防衛局は昨年末から今年3月にかけて8件の埋立本体工事を発注し、すでに大手ゼネコン等との契約を終えている。私は、防衛局への公文書公開請求でこれらの設計図書を全て入手し、その内容を検討しているのだが、まず判明したきわめて重大な事実について報告したい。
(埋立本体工事の一つ、「中仕切岸壁新設工事」の設計図書)
防衛局は本年1月末から大浦湾の工事施工区域にそって2~45トンのコンクリートブロック(以下「CB」)を投下した(防衛局の資料では49ケ)。しかし、CB投下に必要な岩礁破砕許可(県漁業調整規則第39条)は、埋立本体区域内しか出されていないことから、現在、県は臨時制限区域内への立入調査を求め、違法行為が確認されれば岩礁破砕許可を取り消すことを検討している。3月、翁長知事は調査終了まで海上作業の中止を指示したが、政府は行政不服審査請求、執行停止の申立により知事の指示の効力を停止するなど、この問題は政府ー沖縄県の大きな対立点となっている。
ところが、これから始まる埋立本体工事では、「汚濁防止膜の固定」や、「作業船の係留」のために、最大57トンのCBを102ケ等、12~57トンのCBが合計286ケも投下されることが本体工事の設計図書に明記されている。これらは埋立区域外での設置であることから、知事の岩礁破砕許可が必要となることは言うまでもない。施工区域沿いの49ケのCB投下でも、多くのサンゴ礁が損壊した事実が明らかになったが、今後予定されているCB投下は、さらに巨大なCBを286ケも投下するというのだから、その影響は極めて深刻だろう。
(56.7トンのアンカーブロック102ケ、係留シンカー等が明記された「特記仕様書」)
防衛局が本体工事に入るためには、埋立承認の際の「留意事項」により、実施設計にもとづいて県との協議が必要である。しかし防衛局は、「これらのCB投下は『本体工事そのものではなく仮設』『準備行為』であるので県との事前協議の対象ではない」、「アンカーであるから岩礁破砕の申請は不要」等と称して海上ボーリング調査終了後にCB投下を強行する恐れもある。
知事は、防衛局に対して、これらの本体工事に伴うCB設置は岩礁破砕許可申請なしに行ってはならないと急いで指示すべきである。もちろん、申請が出されても許可してはならない。これらのCBの岩礁破砕許可が出ない限り、防衛局の本体工事の施工は極めて困難となる。先に、知事は、埋立本体工事を阻止するための「10の知事権限」があると言明したが、この問題も有力な手段となるだろう。
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以下、工事設計図書ではCB投下は次のようになっている。
工事名 |
アンカーブロック (汚濁防止膜用) |
係留シンカー (作業船、半潜水式台船の係留用) |
・全て埋立区域外 (昨年の岩礁破砕許可の範囲外) |
・場所を明示した図面はないが、ほとんどが埋立区域外と思われる。 |
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・中仕切岸壁新設工事 |
57トン (3.65×3.65×1.85) 102ケ 44トン (3.35×3.35×1.70) 38ケ 12トン (2.20×2.20×1.10) 48ケ |
37.5トン (3.0×3.0×1.8) 24ケ
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・ケーソン新設工事 (1工区) |
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37.5トン (3.0×3.0×1.8) 26ケ
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・汚濁防止膜等工事 |
44トン (3.35×3.35×1.70) 48ケ
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合 計 |
57トン (3.65×3.65×1.85) 102ケ 44トン (3.35×3.35×1.70) 86ケ 12トン (2.20×2.20×1.10) 48ケ |
37.5トン (3.0×3.0×1.8)) 50ケ
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