****さあさあ、大変長らくお待たせいたしました!ここからはグッと時間を戻して・・・・****
5、6:00~6:30
このブログの主役でもある
どこでやっても浮きまくりのバンド「THE SAPPORO TRANSIT AUTHORITY(S・T・A)」が満を持しての登場です。
この日は特に浮きまくっていましたよ。
でも温かいお客様たちの後押しで大成功でしたよ。
STAでのライブも通算177本目を数えることとなりました。
月1平均的ペースはずっと維持したままで更新中だったのですが、それもついに途絶えちゃった・・・・
まさか、まさかのにっくき新型コロナウィルスのおかげでね。(でも皆勤賞はマサのみですがね・・・・)
そんなわけでして、今年は半分の6回で終了。
バンドからのメッセージです・・・・「北国唯一無二極上のブラス・ロック・サウンドを熱くお届けします。ヨロシク!」
今回はSTA以外に管楽器が所属していたバンドは皆無。
岩見沢コミュニティFMラジオ音楽番組でDJを努めるケニーさんが、マサのそばに寄ってきて「STA出演はまだ?待ちきれないよ!」とひとこと述べて微笑んでくれました。
毎度毎度のことながら、今回のSTAも大所帯を誇っています。もう誰も驚かないよね(笑)
ミキサー総主任のミワくん、そしてステージサイドにて(今年の9月からこの形態)全てを切り盛りして頑張っていた助手のケイタ君もすでにSTAに対しては熟知しているので余裕の構えです。
事前にマサが提出しておいた詳細なるセットリスト、編成表、器材位置、使用ワイヤレスの周波数帯域が記載されている用紙でバッチリと把握。
口頭による打ち合わせも済ませてあります。
久し振りの運河プラザ3番庫で総勢7人にて賑々しくお送りします(2019年3月17日の日曜日以来。先月出演したマリンホールはすぐ近所)。3人がホーンセクションを占めています。これもお馴染みの編成。でも広いステージゆえに皆ノビノビとプレイに専念できます。
今年よりニュー・ギター・ヒーローとして正式に迎え入れたのは当初パーカッションとして参加した西やん。最近は更なる手ごたえを感じつつ合流しているSTAライブです。
グッとSTAに新鮮なる息吹を吹き込んでくれました。
極上のテクニックは当然として、最大の目玉でもある彼の知性を糧に、益々エネルギッシュなパフォーマンスを繰り広げて見せますよ。
使用器材は何とも怪しきストラトキャスターを使用。
これは全く聞いたことのないブランド。
そういうビザールギターを他にも所持しているのですよ。
でもテンションがバッチリでコンディションも最高。音もバランスもしっかりしていて当たりモノ。
直前までレスポールにしようか迷い、試行錯誤の末にこれを正式にSTA専用と決めたそうです。
決して妥協を許さない結果はじき出された答えがこれです。大正解!!
足元に置かれたマルチエフェクターとのコンビネーションに落ち着いたとのこと。
でも実は食う空間系のコーラスしか使用していないというんだから驚きだ。歪みはアンプによるナチュラルディストーションでオーケーとのこと。
ステージに設置されているギターアンプ3台(フェンダー、マーシャル、ピーヴィー)の中でピーヴィーを使用。マサと三輪君との説明で決定した次第。西やんは以前、このタイプを所持していたらしく操作はお手のもの。
「まだまだ今後もシカゴのメロを頭に置いてソロを弾けるように精進します。早さよりも心に残るフレーズを目指して」
なるほど、頭の下がる思いです。
リミックス、ミッドナイトクライシスでは、ベーシストとしてまた別の仕様で臨んでいます。それぞれに追求するジャンルが違いますから当然といえば当然ですよね。
今回は当初8人編成で臨む予定だったのです。
ツイントランぺッターとして。
唯一ニューフェイスのスズケンが新型コロナウィルス感染を避けるために泣く泣くリタイアしたのです。
残念ではありますが、また次回のお楽しみでとっておきましょう。
早々それも遠い日ではないでしょうよ。
そして今回のホーンセクショントリオはなんと全員はミキティのオーケストラ仲間(スズケンも含む)
なんとも頼もしく人脈豊富なミキティ姉御。
つまり9月の小樽屋外ライブ以来のメンツであります。だから気心の知れあった仲間たち。
大船に乗った気分で取り組める。
ところが。ところがですよ‥‥そうは問屋が卸さなかった。
トロンボーンの山ピーが7時本番でないと間に合わないとのこと。
だから主催バンドであるザ・パーティーズを差し置いてSTAはトリに収まるという事態に。
しかも直前にやはりコロナが影響して2バンドも出演をキャンセルしちゃった・・・。
よって時間が前倒しに。
どのバンドも巻き気味に進行。おかげでザ・パーティーズは多めにライブをこなすことに。
山ピーは夕方の5時に札幌コンサートほール「ヒタル」を出発。
そこから高速道路に乗って小樽入り。逐一ミキティに連絡をとりつつ
どうにか愛車で会場入りできました。良かったあ。予定よりも1時間早く到着。
そのまま息つく暇もなくステージに直行だ。
全員たった2回きりのスタジオ・リハーサルなのに、よくもまあ責任重大なるパートを各人が演じてくれましたツ(1回のリハしかこなしていないメンバーもいた)。
毎回のSTAライブ時も同様ですが、今回のセットリストもメチャクチャに複雑怪奇なる高難易度な内容(メンバーも大幅に入れ替わり)。そこのところは真面目で努力家で何にでも真摯に取り組むメンバー達。あの手この手を尽くして、皆がそれぞれに孤軍奮闘で全曲を己のものとして習得していました。
演じているメンバー達自身が驚愕していたくらいです。
火事場の馬鹿力なんでしょうね。
いつも無理難題ばかりふってばかりで申しわけない・・・・。
でも結局悲鳴をあげながらも皆が皆、ドップリとはまってエンジョイしているのだから嬉しい限り。ブラスロックの魔力が成せる業。
そのような猛者ばかりがここに集っているわけです。
ゆっくりする間もなく、ホーン・セクション達も最後に一通りの打ち合わせ。
まさに、いついかなる時でも常に危機に瀕している、危なっかしいバンドが何とかかんとかここまで辿りつきました。
いつものようにミキサー担当の2人とパーティーズのスタッフ達が手馴れた段取りで迅速丁寧なるセッティング。
名物ダンサーのケニーさんも駆けつけてくれたようで、心強いなあ。
もうこうなったら演奏に100%専念できるというもの。
***MEMBER***
MASA・・・B VO CHO PER
MIKITY・・・AS CHO PER
HAMAPY・・・TP CHO PER
YAMAPY・・・TB CHO PER
NISHIYAN・・・G
YASU・・・DR
HIROLIN・・・VO CHO PER
***SET LIST***
1、INTRODUCTION・・・CHICAGO
2、OLD DAYS(追憶の日々)・・・CHICAGO
3、GIMME SOME LOVIN’(愛しておくれ)・・・SPENCER DAVIS GROUP
4、I’M A MAN・・・CHICAGO
5、IF YOU LEAVE ME NOW(愛ある別れ)・・・CHICAGO
6、GET IT ON(黒い炎)・・・CHASE
7、25OR6TO4(長い夜)・・・CHICAGO
全員のセッティング状況を細かく見計らってマサがアイコント。そして手拍子でテンポを送る。
まずは西やんがプログレッシブでスペイシーなギターミュートカッティングサウンドで、一種独特なる異空間を作り上げる。すかさずメッセージを返すと、それに便乗するかたちでヤスも剃刀のごときハイハットワークで応える。(この2人は何でも受け入れてくれるから調子にのったマサは無理難題をしょっちょう投げかけるんだけど、それら全てを軽くその場で仕上げてくれるんだよね。その手腕は大袈裟ではなくゴッドハンドの如しだ!)。
本編へのプレイが待ちきれないという様子。
マサは大股開きでスタンバイ。
もうすっかりと手慣れた感じの司会進行役サイトウ氏が、会場後方から落ち着き払った声で華々しくナレーションを告げる。
「たいへん長らくお待たせいたしました。いよいよはじまりますよ!今か今かとお待ちの皆さん。そうですよね。これから熱いステージをお届けして参りますよ。もはやお馴染みとなりました大所帯バンドが運河プラザ3番庫に再登場です。ハーイ!颯爽と彼等はやって来ました!北国唯一無二の札幌発ブラスロックバンド!
ド迫力ホーンセクションを心ゆくまでドップリとご堪能ください!メンバー一同この日この時この瞬間を心待ちにしていました!それではヨロシク!THE SAPPORO TRANSIT AUTHORITY~!!」
ジャストなタイミングで「オーケー!1・2・3~!!」(思い切りミワくんがリバーブを深めにかけてくれたよ!)
波状攻撃へ、火蓋が切って落とされました。
猪突猛進の狼煙を上げる「イントロダクション」。
さすが、この人数だけに勢いが桁違い(本来はもっと多いんだけどね・・・・)。
プレイしている我々でさえ自分たちの音にエキサイトして、アドレナリンの噴出が止まらない。すでに掴みはバッチリとオーケーだ。
普段はクールなヤスもスティックを手にスィッチが入ると、ドラム・ビーストに豹変するのです。
その上、一昨年の4月にマサが東京で観て来たCTAの土産話が相当に感動的だったらしくて、今だに刺激を受けている御様子。如実にドラミングの随所にそのダニー・セラフィン成果が現れていますよ。!
イントロの爆音が情け容赦なく多方面へと襲い掛かる!
ほほえましい光景に常連組が客席でやや控えめに参戦。写真&ビデオ撮影にと勤しんでいます。
皆さん、この変拍子の連続やコロコロ変わる変態的なリズムに、よくもまあピッタリと手拍子をあわせてくれますねえ・・・と舞台上から失礼ではありますがしばし見とれてしまいました。
もうどれだけの回数この曲をオープニングでプレイしてきたことでしょうか。メンバー一同愛して愛してやまないじゃじゃ馬のような曲。その中でもこの日ほど迫力一杯の完成度を誇ったことはなかったのでは?!出色の出来と自画自賛。
しかしメンバー全員あの少ないリハ期間で、よくもまあここまで纏め上げたものだ。
各自は多くを語らないけれどね。
モニター・スピーカーに片足乗せて、マサが野獣のごとく吠える。ヒロリンはアグレッシブなパーカッション・アクションを巻き起こす。
計算されつくしたニシヤン独特なるシャープな音色のギターが、ヤスのタイトかつパワフルなドラミングに絡みつく(このギターは謎多き怪しいメーカーの貴重なる一品。コンディションも良好な光沢を放っていますが本人は詳細を決して語らず・・・・マサも必要以上に問いただしたりはしない・・・笑)
看板ともいえる3管によるホーンセクションのリフは、益々厚みを増してきましたね。
舞台両サイドからの弦楽器達による絶え間ない猛追。後方サイドからは、ドラムが遠慮なしにグルーブを構築しながらの進撃展開。
会場をまるごと覆いつくすかのような、ホーン隊による異次元模様の高鳴り。なんという高揚感であろうか。
鉄壁を誇るホーン・アンサンブルが嵐のごとく吹き荒れて、全体をリズム・セクションが引き締めるという構図が今回のおおまかなる課題。
さてさてライブの魔物はどこに潜んでいるのかな?・・・・今回は一体全体何を仕掛けてくるのか??
さあ、第一関門の地獄にガッシリと突入だ。
先月の反省点は見事にクリア。手堅く突破した後に待ち受けていたのは、ブレイクによる一瞬の静寂。切り込み隊長はいきなり久しぶり参入のヤマちゃんによる、やや食い気味かつ流麗なるトロンボーン・ソロで場面転換。
ギリギリ滑り込みのリハなしぶっつけ本番だから正直な話、不安要素てんこ盛りだったんだけど、それも取り越し苦労だったようです。
大した度胸の持ち主だ。さすがに百戦錬磨の達人だからこそ成しえる技。何事もなかったかのように振舞っていたよ(ヤスによる縁の下の力持ちも忘れてはいけない)。
ここがヤマちゃんの凄いところ。
なんと自宅に宿題として持ち帰り3つのコードで繰り広げられるソロ・パートを、極上のエモーショナル・ラインで纏め上げてきて披露したのだ!!
能あるタカは爪隠す!と、昔の人はうまいことを言ったモノだ。ねえ、ヤマ君よ!(1回目のスタジオリハ前にブレイク部分による拍数の謎を解明するべく独自でスコアを探しだしてきて見事に解明したのだそうですよ。すさまじき探求心)
マサによる流麗なる美しきオクターブベースに導かれて場面転換。
マサいわく「STAのバディ・リッチ」と言わしめた手数王から、リム・ショットに切り替えてのヤスが猛然と先導しつつ、お次はベテラン・ハマちゃんの出番。
彼のトランペット・ソロは熟練の極致なので、大船に乗った気分に浸れます。
一聴しただけで安定感抜群。時折ヒステリックなハイノートなどもクールにヒットしてニンマリ。
バッキングによる強弱のサポートも効果覿面だ。
もうこのあたりにたどりついた時点で会場中の空気は一変。
なにやら恐ろしいくらいにもの凄いことがステージで起こっているぞ・・・てな感じでかぶりついている。
ニシヤンは臨機応変、歪みからコーラスサウンドまでコンスタントに幅広く音色をエフェクターで器用に切り替える(ここはスタジオリハ時に取り決めたこと)。
そして第3の男、そのニシヤンによるワイルドなギターが火を噴いた。
いきなり過激なハーモニクスを導入部分に一気呵成に飛び出して、益々進化したソロを、これでもかあ!と言うくらいにぶちかます(よくもまあチューニングが狂わないねえ)。ただひたすらにエキセントリック。
序盤はテリー・キャスに敬意を表する・・・・。
へヴィーなサウンドは、これだけにとどまらずフィードバックにより加速。
音数がドンドンと増していき、とどまることを知りません。身をのけぞらせてイナバウアー・アクション。
チョーキングなどを交える際にはギターを激しく揺さぶって身をよじる。あれだけのプレイだけでも引き攣るところなのに、ビジュアル面も大きい。
そして遂にテリー・キャスのギター・ソロをほぼ忠実にコピーしちゃったんじゃあないのかい!?ビブラート、グリッサンドに至るまで再現しているよ。
この前面へのせり出しシーンはヒロリンのリクエスト。
極めつけは第2期JBG時代のコージー・パウエル直伝によるヤスが、力漲る究極の稲妻フィルインで拍手喝采。
サンキュー!
いつもは沈着冷静なるヤスもノリノリな様子で、このヒトトキを満喫している様子。すっかりと脳天ヒューズはスパークしちゃったみたいだ。
いくつもの修羅場を潜り抜けてきたからこその、説得力ある支柱だ。
エンディングにおけるベルトーンも、ニシヤン渾身の2音を筆頭に見事な連携で繋がった。
ミキティ嬢からホーンセクションへと渡る流れへ。ここで繰り出したニシヤン入魂のピッキングがジミヘンのようにウォームで破壊力があって戦慄が走りました。これぞまさしくロックの原石。いかなるアクロバティックなテクニックをひけらかすよりも、「ギュウイ~ン!」一発でひれ伏させるほどの衝撃と説得力。
マサが後方に設置されたドラム用のお立ち台に左足を乗せ、右手を頭上に掲げてグルグルと何度も素早く回転。ヤスと呼吸合わせ、雷鳴のような怒涛の連打をスリリングに交えて激しいジャンプでフィニッシュ。
以前、ASの女傑ミキティいわく「マサとニシヤンは何かにとりつかれているようだった」とのコメントを述べていましたっけ。
「yeah!! HAHAHA~!先ほどサイトウさんから紹介を受けました改めまして我々札幌からやってまいりました札幌トランジット・オーソリティです。
最後まで思う存分に楽しんでいきましょう!
本来ならば主催バンドのパーティーズが大トリを務めてもらうところをSTAが締めくくり。
本当に心から恐縮しています。それではドンドンとブラスロックの王道路線を突っ走っていきますよ。
いいかなあ!?・・・・
S・T・Aはどこで演奏しても浮きまくりなんだけど、今日のお客さんたちの反応はとても励みになるよ。大体この手のジャンルに熱狂してくれる人達って昭和30年代の生まれなんだよね(笑)。
まあ、こんな感じで今年最後のSTAライブとなります。
ヨロシク!!・・・・ネクスト・ナンバー・・・・邦題は追憶の日々・・・・・オールド・ディズ!!」
ピーター・セテラが気恥ずかしい、という理由でライブ演奏をことごとく拒否していたジェームス・パンコウ曰くつきのヒット曲。
ヤマちゃんはこれがトロンボーン奏者の作品とは全く知らずに気に入っていました。
やはりトロンボーンが前面にクローズ・アップされているから、無意識にセレクトしたんだろうねえ。
さりげなくも中盤は難易度強のホーンセクションなんだよ。
シカゴは現在、この曲をコンサート中盤における重要なレパートリーとしてずっと組み込んでいます。
この曲をSTAがライブ・プレイするのは2018年12月22日の日曜日ピグスティ以来。マサはシカゴ版・三丁目の夕日と呼んでいます。子供時代の古き良き懐かしいあの頃をもう一度。
日本中探しても、毎月こんなジャンルでやり続けているバンドは皆無でしょう。
まず体力が持たない、ジャンルがマニアック、そしてありとあらゆるエッセンスが投入されているために再現困難・・・・とまあ、毎回崖っぷちに立たされている状態の中、皆で和気藹々とアットホームなる活動をしています(爆笑)。
西やん、ここでは、やや控えめにバッキングにて盛り立てています。
でも粒立ちの良い泣きのフレーズは忠実にバッチリと挿入してきます。
どうしてこの曲をこの日に演奏したのか!?
それは以前にマサが四入囃子のドラマー、ミョウテン氏に誘われて新札幌コミュニティFM番組にゲスト出演した時に遡ります。
その際にミョウテン氏がお気に入りのシカゴソングを数曲ピックアップしてきたのですが、内容がやたらと劇コア。
「ダイアログ、そして追憶の日々が邦題のオールドディズ!」ときたもんだ。
マサは、飛び切り嬉しくなって「じゃあ、それレパートリーだから次のライブに組み込むよ!」と約束。それがピグスティ!更に今回も偶然トップの「パイナップル」ドラマーがミョウテン氏。再度実現したという運びなのです。
もちろんミョウテン氏も喜んでくれたよ。めでたし、めでたし~!!ここでの貢献度大は西やんとヤス。
西やんのほどよいメインリフの歪みギター・トーンと時折差し込まれる哀愁オブリ。究極はヤスのドラミング。
本人は完璧主義者ゆえに、ずっとストイックなくらいにこの曲に没頭。
結果はカウントのおかずにはじまり、要所要所に現れる独特の素早いフィルインに至るまで完コピ。
エンディングではダメオシとばかりに雷鳴のようなツイン・ペダルが轟いているし。
すっかり感動してしまったマサ。「ダニー・セラフィンに聞かせてやりたいね」と言わしめたほど。オリジナルのエンディングではフェイドアウトなんだけど、ここはちゃっかりとひねりを加えてSTA流に解釈。
ヒロリンにもコーラスガールとして貢献してもらったよ。
マサとヤス以外の5人は初演奏のこの曲だったけど、今までの中で一番の完成度だったね。
この1年ほどでやっとSTAもバンドらしくなってきたという証だ。
残響音のままでメドレー攻勢。
ここからは2曲がトリビュートコーナー。
10月に惜しまれつつ亡くなったスペンサー・ディヴィスに捧ぐ・・・・。
天才少年と謳われたスティーブ・ウンウッドの作品でスペンサー・ディビス・グループの代表曲。
シカゴはじめ数多くのバンドもカヴァーしているストレート&タイトなアップテンポ・タイプの異色ロックンロールでギミ・サム・ラヴィン(エディット・バージョンで。去年11月10日の日曜日、夕張ファイブペニーにおけるアンコール以来のプレイ。その時の西やんはパーカッショニストだったねえ)。
この曲はスタジオで演奏するたびに西やんが「なるほど・・・」と呟いていたという逸話あり(笑)。
ヤスによる重戦車のごとき爆音フィルに乗って、4小節目からいきなり導入部分をギター&ベースがごり押しタイプのリフで飾る。
リハ不足のためホーンセクションの入り口トラブルにも、他のアンサンブルは涼しい顔して何処吹く風の対応。
客は誰一人としてそのことに関しては気づかなかったようです。恐るべきふてぶてしいS・T・Aのメンバー達よ。
何も知らない観客達からは「イエー!」のエールがかえってきたからね。
これはこれでライブならではの醍醐味さ。しかし、やはり「ステージには魔物が潜んでいる伝説」は本当だった・・・・・。
ここは、奢り高ぶりなどのないひたすらに謙虚な姿勢が大事。
クセモノ集団、ヨッシャア!
ヒロリンも大好きな曲だけに思い入れもひとしおのご様子。
ホーンの強弱にも注文をつけていたっけなあ。
西やんも中間部のシンコペーションに対する疑問を呈してきたっけね。
最初マサが「全部シンコペーションでいいでないかい!」と言ったんだけどちょうどヒロリンが音源を流していたSから聞き耳を立ててみた・・・。
なんとシンコペーションは半分だったさあ。これで3人は苦笑いしながら解決。こんな些細なパートにも膝突き合わせて話し合いの精神が必要なんだよん。
引き続きヤスの正確無比な前ノリアクセントにのる「ヘイ!」の掛け声では、メンバー全員が元気一杯に拳を高々と突き上げるポーズ。
この一体感も申し分なき快感。
マサとヒロリンは喉も張り裂けんばかりに叫び続けながらも、四六時中ジャンプ、キックをそこいら中にぶちかます。
ホーン隊もミキティを中心に右手を掲げて、更なる抑揚感を華やかに型造る。
これは事前にマサが打ち合わせしたとおりだ。
心底頼りになる、多忙なレディだね。まさにいつでも臨機応変に対処してくれる存在だ。
マサはヤスのところまで駈けていってバス台に左足を乗せ、半身状態構えのまま2番の歌唱に突入。
横一直線体勢に居並ぶ勇ましきフロントマン達の雄々しきことといったら、それはそれはもうたまりませんよ。
エンディングでは突然ストップして「ヘイ!!」余韻を残したままでフィニッシュ。
まだまだメドレーは続く・・・
最大の鬼門ともいえる「アイム・ア・マン」開始へ。
(2017年3月12日の日曜日モダンタイム以来だ。しかもマサ以外のメンバーが全員違うし・・・・)
こちらもスペンサー・ディビス・グループの代表曲。数多くのカバーが今も生みだされている。
シカゴもデビュー前からずっとライブ後半における重要なるレパートリー。
珍しくマサが爪弾くベースがブイブイと主張するイントロがタイミングよく先導。
色々と試行錯誤を繰り返してきたけど、ミキティとヒロリンのリクエストでシカゴのスタジオバージョン同様にスローな空ピッキングから徐々に加速していくベースラインを採用。彼女たちもこれでご機嫌さ。
そしてドラムが、次いでギターが追随。
シカゴの息吹が伝わってきて戦慄が走った。
ヤスにしてみればこのくらいはお茶の子さいさい。
西やんはハモンドオルガンの絡みも兼任しているからそりゃあ大変な作業。それでも今までの中でも痒いところに手の届く導き出し方にマサは敬意を表して喜びを伝えた。
「だってこうしか弾けないでしょう」とは西やんの弁。
テリー・キャス崇拝者だけにそれも当然だよね。
この曲はブラスセクションお休み。でも当然楽はできませんよ。
ドラムスとギタリスト以外の全員がここでは、パーカッショニストとコーラス隊に大変身。
マサが振り分けた打楽器を皆で振ったり、叩いたりしてラテン系の世界を演出。
タンバリン、カウベル2個、鈴、ウッドブロック、シェイカー、マラカス。
ミキティは自分用にクラベスを購入したんだけど、いまいち軽い音なので響きに不満たらたら。また買いなおすそうですよ。
まあいずれにしても、その情景はSTAとしてはレアで壮観ですよ。イントロからちゃかぽことすこぶる賑やか。
結構ブラス隊は腕が疲れきって、しんどそうだったけどね・・・・、(余談ながらマサとハマピーは同い年です!)。
ドラムとギターによるコンビネーションも、異色のコードワークで個性を発揮しています。
ボーカルはヒロリンがすべてを担当。シカゴの場合は3人がリレー形式で歌い継いでいるんだけど(それまでのSTA もそれにならってマサと他のシンガーと交互に歌っていた)ヒロリンはそれぞれの声の特性をフルにいかして、陰と陽のコントラストを意識しています。
そして高低自在に操るマサのコーラスも見逃せませんよ。時と場合によってはバッキングが食われ気味になるほどの突き抜け感。
中間部分に待ち構えているのが、ヤスによる最大の見せ場でもある凄まじきドラムソロ。これにヤスは賭けていた。だから随所にわたって計算されつくしたストーリーを醸し出す。
西やんもワウペダル多用で彩を添えています。
エディットあたりから目印が不鮮明になってきたので、目くばせしてきた西やんにマサが一挙に4カウント合図。
相当にアヴァンギャルドで実験的要素もふんだんに盛り込んでだおかげで、元のさやに無事収まってくれた。
エンディングでもダメ押しのドラムソロを、渾身のベース・ネック振り下ろし4連発で猛追。
マサもバスドラに片足乗せて、シンバルにキックをぶちかまします。
「WOW!サンキュー!いつもにも増して浮きまくりのSTAではありますが(パチパチと拍手をいただく)、お客さん達が残ってくれて感激しております。
今、演奏した曲の中で知っている方はいますか?」
ケニーさんが手を挙げた
「あ!さすがケニーさんだ。当然だよね。失礼いたしました。」
と、ここでスペンサー・ディヴィス追悼の件を説明する。
「こんな感じで残り時間3曲ほど、ブラスロック街道を突っ走りながら頑張っていきたいと思いますので、最後までお付き合いのほどよろしくお願いします。」
(ペットボトルの水を一飲み)
ここで気分転換・・・・次の曲でちょっと熱冷ましをしたいと思います・・・・知っているかな?セクシー部門担当のヒロリンがここでも心を込めて歌います。シカゴ初の全米1位に輝いた珠玉の金字塔。STA唯一のバラード。邦題は・・・愛ある別れ・・・・・原題はイフ・ユー・リーブ・ミー・ナウ(、今年の1月19日、日曜日モダンタイム以来だ。STAはE♭キーの故ジョン・オバニオン・バージョンでずっと演奏してきたのですが、ヒロリンはピーター・セテラのキーでスマートにさらっとこなしてくれました。しかもとびっきりにエモーショナルな歌声でね!やっぱり元キーでなきゃあね。伝わるものが全然違う。)」
メンバー達も即座に曲の本質を理解してくれて(相当に大変だったと思うよ)、本番では美しい成果を遂げていました。
ニシやんは以前、入魂のボンゴ・シーンで貢献していたけど、この日はナチュラルにギタープレイヤー。
スタジオリハ時では多角的に、いくつものコードを提示してくれて数段も曲のレベルがアップした。
「それいい!エロっぽい!」と、皆から微妙にみょうちくりんな賛辞を与えられていたし(笑)
本人は「世界一コードを知らないギタリスト」と自負していたけれども、いやはやなんともどうしてどうして。
ライブ当日にも「未練がましくこんなギターを考えてみました」とSTAラインに早朝から音源をポロロ~ンと流してもくれました。
ヒロリンとマサも感銘を受けた次第。ヒロリンもサビの部分で自らギターを手に取り「Aかなあ??・・・」とか探りを入れてみたりして繰り返しダメ出しを言い続けた。
一番時間かけて、てこずっただけあって完成度もすこぶる高い。これは堂々と自信を持って言えること。
さらには今回ホーンセクション達の連携で、いつもとはまた違った神秘的な音作りに挑戦してみました。
全体を覆うように見事なまでのホーンアンサンブルが、叙情的なタッチで采配をふるう。
和音の構成音というファンタジックな特性が一番発揮された曲なんでしょうね。奥が深い…とひたすら勉強になった。
煌びやかなる壮大なオーケストレーション・パートがストーリー映像を描きあげるのですが、現在の編成上、歌詞から練り上げた構想を西やんは、それまでの彼とは一線を画するメリハリあるプレイに織り込んで没頭しています。足元に設置してあるエフェクターのスイッチを踏み込んで深めなディレイ&リバーヴを加えたサウンドのソロも、マサのアドヴァイスで1オクターブ上げて、より曲のツボを引き出すことに大貢献。
幻想的な異空間に浮かび上がるSTAの面々。
よりドラマティックなる効果を狙い、サスティーン音色を膨らませての装飾。
中間部でのバッキングによるコード進行もバッチリと体得したから、水を得た魚のようにノビノビと演出しています。
中々にやるもんだねえ。八面六臂の大活躍。
さすがシカゴ・ミュージックのノウハウを究極に熟知している猛者達だけのことはある。
ヤスのワイヤーブラシも、程好いアクセントを生み出している。
繊細なる刻みも味わい深い。何も言う事なし。文句の付けようもない。
ヒロリンはマイクを手に、とろけるような哀愁に満ち溢れた甘いボーカルで言葉に表せないほど切ないくらいの感情移入。
ハードからAOR、ソウル系からミディアム・ナンバーにいたるまで何でもこいの頼りになるスーパーレディ。
さすがマサが絶賛、太鼓判を押して惚れこんだシンガーだけはあるね。
ヒロリンどうだい?気持ちよく歌えたかな?
マサによる絶妙なるハーモニーも後押しして、いい味を出している。そして、もちろんヤスも大人の魅力で渋い佇まい。
控えめに体をくねらせながらのホーンセクションが、思い切り咽び泣いて盛り立てる。
特にミキティのアルトサックスが、刺激的な色合いでムード倍増。
グッと抑え気味のに西やんも、アルペジオとさりげないハーモニックス効果でジックリと持ち味を発揮。
「ウ~~、ママ・・・・♬」
エンディングでのメンバー一丸となっての連結プレイは、芸術の域に到達しちゃいそうなくらいに練りこんだもんね。
****さあ、いよいよ終盤に差し掛かってきた。泣いても笑っても残すところは2曲だよ。もちろん怒涛のブラスロック攻撃でとどめを刺す!!****