【現代思想とジャーナリスト精神】

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2016年「東電・安倍政権の原発再稼働派新潟知事選候補」に勝利するためには

2016-10-01 07:36:37 | 政治・文化・社会評論
2016年「東電・安倍政権の原発再稼働派新潟知事選候補」に勝利するためには
~「再稼働争点の新潟県知事選ルポ」(9月30日東京新聞)に学んだこと~

2016/10/01

               国民的統一戦線準備委員会
                 提唱者  櫻井 智志



*本稿は、新聞記事のコピーではない。東京新聞「こちら特報部」(web上に全文はないので要点は新聞を視写)記事を適宜引用して、米山隆一原発再稼働反対派候補勝利のための具体策を考えまとめたものである。ナンバリングは元記事にはなく、小生の思考の順序である。なお、本稿では参院議員森裕子氏と知事選候補森民夫氏と二人の「森」姓の重要人物を紛らわせないためにフルネームで掲げた。



①  2016年9月29日告示10月16日投開票新潟知事選の概要

 新潟県知事選が告示された。
東電への厳しい姿勢を続けた泉田裕彦知事は、突然四選出馬を翻意した。その結果、原子力規制委員会の適合審査がかなえば、柏崎刈羽原発の再稼働を推進するスタンスの有力候補森民夫元長岡市長が立候補。一時は、自公勢力の単独不戦勝もささやかれた。

 そこに対抗して出馬したのが、さきの参院選新潟選挙区で野党統一候補として立候補し、見事激戦を制した森裕子さんを選対本部長に据えて、民進党を離党して共産・社民・生活の野党共闘候補米山隆一医師が無所属として出馬。にわかに激戦を呈する様相を見せた。

 立候補者は、自公の推す盛民夫候補(67才)、野党統一候補の米山隆一候補(49才)のほかに無所属新人の三村誉一元団体職員(70才)、無所属新人の行政書士後藤浩昌候補(55才)の四人となった。

 森民夫氏は長岡市長を17年近く務め、全国市長会長も歴任した。対する有力候補の米山隆一氏は、民進党候補として2005年、2009年、2013年の参院選に出馬して落選している。「森裕子さんが参院選で勝てたことが、知事選につながっている」と初の当選を目指している。

【背景】

 柏崎刈羽原発反対地元三団体共同代表で柏崎市議の矢部忠夫氏は「以前は原子力政策を訴えても票にならないと議員らは真剣に取り組んでこなかったが、東日本大震災後は有権者の原発に対する思考が変わった」と話す。
 それは、原発を巡る泉田知事の姿勢を、評価する有権者が少なくないことからも明らかだ。それだけに、「今回の知事選では原発を争点にしない、福島を忘れさせようとする努力は強い」と危ぶむ。「本音は原子力規制委員会の審査に適合すれば再稼働をしてもいいというのが本音という(県知事選・長岡市長選の)候補もいるだろう。有権者はよく見極めなければならない」


② 民進党のスタンス

 米山隆一氏はもともと民進党である。なぜ民進党を離党して野党共闘に加わったのか?告示日に、JR新潟駅前の目抜き通りで米山隆一氏=共産、生活、社民推薦=の演説の30分後にあらわれた森民夫氏=自民、公明推薦の陣営が現れると、自主投票を決めた民進党県議の姿もあった。

 なぜ民進党が自主投票を決めたか?背後には民進党の支持基盤のひとつ、労組のナショナルセンター連合が森民夫氏支持に回っているからである。かつての総評・同盟の時代には、総評=社会党、同盟=民社党のブロックがあった。右派金属労協路線がしだいに民間労組を飲み尽くし、公労協をも傘下に従えて、巨大な連合が誕生し、社会党が解体し、旧民主党と社民党が登場すると、連合は民主党のちに民進党を支持した。民社党(正確には民主社会党)=同盟は、民主党(のちの民進党)=連合に、吸収合併された。共産党は政党支持自由の全労連が支持し、社民党は総評が規模を縮小した全労協が支持し、一定の役割を果たしている。
 連合は、同盟よりもはるかに右寄りとなった。財界の意向をくみ、原発企業の電力会社の労組は、のきなみ連合傘下で「厳罰再稼働支持」に廻っている。

 民進党から参院選に出馬していた米山隆一氏が、民進党を離党して野党共闘に加わったのは、民進党内でも良心派の存在をあきらかとした。

③ (a)知事選の二つの争点、(b)長岡市長選

(a) 自民公明が、泉田裕彦知事を闇の勢力が引きずり下ろし、立候補させた森民夫候補は、出来る限り、柏崎刈羽原発の再稼働には触れたくない意向をもっている。米山隆一候補は、泉田知事路線を継承して再稼働反対・県発廃止の立場である。

 森民夫氏は、徹底して、生活再建路線で戦うと見られる。米山隆一氏は、原発再稼働反対のスタントとともに、森民夫氏の生活再建路線において、より県民をひきつける具体的選挙政策を提示して、その争点で森陣営を凌駕しない限り、当選できない。

 新潟市の中心市街地にある古町商店街は、シャッターが閉まった店が目立つ。新潟県の人口は現在、229万人で、泉田氏が就任した2004年と比べて16万人減少した。昨年の国勢調査速報値では、東北の宮城県に人口で抜かれ、地元では衝撃が走った。

 帽子店の店長さんは、こう述べた。
「地場に産業がほとんどない。みんな大都市に流れていっちゃう。コメどころだからといって人が集まるわけではない。昨春、北陸新幹線が開業しており、古都・金沢のように上手なまちづくりができればいいんだろうけど、観光資源が豊富なわけでもないし」。

 洋品店の社長さんはこう言う。
「原発が動けば産業面ではいいんだろうけど事故は怖い。難しいよね。でも、とにかく人がいないことには始まらない。新しい知事にはまちを活性化させる施策をしてほしい」。

 原発再稼働とは別の次元で、新潟県の経済振興を望む声も、有権者には切実な争点の基盤として考慮される課題といえよう。


(b) 森民夫氏の知事選出馬で、同日選となる長岡市の有権者はどう見るか。10月9日告示で、投開票は知事選と同じ16日。

藤井盛光38 元市議
小熊正志66 元市議会議長
磯田達伸64 前副市長
以上の三氏が現在のところ出馬を表明している。
 柏崎刈羽原発から30キロ圏内にかかる地域があり、市内では再稼働への関心は高い。藤井氏は「政府の責任で避難計画の実効性を高める必要がある」などと前市長森民夫氏よりも慎重な姿勢だ。小熊氏は「是非を問う住民投票をしたい」と言い、磯田氏も再稼働には否定的だ。
 だが、「票目当てで原発への慎重姿勢を打ち出している候補がいるという印象を受ける」と、市民団体「原発からいのちとふるさとを守る県民の会」メンバーで長岡市の無職石川智一さん(72)は話す。
 小熊氏は以前、安全が担保されれば再稼働容認という姿勢だったという。当選後、姿勢を転換する可能性がなくもない。とはいえ、なぜ、一様に候補予定者が慎重姿勢をアピールするのかというと、市民の意識が変化してきたからでもある。福島の事故以降、「拒否反応を示す人が増えた」と石川さんは話す。


④ 東京新聞社デスクメモ引用と私見

 【首都圏に住んでいるから、投票権のない新潟県のことだから、知事選に関心はない。では、済まないだろう。問われているのは、首都圏に電気を供給する東京電力の柏崎刈羽原発の再稼働問題だ。福島もそうだった。危険な迷惑施設を押しつけていることを、忘れるわけにはいかない。(文)】

私見

 原発がいかに危険か。原発の被害も。原発によって生じる核のごみ処理も。南海トラフ大震災は、原発の多くを巻き込む大規模なエリアを想定している。政府安倍政権によって、なし崩し的に再稼働とさらには原発セールス、原発新設など自公安倍政権による「亡国の暴走」はブレーキの効かない段階に入っている。
 鹿児島県知事三反園訓氏の勇気と決断を、全国の知事選立候補者は見習ってほしい。自公に対決して東京都知事に当選した「自民党員」小池百合子都知事は、豊洲魚市場移転に伴い実に勇気と見通しをもって果敢にとり組んだ。最終調査結果は、責任者不明という都庁職員の報告書で曖昧に終わりそうになったら、小池都知事は「内部告発制度」を提言した。正直ここまで小池百合子氏が、腐敗した都政の連続した都庁に切り込んだことは、やはり評価したい。今後の期間はどうなるか、予断を許さない。
 ただ三反園鹿児島県知事も小池百合子東京都知事も、衆参両院で三分の二を超える議席をもつ自公安倍政権の憲法違反独裁政治に、知事職という地方からの反逆の狼煙をあげる取り組みを見せてくれた。
 新潟県知事選は,現段階で全国的意義と影響力をもつ重大選挙である。