そろそろ、水色の Aureoboletus sp. が出るころだと思って出掛けた斜面には、結局、小さなツチグリの仲間が出ていただけで、他にはきのこの姿は何もなかった。これでは、アウレオが出るのはまだまだ先だなと思いながら、車に戻った。
もうそろそろ2時になる。お腹が空いたので、いつものラーメン屋に行こうと車を走らせた。この道は秋には毎週のように走る道だ。いつものように道の脇に何かきのこでも出ていないかとかチラチラと見ながら走っていると、一瞬、池が見え水面に白いものがポツポツと浮いているのが見えた。いや、見えたような気がした。そして、その白いものは薄桃色をしていたような・・・・
慌ててブレーキを踏み、車を停める場所を探したが、丁度あった細い曲がり角を通り過ぎてしまった。幸い、後ろからは車は来ない。曲がり角までバックして何とか池の近くまで車を進めた。辺りを見ると、ここは十年以上も前に、この奥の岡を登り、きのこを探した場所だった。センブリの花が咲いていたり、よくハンミョウが道案内してくれた所。
車を降りてカメラだけ持って歩いて行く。道の脇にはいろいろ花が咲いていた。小さな池のことが気になる。頭の中に残っている残像からは・・・・、もしかしてあれじゃないのか?という期待で一杯なのだが、気持ちを落ち着かせようとしている自分。
ヌスビトハギ
ツリガネニンジン
池の土手にどうやって降りるのだろうと考えながら近づくが、思いの外、簡単に土手に降りることができた。
土手に咲いていたヨメナ
そして、池を見た。
ミズオオバコ
やっぱり、ミズオオバコだった。1週間前にミズオオバコの場所を友達に教えてもらい、見てきたところだった。田圃の中のミズオオバコは数は多かったが、雨の後で花は痛んでいたし葉はこれから茂るところだったのだろう、小さかった。でも、その時のミズオオバコのイメージが頭の中に残っていたから、直感的に感じたのだろう。
あの田圃の中で見た姿とあまりに違う青々とした大きな葉に驚いてしまう。ヒツジグサも僅かだが咲いていた。
花、5cmくらいあるよね、多分。
今はやめてしまったが、子供のころから長いこと熱帯魚を飼っていた。最初はグッピーとかプラティーとか、ソードテールなどの卵胎生の魚が主だったけれど、その後、エンゼルフィッシュやアフリカンシクリッドなどの繁殖もしていた。最後はタナゴとかモロコなどの日本産淡水魚、俗に日淡というのだが、そんなものを飼っていた。水槽に植える水草としてミズオオバコは高価でとびきり美しい憧れのもので、雑誌の写真でミズオオバコがどんな姿をしているかは見ていたのだった。自宅近くの池でも秋の終わりに池の流れ出しの浅瀬に大きくて波打つミズオオバコの葉を見つけたことがあったのだが、忘れていた。
この池のミズオオバコを見て、あの時の光景を思い出した。
この場所を離れたくない気持ちを抑えて、池を離れた。
昼飯を食べに行かなければ。車に戻り、走り始めた。この発見を誰かに知らせたくて堪らなかった。