「明日雨だけれど 何処行こう?」
相談するまでもなく 出かけることは決まっている。 ただ方向が決まらないだけ。
間違いなく降る雨に 気分が上がらない。 どういう方向にでも転換できる所。 二年前に歩いた由比を選んだ。 あのときは ずっと富士山がお友達だった。 一人で歩いていたけれど いつも富士山が背中を押してくれていた。
あ~~あ 明日は富士山見えないしなぁ
もしも もしも もしも何とかお天気が持ちそうだったら 由比駅から タクシーで山頂近くまで行って そこから さった峠までを歩こうと決めていた。 周回すると全部で6時間半ぐらいかかるコースだけれど 半分で済む。
さった峠までの道は難路と言われていたから(どの程度か解らない) じっくり時間を取って行きたかった。 それでも最悪一時に下山を始めたら 大丈夫だろうと言う計算をしていた。 今年一月 裏の方(清水)から登ったときは ついたときにはすでにできあがっているグループに出くわした。高校の山岳部の同窓会と称していた定年も超えていると思われる おじさん達は 泥酔しながら薩多峠を下りていった。
山頂に アルコール臭を残して(本当だって! びっくりしたもん)
だからというわけでは無いけれど いくら初心者の私でも 時間をかけてゆっくり降りれば行けるはず。 そう思って 雨を想定しながらも 何とか行ってみようと決めた。
10時少し過ぎに蒲原に降りる。 蒲原から由比までを歩く。雨が早くも落ち始める。
浮世絵美術館まで歩くうちにどちらにするか決めようと思っていた。 山登りするか このまま東海道の旅に変えるか・・・
「諦めなさいよ!」と言う私に ピーはどうにも不満そう。何とか登れないかと思うらしい。 ま それは私も同じなのだけれど・・・
美術館まできて交流館につくと ますます雨
「ここで 中を見て雨やまなかったら 山は無しだよ」
強引に決めて 中に入る。
泳ぐ桜エビの展示。
ははは 桜エビ 一斉に下に突き刺さるようにして潜ろうとしている。 足を気ぜわしく動かして 苦しそう
わっせわっせ
横にゆったりって事は無理なのか? 何でも深海魚なので 下に潜ろうとするんだとか?
え? 深海魚?
そうらしい 夜になるとえさを求めて上がってくるんだって
じゃぁ じゃぁ 水圧で あの華奢な桜エビちゃんつぶれたりしないのかしら? 不思議 不思議
そんなお馬鹿な事言いながら笑い転げていたら あれれ 外大雨・・・
よし きーめたっ 今日は由比と桜エビと シラスの日だぁ
由比の町を歩くと イヤでも浜石岳を見ながら歩かないといけない。 そうそうあの鉄塔の所に広い広い頂上があった。 誰かが手を振っていそうな気がする。
「諦めてね これからの道も沢山歩くのよ。15キロぐらい。」
諦めきれない様子でため息ついて それでも・・・と繰返すぴーに宣言。 本当は私も少し残念だったけれどね。
決めたら早いよ。早速桜エビを食べる。 開花亭にて桜エビ定食と 生しらすを注文。
海老三昧っていうの あんまり好きでは無いのだけれど これはおいしかった。 とくに生の桜エビと しらす
絶品
ついおみやげもそれにしてしまった。
おなかがいっぱいになった私たちは この頃には すっかり山を諦めて さった峠方向に歩いていく。いくつかの由比の昔を見つけながら。
倉沢の間の宿を超えていよいよさった峠。 昔の難所も拍子抜けするぐらい 穏やかな表情をした散歩道で 振り返ると 富士が・・・(見えるはずだった)
でも あらら 不思議 雨降っているのに 裾野ははっきり見えるんだよ。 愛鷹山も駱駝のこぶのような箱根も・・・天気よかったら 感動的なシーンが待っていた筈なんだけどね
蜜柑やびわを栽培している話し好きのおじさんと暫く話していたけれど 「家の山に寄っていかないか?」の誘いに 帰りを急ぐから・・・と断り 歩く。
お約束の 現代や 過去の道が交錯している道を見下ろして 広重の版画絵に重ね合わせて 味わう。
最後まで残念がってはいたけれど 十分歩き甲斐のあった 由比から さった峠 興津のコースを 史跡を見ながら歩いた一日。
雨だったけれど それなりに楽しめた一日
また行けばいい。
お天気のいい日にもう一度。 今度こそ浜石岳から さった峠へ