辺野古への石材海上搬送をめぐり、ヤンバルの奥区では、23日の区民総会で満場一致で反対決議が採択された。もう防衛局は奥港を使用できないはずだ。ところが小野寺防衛大臣は、「県の了解をいただき奥港を使い運搬工事をしている」と、県が使用許可を出しているとして奥区の反対決議を無視すると表明した(25日 琉球新報)。国にここまで言われているのだから、知事は一刻も早く、港湾使用許可を取り消さなければならない。
一方、本部港(塩川地区)でも、本部町島ぐるみ会議の頑張りで、本部町の従来の港湾管理行政の杜撰さが次々に明らかになり、このままではそう簡単には辺野古への石材搬送のための港湾使用許可が出せなくなっている。
防衛局は、ゲート前の市民らの座りこみによって石材のダンプ搬入が大きく遅れていることから、海上搬送を打ち出さざるを得なくなったのだが、奥でも本部でも住民らが立ち上がり、防衛局のもくろみは頓挫しつつある。
さらに本部港に関して、大きな問題が明らかになってきた。以下、その点について説明する。
(本部港塩川地区。いろいろな設備が設置されている)
従来、奥港の港湾使用許可は県が出すが、本部港については本部町に移譲されていると言われてきた。そして県も、今まで、奥港の使用許可は県の所管だが、本部港については本部町の問題として、「一般的な指導」だけで第3者のような態度を続けている。
しかし、沖縄県港湾管理条例第31条をよく読むと、本部港の場合、港湾施設使用許可に関して本部町に処理が移譲されているのは、「岸壁使用許可」や「荷さばき地使用許可」等だけで、「港湾施設用地使用許可」はやはり県の所管となっている。「荷さばき地使用許可」はあくまでも貨物の積卸しや荷さばきのための一時的な使用にとどまるもので、廃棄物処理施設、厚生施設、保管施設、荷さばき施設等の様々な施設の整備は、「港湾施設用地使用許可」の手続を行う必要がある(港湾法第2条)。
今回の石材海上搬送計画に際して、奥港では、沖縄県の「岸壁使用許可」と「港湾施設用地使用許可」が出されている。ところが同じ作業であるにもかかわらず、本部港では、本部町が「岸壁使用許可」と「荷さばき地使用許可」の手続を行わせている。2つの港で手続が異なっているのだ。これは、本来必要な「港湾施設用地使用許可」の手続は県の所管となるので、本部町だけで処理が可能な「荷さばき地使用許可」の手続で済まそうとしているものではないかと思われる。
現在、本部港では、那覇空港第2滑走路埋立事業のための石材搬出が続いている。本部町役場との交渉で、今回の辺野古への石材搬出のための港湾施設使用許可は、今までの那覇空港への石材搬出のための港湾施設使用許可の内容変更で行おうとしていることも判明した。すなわち、今の那覇空港第2滑走路埋立事業への石材搬出も、「荷さばき地使用許可」の手続で行われていることとなる。
ところが、現在、本部港(塩川地区)には、様々な施設が設置されている。北部港運(株)の「休憩所」のプレハブ小屋、ダンプの洗浄施設、トイレ施設、琉球セメントの「塩川Pca製作作業所」の数棟の小屋、さらには型枠を並べたプレキャスト製品の製作場が広い面積を占めている。
24日(金)、午前中で海上行動を切り上げ、午後、沖縄県の北部土木事務所を訪問した。担当者に写真を見せて確認すると、確かに、本部港(塩川地区)の「港湾施設用地使用許可」は沖縄県の所管だが、県は今年度は何も許可していないことが分かった。通常、各年度毎に許可を出しているというから、上記の施設は手続なしに設置された可能性もある。北部土木事務所の担当者も早急に現地を確認するということとなった。
沖縄県港湾管理条例第7条では、「港湾施設を使用しようとする者は、知事の許可を受けなければならない」とされ、それに違反した場合は罰則規定(第33条)も定められている。無許可の施設設置は犯罪行為なのだ。
(港のかなりの部分では、型枠が並べられ、プレキャストのコンクリート製品が製造されている。これはいくら何でも、「港湾施設用地使用許可」の範囲には入らないのではないか?)
(北部港運の「休憩所」の小屋)
上の写真は11月22日に撮影したもの。ところが、その後、県や北部土木と港湾内での施設整備の根拠について問い合わせたところ、下の写真のように25日には看板が書き換えられた。
(塩川Pca製作作業所の作業小屋)
看板には、「安和港桟橋工事 大成・東開発JV」と記載されている。何故、他の工事のためにこの港が使用できるのだろうか?
(ダンプトラックの洗浄施設)
(最近、石材の搬出計画が明らかになり、港に来る人たちが増えたのだろうか。17日には、港入口に立入禁止の看板が建てられた。その日の本部町役場との交渉で、「何故、公共施設の港に民間企業が立入禁止の看板を出せるのか」と追求したところ、この看板は翌日、撤去された。)
今回の辺野古への石材搬送計画を追求する中で、本部港(塩川地区)の港湾施設使用の杜撰な行政処理が明らかになった。県港湾管理条例で定める申請書の手続なしに岸壁使用を認めてきたこと、岸壁使用の調整を琉球セメントに任せてきたこと、使用料の前納をさせていないこと、行き先を「辺野古港」とした岸壁使用許可申請を受理していること、本部町行政手続条例が定める審査規準を定めていないこと等が次々に明らかになり、当初、11月初めから予定されていた石材搬出は大きく遅れている。さらに、今回、杜撰な港湾施設用地使用許可の実態が明らかになった。こうした問題の整理がまず必要であり、辺野古への石材搬出のための港湾使用申請については、これらを全て整理した後に審査すべき問題である。現状のままでの許可はあり得ない。
本部港について、県も第3者ではないことが明らかとなった。本部港の「港湾施設使用許可」は県の所管であり、現在の様々な施設が港湾管理条例に違反したものであれば、毅然とした対応が必要となる。