北部訓練場で進められている防衛局のヘリパッド工事で、県の赤土等流出防止条例違反行為があったことをここ数日、取り上げてきた。3月13日には、琉球新報の社説がこの問題を取り上げた。日米地位協定の問題にまで踏み込み、よくまとめられているので是非、読んでほしい(末尾に添付)。
ただ、この社説もそうだが、この間のマスコミの報道には基本的な点で間違いがあるので指摘しておきたい。今回の防衛局の県条例違反行為は、「防衛局が県に提出していた『事業行為通知書』で記載した場所とは別のところに残土を運びこんだ。」ということではない。沖縄防衛局長は、昨年7月11日に沖縄県知事に赤土流出防止条例にもとづく「事業行為通知書」を提出した。そこに添付された「残土及び堆積赤土等の処分計画書」では、「切盛土を調整して、残土が発生しないようにする。」として、「処分先:なし」、「赤土等流出防止対策:なし」となっている。「別のところに残土を運びこんだ」のではなく、そもそも残土は発生しないとして、何の対策もとっていなかったのだ。「別のところに運びこんだ」よりは、ずっと悪質な違法行為である。
本土の方にはなかなか理解されないかもしれないが、沖縄の環境問題にとって赤土流出防止は極めて重要な課題である。県の赤土等流出防止条例には、格調高い前文がついている。他に前文がついている県条例があるかどうかは知らないが、この赤土等流出防止条例の前文を読んでも、赤土流出防止に対する県民の熱い思いが実感できる。
赤土等流出防止条例の前文は次のようなものだ。
「本県は、島しょ県であるがゆえに、その歴史と文化、そして日々の県民生活が、海との多様なかかわりのなかで、その限りない恵沢に培われ、育まれてきた。しかしながら、近年の諸開発に伴う赤土等の流出は、サンゴ礁の美しい海や河川を汚濁して、そこに生息する生物たちの営みに影響を与え、また、自然と私たちとのかけがえのない交流の場を損ないつつあり、今日、有限の地球環境に対する自覚と配慮が強く求められているなかで、新たな局面を迎えている。