●醍醐天皇親政時代(後醍醐天皇)
Kemmu Restoration: Emperor Go-Daigo restores power.
いざ見よ建武 交替(こうたい)後。
1334年 建武の新政 後醍醐天皇
鎌倉幕府を倒した後醍醐天皇は1334年、建武の新政を開始。天皇親政を実現することを目標とし、中央に政府の最高機関である記録所や幕府の引付を継承した雑訴決断所などを設置し、地方には国司と守護を併置するなど、公武協調の政治機構を整えようとした。しかし、恩賞の不公平に対する武士層の反発から新政は崩壊し、南北朝内乱が始まる。
〈2015早大・社会科学:「
問4 下線部(4)記録所・決断所に関する記述として、不適切なものはどれか。2つ選べ。
イ 記録所は、後三粂天皇の記録荘園券契所を継承したものである。
ロ 記録所は、一般政務を担当した。
ハ 記録所は、公家政治復活の中心機関であった。
ニ 決断所は、雑訴決断所のことで、所領以外の諸々の訴訟を担当した。
ホ 所領問題は恩賞方で扱った。
(答:ニ※専ら所領問題訴訟を担当、ホ※建武の新制成立に寄与した武士の論功行賞を扱う)
〈2015関西学院大・文法商人間:「
問9.下線部h朕が新儀の事例として、正しいものを下記より選びなさい。
ア.記録荘圈券契所(記録所)を復活させた。
イ.地方には、鎌倉将軍府と奥州将軍府を置き、将軍として皇子を派遣した。
ウ.諸国には守護が置かれ、国司は廃止された。
エ.土地所有権の確定には太政官符が必要とされた。
(答:ア ※イ奥州将軍府→陸奥将軍府、ウ守護・国司併置、エ太政官符→天皇の綸旨)
〈2015関西学院大・文法商人間:「
問9.下線部h朕(後醍醐天皇)が新儀の事例として、正しいものを下記より選びなさい。
ア.記録荘圈券契所(記録所)を復活させた。
イ.地方には、鎌倉将軍府と奥州将軍府を置き、将軍として皇子を派遣した。
ウ.諸国には守護が置かれ、国司は廃止された。
エ.土地所有権の確定には太政官符が必要とされた。
(答:ア ※イ奥州将軍府→陸奥将軍府
鎌倉将軍ただなりよ。
※、ウ守護・国司併置、エ太政官符→天皇の綸旨)
〈2013早大・国際教養:「
下線部cの人物後醍醐天皇に関する説明として誤っているものはどれか。1つ選べ。
ア かつて後鳥羽上皇が流された隠岐に配流された。
イ 禅宗とともに伝えられた宋学の強い影響を受けた。
ウ 大内裏の造営を計画し20分の1税の賦課を提案した。
エ 修験道の活発な吉野地方に拠点を構えた。
オ 子の懐良親王を天台座主として寺院勢力を結集した。」
(答:オ×護良親王の誤り)〉
〈2013上智大・法総合人間科神外
A(建武の親政)東寺御領若狭国太良御庄百姓等謹みて言上す。‥‥‥右、(a)明王聖主の御代と罷り成り、随って諸国の御所務は旧里に帰し、天下の土民百姓等、皆以て貴き思を成すの条、其の隠れ無き者なり。……( ア )御滅亡、今は当寺御領と罷り成り、百姓等喜悦の思を成すの処、御所務曾て以て御内御領の例に違はず、剰へ新増せしめ、巨多の御使を付けられ……愁吟(しゆうぎん)に絶えざるに依り、子細を勒して言上す。
問1 上記の史料Aにもっとも関係の深い事柄を、次から1つ選べ。
1徳政一揆 2下地中分 3源平の争乱 4守護請 5貞永式目
6土一揆 7建武の新政 8新補率法 9戦国家法 10半済令
11国一揆 12悪党 13建武式目 14徳政令 15承久の乱
問2 前掲の史料Aの空欄(ア)に当てはまるもっとも適切な語句を、次から1つ選べ。
1国司 2凡下 3惣領 4式目 5畠山
6官物 7名主 8国人 9加地子 10近江
11地頭 12知行国 13加徴米 14山城 15細川
16守護 17年貢 18大和 19家臣 20関東
問3 前掲の史料Aの下線部(a)の人物について、次の問いの答えとしてもっとも適切なものを、以下の語群より1つ選べ。
問 この明王聖主は誰を指しているか。
〔語群〕
1宗尊親王 2後宇多天皇 3北条貞時 4亀山天皇
5後鳥羽上皇 6北条高時 7久明親王 8北条守時
9白河上皇 10守邦親王 11藤原頼嗣 12光厳天皇
13藤原頼経 14後醍醐天皇 15北条時宗 16後白河上皇
問4 前掲の史料Aの空欄(ア)に当てはまる人物または事柄について、もっとも関係深くかつ正しい説明を、次から1つ選べ。
1宝治合戦で三浦泰村を討った。
2皇室・寺社に対して敬意を失する罪。
3中世武士の同族結合のこと。
4所領を売却した元の所有者のこと。
5段別5升の兵粮米を徴収する権限が認められた。
6評定衆を設置した。
7歴史を貫く普遍的な公正観のこと。
8律令格式に系譜を引く朝廷の法。
9皇居を破壊しようと謀る罪。
10有力名主から武家の被官となる者もあった。
11所領を譲与した被相続人のこと。
12八虐の一。律で定められた最も重い国家反逆罪で斬刑にあたる。
13六波羅探題を設置した。
14所領を現実に関連している者のこと。
15武士社会の慣習・道徳に基づくもので公平と認められたこと。
(答:問1→7、問2→20、問3→14、問4→15)〉
〈2012明大・文学部:「
A.次に示す史料は、1334年(建武元)8月に成立したと考えられる、時の社会状況を風刺した落書の一部である。これを読んで、下の設問に答えよ。なお、読解の便宜のために記述を一部改変している。
此比(このごろ)都ニハヤル物夜討強盗謀[ a ]召人(めしゆうど)早馬虚(そら)騒動 生頸(なまくび)還俗(げんぞく)自由出家
俄(にわか)大名迷者(まよいもの) 安堵恩賞虚軍(そらいくさ) 本領ハナルゝ訴訟人
文書(もんじよ)入タル細葛(もそつづら) 追従讒人禅律僧 [ b ]スル成出者
器用堪否(かんぷ)沙汰モナク モルゝ人ナキ(ア)決断所
(中 略)
四夷ヲシツメシ鎌倉ノ (イ)右大将家ノ掟ヨリ
只(ただ)品有シ武士モミナ ナメンタラニゾ今ハナル
(『建武記』より)
(注)召人……獄に入れられた人。
還俗……出家身分から俗人にもどること。
器用……有能な人材。
勘否……物事を処理する能力の有無。
ナメンタラ……秩序が乱れている。
〔設問〕
問1.空欄aには、この落書が成立した時期に京で政権を掌握した人物の発給文書を示す語が入る。その語を漢字二字で記せ。
問2.空欄bには、室町戦国時代における身分秩序の動揺という社会的風潮を象徴する語が入る。その語を、漢字三字で記せ。
問3.下線部(ア)が表わす機関の職掌を具体的に述べよ。
問4.下線部(イ)が表わす人物の姓名を漢字で記せ。
(答:問1綸旨、問2下剋上(下克上)、問3所領問題などの訴訟を裁決した、問4源頼朝)〉