http://digital.asahi.com/articles/DA3S12024322.html?rm=1502015年10月20日
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設計画で、移設予定地の同県名護市辺野古での環境調査などの移設関連事業を多数受注する業者が、移設事業を監視・指導する「環境監視等委員会」の運営業務を受注し、資料や議事録を作成していたことがわかった。事業を請け負う業者が、事業をチェックする側にも関わる構図だ。
この業者は建設環境コンサルタント会社「いであ」(東京都世田谷区)。
沖縄防衛局によると、環境の専門家でつくる環境監視委の運営についての業務を2014年3月に発注。業務内容は「委員会の運営および学識者の指導・助言を整理・検討等を行う」としている。この際の応募は「いであ」だけで、2462万円で随意契約した。
今年9月には同じ業務を17年3月までの期間について再び発注し、「いであ」が地元業者と組んだ共同企業体(JV)と5184万円で随意契約した。
同防衛局はこの業務の発注の際、競争入札でなく随意契約の一形態である「簡易公募型プロポーザル」の方式をとった。
同防衛局によると、「いであ」やJVは環境監視委の運営業務に関わり、委員との連絡や資料の作成、会場の設営、議事録の作成などを担っているという。環境監視委の複数の委員は取材に対し、「『いであ』が自分を防衛局に推薦した結果、委員に選ばれたと聞いた」と話す。
一方、移設関連事業について、同防衛局の資料によると、「いであ」は12~15年度に、少なくとも11件、計33億8千万円分を受注。ジュゴンやサンゴ類の調査や、環境影響調査(環境アセスメント)の補正評価書の作成などだ。
また、同社顧問には10年、防衛省のOBが天下り。同社は、環境監視委の委員を務める大学教授に14年に800万円を寄付したほか、同社関連のNPO法人が別の委員に年間200万円超の報酬を支払っていることが判明している。
沖縄防衛局は取材に対し「業務量が多いため外部委託し、専門知識などが必要なためプロポーザル方式をとっている。委員は防衛局が選定した」と回答。「いであ」は「事業の委託を受ける立場であり、取材に応じられない」とした。(大谷聡)
■一人二役おかしい
五十嵐敬喜・法政大名誉教授(公共事業論)の話 事業をしている業者が委員会の業務も担うと、書類や議事録を自分たちに都合良く作っているのでは、という疑念を抱かせる。独立性、中立性が重要な委員会で、一人二役のこんなやり方はおかしく、お手盛りとしか思えない。防衛局は委員会業務を外注するとしても、辺野古事業を受注している業者は対象から外すなどの対応をとる必要があっただろう。
http://www.rbc.co.jp/news_rbc/%E8%BE%BA%E9%87%8E%E5%8F%A4%E7%92%B0%E5%A2%83%E7%9B%A3%E8%A6%96%E5%A7%94%E3%80%80%E8%A4%87%E6%95%B0%E3%81%AE%E5%A7%94%E5%93%A1%E3%81%AB%E6%A5%AD%E8%80%85%E3%81%8B%E3%82%89%E5%AF%84%E4%BB%98/
辺野古環境監視委 複数の委員に業者から寄付.
普天間基地の辺野古への移設に向け防衛省が設置した環境監視委員会の複数のメンバーが移設工事に関連する事業を受注した業者から寄付金を受け取っていたことがわかりました。
環境監視委員会は、仲井真前知事が辺野古の埋め立てを承認する際に設置を求めたもので、防衛省が去年4月に開設し、環境の専門家13人で構成されています。
このうち、横浜国立大学教授の中村由行委員長をはじめ複数の委員が埋め立て工事など辺野古移設に関連する事業を受注した業者から数十万円から数百万円の寄付金を受け取っていたことがわかりました。
このうち東京大学大学院の茅根創教授はRBCの取材に対し「寄付金は沖ノ鳥島に関連する研究のもので、数年前から受け取っている。
辺野古の環境監視委員会とは関係なく、防衛省や業者には厳しく意見を述べている」と説明しています。
また、京都大学フィールド科学教育研究センターの荒井修亮教授もRBCの取材に対し寄付金を受け取った事実を認めています。
寄付を行った業者によると中村委員長と荒井教授については、環境監視委員会が設置されて以降、寄付が行われているということです。
環境監視委員への寄付行為について、菅官房長官は19日、委員会の議論には影響しないとの見解を示しました。
「(監視委員会は)埋め立て承認をした際の留意事項として設置を求められたものでありますので、ですから辺野古移設工事を前提としたものである。委員会においては公平中立な立場で議論が行なわれているというふうに考えてます」(菅官房長官)
一方、環境監視委員会の副委員長で琉球大学の東清二・名誉教授は一部委員によるこうした姿勢を批判しています。
「とにかくお金をもらって、自然環境を曲げて説明しようとするような態度ですね。これは絶対にいけないです」(環境監視委副委員長 琉球大・東清二名誉教授)
東名誉教授は辺野古移設を前提として議論が進められる環境監視委員会のあり方そのものに疑問を呈していて、一時、辞意を表明していました。
「今までに沖縄でいくらか環境関係の調査・研究をした人が出てくるだろうと思ったんだけど、一人も出てこない、全然わからない人ばかり。これじゃ話にならないと思った。だから、あの会議はもうつぶした方がいいと思います」(環境監視委副委員長 琉球大・東清二名誉教授)
工事による環境への影響を検証する立場の委員が事業者から寄付を受けていたことで、委員会のチェック機能そのものが疑問視されそうです。
感想;
医薬品のGMPでは、作る人とチェックする人を分けるが大原則です。なぜなら、自分で作って自分で評価すると間違っていてもOKにしたしまうことができるからです。それができないように仕組みで分けています。それは逆に作る側の人を守るためでもあります。なぜなら人は弱いので、つい問題を隠そうとしてしまいます。チェックする人は、造る人とは違う第三者の人であり造る側から独立していなければなりません。医薬品の品質はGMP省令でそれが要求されています。この思想は欧米から導入されています。
今回は、造る側の業者がチェックする側に入っており、かつチェックする人が造る側から寄付金を貰っているということです。それではチェックする側が第三者ではなく、かつ造る側から独立していません。
寄付金を貰っている先生自身が、”チェックされる側から寄付金を貰うのはおかしい”と思われていないこと自体が”おかしい”ように思いました。
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設計画で、移設予定地の同県名護市辺野古での環境調査などの移設関連事業を多数受注する業者が、移設事業を監視・指導する「環境監視等委員会」の運営業務を受注し、資料や議事録を作成していたことがわかった。事業を請け負う業者が、事業をチェックする側にも関わる構図だ。
この業者は建設環境コンサルタント会社「いであ」(東京都世田谷区)。
沖縄防衛局によると、環境の専門家でつくる環境監視委の運営についての業務を2014年3月に発注。業務内容は「委員会の運営および学識者の指導・助言を整理・検討等を行う」としている。この際の応募は「いであ」だけで、2462万円で随意契約した。
今年9月には同じ業務を17年3月までの期間について再び発注し、「いであ」が地元業者と組んだ共同企業体(JV)と5184万円で随意契約した。
同防衛局はこの業務の発注の際、競争入札でなく随意契約の一形態である「簡易公募型プロポーザル」の方式をとった。
同防衛局によると、「いであ」やJVは環境監視委の運営業務に関わり、委員との連絡や資料の作成、会場の設営、議事録の作成などを担っているという。環境監視委の複数の委員は取材に対し、「『いであ』が自分を防衛局に推薦した結果、委員に選ばれたと聞いた」と話す。
一方、移設関連事業について、同防衛局の資料によると、「いであ」は12~15年度に、少なくとも11件、計33億8千万円分を受注。ジュゴンやサンゴ類の調査や、環境影響調査(環境アセスメント)の補正評価書の作成などだ。
また、同社顧問には10年、防衛省のOBが天下り。同社は、環境監視委の委員を務める大学教授に14年に800万円を寄付したほか、同社関連のNPO法人が別の委員に年間200万円超の報酬を支払っていることが判明している。
沖縄防衛局は取材に対し「業務量が多いため外部委託し、専門知識などが必要なためプロポーザル方式をとっている。委員は防衛局が選定した」と回答。「いであ」は「事業の委託を受ける立場であり、取材に応じられない」とした。(大谷聡)
■一人二役おかしい
五十嵐敬喜・法政大名誉教授(公共事業論)の話 事業をしている業者が委員会の業務も担うと、書類や議事録を自分たちに都合良く作っているのでは、という疑念を抱かせる。独立性、中立性が重要な委員会で、一人二役のこんなやり方はおかしく、お手盛りとしか思えない。防衛局は委員会業務を外注するとしても、辺野古事業を受注している業者は対象から外すなどの対応をとる必要があっただろう。
http://www.rbc.co.jp/news_rbc/%E8%BE%BA%E9%87%8E%E5%8F%A4%E7%92%B0%E5%A2%83%E7%9B%A3%E8%A6%96%E5%A7%94%E3%80%80%E8%A4%87%E6%95%B0%E3%81%AE%E5%A7%94%E5%93%A1%E3%81%AB%E6%A5%AD%E8%80%85%E3%81%8B%E3%82%89%E5%AF%84%E4%BB%98/
辺野古環境監視委 複数の委員に業者から寄付.
普天間基地の辺野古への移設に向け防衛省が設置した環境監視委員会の複数のメンバーが移設工事に関連する事業を受注した業者から寄付金を受け取っていたことがわかりました。
環境監視委員会は、仲井真前知事が辺野古の埋め立てを承認する際に設置を求めたもので、防衛省が去年4月に開設し、環境の専門家13人で構成されています。
このうち、横浜国立大学教授の中村由行委員長をはじめ複数の委員が埋め立て工事など辺野古移設に関連する事業を受注した業者から数十万円から数百万円の寄付金を受け取っていたことがわかりました。
このうち東京大学大学院の茅根創教授はRBCの取材に対し「寄付金は沖ノ鳥島に関連する研究のもので、数年前から受け取っている。
辺野古の環境監視委員会とは関係なく、防衛省や業者には厳しく意見を述べている」と説明しています。
また、京都大学フィールド科学教育研究センターの荒井修亮教授もRBCの取材に対し寄付金を受け取った事実を認めています。
寄付を行った業者によると中村委員長と荒井教授については、環境監視委員会が設置されて以降、寄付が行われているということです。
環境監視委員への寄付行為について、菅官房長官は19日、委員会の議論には影響しないとの見解を示しました。
「(監視委員会は)埋め立て承認をした際の留意事項として設置を求められたものでありますので、ですから辺野古移設工事を前提としたものである。委員会においては公平中立な立場で議論が行なわれているというふうに考えてます」(菅官房長官)
一方、環境監視委員会の副委員長で琉球大学の東清二・名誉教授は一部委員によるこうした姿勢を批判しています。
「とにかくお金をもらって、自然環境を曲げて説明しようとするような態度ですね。これは絶対にいけないです」(環境監視委副委員長 琉球大・東清二名誉教授)
東名誉教授は辺野古移設を前提として議論が進められる環境監視委員会のあり方そのものに疑問を呈していて、一時、辞意を表明していました。
「今までに沖縄でいくらか環境関係の調査・研究をした人が出てくるだろうと思ったんだけど、一人も出てこない、全然わからない人ばかり。これじゃ話にならないと思った。だから、あの会議はもうつぶした方がいいと思います」(環境監視委副委員長 琉球大・東清二名誉教授)
工事による環境への影響を検証する立場の委員が事業者から寄付を受けていたことで、委員会のチェック機能そのものが疑問視されそうです。
感想;
医薬品のGMPでは、作る人とチェックする人を分けるが大原則です。なぜなら、自分で作って自分で評価すると間違っていてもOKにしたしまうことができるからです。それができないように仕組みで分けています。それは逆に作る側の人を守るためでもあります。なぜなら人は弱いので、つい問題を隠そうとしてしまいます。チェックする人は、造る人とは違う第三者の人であり造る側から独立していなければなりません。医薬品の品質はGMP省令でそれが要求されています。この思想は欧米から導入されています。
今回は、造る側の業者がチェックする側に入っており、かつチェックする人が造る側から寄付金を貰っているということです。それではチェックする側が第三者ではなく、かつ造る側から独立していません。
寄付金を貰っている先生自身が、”チェックされる側から寄付金を貰うのはおかしい”と思われていないこと自体が”おかしい”ように思いました。