学問空間

「『増鏡』を読む会」、第9回は2月22日(土)、テーマは「上西門院とその周辺」です。

「伏見即成院の中世」

2006-07-29 | その他
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2006年 7月29日(土)19時27分32秒

旧知の方から頂いたメールに返信するために瀬田勝哉氏の 「伏見即成院の中世-歴史と縁起」(『武蔵大学人文学会雑誌』第36巻3号,2005.1)を読み直しているところなのですが、実に優れた論文ですね。
瀬田氏は即成院の歴史の中で宣陽門院(1181~1252。 後白河皇女、母丹後局)の果たした役割が忘れ去られていること、宣陽門院に関する重要な記述が『とはずがたり』に存在することを指摘されています。
『とはずがたり』によると、つまらない理由から職場放棄をして行方不明となってしまった不良娘は、

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局(つぼね)へすべりて、「御尋ねあらば消息(せうそく)を参らせよ」といひおきて、小林といふは、御ははが母、宣陽門院(せんやうもんゐん)に伊予殿(いよどの)といひける女房、おくれ参らせさまかへて、即成院(そくじやうゐん)の御墓近く候ふところへ、たづねゆく。
http://www015.upp.so-net.ne.jp/gofukakusa/genbun-towa2-18-shuppon.htm

という行動を取りますが、実にこの一節から宣陽門院の墓が即成院にあったことがわかるんですね。
即成院には那須与一の墓とされる巨大な石塔があり、瀬田氏は那須与一に関する伝承についても詳細に分析されています。
瀬田氏が解明された事実を前提とすると、伝那須与一墓=宣陽門院墓ないし供養塔の可能性が高いのでしょうが、石塔の専門家が瀬田論文をどのように評価するのか、気になります。

即成院ホームページ
http://www.mitera.com/
伝那須与一墓
http://www.mitera.com/yoichi/images/ohaka-dai.jpg

>筆綾丸さん
某ブログの那須つながりということで。
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中世都市研究会大会2006三重大会

2006-07-27 | その他
中世都市研究会大会2006三重大会 投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2006年 7月27日(木)10時13分24秒

申し込み締め切りは8月7日だそうです。

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「都市をつなぐ」
本大会では、伊勢国を中心に、湊津の存在と陸路を重視し、列島をつなぐ結節点としての地域的特徴を追究します。また、伊勢神宮をはじめとする宗教勢力の都市に対する地域的・経済的影響を考え、西の京都・東の鎌倉を相対化する視点を提示します。
   主 催 : 中世都市研究会2006三重大会実行委員会
   共 催 : 津市教育委員会
   後 援 : 三重県埋蔵文化財センター
   日 程 : 2006年9月2・3日(土・日)
   参加費 : 無料 ※資料代は別途2,000円です。

http://mietyusei.hp.infoseek.co.jp/index2.html
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何故か一安心。

2006-07-27 | その他
何故か一安心。 投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2006年 7月27日(木)00時18分31秒

>皆様
kari さんの言われるように朝飯前だったら良かったのですが、実際は以前にこの掲示板で東郷平八郎が話題になった時にたまたま見た本が役立っただけですね。
筆綾丸さんが引用された『白洲正子自伝』は私も持っていて、そこに出てくる樺山資紀の人物像と問題の写真から受ける印象がかなりずれていたので、別人物だと分かって何だかホッとしました。
半藤氏は当然誰か知っていたはずなので、「一人置いて」には、やはり井上良馨への低い評価が反映されているんでしょうね。
それにしても樺山資紀は「近代日本人の肖像」の陸軍軍人・海軍軍人のいずれにも登場する稀有な存在で、近代軍隊創設期の混沌を体現するような人物ですね。
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「一人置いて」氏、判明。

2006-07-26 | その他
「一人置いて」氏、判明。 投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2006年 7月26日(水)14時35分51秒

半藤一利氏の本で問題の写真を見たところ、小笠原長生編『東郷平八郎全集』に同じ写真が掲載されていたはずと思い出し、確認してみました。
すると、同全集2巻29ページに「明治四十年元華族会館に於てランプトン中将歓迎会記念撮影、向つて右より・・・・井上大将・・・」とありました。
井上大将と言われても正直ピンと来なかったのですが、これは井上良馨ですね。
『国史大辞典』で井上良馨を引くと、経歴を述べたあとに、「(日清・日露の)二回の戦争に出陣せず、軍政においても殊功なきにかかわらず、元帥の栄冠を得たのは、薩閥に属したことによるといわれた」とあります。
国会図書館「近代日本人の肖像」の井上良馨の写真では半藤著書の写真と似ているように思えませんが、リンク先の鹿児島市立山下小学校HPに出ていた写真はそっくりで、間違いないですね。

http://keinet.com/yamashis/kouku/senjin/inoue.htm
http://www.ndl.go.jp/portrait/datas/19.html?c=8
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中立性その2

2006-07-24 | その他

 一週間投稿をサボっている間にウィキの技術的なことをほんの少しだけ齧ってみたのですが、ま、素養がないのであんまり理解できなかったですね。
いつまでもあれこれ考えているよりは、技術的にしっかりした人に依頼して、試作してもらう段階に来ているかなと思います。

 それと中立性に関して、「そんなに心配する必要はないのかな」などと書いたので、気楽すぎるのではないかと思われた方もいるかもしれませんが、それなりにネットでのトラブルの経験はありますから、対処はできるのではないかと思います。
ちなみにウィキペディアで「編集合戦」が行われた戦場跡を見ると、ある段階で「編集保護」(凍結)してしまっていますね。
 「中立的」な見解を求めようとするとこうなるのかなと思いますが、資料集ではそもそも見解の統一を図る必要はなく、淡々と関係資料をあげてもらえばいい訳ですから、争いに発展する危険は少ないですね。
論争好きな人は別の場所でやってもらい、資料集自体は淡々と正確に史料を反映させるだけで充分だと思います。
 ま、特定の話題で全体的なバランスが悪くなるようなことも一時的には起こるでしょうが、それも他を充実させることで解決できると思います。

参考:ウィキペディアの「南京事件」「慰安婦」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%97%E4%BA%AC%E5%A4%A7%E8%99%90%E6%AE%BA
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%85%B0%E5%AE%89%E5%A9%A6

コメント (6)
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東洋豪傑風

2006-07-24 | その他
東洋豪傑風 投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2006年 7月24日(月)19時45分58秒

>阿哈馬江さん
半藤氏の本、まだ確認していませんが、樺山資紀の可能性大ですか。
意外な展開ですね。

参考:近代日本人の肖像(海軍軍人)
http://www.ndl.go.jp/portrait/indexes/category08.html
http://www.ndl.go.jp/portrait/datas/58.html?c=0

>筆綾丸さん
>御華羅三郎
シャンソン歌手にほんとにいそうな名前ですね。

>○○さん
>ベアフィールド
大変興味深く拝見しました。
ホームページに書いたことは自分でも再考が必要と思っていました。

>如月さん
コメントできる分野ではありませんが、印刷して熟読しております。

>鴨志田さん
ご案内、ありがとうございます。
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Unmanned vehicle

2006-07-20 | その他
Unmanned vehicle 投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2006年 7月20日(木)20時36分58秒

>筆綾丸さん
無人兵器って、なんだか昆虫っぽいですね。
将来、我が自衛隊が空を飛び、泳ぎ、土を掘ることが出来る超小型無人兵器を開発したあかつきには、是非とも「おけら」と名づけてほしいものです。

http://www.f5.dion.ne.jp/~mirage/hypams04/uav.html
http://www.ntv.co.jp/megaten/library/date/02/06/0623.html

>阿哈馬江さん
>釈さん
昨日はありがとうございました。
「件の本」の書名が気になります。
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取りいそぎ。

2006-07-19 | その他
取りいそぎ。 投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2006年 7月19日(水)10時29分18秒

>阿哈馬江さん
了解です。
連絡が遅れてすみません。
なお、今回は釈さんと調整してませんので、釈さんは特に予定に入れていないと思います。
入れてたらすみません。(>釈さん)
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中立性

2006-07-16 | その他

 ウィキペディアは百科事典なので「中立性」を非常に強調していますね。
 歴史を扱う場合、特に近現代史まで対象を広げ、かつ参加型のサイトにしようとする場合には、思想的・政治的立場が反映して面倒なことが多くなりそうな感じもしますが、ま、史料自体は「中立的」なものですから、あくまで史料が中心という方針を堅持して、具体的なルールをきちんと定めておけば、そんなに心配する必要はないのかなと思います。

http://ja.wikipedia.org/wiki/Wikipedia:%E4%B8%AD%E7%AB%8B%E7%9A%84%E3%81%AA%E8%A6%B3%E7%82%B9
http://ja.wikipedia.org/wiki/Wikipedia:%E5%9F%BA%E6%9C%AC%E6%96%B9%E9%87%9D%E3%81%A8%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3

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ロボットスーツ

2006-07-13 | その他
ロボットスーツ 投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2006年 7月13日(木)20時41分52秒

>阿哈馬江さん
ありがとうございます。
阿哈馬江さんが例会に出席していただければ一番確実かと思いますが、無理であれば私が例の場所に伺いましょうか。

>筆綾丸さん
>無人兵器の特集
私も見ました。
筑波大のロボットスーツにも驚きましたが、市販品を集めれば個人でもわずか5000ドルで本格的な巡航ミサイルが作れるというのが一番ショックでしたね。

筑波大・山海研究室
http://sanlab.kz.tsukuba.ac.jp/
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鎌倉遺文研究会第123回例会の御案内

2006-07-12 | その他
鎌倉遺文研究会第123回例会の御案内 投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2006年 7月12日(水)11時26分2秒

例によって勝手に宣伝です。
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日時:7月19日(水)18:00~
場所:早稲田大学文学部第1研究棟2階第2会議室
報告者:下村周太郎氏
題目:「日本中世の戦争と祈祷」
  [報告者の一言]
近年の「戦争」研究の進展には著しいものがありますが、「宗教の時代」ともいわれる中世における戦争とはいかなるものであったのか。「祈祷の軍忠状」や「祈師」の活動に注目しながら、戦争において祈祷や呪術が果たした役割を検討し、中世戦争論をより豊かなものにすることを目指します。
http://www.littera.waseda.ac.jp/faculty/ebisawa/kamakuraibun.html
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私も浮上

2006-07-11 | その他
私も浮上 投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2006年 7月11日(火)19時55分52秒  

こちらではさぼっていますが、ブログは地味に更新しております。
http://blog.goo.ne.jp/daikanjin/

>阿哈馬江さん
編集メンバーにはきちんと紹介させていただきます。

>筆綾丸さん
>びっくり
私も読みましたが、論証が見事なので感動しました。
吉川もたまには愉快な本を出しますね。
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閉じられた世界と開かれた世界

2006-07-09 | その他
 青空文庫は本を愛する人たちが本の世界をなるべく忠実にネットの世界に反映させようと努力していますね。
 そこは通常の本の世界と同様、作者と読者が一対一で対峙する、ある意味では閉じられた世界です。
 青空文庫は文学作品を扱うので、こうしたあり方で特に問題はありませんが、歴史の場合はどうなのか。
 歴史関係の史料や著作については、作者が作り上げた作品世界を味わうようなことは、まあどうでも良くて、要はそこにどんな事実・見解が記録されているのかが重要です。
 そして、その内容に即して共通の関心を持つ人の間で情報交換の仕組みが作れたら、それはけっこう素晴らしいことなのではないかと思います。
 例えば、私は何度か太田亮の『日本姓氏家系大辞典』を取り上げていますが、この本は著者の没後半世紀もたっているので、現在の研究水準から見ればもの足りない部分はもちろん沢山あります。
 そこで、ある姓について、最近の論文ではこんなことが述べられているとか、参考となるリンク先を掲載するとか、情報をいろんな人がどんどん追加して行けば、けっこう役に立つものができるのではないかと思います。
 『日本姓氏家系大辞典』を情報の核として、その周囲を新しい情報で包み込み、さらに外部の世界にリンクさせて行く訳ですね。
 こんなやり方で、作者と読者が一対一で対峙するのではなく、読者相互間で、また他のネットの世界ともつながる開かれた世界を作れたら面白いのではないかと思います。
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青空文庫方式とウィキ方式の比較

2006-07-08 | その他
 青空文庫方式だと、対象となる作品について、「私が入力します」と誰かが声を上げる。そうすると、管理者から「では、おまかせします」と連絡があり、管理者はできあがるのを待つ。
 できあがると、こんどは「私が校正します」と誰かが声を上げる。管理者は「では、おまかせします」と連絡し、校正ができあがるのを待つ。そして、校正完了後、管理者の手で初めてアップとなる訳ですね。
 担当者がすばやく入力・校正してくれればよいのですが、参加者にもいろいろ事情がありますから、当然遅れることもありうる。
 そうはいっても、ボランティアですから管理者は無理強いもできない。
 中には連絡が取れなくなってしまう参加者もいて、そうするとまた最初からやり直し、ということも現実にかなり生じているようです。
 これに対して、ウィキ方式だと、管理者がいなくても良いみたいですね。
 誰かがこれこれの作品をアップしたいと思う。
 でも、自分ひとりでやるのは大変だから、まず目次あたりをアップした上で、自分に興味のあるところから適当にアップを始める。
 それを見ていた誰かが、自分に興味のある別の箇所を選んで、目次からリンクしてアップする。
 また、それらを見ていた誰かが入力の間違いに気づいたら修正すると。
 こんな感じで、全体としては結構な時間と手間を要する作業を、参加者ひとりひとりに負担にならない程度に細分化して、分担してやることが可能になるのではないかと思います。
 青空文庫方式と比較すると、作業の途中経過が一目瞭然で、何かの事情で途中で離れる人がいても、それまでの作業は無駄にならない、という利点もありそうですね。
 辻善之助の『日本仏教史』のような大部の著作や太田亮の『日本姓氏家系大辞典』などの辞書類も、こういう細分化された共同作業形式でやれば比較的短期間でアップすることが可能かなと思います。
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情報集積システム(その2)

2006-07-07 | その他

 昨日、ウィキの定義を「情報集積システム」としているものがあると書きましたが、もちろん通常言われているウィキの定義は「ウェブブラウザを利用してWWWサーバ上のハイパーテキスト文書を書き換えるシステムの一種」です。
 通常の定義とは別に、私がウィキ関係の記事を見ている過程で、自分が作りたいものは要するに歴史関係資料の「情報集積システム」なんだと改めて気づき、あ、なるほど、と納得したということですね。
 ウィキについての要領の良い説明はウィキペディアにありますが、ポイントをいくつか抜粋すると以下の通りです。

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文書の書き換えにはウェブブラウザしか必要としない。
ウィキ特有の文書マークアップはHTMLなどと比べて簡単なので覚えやすい。
同じウィキ内の文書間にリンクが張りやすくなっていて、高度に関連しあった文書群を作成しやすい。

一般にウィキは「間違いを犯しにくくするのではなく間違いを直しやすくする」という哲学に従っている。そのため、ウィキは非常にオープンである一方で、ページの内容に関する最近の変更の妥当性を検証するための手段を備えている。

大半のウィキでは、更新のログから二つの機能を利用することが出来る。一つは「改訂履歴」で、そのページの以前の版を見ることができる。もう一つは「差分」機能で、二つの版の差異を強調表示できるものである。改訂履歴を使うと、以前の版を開いたり保存することができて、それによって、変更される前の内容へと復元することも可能である。

事実上すべての大きなウィキエンジンは、コミュニティのルールを常習的にやぶるユーザを制限するためのいくつかの方法を備えている。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%82%AD

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