明け方、あまりの寒さで目が覚めた。時計を見るとまだ、5時にもなっていない。昨夜は窓を開けたまま寝てしまったようだった。布団は薄い夏蒲団1枚だったから・・・・。起き上がり窓を閉めて、こんなこともあろうかと持ってきた、ヒートテックの長袖を着て、また布団にもぐった。しばらく寝転がっていたが、やはり一度目が覚めたら眠れない。思い切って起きることにした。
ようよう白くなりゆく山ぎは 少し明りて紫だちたる雲の細くたなびきたる・・・・、枕草紙の一節が思い出される・・・・、あ、あれは春だったな。
春じゃないけれど、そんな感じ。朝の5時半になった。着替えてから布団を畳んで、昨夜、朝飯用にコンビニで買ったおにぎりを食べた。それから、顔を洗って歯を磨き・・・・・、荷物を整理した。
一段落したところで、カメラを提げて朝の散歩に出た。宿を出て50mも進むと余呉湖の湖畔に出られる。
陽が昇ってきた・・・・
眩しい・・・・
今日も良く晴れた。いい一日になりそうだ。
ツユクサ
湖の周囲は田圃だったようだが、もうすでに刈り取られていて、畔にはいろいろな草が生えていた。
ニラ これは自宅の庭も同じ・・・・
これは何だろう・・・
そろそろ、宿に戻ることにした。
友人とは、昨夜、ここを7時半に出発しようと話していた。その時間までに荷物を整理して、宿泊費を清算して車で待つ。
あれ?友人は降りてこない。友人の部屋をノックすると、用意は出来ていたようで、俺を待っていてくれたようだった。予定通り、荷物を積み出発。今日はこれから、車で15kmほど走り、夜叉が池まで行く予定だ。
毎度のことだが、走り出しても車窓から何か見つけると車を停めて観察することの繰り返し・・・・、助手席の友人は「良く見えるな・・・・」と呆れていた。
一回目の停車・・・
立派なゴマナの花
クルマバナ
サンインヒキオコシ
秋はキク科とシソ科の季節だよな・・・・
二回目の停車・・・
このクロバナヒキオコシの群生を見て車を停めた。
クロバナヒキオコシ
日頃、走りながらきのこやら花やらを探すことが多いせいか、人よりも動体視力が良いようで、驚かれることが多い。クロバナヒキオコシの群生は岡山森林公園で一度見たことがあって、ふわっとした独特の姿が印象に残っていた。それに、瞬間、小さな黒っぽいまだ開きかけの花の姿が見えたのだった。
ミツバフウロ
ツリフネソウ
アキギリ これが今年初めて、アキギリの花をみた瞬間だった。
三回目の停車・・・
オオアキギリ
このオオアキギリの群生を見つけて車を停めた。
一度、車を停めて歩いてみるといろいろな花が咲いているのに気がついた。
??
アキチョウジ
アキノキリンソウ
シロヨメナ
ツリフネソウ
道の反対側には川が流れていて・・・・
友人は写真を撮るのに夢中。こちらは、ぶらぶらと辺りを徘徊した。
クロバナヒキオコシ
視線を上げると・・・・
ツリバナ
四回目の停車・・・
流石に車を停めてばかりなので、友人に聞いた。白っぽいツリフネソウが見えたけれど停まって良い?友人は「それは、停まりましょう」と言ってくれた。
ツリフネソウ(白花)
残念ながら、ツリフネソウの色の変異だった・・・
アキチョウジ
五回目の停車・・・ これは、トイレ。。。
そして、ようやく夜叉が池へ登る登山口の駐車場に到着した。それから、靴を履きかえザックを背負って登り始めたのだが・・・・・、実は、駐車場に到着して支度をしている時に、友人が「財布を落としたようだ」と言った。現金はともかくカード、免許証なども全部、財布に入っているという。
何処で落としたかは分らないが、何度も繰り返して車を停め、降りてしゃがんで写真を撮った時に落としたのだろう。戻って探そうかともいったのだが、僕に遠慮してくれたのか、下山後に探すことになった。二人とも来る道で落とした財布を探すことが大仕事で、見つけだすことの難しさを感じていた。その思いをお互い隠して登り始めたのだった。前途多難な山登りの始まりだった。
つづく。