“雷雪”、日本では「雪起こし」などと呼ばれる。
解説記事は下の引用記事を参照していただくとして、私には雷は冬でも珍しくないと実感している。むしろトラウマにまでなっているかも知れぬ。なんたってあの時死んでいたかも知れなかったのだから。それほど生きた心地のしない経験をわずか11歳の頃にしたわけだから。地球の終りかも知れぬと慄いたキューバ危機のニュース以上に身近な実体験である。
あれは多分小学6年の1月末の良いお天気の午後のことであった。近所の友達数人と山にスキー遊びにいった。空の青と雪の白のコントラストも画然として楽しくあちこちとスキーを乗り回していた。ところが、青空にもかかわらずゴロゴロと雷鳴がし、そして、空は俄かにくもり空になり、しかも、雷鳴が近づき霰か雹のような大粒の氷塊があたりにバラバラと降り始めた。雑木林の中に辿り着いたところで雷鳴は紫色の閃光を伴って目の前で鳴り響いた。本当に明るい日中なのにあたりが紫に稲光と雷鳴でこの世のものとは思えない光景が広がったのだ。スキーの金具に落雷があると危険なのでスキーを取り外せ、という声もある。子供たちはそれぞれ勝手に帰ることになってしまった。蜘蛛の子を散らすとはこのことを言うんだろうな。近くに木材を切り出してソリで運ぶ大人たちがいたが、それすら頼りになりそうもない、というか、気が休まらないので、山をくだっていく。スキーを持っていったか、乗っていったかは今では記憶にない。
まさに、ほうほうの体(てい)でなんとか無事家に帰りついた。息せき切って居間に入ると炬燵で温まっている母がいた。あぁ、無事に帰りついた、という安堵の気持ちと同時に、何慌てた様子でいるのと不思議なモノを見るような母の様子が今も記憶に残っている。
とにかくあの冬の稲妻は凄まじかった。あれ以来あれ以上の雷を経験していない。
【引用開始】
不思議な気象現象、“雷雪”の謎に迫る
不思議な気象現象、“雷雪”の謎に迫る
ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト3月 5日(木) 11時10分配信 / 海外 - 海外総合
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アメリカ、ミネソタ州の農場の上空でとどろきを上げる雷雲(写真左)。雷雲は、地表近くの暖かく湿った空気が上昇して、大気の状態が不安定になった場合に発生する。
(Photograph by Richard Olsenius/NGS)
3月1日~2日、アメリカ東部地方は広範囲にわたって晩冬の雪嵐に襲われた。猛烈な吹雪となり、激しい雷鳴がとどろいた。住民は寒さと音で大変だっただろう。おや?そういえば雷が鳴るのは夏ではなかったか?
雪雲に伴う雷は珍しい気象現象であまり知られていないが、「雷雪(thundersnow)」と呼ばれている。これがジョージア州やサウスカロライナ州の各地上空でとどろいたのだ。なお、日本でも季節は多少異なるが同様の現象が見られ、「雪おろし」や「雪おこし」などと呼ばれている。
専門家によると、吹雪の中で雷鳴と雷光が発生する雷雪は、アメリカでは晩冬から早春にかけて発生することが多いという。その時期に冷たい空気の塊が地表近くの暖かく湿った空気の上に乗り、雷雪の発生条件がそろうためである。
アメリカにあるミズーリ大学コロンビア校の大気科学者パトリック・マーケット氏は、雷雪のメカニズムについて次のように説明する。「雷雪は夏の雷雨と同じようにはじまる。太陽が地面を温め、暖かく湿った空気の塊が上昇すると大気の状態が不安定になる。空気が上昇するにつれ、水蒸気が凝縮し雲ができる。それが内部の気流の乱れによって激しくぶつかり合う。雷雪が発生する重要なポイントはそのような不安定な大気が冬に生まれることだ」。
雷雪が発生するためには、地表近くの大気の層が上空の層よりも暖かく、なおかつ、雪を降らすほど冷たくなければならない。非常に繊細な条件だ。「例えば、最近アメリカ南部で発生した雷雪の場合、まず大気が不安定になり雷雲が発達した。それが北に移動中に大気の温度が氷点下まで下がり、雪と雷が共存することになった」とバージニア州スターリングに滞在する米国気象局(NWS)の主任予報官ハワード・シルバーマン氏は話す。
また、シルバーマン氏によると、雷雪現象による降雪強度(単位時間当たりの降雪量)は1時間に5センチ以上になるという。もっと激しい降雪になることも多い。マーケット氏の調査では、1回の雷雪現象で半径113キロ以内に平均15センチの雪が積もることが判明している。「雷雪を体験するには、季節を選んで適切な場所にいる必要がある」とマーケット氏は話す。同氏はナショナル ジオグラフィック協会の探査協議会から支援を受けている。
ただしその場合でも、目に映るのは白い世界だけでほかになにも見えないこともあるという。「条件のそろった雷雪現象の場合、空が明るくなるだけで雷光そのものははっきりと見えない。そして、なにも起こらないかと思っていると1~2秒後に雷鳴のとどろきが聞こえてくる」。
マーケット氏によると、雷雪をとらえるベストスポットは、アメリカではコロラド州のウルフクリークパスとオンタリオ湖の東海岸だという。どちらも同氏が雷雪の調査対象とした場所だ。また、海岸沿いでも雷雪が発生することがある。温まった海水から水蒸気が上昇して、上空にある冷たく乾いた大気に向かっていくことが多いためである。
マーケット氏が率いる研究チームは、実地で雷雪を追跡している。雪嵐を見つけては気象観測気球を放ち、大気が不安定になるメカニズムの調査を続けていく。「研究チームでは、気象予報でも用いられる気圧、気温、湿度、風速、風向という5つの主要素に関するデータを収集している。雷雪の研究が進めば、将来の気象予報はもっと正確なものになるだろう」とマーケット氏は期待している。
Christine Dell'Amore for National Geographic News
【引用終了】
解説記事は下の引用記事を参照していただくとして、私には雷は冬でも珍しくないと実感している。むしろトラウマにまでなっているかも知れぬ。なんたってあの時死んでいたかも知れなかったのだから。それほど生きた心地のしない経験をわずか11歳の頃にしたわけだから。地球の終りかも知れぬと慄いたキューバ危機のニュース以上に身近な実体験である。
あれは多分小学6年の1月末の良いお天気の午後のことであった。近所の友達数人と山にスキー遊びにいった。空の青と雪の白のコントラストも画然として楽しくあちこちとスキーを乗り回していた。ところが、青空にもかかわらずゴロゴロと雷鳴がし、そして、空は俄かにくもり空になり、しかも、雷鳴が近づき霰か雹のような大粒の氷塊があたりにバラバラと降り始めた。雑木林の中に辿り着いたところで雷鳴は紫色の閃光を伴って目の前で鳴り響いた。本当に明るい日中なのにあたりが紫に稲光と雷鳴でこの世のものとは思えない光景が広がったのだ。スキーの金具に落雷があると危険なのでスキーを取り外せ、という声もある。子供たちはそれぞれ勝手に帰ることになってしまった。蜘蛛の子を散らすとはこのことを言うんだろうな。近くに木材を切り出してソリで運ぶ大人たちがいたが、それすら頼りになりそうもない、というか、気が休まらないので、山をくだっていく。スキーを持っていったか、乗っていったかは今では記憶にない。
まさに、ほうほうの体(てい)でなんとか無事家に帰りついた。息せき切って居間に入ると炬燵で温まっている母がいた。あぁ、無事に帰りついた、という安堵の気持ちと同時に、何慌てた様子でいるのと不思議なモノを見るような母の様子が今も記憶に残っている。
とにかくあの冬の稲妻は凄まじかった。あれ以来あれ以上の雷を経験していない。
【引用開始】
不思議な気象現象、“雷雪”の謎に迫る
不思議な気象現象、“雷雪”の謎に迫る
ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト3月 5日(木) 11時10分配信 / 海外 - 海外総合
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アメリカ、ミネソタ州の農場の上空でとどろきを上げる雷雲(写真左)。雷雲は、地表近くの暖かく湿った空気が上昇して、大気の状態が不安定になった場合に発生する。
(Photograph by Richard Olsenius/NGS)
3月1日~2日、アメリカ東部地方は広範囲にわたって晩冬の雪嵐に襲われた。猛烈な吹雪となり、激しい雷鳴がとどろいた。住民は寒さと音で大変だっただろう。おや?そういえば雷が鳴るのは夏ではなかったか?
雪雲に伴う雷は珍しい気象現象であまり知られていないが、「雷雪(thundersnow)」と呼ばれている。これがジョージア州やサウスカロライナ州の各地上空でとどろいたのだ。なお、日本でも季節は多少異なるが同様の現象が見られ、「雪おろし」や「雪おこし」などと呼ばれている。
専門家によると、吹雪の中で雷鳴と雷光が発生する雷雪は、アメリカでは晩冬から早春にかけて発生することが多いという。その時期に冷たい空気の塊が地表近くの暖かく湿った空気の上に乗り、雷雪の発生条件がそろうためである。
アメリカにあるミズーリ大学コロンビア校の大気科学者パトリック・マーケット氏は、雷雪のメカニズムについて次のように説明する。「雷雪は夏の雷雨と同じようにはじまる。太陽が地面を温め、暖かく湿った空気の塊が上昇すると大気の状態が不安定になる。空気が上昇するにつれ、水蒸気が凝縮し雲ができる。それが内部の気流の乱れによって激しくぶつかり合う。雷雪が発生する重要なポイントはそのような不安定な大気が冬に生まれることだ」。
雷雪が発生するためには、地表近くの大気の層が上空の層よりも暖かく、なおかつ、雪を降らすほど冷たくなければならない。非常に繊細な条件だ。「例えば、最近アメリカ南部で発生した雷雪の場合、まず大気が不安定になり雷雲が発達した。それが北に移動中に大気の温度が氷点下まで下がり、雪と雷が共存することになった」とバージニア州スターリングに滞在する米国気象局(NWS)の主任予報官ハワード・シルバーマン氏は話す。
また、シルバーマン氏によると、雷雪現象による降雪強度(単位時間当たりの降雪量)は1時間に5センチ以上になるという。もっと激しい降雪になることも多い。マーケット氏の調査では、1回の雷雪現象で半径113キロ以内に平均15センチの雪が積もることが判明している。「雷雪を体験するには、季節を選んで適切な場所にいる必要がある」とマーケット氏は話す。同氏はナショナル ジオグラフィック協会の探査協議会から支援を受けている。
ただしその場合でも、目に映るのは白い世界だけでほかになにも見えないこともあるという。「条件のそろった雷雪現象の場合、空が明るくなるだけで雷光そのものははっきりと見えない。そして、なにも起こらないかと思っていると1~2秒後に雷鳴のとどろきが聞こえてくる」。
マーケット氏によると、雷雪をとらえるベストスポットは、アメリカではコロラド州のウルフクリークパスとオンタリオ湖の東海岸だという。どちらも同氏が雷雪の調査対象とした場所だ。また、海岸沿いでも雷雪が発生することがある。温まった海水から水蒸気が上昇して、上空にある冷たく乾いた大気に向かっていくことが多いためである。
マーケット氏が率いる研究チームは、実地で雷雪を追跡している。雪嵐を見つけては気象観測気球を放ち、大気が不安定になるメカニズムの調査を続けていく。「研究チームでは、気象予報でも用いられる気圧、気温、湿度、風速、風向という5つの主要素に関するデータを収集している。雷雪の研究が進めば、将来の気象予報はもっと正確なものになるだろう」とマーケット氏は期待している。
Christine Dell'Amore for National Geographic News
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