学問空間

「『増鏡』を読む会」、第9回は2月22日(土)、テーマは「上西門院とその周辺」です。

フェイスブックの「友達リクエスト」について

2018-03-27 | その他
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2018年 3月27日(火)21時09分56秒

私も一応フェイスブックのアカウントを持っているのですが、どうにも相性が悪い感じがして、かなり前に非公開とし、今は実質的に休眠状態です。
ただ、古い知り合いと連絡を取る必要が生じるかもしれないので、完全閉鎖にはしていません。
先程、「友達リクエスト」というのをもらったのですが、そういう事情ですので、申し訳ありませんがお断りさせていただきます。
何か個人的に連絡の必要等があってのことでしたら、ツイッターでフォローしていただいた後、「メッセージ」でやりとりしたいと思います。
というような返事をフェイスブックで出来ればよいのですが、その方法も分からないので、こちらに書きました。
宜しくお願いいたします。

鈴木小太郎
https://twitter.com/IichiroJingu
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内田啓一氏、ご逝去

2017-02-10 | その他
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2017年 2月10日(金)12時06分44秒

早稲田大学教授の内田啓一氏が亡くなったという複数のツイートを見かけました。
『後醍醐天皇と密教』(法蔵館、2010)の著者は1960年生まれなので、俄かに信じられない訃報でしたが、間違いないようですね。
この掲示板でも内田氏の著書については何回か言及していますが、美術史出身で、所属学会も普通の中世史研究者とはあまり重ならないためか、真言立川流・文観・後醍醐天皇に関する内田氏の研究の重要性は一般の中世史研究者にあまり意識されていないように感じたことがあります。
そのあたり、今は多少変わってきているのか、若手研究者に聞いてみたいですね。

早稲田大学研究者データベース

文観房弘真と荼枳尼天法
『文観房弘真と美術』
「宝物コレクター」後醍醐
重宝蒐集活動の初例?
丹後・金剛心院
「親子二代連続でちょっと変な王権」
https://blog.goo.ne.jp/daikanjin/e/3b01f880f7029510f5189748b53f9201
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個人的なご連絡

2016-11-09 | その他
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2016年11月 9日(水)21時48分6秒

>〇〇学受講のSさん
今日、終了後にご挨拶しようと思っていたのですが、機会を失してしまいました。
差支えがなければ私のツイッターアカウントをフォローしていただくか、掲示板の一番下、「管理者へメール」にてご連絡いただけないでしょうか。
宜しくお願いします。

https://twitter.com/IichiroJingu
http://6925.teacup.com/kabura/bbs
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朝日新聞の精進料理

2014-08-30 | その他
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2014年 8月30日(土)13時34分5秒

>筆綾丸さん
四月の出来事を今ごろ朝日新聞が騒いでいる件ですね。

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首相、A級戦犯ら法要に哀悼メッセージ「祖国の礎に」

 安倍晋三首相が4月、A級、BC級戦犯として処刑された元日本軍人の追悼法要に自民党総裁名で哀悼メッセージを書面で送っていたことが朝日新聞の調べで分かった。連合国による裁判を「報復」と位置づけ、処刑された全員を「昭和殉難者」として慰霊する法要で、首相は「自らの魂を賭して祖国の礎となられた」と伝えていた。

BBC記事は朝日の名前を出さず、"Local reports"と複数形にしていますが、中身は朝日の丸写しですね。
また、ニューヨークタイムズではマーチン・ファクラー記者が同種の記事を書いていますが、これは朝日を明示していて、BBCより多少は良心的のようです。

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Japan’s Premier Supported Ceremony for War Criminals

TOKYO Japan’s conservative prime minister, Shinzo Abe, sent a message of support earlier this year to a ceremony honoring more than 1,000 Japanese who died after convictions for war crimes, a government spokesman said on Wednesday. The move could worsen frictions between Japan and its neighbors, particularly China, over bitter memories of World War II in the region.
Mr. Abe wrote in the message that the convicted war criminals had “sacrificed their souls to become the foundation of the fatherland,” according to a news report that first appeared in The Asahi Shimbun, a major Japanese newspaper.


朝日新聞が中国・韓国にどうぞ怒ってくださいと食材を提供し、中国・韓国に欧米メディアを交えてキャッチボールをして話を大きくして行くパターンも少し飽きられてきた感じがしますね。

※筆綾丸さんの下記投稿へのレスです。

ルーベンスの絵の下で 2014/08/29(金) 18:35:41
小太郎さん
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%81%AE%E7%8A%AC
むかし、少年ネロと老犬パトラッシュが仲良く死んだ所とは知らずに、アントワープの大聖堂を訪ねたことがありますが、ルーベンスの大作、『キリストの昇架』と『キリストの降架』が、これまた仲良く並んでいる教会でした。

http://www.bbc.com/news/world-asia-28948501
--------------
It houses a monument to more than 1,000 "Showa martyrs," referring to soldiers who fought in World War Two in the name of the late Emperor Hirohito.
--------------
英文のBBCは不正確のようですが、

http://www.bbc.co.uk/zhongwen/trad/world/2014/08/140827_japan_abe_memorial.shtml
--------------
碑上刻有包括二戰後被遠東軍事法庭判定為甲級、乙級、丙級戰犯的日本軍人的姓名。(中略)刻有一千多名病死、自殺戰犯的紀念碑・・・
--------------
中文のBBCは正確のようです。

http://paper.wenweipo.com/2014/08/28/YO1408280017.htm
--------------
「昭和殉難者」專指日本戰敗後被追究戰爭罪行而處死或自殺的戰犯,「法務死」則是把這些被處死的戰犯等同於戰死沙場的普通軍人・・・
--------------
香港の新聞は、「法務死」の解釈が違っているような気がします。「沙場」は、ググると、「百戦沙場砕鉄衣」〔李白・従軍行〕、「胡霜漢月照刀環 百戰沙場久不還 萬馬夜嘶?海戍 孤鴻秋度玉門關」(木下順庵)などと使われ、ただの砂漠ではなく、戦場を意味するようです。漢文が正確にはわからぬながら、戰死沙場的普通軍人≒戦場で死んだ一般軍人、ではないのではないか。翻訳とともに意味がずれてゆくのは仕方ないことだけれども。
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情報収集と分析の分断

2013-12-31 | その他
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2013年12月31日(火)22時35分7秒 編集済

>筆綾丸さん
『知の武装 救国のインテリジェンス』は対談集のような体裁を取っていながら対談の日時や場所についての記載がなく、ちょっと奇妙な作りですね。
あるいは一応の打ち合わせをした後で二人が別々に原稿を書き、それを編集者がうまくつなぎ合わせたような感じもします。
ま、それはともかく、次の部分はロバート・レヴィンソン氏失踪事件の顛末が報道された後に読むと、なかなか興味深いですね。(p189以下)

-------
佐藤 CIAの係官と話していてびっくりしたんですが、中国分析をする人間は中国に渡航することが禁止されている。また、中国語を学ぶことも奨励されていないんです。そういうことがあるとバイアスがかかるからという理由でね。

手嶋 佐藤さんが例にあげたCIAの要員とは、情報分析官なのでしょう。アメリカの巨大な情報機関では、情報をとってくる人と分析する人が明確に分けられている。双方を交わらせないんです。そうすると、小説で最前線のインテリジェンス・オフィサーを描くとしても、全体のストーリー・ラインを承知していないのですから、単なる情報活動の下請け作業員になってしまう。

佐藤 CIAでは、現地語で情報を取ってきて全部英語に訳す。それを見て分析することが正しい判断につながると信じていますね。情報をとってくる人間がいる。取ってきた情報を信憑度に基づいて数値化する。数値化するときのクライテリア(基準)にもマニュアルがある。その数値化したものを分析官のところに持っていって判断がなされる、というやり方です。そんな具合に、厖大な情報を集めてクォーター化しているんです。全体像を掴んでいる人はいなくなっちゃうわけですね。

手嶋 インテリジェンスの方法論そのものが、アメリカの場合は「技法」すなわちテクノロジーによって支えられている。技術的にマネジメントが可能であると考えている。余人をもって代えがたいなどということはあってはならないという発想なんです。戦車は、普通の成人男子なら車と同じように運転できるよう設計されていてしかるべきだと。実にアメリカ的、フォード的発想です。

佐藤 だから、情報収集と分析を一緒にやってはならないと。一方で、たとえばモサド(イスラエル諜報特務庁)であるとか、あるいはSIS(イギリス秘密情報部)やSVR(ロシア対外諜報庁)に関しては、原則としてクォーター化されているけど、状況によっては、その問題に通暁し、かつ突き放した見方が出来る人物になら、情報収集と分析を共に任せても構わないと考える。ケース・バイ・ケースなんです。これって、つまり無原則ということなんですよ。だから、うんと柔軟な対応が可能になるのです。

手嶋 アメリカのインテリジェンスは、一見すると実にシステマティックにして科学的に映ります。でも、その果てに9・11同時多発テロのような奇襲を許してしまった。断片的な情報は山のようにあったけれど、全体像が掴めなかったからです。

佐藤 そうして、今度は振り子が逆に振れてしまう。インテリジェンス・コミュニティで皆が情報をシェアできるようにした。すると今度は、情報の拡散が起きてジュリアン・アサンジらによるウィキリークス事件が現れたんです。
---------

ロバート・レヴィンソン氏の件はアン・ヤブロンスキーという女性分析官が組織のルールに反して情報収集に関与したとの理由で処分された訳ですが、9・11を許してしまったことへの反省の中で、おそらく情報収集と分析の分断についても見直したいという動きがあって、アン・ヤブロンスキーは新しい考え方を実験してみた、と考えることもできそうです。
結果的にその実験が大失敗に終わったので、情報収集と分析の分断を定めるルールはより厳格化されてしまったようですが、再度の揺り戻しもありそうですね。

ロバート・レヴィンソン氏の件
CIA内部の対立とメディア間の確執

※筆綾丸さんの下記投稿へのレスです。

初詣 2013/12/30(月) 16:00:04
イコモスの判断が逆鱗に触れたやもしれませぬが、平成甲午の初詣は鶴岡八幡宮にしようかと考えています。

小太郎さん
新田一郎氏の『中世に国家はあったか』は、以前読んだはずですが、内容は綺麗に忘れています。書棚を探したものの見つからず、再度、アマゾンで注文しました。「濫喩としての「中世国家」」というのは、面白いですね。
http://en.wikipedia.org/wiki/Catachresis
英語では catachresis と云うようですが、ウィキの例文としてのアレキサンダー・ポープの詩は、はっきり言って、つまらぬ詩です。

http://www.bbc.co.uk/news/business-25519110
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%9E%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%82%A8%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%89
没落したはずの老大国が復活するようですね。UKの人口増加は謎のような現象で、何故なのか、エマニュエル・トッド氏あたりに聞いてみたいところです。フランスは high taxation 等により今後は衰退してゆくようですが、増税する日本は大丈夫なんだろうか、と心配になります。
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山本忠士氏「大正期日本の海外特派員報道」

2013-12-27 | その他
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2013年12月27日(金)19時57分5秒

>筆綾丸さん
>神田正雄
検索してみたら、次のような人物が出てきました。

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神田正雄 かんだ-まさお
1879-1961 大正-昭和時代前期の新聞記者,政治家。
明治12年3月18日生まれ。42年大阪朝日新聞社に入社。のち東京朝日新聞社の政治部長,外報部長をつとめる。大正12年同社の編輯(へんしゅう)委員となり,緒方竹虎らと4人の合議制で編集局長職を代行。13年衆議院議員(当選2回,民政党)。昭和36年8月2日死去。82歳。栃木県出身。東京専門学校(現早大)卒。

ただ、この人の経歴と「四川省重慶村達用学堂の教習」という肩書きが結びつかなかったのですが、リンク先の「Traveling LIBRARIAN -旅する図書館屋」というブログによれば、

-----
神田正雄(1879-1961)は、早稲田大学出身の新聞記者・政治家。彼が大阪朝日新聞に入社する明治40(1907)年だが、大学卒業後の三年あまりを、当時日本にその様子が伝わっていなかった四川省で過ごしていた。重慶府達用学堂の教習として招聘されたためである。神田は3年の赴任期間が終わってから半年間四川省を行脚し、帰国してから彼の地の地理・風俗・歴史をまとめた。その成果が本書である。

とのことで、書名は 「西清事情」のようですね。
福沢諭吉の「西洋事情」をもじったものなんでしょうね。

近代デジタルライブラリー 「西清事情」

神田正雄は大正4年(1945)の対華二十一か条要求交渉時に朝日新聞北京特派員だったそうで、山本忠士氏の「大正期日本の海外特派員報道-「21か条要求」交渉と東京朝日新聞を中心に-」という論文には神田特派員が関与した奇妙な一件が紹介されていますね。
当初、日本政府が極秘にしていた要求内容を神田特派員が中国側から入手して送信し、東京・大阪朝日新聞は大スクープとして号外で報じたのに、それを翌日、新たな号外で取り消し、更に翌々日、念入りに取消記事を出したのだそうです。


山本忠士氏によれば「情報戦では、中国側が序盤から日本を圧倒し、完全に主導権を握った形で進行」し、「以後、中国の新聞は、国際都市北京を舞台に外国新聞・通信社を巻き込み、日本包囲網を形成してい」ったのだそうで、現在の国際情勢を髣髴とさせる、なかなか興味深い指摘ですね。

※筆綾丸さんの下記投稿へのレスです。

墳墓の抵当 2013/12/26(木) 18:34:23
久しぶりに、穂積陳重『続法窓夜話』を拾い読みして、「墳墓の抵当」というのに目がとまりました。碩学もお茶目な文を書くのですね。
--------------------------------------
祖先崇拝は儒教倫理の根本主義とするところであるから、支那人は最も墳墓を重んじ、少しく資産あるものは墓地に多額の金額を費やしてそれを誇りとする風俗のあることは、人の知るところである。しかるに、四川省重慶村達用学堂の教習神田正雄氏の著「西洋事情」に拠れば、これと同時に、墓地を貸金の抵当とする慣習が少なくとも巴蜀(重慶付近の地)地方には行われているということである。祖先の遺骸を安置する霊場を金銭貸借の担保とし、恬として愧じず、人もまたこれを怪しまざるは、如何にも不可思議千万なようではあるが、翻って考えれば、支那人の祖先を重んずるの厚きと、金銭を重んずるの大なるとが相合して、この奇習を生じたものであろうと思われる。他人の墳墓の地は債権者に取っては一文の値打もないものである。これを譲り受けた者も、まさかこれを畑にして南京豆を植え附ける訳にも行くまい。(岩波文庫版81頁)
-----------------------------------------
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/f_toshiken/article/54983
「文化財」として寄贈し、福岡市にずっと管理してもらうというのは、「軍師」官兵衛の眼に名案と映るかどうか・・・。

追記
http://www.bbc.co.uk/news/world-europe-25515948
このクリスマス・メッセージを聞くかぎり、スノーデン氏は知性的な人ですね。Britain's Channel 4の前で、ロシア政府の検閲(強制)なしに、正直に語っていると考えていいのでしょうね。諜報の専門家がこの映像をどのように分析するのか、わかりませんが。
an ''alternative'' Christmas message の alternative は、ここで sophisticated な使い方をされていて、二者択一的、つまり、アメリカ政府ではなくスノーデン氏の、というような含意になり、辞書を引くとさらに、(社会の基準に拠らない)型破りの、という意もあるので、ネイティヴの人はここで、フフフとなるのでしょうね。
http://www.bbc.co.uk/news/world-europe-25512656
絢爛豪華なローマ法王の凡庸なメッセージよりは、すくなくとも、面白いような気がしますね。法王が抱いている人形の赤ん坊(イエス)は、微笑ましいというか、なんというか・・・。

追記の追記
http://www.bbc.co.uk/news/world-asia-25518166
-----------------------------
US officials said the visit would "exacerbate tensions" in the region.
-----------------------------
アメリカ政府は、あまり見たことのない exacerbate という語を使ってますが、外交上及び修辞上、どんな意味があるのでしょうね。
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「目黒太鼓橋夕日の岡」と「金沢八景内川暮雪」

2013-12-25 | その他
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2013年12月25日(水)11時08分8秒

BBCに美術評論家のJason Farago氏による「冬景色を描いた10枚の崇高な絵」という記事が出ていました。
この6番目が安藤広重の The Drum Bridge and Yuhi Hill at Meguro by Hiroshige (1857) で、次のような解説が付されています。

------
How great artists depict winter in 10 sublime paintings

The Drum Bridge and Yuhi Hill at Meguro by Hiroshige (1857)

One of the images from One Hundred Views of Edo, his wildly popular series of ukiyo-e prints, this image depicts a rare stone bridge in the city we now call Tokyo. Captured at an oblique angle, the bridge seems dwarfed under the snow-filled sky, and the passersby, shrouded under bamboo hats, get lost in the landscape. Hiroshige’s winter scenes are perhaps his most sensitive; under snow, even the big city feels impermanent.

広く人気のあるウキヨエのシリーズ、「エドの100の景色」のひとつとして、この絵は今日我々がトウキョウと呼ぶところの都市における珍しい石の橋を描いている。斜めの角度から捉えられた橋は、雪に満たされた空の下で小さく見える。そして竹の帽子をかぶった通行人たちは、風景の中で途方にくれている。ヒロシゲが描いた冬景色(複数形)は、たぶん彼の最も繊細な作品であろう。雪の下で、巨大都市さえもが永続的ではないように感じられる。

http://www.bbc.com/culture/story/20131224-the-10-greatest-winter-paintings

わざと直訳風に訳してみましたが、該当の絵を見ると、そもそも橋がありません。
そして「金沢八景内川暮雪」と明瞭に記してあって、目黒とはずいぶん離れていますね。
何じゃこれ、と思って検索してみたら、タイトルを見る限り、Jason Farago氏は「名所江戸百景」の「目黒太鼓橋夕日の岡」について書いたはずなのに、どんな手違いがあったのか、「金沢八景内川暮雪」が掲載されてしまったようです。

「目黒太鼓橋夕日の岡」
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1312347
http://hiroshige100.blog91.fc2.com/blog-entry-76.html

ただ、「目黒太鼓橋夕日の岡」の石橋は決してdwarfed(小さく見えて-dwarfは童話などに出てくる「こびと」)となってはいませんし、橋の上の通行人は普通に歩いていて、get lost 状態には見えません。
get lost 状態になっているのは、明らかに「金沢八景内川暮雪」の方ですね。
とすると、どうもJason Farago氏自身が二つの絵を混同しているようで、同氏以外の誰かが単純に絵を取り違えた、といったミスではないようですね。

いずれにせよ誤植収集を趣味のひとつとしている私にとって、BBCからもらった夢のようなクリスマスプレゼントなので、感謝とともに記録しておきます。

ちなみに「金沢八景内川暮雪」は関東学院大学のキャンパス付近を描いているそうですね。
大規模な干拓によって過去の風景を思い浮かべるのが困難なほど変化していますが。

http://dorogame008.web.fc2.com/kkanazawasanpo3.html
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CIA内部の対立とメディア間の確執

2013-12-17 | その他
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2013年12月17日(火)23時35分52秒

>筆綾丸さん
$2.5 million の趣旨はNYT記事の4ページに出ていますね。

------
David McGee, a former federal prosecutor and a lawyer representing the Levinson family, said of the F.B.I.: “You knew when they did not care about a case, and they did not care about this one.”

In March 2008, a year after Mr. Levinson’s disappearance, his wife was called to a meeting at F.B.I. headquarters. There C.I.A. officials acknowledged for the first time that he had worked for them. Had it been left up to the C.I.A., it is unlikely that meeting would have occurred.

Mr. McGee and Mr. Silverman had given records from Mr. Levinson’s files that documented his C.I.A. work to the Senate Select Committee on Intelligence. Senator Bill Nelson, Democrat of Florida, called in top agency officials and demanded an explanation. Those officials said they had never been alerted that an agency contractor was missing and promised to investigate.

Not long afterward, two C.I.A. officials met with Ms. Levinson and Mr. McGee at his office in Pensacola, Fla. They started by delivering a message. “They wanted to officially apologize on behalf of the C.I.A. to the Levinson family,” Mr. McGee recalled.

According to Mr. McGee, the C.I.A. officials said that while an inquiry had not found a “smoking gun” proving that the agency knew in advance about Mr. Levinson’s trip, it did conclude that Ms. Jablonski and her boss, Mr. Sampson, had misled officials about his work.

The agency gave Ms. Jablonski, Mr. Sampson and another top C.I.A. analytical official a choice: They could resign from the agency or be fired, according to several people familiar with the matter. Mr. Sampson and the other official resigned. Ms. Jablonski said she had refused and was fired. In 2008, when Mr. McGee made it clear he was prepared to sue the C.I.A., the agency agreed to pay $2.25 million to Ms. Levinson, whether or not her husband returned.


2007年3月のレヴィンソン氏失踪後、家族は連邦検察官の経歴を持つDavid McGee弁護士に依頼してレヴィンソン氏のパソコンに残されたメール等を調査してもらったところ、同弁護士はレヴィンソン氏とCIAの女性分析官のやりとりを知り、FBIやフロリダ州選出の上院議員を動かして、CIAに責任を認めさせたそうですね。
そして同弁護士が訴訟にするぞ、とCIAを脅したところ、職員の深刻な規律違反や直接関与した分析官3人に辞職するか首になるか、どちらか選べと迫ったような事情が公になるのを恐れたCIA側が、訴訟は勘弁してくれとお金を払ったようですね。
これは2008年のことですから、関係者いずれもレヴィンソン氏の生存を信じていた時期の話ですね。

今回、APとワシントンポストはレヴィンソン氏の家族の了解を得ないまま調査結果を公表したこともあって、レヴィンソン氏本人については、とても立派な人物でした、みたいな甘い書き方をしていますが、NYTはけっこう率直、というか辛辣ですね。

--------
Mr. Levinson was gregarious by nature, the “good cop” who liked everybody and wanted everyone to like him. But he also had a tendency to ignore his supervisors if he believed in a case, a trait that got him into trouble at times. “Bobby thought that everything he was getting was gold,” said one former F.B.I. official. “Sometimes it was, and sometimes it wasn’t.”(p2)

Mr. Levinson knew his way around some parts of the world, but he knew nothing about the one country that his bosses at Langley were most interested in: Iran. (p2)
--------

また、APは今回の公表に至った事情についてそれなりに立派な見識を述べていますが、なぜこの時期に暴露したのか、という疑問に対しては、APの優秀な記者がワシントンポストに、おそらく高額で引き抜かれたから、という回答が一番的を射ているような感じがします。
Adam Goldman記者としては転職先に自己の高い能力をアピールしたいだろうし、つい最近、オーナーが変わったばかりのワシントンポストとしても、この時期の特ダネは大歓迎なはずです。
他方、APとしては子飼いの記者がAPの信用を最大限に活用して得た秘密情報をライバルに手土産として渡すのを黙って見過ごすことはできないでしょうから、両社で充分に事前協議して、互いの公表内容を調整したはずですね。
まあ、同レベルの情報を得ていながらレヴィンソン氏の家族に配慮して公表していなかったNYTとしては面白いはずはなく、AP・ワシントンタイムズが書かない事情を紹介して憂さを晴らしているような感じがしますね。
今回の騒動は、滅多に外に出ることのないCIA内部の複雑な対立を明らかにしただけでなく、報道機関相互の微妙な確執も映し出しているようで、いろいろ興味深いですね。

※筆綾丸さんの下記投稿へのレスです。

カフカ的なドア 2013/12/17(火) 11:49:21
小太郎さん
http://bigstory.ap.org/article/missing-american-iran-was-working-cia
この長文の記事の中に、
-------------------------------------
The investigation renewed some longtime tensions between the CIA's operatives and analysts. The investigators felt the analysts had been running their own amateur spy operation, with disastrous results. Worse, they said the analysts withheld what they knew, allowing senior managers to testify falsely on Capitol Hill.
-------------------------------------
という個所がありますが、CIAも一枚岩ではなく、operatives と analysts の間には根深い対立があるようで、レヴィンソン氏は巨大な組織の深い溝に転落したような印象を受けますね。

http://www003.upp.so-net.ne.jp/jhori/reviews/kish.html
レヴィンソン氏が行方を絶ったのは映画『キシュ島の物語』の舞台になった所で、むかし渋谷でみたとき、第三話「ドア」は佳い映画だなあ、と思ったものです。真っ白な浜辺にぽつんと一個のドアが置かれていて(ドアを開けると、真っ青な海が広がっている)、たしか、こちら側とあちら側の世界をカフカ的に描いていたように覚えていますが、レヴィンソン失踪事件を先取りしたような映画と言えなくもないですね。何の変哲もないドアが、一神教の絶対神の寓喩のようで、こんなドアに神は降臨するのだろうな、と思われました。
「The government also gave the family a $2.5 million annuity」とありますが、これは、アメリカ政府がレヴィンソン氏の死の確証を得て組織的な責任を認めた、ということになるのでしょうね。ただ、レヴィンソン氏は、FBI退職時に退職金と退職以降の年金を受けているだろうから、 $2.5 million の annuity(年金)というのは変な気もしますが。
http://www.bbc.co.uk/news/world-us-canada-25373010
BBCには、「The US agency reportedly paid Mr Levinson's family $2.5m (£1.5m) to avoid a public lawsuit」とあり、訴訟回避のための云わば「口封じ金」であって、annuity(年金)とは程遠い性質のものですね。映像の解説では、compensation(賠償・補償)と言っているけれども。
グアンタナモと同じ囚人服を着せられているのは、待遇は良かれ悪しかれグアンタナモと同じだ、というメッセージなのでしょうね。
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ロバート・レヴィンソン氏の件

2013-12-15 | その他
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2013年12月15日(日)20時30分17秒

国家機密と報道の自由の問題を考える上で重要な素材になるはずなのに、日本ではあまり報道されていないですね。
とりあえず一昨日からツイートしたことをそのまままとめておきます。

---------
イランで失踪の米国人はCIA要員 米報道

 AP通信と米紙ワシントン・ポストは12日、数年前からイランで行方不明になっている元連邦捜査局(FBI)捜査官のロバート・レビンソン氏が、中央情報局(CIA)の秘密要員として働いていたと報じた。
 同氏は本来、スパイ活動を許されないCIA分析官に雇われており、関与した計10人の分析官らが解雇などの懲戒処分を受けた。APは「近年で最も深刻なCIAの不祥事」としている。
 レビンソン氏は2007年にイラン入国後、行方が分からなくなった。FBIなどが懸賞金をかけて行方を捜していたが、ここ3年ほどは生存を示す情報がない。国家安全保障会議(NSC)は12日、同氏とCIAの関係についてコメントを避けつつ、度重なる要請にもかかわらず報道に踏み切ったとして遺憾の意を表明した。(共同)
http://sankei.jp.msn.com/world/news/131213/amr13121315460004-n1.htm

APとワシントンポストの記事を読んでみたけど、この共同記事の要約はあまりに雑すぎるなあ。
タイトルの「CIA要員」もおかしい。
正式な要員ではなく、権限外の分析官が報酬を支払っていただけ。

Missing American in Iran was on unapproved mission
http://bigstory.ap.org/article/missing-american-iran-was-working-cia

CIAが機関として正式に承認していない仕事を権限外の分析官が勝手に民間人に依頼。
だからこそ関与した分析官が免職等の処分を受けている。

イランで失踪の米男性は「CIAの情報要員」、米メディア
http://news.livedoor.com/article/detail/8343850/

ロバート・レヴィンソン氏の件、共同電で短く報道されたものの、日本のメディアは全く重視していない感じ。
今のところ日本語で読めるものではライブドアのAFPBB記事が一番詳しい。

昨日のAPの記事は Matt Apuzzo 氏とAdam Goldman氏の連名で、WPはAdam Goldman氏。
何故、APとWPに同一人物が署名記事を書いているのか不思議に思った。

http://bigstory.ap.org/article/missing-american-iran-was-working-cia
http://www.washingtonpost.com/world/national-security/ex-fbi-agent-who-went-missing-in-iran-was-on-rogue-mission-for-cia/2013/12/12/f5de6084-637b-11e3-a373-0f9f2d1c2b61_story.html

ま、これはAPで長年調査報道に携わり、ピューリツァ賞も受賞している優秀なAdam Goldman氏が最近ワシントンポストに転職したという事情の反映。

http://www.huffingtonpost.com/2013/10/15/ada-goldman-associated-press-washington-post-_n_4101302.html

Why AP is publishing story about missing American tied to CIA
http://blog.ap.org/2013/12/12/why-ap-is-publishing-story-about-missing-agent-tied-to-cia/

APは2010年の時点で既に今回報道された事情を全てつかんでいたが、レヴィンソン氏の生命に危険が及ぶとの当局の意見に従って報道を控えていた。
今の時点で報道したのは、もはや情報が途絶えて3年経ち、生存につながる新たな手掛かりがないこと、CIAの規律違反と10人もの懲戒がなされている事情が国民に知らされていないのは知る権利の観点から放置できないとの判断。

A Disappearing American Spy, and a Scandal at the C.I.A.
http://nyti.ms/JfQc0r

NYTも家族が依頼した弁護士からの情報に基づき早い段階で問題の所在を把握し、APと同レベルの情報を得ていたが、当局の要請とレヴィンソン氏の生命に危険が及ぶことへの家族の懸念に配慮し、報道を控えていた。
AP・WPの報道を受け、同氏が失踪した当時の生々しい事情、および事件後に介入してきた武器商人やロシアの政商等の行動について、この記事で詳細を伝えている。
AP・WPに特ダネを抜かれたことへのくやしさはにじんでいるものの、NYTの調査報道の実力を示す良記事。

ロバート・レヴィンソン氏に最後に会った男、失踪への関与を否定
http://investigations.nbcnews.com/_news/2013/12/4/21902571-last-man-to-see-robert-levinson-before-he-vanished-denies-involvement-in-disappearance?lite

Dawud Salahuddinは1980年に反ホメイニ派のイラン人元外交官を射殺してイランに逃亡した人物。
レヴィンソン氏との会合をイラン公安当局に知らせた可能性が高い。
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Merrill Newman 氏

2013-12-11 | その他
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2013年12月10日(火)14時46分51秒

>筆綾丸さん
私もMerrill Newman 氏の件はどう展開するのか興味深く見ていたのですが、穏便に終結しましたね。
サンタクルーズの地元紙が伝えたところによると、メリル・ニューマン氏は留置場ではなくホテルの一室に滞在し、伝統的な朝鮮料理の食事を取っていたそうですね。
ホテルでの滞在は快適、しかし「退屈」だったそうで、北朝鮮当局が発表した同氏が謝罪文を読み上げる映像について聞かれると、ニヤニヤ笑って、「もちろん、あれは私の文章ではないよ」と答えたとか。

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Merrill Newman said he was comfortable during detention in North Korean hotel room

Newman said he had been well fed eating traditional Korean food while being forced against his will to stay in the communist country after completing a 10-day vacation tour on Oct. 26.
He was kept in a hotel room, not a jail cell, and was comfortable, if not even "bored" during detention, Newman said.
He gave a smirk when asked about the video North Korean authorities released a couple of weeks ago where Newman read an apology about alleged criminal acts he had committed during his U.S. military service in the Korean War and the vacation tour.
"Obviously, that's not my English," he said Sunday.

http://www.santacruzsentinel.com/santacruz/ci_24682022/merrill-newman-said-he-was-comfortable-during-detention

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ウェールズの命名法

2013-12-10 | その他
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2013年12月10日(火)14時05分56秒

>筆綾丸さん
>Maredudd ap Huw 博士
少し検索してみたらBBCのサイトにウェールズの命名法についての解説がありました。
これによればウェールズでは父親の名前を子供の姓にしてしまうそうですね。
そして'ap'は「息子」という意味の'mab'を短縮したもので、Maredudd ap Huw 博士の場合、「Huwの息子のMaredudd」ということらしいですね。
しかし、この命名法のよれば世代によって姓がどんどん変わって行ってしまう訳で、系図学者はもちろん歴史学者にとっても悪夢のような事態ですね。

--------
Welsh naming

The ancient Welsh patronymic naming system can cause significant problems for genealogists.

The old tendency to anglicise Welsh names can also present another hurdle for Welsh genealogists.

Patronymics describes the process of giving a child the father's given, or forename, as a surname. This means that a family's name changes in successive generations. The Welsh patronymic system describes family trees in terms of the male line only and records the family association in the 'ap' or 'ab' prefix ('ap' is a contraction of the Welsh word 'mab', which means son). For example, Rhys ap Dafydd translates as 'Rhys, son of David'. Modern Welsh surnames such as Powell, Price and Prichard are the result of this contraction and a progressive tendency to Anglicise Welsh names: under the patronymic system they would have been ap Hywel, ap Rhys and ap Richard.


※筆綾丸さんの下記投稿へのレスです。

Maredudd ap Huw 博士 2013/12/09(月) 20:52:16
小太郎さん
さえもんのすけ殿、なかなか鋭いですね。

http://www.bbc.co.uk/news/world-asia-25274840
Merrill Newman 氏の詫び状、親指か人差指の「指紋押捺」(たぶん)ですが、こういう習慣は日本も北朝鮮も同じなんですね。アメリカ人は、これを屈辱と感ずるのかどうか、よくわかりません。
表題中の ordeal の元々の意味は古代ゲルマン民族の裁判に由来するそうですが、日本の盟神探湯(くがたち)や湯起請に似ていますね。

http://www.bbc.co.uk/news/uk-wales-mid-wales-25259178
http://en.wikipedia.org/wiki/Gododdin
1265年といえば、『吾妻鏡』のほぼ最後の年ですね。
It was written on animal skin・・・とありますが、羊(羊皮紙)か牛(犢皮紙)か、特定できている筈なのに、ずいぶん大雑把な記述ですね。
Maredudd ap Huw 博士の ap は、フランスの de やドイツ語の von と同じく、ウェールズ語で貴族を意味するものなのか、あるいは、ただの of なのか、はじめて見る単語です。
Gododdin という地名は、はたして、神と関係があるのかどうか。

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メリル・ニューマン氏

2013-12-01 | その他
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2013年11月30日(土)21時34分56秒

>筆綾丸さん
以前、筆綾丸さんが北朝鮮に行かれたと書かれていて吃驚しましたが、団体観光旅行で北朝鮮を訪問して拘束されてしまったメリル・ニューマン氏の一件は洒落にならないですね。

---------
北朝鮮が米国人男性拘束を発表 「敵対行為」と主張

【ソウル=名村隆寛】北朝鮮を10月に観光目的で訪問した米国人男性が拘束されたとの情報に関し、北朝鮮の朝鮮中央通信は30日、同国に対する敵対行為をしたとして、朝鮮戦争(1950~53年)への従軍経験がある米国人男性、メリル・ニューマン氏(85)を拘束、抑留したと報じた。北朝鮮がニューマン氏の拘束を認めたのは初めて。


この方は直接には朝鮮戦争当時の敵対行為で逮捕されたとなっていますが、ニューヨークタイムズによれば、北朝鮮を批判する電子書籍を持っていたことも拘束理由のひとつだそうで、こんなのはいくらでもでっちあげることができますからね。

The written apology signed by Mr. Newman says he asked his guide to look for surviving soldiers from an action that he participated in against the Korean Peoples Army, and that he had brought into North Korea an “e-book criticizing the Socialist DPRK.”

(何故かNYTにリンクを貼ると投稿が拒否されてしまうのでリンクは省略)

中国が新たに設定した防空識別圏に関する問題も長引きそうで、東アジアの不安定要素は多々ありますね。
ま、放射能しかリスクとして想定できない人がまだまだ多い状況を変える上では多少のメリットがない訳ではありませんが。
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スペインの裁判官

2013-11-28 | その他
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2013年11月27日(水)23時26分40秒

>筆綾丸さん
私もスペイン憲法など全く知らなかったのですが、司法とは独立した憲法裁判所の存在など、いろんな点で面白いですね。
明治憲法と現憲法の二つしか経験していない日本の憲法改正論議は賛成論も反対論も非常に硬直的で単調な感じがしますが、スペインは何度も改正を繰り返した結果、現憲法は歴史が練り上げた芸術品的な雰囲気すら漂いますね。

「全国管区裁判所」の裁判官は個性的な人が多いみたいですが、Baltasar Garzón 氏は一度選挙に出た後、また裁判官に戻ったそうで、こういうパターンは日本の裁判官ではおよそ考えられないですね。

普遍的管轄権があるといっても、それを実際に機能させることができるかどうかは人物次第ですが、外国に対してはある意味やりたい放題だったBaltasar Garzón 氏も、自国の過去を掘り起こして地雷を踏んでしまったようですね。


Fernando Grande-Marlaska 氏もそれなりに実績のある人なのでしょうが、容姿は殆ど映画スター並みで、これも日本では考えられないタイプの裁判官ですね。


※筆綾丸さんの下記投稿へのレスです。

el Rey と The Emperor 2013/11/26(火) 13:29:13
小太郎さん
何かバカなことを書いたなと感じていましたが、最高裁判所が最高の司法機関でなければ、不条理な世界になってしまいますよね。

両国の憲法を比べると、スペインの「司法全体会議」というのは興味深い組織ですね。
少し前に話題になった rey(ポルトガル語の rei)が、この条文では大文字になっていますね。
スペイン憲法第123条第2項
最高裁判所長官は、法律が定める形式において、司法全体会議の推挙に基づき、国王が任命するものとする。
El Presidente del Tribunal Supremo será nombrado por el Rey, a propuesta del Consejo General del Poder Judicial, en la forma que determine la ley.
日本国憲法第6条第2項
天皇は、内閣の指名に基いて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。
The Emperor shall appoint the Chief Judge of the Supreme Court as designated by the Cabinet.

ご引用のサイトに、「全国管区裁判所の上訴裁判所は最高裁判所であるが、王室や国家・政府に対する犯罪や貨幣に対する犯罪などは「一審終結」とされている」とありますが、これは、「 The SNC’s overall president is always chosen from among the presidents of the chambers at the Spanish Supreme Court」というふうに、すでに最高裁判所の関与があるので上訴なしに終結する、ということなのでしょうね。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A7%81%E4%BA%BA%E8%A8%B4%E8%BF%BD%E4%B8%BB%E7%BE%A9
私人訴追主義とは言うものの、趨勢は国家訴追主義なのですね。
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スペインの司法制度

2013-11-26 | その他
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2013年11月26日(火)07時40分31秒

>筆綾丸さん
>この裁判所と最高裁との法的関係
最高裁判所は文字通り最高の司法機関で、「全国管区裁判所」は下位機関ですね。
「スペイン法の泉」というサイトによれば、スペイン憲法に、

------
<スペイン憲法第123条第1項>
スペイン全土に管轄権を有する最高裁判所は、憲法上の保障につき定められた場合を除き、すべての序列において最上級の裁判機関である。

El Tribunal Supremo, con jurisdicción en toda España, es el órgano jurisdiccional superior en todos los órdenes, salvo lo dispuesto en materia de garantías constitucionales.

という規定があるそうです。
このページの裁判所間の関係を示す図は少々分かりにくいですが、「全国管区裁判所」の判決に不服があれば最高裁に上告するという仕組みになっていますね。

>いわゆる私人訴追主義
これは誤解だと思います。
例外的に私人による司法参加が認められているだけのようですね。
私もスペインの刑事訴訟制度など全く知らなかったのですが、検索したところ"Caring for Britons held overseas"という団体のサイトにスペインの刑事手続きについての概略が、逮捕される側の視点から簡潔に説明されています。


スペインの制度で分かりにくいのはアメリカの制度を参考にした日本が「当事者主義」を取っていて、検察官と被告人側の攻防を裁判所が客観的な立場から裁定するのに対し、スペインは「職権主義」で、捜査・裁判とも手続きが裁判所中心になっている点ですね。
警察による捜査の後に行われる予審手続ではExamining Magistrate(予審判事)が捜査の責任を負い、judicial police(司法警察)が予審判事の捜査を補助するそうです。
検察官もいますが、その役割は予審判事の捜査において被疑者の権利が守られているか、そして被害者の権利が守られているかを確保することだそうですね。
要は検察官が予審判事の活動を監視するような仕組みですね。
予審判事による捜査が終結したら検察官が(起訴ではなく)告訴を行うようですね。
裁判手続きへの移行は、

---------
5.1 Ordinary Procedure
This is the procedure established for crimes which carry a maximum sentence of at least 12 years and one day. The Instructing Judge opens summary proceedings, all investigations are carried out, and if the judge considers that sufficient “rational indications of criminality” exist, an indictment will be issued. Once summary proceedings have been completed, they are sent to the Provincial Court which will set a date for trial, and where sentencing may be passed.
---------

ということで、予審判事から事件に関する書類を受け取ったInstructing Judgeが正式に起訴状を出す、という仕組みのようですね。
少し長くなったので以降の手続きは省略しますが、英米法の観点、そしてアメリカ法の影響を受けて英米法的な刑事訴訟観に慣れている日本人の目から見ると、司法と行政の区分が明確でないような感じがして、若干の戸惑いも覚えますね。

※筆綾丸さんの下記投稿へのレスです。
「シャネルの5番」 2013/11/25(月) 19:48:18

小太郎さん
Audiencia Nacional は、直訳の「国民裁判所」でいいのではないか、というような気がしますね。「全国管区裁判所」は、「the SNC has jurisdiction over (1) cases relating to more than one of the provinces throughout the country」を踏まえたのかもしれませんが、 この訳では「全国管区」に限られて、重要な国外事項の「(3) serious crimes committed outside the country・・・」が、するりと抜け落ちてしまうように思われます。
この裁判所と最高裁との法的関係がよくわかりませんが、「 The SNC’s overall president is always chosen from among the presidents of the chambers at the Spanish Supreme Court.」という記述をみると、裁判官の独立性はともかくとして、最高裁の下位機関にあるような印象を受けます。
スペインの刑事訴訟法も大陸法系で国家訴追主義かと思っていましたが、いわゆる私人訴追主義なんですね。
egregious という単語は初めて見ましたが、中国の行為はそれほど egregious なものだ、ということですね。
「For example, well-known Judge Baltasar Garzón has for many years been the presiding judge in charge of Chamber Number 5.」は、何の関係もありませんが、マリリン・モンロー愛用のシャネルの5番のようです。

http://www.shinchosha.co.jp/book/610546/
與那覇潤氏の対談集『史論の復権』を読み始めたものの、いまひとつ面白くありません。
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情熱的すぎる裁判官

2013-11-23 | その他
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2013年11月23日(土)23時04分50秒

>筆綾丸さん
Audiencia Nacional は「全国管区裁判所」と訳すことが多いようですね。
前の投稿で引用したWSJの記事、翻訳が出ていますが、「全国管区裁判所」となっており、他の複数の新聞も同様ですね。


ウィキペディアのスペイン語の方は読めないのですが、英語版は少し簡単すぎますね。
検索してみたところ、英語では The Center for Justice and Accountability というカリフォルニア州に本部を置く団体のサイトの説明が分かりやすいように感じます。
この団体自身が極めて活動的に裁判闘争を行っており、実践的な観点から丁寧に説明していますね。


---------
SPANISH CRIMINAL CASES

Unlike U.S. law, where criminal charges are brought only by a government prosecutor, Spanish law allows ordinary citizens to pursue criminal actions by filing criminal complaints. If a victim files a complaint directly with an instructing (or investigative) judge, the victim becomes a party in the case during the investigation and trial phases. This is known as a private prosecution or acusación particular. Spanish law also allows people not directly connected to the crime to take part in the case. Important public interest groups often join these complaints as popular prosecutors or acusadores populares.

刑事手続の遂行を検察官が独占するアメリカと異なり、スペイン法は普通の市民が告訴状を提出することにより刑事訴訟を遂行することができる。被害者が告訴状を指導判事に直接提出した場合、被害者は捜査と裁判の両局面において当事者となる。これは私的起訴または特別起訴と呼ばれる。スペイン法は直接的には犯罪と関係を持たない人々が事件に関与することも認める。重要な公的利益を代表するグループはしばしばpopular prosecutor(民衆検察官?)として刑事手続に参加する。

SNC CRIMINAL DIVISION

The criminal division is made up of six chambers. An instructing judge presides over each chamber. For example, well-known Judge Baltasar Garzón has for many years been the presiding judge in charge of Chamber Number 5. Once an instructing judge accepts a criminal case, he or she initiates an investigation that can take anywhere from 30 days to several years. After this investigation phase is concluded, the instructing judge closes the case and transfers it to a tribunal ? normally a panel with three judges ? that will preside over the trial, known as the “oral phase” of the case. Under Spanish criminal law, no defendant can be tried in absentia.

刑事部門は5つの部から構成される。指導判事は各々の部を主宰する。例えば、有名なBaltasar Garzón 裁判官は第5部の責任者である。指導判事が事件を受理した場合、指導判事は捜査を開始し、捜査は30日から数年続く。捜査局面が終結すると、指導判事は事件を通常、裁判官3人で構成されるtribunal(判事団)へ送り、tribunalはoral phase(口頭局面)を主宰する。スペインの刑事法の下では、欠席裁判は認められない。

もっと適訳はあるのでしょうが、わざと英語直訳で訳してみました。
そして、ここから universal jurisdiction(普遍的管轄権)に関係する一番重要な部分の説明が続きますが、WSJの記事からも想像できる箇所であり、翻訳にいささか疲れたこともあって省略します。

----------
INTERNATIONAL CRIMES TRIED IN SPAIN

In 1985 Spain passed an Organic Law that defined the jurisdiction of Spanish courts in criminal cases. The law gave Spanish courts jurisdiction in several kinds of cases, such as when the criminal act took place on Spanish soil or when the perpetrator of the crime is of Spanish nationality.

Additionally, the new law gave Spanish courts jurisdiction over cases related to a particular type of international crimes - ones that are of international concern - regardless of the nationality of the perpetrator or where the crime took place. This section of the law incorporates the principle of “universal jurisdiction” - the principle that certain crimes are so egregious that they are offenses against the entire world and can therefore be tried in the national courts of any country. Some of these crimes were listed in the law, including genocide, terrorism and piracy. A residual clause also grants jurisdiction for “any other [criminal act] which, according to international covenants and treaties, should be prosecuted in Spain.” It has been argued that this residual clause incorporates the offenses of torture and crimes against humanity.

The principle of universal jurisdiction is not particular to Spain. International treaties, including the Geneva Conventions and the Convention Against Torture, permit and, in some cases, require nations to prosecute perpetrators of egregious human rights abuses even if those nations have no connection to the crimes. Until recently however, the principle of universal jurisdiction was largely aspirational, an ideal discernible in bodies of international law, but lacking in concrete precedent.

This changed dramatically in 1996, when instructing judges from the SNC invoked the new Spanish law to begin investigating human rights cases arising from the 'Dirty War' era in Argentina and Pinochet dictatorship in Chile. The Argentine cases involved the investigation of some 100 suspects. The Chilean cases focused on former dictator Augusto Pinochet and his subordinates. The case against Pinochet in Spain, and his arrest in England based on an extradition request from Spain, launched the modern concept of universal jurisdiction and opened the door to the exercise of universal jurisdiction over human rights crimes by national courts.

前提の基礎的な部分を知らないと、いきなり新聞記事を読んでもピンと来ないですね。
文中に登場するBaltasar Garzón氏はピノチェトに逮捕状を出したことで世界的に有名になった人物ですが、あまりにやり手すぎて国内的・国際的トラブルが続出、特にフランコ政権時代の虐殺事件を掘り起こそうとして逆に自分自身が刑事被告人の立場になり、裁判官の資格を奪われてしまったそうです。
実に情熱的な波瀾万丈の人生を歩み、今はウィキリークスのジュリアン・アサンジ氏の弁護人だそうですね。


いろいろ面白すぎるのですが、眠いのでまた後で書きます。

※筆綾丸さんの下記投稿へのレスです。

Audiencia Nacional de España 2013/11/22(金) 13:50:42
小太郎さん
http://es.wikipedia.org/wiki/Audiencia_Nacional_de_Espa%C3%B1a
スペイン語では Audiencia Nacional de España で、裁判所の構成要素である la Sala de lo Penal y la Sala de Apelación が担当し、対象は delitos de crimen organizado como terrorismo, narcotráfico, falsificación de moneda(テロリスム、麻薬取引、通貨偽造等の組織犯罪)などで、この部門の現在のトップは Fernando Grande-Marlaska という人なんですね。上記のla Sala (広間・部屋)は、日本の最高裁における「小法廷」のようなニュアンスでしょうか。
フランコの時代、スペインにも色々あったはずだ、それと同じで、あれは国家主権の発露であって組織犯罪の如きものではない、ふざけるな、と中国は言いたいのでしょうが、フェルナンドさんの命が国籍不明の秘密警察に狙われないといいですね。

下世話な話になりますが、作品総数1290点をクリスティーズで競売にかけたら、一体、どのくらいになるのか、想像もつかないですね。一兆円にはならないだろうけれども。
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