が認められなかったというにすぎません。県も抗告訴訟の中で、「埋立変更不承認処分を取消しても、埋立変更承認申請中の状況に戻るだけで（当然、別理由での申請拒否処分もありうる）、依然として埋立事業を適法に実施することはできない」（抗告訴訟県第１準備書面P28）といわれているように（下線は筆者）、今回の国の設計変更申請には他にも多くの問題点があります。
県は、２０２１年の不承認とは異なる理由で、再度の設計変更不承認、もしくは埋立承認の再撤回[1]に踏み切るべきです[2]。
以上、最高裁で関与取消し訴訟の敗訴が確定しても、設計変更申請を絶対承認されることなく、あらゆる手法を駆使して、「辺野古新基地建設反対」の姿勢を貫き通されるよう要請します。
[1] 2020年３月２６日の埋立承認撤回取消をめぐる最高裁判決は、「国の私人なりすまし」を認めただけで、県の承認撤回や国交相の裁決が違法か適法かなどについては判断していない。
[2] 耐震設計の不備（政府の地震調査委員会の「南西諸島でM8級の巨大地震のおそれ」という長期評価）、工事の施工可能性の問題、南部地区の遺骨混りの土砂問題、琉球弧の軍事力強化により辺野古新基地の位置づけの変化、「生物多様性国家戦略2023-2030」閣議決定（2023.3.31）等が、再度の設計変更不承認、埋立承認再撤回理由として考えられます。
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