辺野古新基地建設事業については、昨年12月末、国土交通大臣が代執行で設計変更申請を承認したが、防衛局はそれ以前から設計変更申請に係る工事を発注し、契約を進めてきた。
今年1月には、大浦湾での海上ヤード工、A護岸工等の工事に着手したが、県は、埋立承認の際の留意事項に違反しているとして、再三、中止を求める行政指導を繰り返してきた。しかし防衛局は、県の行政指導にもいっさい従わず、工事を強行している。
私は本年8月7日、これらの13件の工事の内容を検証するために、契約書・変更契約書と、それぞれの特記仕様書を沖縄防衛局に公文書公開請求した。特記仕様書とは、工事の内容についての数量表、仕様等を記載したもので、業者はこれに基づいて工事費を積算し、入札する。特記仕様書を見ると、工事内容がほぼ明らかになる。
国の情報公開法10条では、「30日以内に開示決定しなければならない」とされているが、「事務処理上の困難その他正当な理由があるときは、--- 30日以内に限り延長することができる」ともされている。10月初めには開示されるはずっだった。
しかし、情報公開法11条では、「開示決定期限の特例」として、「開示請求に係る行政文書が著しく大量であるため、開示請求があった日から60日以内にそのすべてについて開示決定等をすることにより事務の遂行に著しい支障が生ずるおそれがある場合には、前条の規定にかかわらず、行政機関の長は、開示請求に係る行政文書のうちの相当の部分につき当該期間内に開示決定等をし、残りの行政文書については相当の期間内に開示決定等をすれば足りる」という例外規定がある。防衛局は、10月初め、この特例規定を適用し、「2025年12月26日までに開示決定する」と通知してきた。同時に請求した5件の警備業務の契約書・特記仕様書もやはり特例を適用し、「本年12月27日まで延長」と通知してきたので、初めは今年末かと思ったが、工事の図書については来年末、1年5ケ月近い延長である。
市民が公文書公開請求をするのは、その時点で内容を知る必要があるからであり、1年以上先に公開されても、ほとんど意味がない。防衛局は、工事の問題点等についての追及を逃れるために、公開を先送りにしているのだ。今回の特例適用の理由についても、「文書が著しく大量である場合に該当する」と、法11条の「文書が著しく大量」が曲解されてしまっている。法11条の「相当の期間」には定めがなく、これでは何時、文書を公開するかは国が自由に判断できることとなり、市民の「国民主権の理念にのっとり行政文書の開示を請求する権利」(法第1条)が実質的に無視されてしまっている。
私は以前から、辺野古新基地建設事業で契約書や特記仕様書の公文書公開請求を続けてきた。今まではこれらの文書について、ほとんどが法10条の30日延長で、一部、法11条の特例が適用される場合もあったが、それも半年程度の延長にすぎなかった。
さらに、今回、請求した工事の特記仕様書のいくつかは、既に国会議員さんに対して資料提供されている。それらを見ても、黒塗り部分はほとんどなく、特例適用の理由とした、「開示・不開示の判断について、調整及び協議を行う等、適正且つ慎重に検討する作業が必要」といえるものではない。
結局、防衛局の今回の工事関連図書の開示期限延長決定は、辺野古の工事内容について追及を避けるための政治的な措置であり、情報公開法に照らして江も許されない。