【現代思想とジャーナリスト精神】

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都議会自民党に風穴あけた「小池百合子都知事」は、絶賛できるか?信頼できるか?

2017-01-04 22:02:35 | 政治・文化・社会評論
都議会自民党に風穴あけた「小池百合子都知事」は、絶賛できるか?信頼できるのか?

                    櫻井 智志

①東京都知事選挙で東奔西走した小池百合子氏は、当選後も止むことなく都議会に臨み、テレビなどマスコミはそれを拡散し、さらに国民的影響力を強めている。衆院補選東京・福岡は、小池旋風が相次いで二人を当選させた。間違いなく都議選を動かし、衆院選にも影響が見られることだろう。

②しかし、自民党員として、都議会自民党とは全面対決しているが、自民党総裁安倍総理など安倍政権と対決しているわけではなく、国政選挙補選は、まさに安倍政権の枠組みの中で「必勝守護神」の役割を果たした。また、都議会自民党や森元総理の五輪組織委員会などとは果敢なチャレンジャーとしての言動に、鬱積する我慢を強いられ続けてきた国民が支持するだけのことはある。

③だが、橋下徹氏ら「日本維新の会」の関係者を、小池氏の「希望の塾」の講師に招いたり、特別顧問に招いたりしていることは、防衛相や日本会議事務局や自民党インターネット部局の責任者の仕事を歴任してきた小池百合子氏。民進党の蓮舫代表は小池氏を絶賛し、都議会公明党は小池都知事与党に方向転換した。私はいまの小池氏を前都知事候補の宇都宮健児氏が是々非々のスタンスで一定の好意的評価もおこなっているが、はたして今のままの延長とは思えない。

④今後、緊急事態法や憲法改定の政治的局面でどのような政治的スタンスをとるか、注意深く注視したい。ずばり端的に言えば、小池都知事は「諸刃の刃」である。覚えていることがある。石原慎太郎氏が初当選した頃に、石油ディーゼルの公害規制を決断し、自民党から共産党まで都議会は支持した。その後の石原氏の都知事としての軌跡は、あまりに自明である。

⑤あざやかな都民心理獲得の政治手法は、幅広く支持層を広げている。注目すべきは、安倍政権が小池都知事にどう具体的に対応していくかを気をつけていないと、「あっ」と気づいた時は後の祭り、というような根本的対応の誤謬をおかすことは、決して現在は許されない政治的局面が現代だ。私は、政治の中枢のイメージを「おきなわ」にリアルに据えることを喚起したい。国会議員にも立候補し、文化の栄えある賞を受賞した沖縄平和運動センターの名実とも指導者である山城博治さんが、勾留され三カ月になろうとしている。おきなわの事態は、まさに治安維持法時代の特高警察による民衆弾圧と全く無縁だと、言いうるだろうか?

⑥「小池百合子都知事」が、「おきなわ」について、「憲法改定」、「緊急事態条項」について、どのような政治家としての対応を示すか。無関心やノータッチは、消極的関与にほかならない。私はいかなる政党も無限定には支持していない。沖縄や憲法をどう語るか、ではなく「おきなわ」「憲法」にどのような社会的実践を働きかけているか。「沖縄」や「憲法」以外にも、政治的課題はたくさん山積されている。
 私の考え方は、日本国政治の象徴的な剣が峰が「沖縄」「福島原発」「憲法」に集約されているから、自らの実践的課題に取り組みつつ、どのような考えをどのような言動をするかが問われているということだ。
 国際社会は、二度の世界大戦を経た。
①民族の自決権としての反・植民地主義
②人類絶滅の核兵器廃絶と原子力など科学技術の管理・制御
③果てしない帝国主義的膨張国家とその犠牲者を防ぐための、民族主権・国家の主権の尊重
④軍事兵器で解決するような愚弄な報復の際限もない応酬を防止するシステムの樹立。
それら①〜④を達成するために、戦後国際社会は努力してきた。
 戦後史の原点とそれに基づく70年有余の努力。それを一気に崩壊させるような専制政治の安倍政権に小池百合子氏が加担・推進するようであれば、毅然として「否!」と声をあげるべきだ。

補論:
「日刊ゲンダイ」は以下の様な報道をおこなっている。ご参考までにと思い、この後に転載させていただいた。  





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小池新党“40人擁立”は本当か 狙いは都議会自民の分裂加速 2017年1月4日
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/196896/1

「小池知事、都議選に30人超」「自民へ“刺客” 新党準備」――と、産経新聞が元日の1面トップで報じたことで、都議会自民党に衝撃が走っている。朝日新聞も1月3日に、「小池氏 40人規模擁立へ」と大々的に伝えている。朝日によると、全42選挙区に近い40人規模の擁立を考えているという。

 しかし、本当に「小池新党」は40人も擁立できるのか、疑問の声が上がっている。

「40人の擁立はどう考えても現実的ではない。ヒトとカネの工面が難しいからです。新党を結成するには最低5億円は必要とされています。何より40人の擁立は容易じゃない。もちろん、案山子でもOKなら明日にでも集められるでしょうが、当選する可能性のある候補者を40人も探すのは簡単じゃない。都議選は投票率が低い上、地元密着型なので、地盤がないと当選は難しい。日本新党が93年に都議選に挑んだ時も、20人しか当選させられなかった。本当に40人も擁立できるのか疑問です」(都庁事情通)


 朝日、産経の2つの記事は、小池知事周辺が意図的にリークした可能性がある。

 小池サイドの狙いは、都議会自民党を分裂させることだという。

「小池さんにとって最良のシナリオは、都議会自民党が分裂し、党を離れた都議が“小池新党”から出馬することです。地盤のある現職都議なら当選させやすく、カネもかからない。同時に、都議会ドンの内田茂都議が牛耳る自民党を少数に追い込める。恐らく小池サイドは、“自民へ刺客”“40人擁立”と大手メディアが報じれば、選挙に弱い自民党都議が不安に駆られ、“自民党にいたら落選する”“刺客を立てられる前に小池新党に加わろう”と動きだすと計算したはずです。すでに昨年末、自民党都議3人が自民党会派を離脱している。分裂の動きが加速する可能性があります」(都政関係者)

 7月の都議選まで、まだ半年以上。都民と無関係に〈小池知事VS自民〉の戦いが勃発している。
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