・心理療法は「対話による治療」とも呼ばれてきました。その会話の形態が、ここ数十年の間にがらりと変わってきています。かつては、感じていること、人間関係、過去のこと、その他なんでもクライエントが欲するままに語っていました。・・・
そこで起こっている「生(なま)」の体験、特に感情の表出に焦点をあてるようになったのは近年になってからのことです。ライヒアン・セラピー(筋肉の緊張をほぐすことで、心理的抑圧を解除する心理セラピー)、サイコドラマ、ゲシュタルト、エンカウンター・グループ、そしてそれらの傍系がそうです。・・・。そうしてワークでは、思考のもっと下にある身体や感覚のレベルにまで遡るようになりました。
・エンカウンターにおけるルールのひとつは、そのときその部屋で、すなわち「ヒア・アンド・ナウ(here and now)」で起こっていることだけを語るというものです。「現在」に留まるわけです。
・80年代に入ると、モーシェ・フェルデンクライスやNLP(神経言語プログラム)のような当時セラピーの前衛をなしていたものが、心理療法をさらに1歩先へと進めることになります。これらのセラピーは体験だけを扱うのではなく、「体験の形成」というものにいっそう重きを置いて取り扱うようになったのです。
・ミルトン・エリクソンやバージニア・サタイヤーといったセラピーの神様になると、ある種の共通の仮定を持ってワークをしていたとのことです。驚いたことに、これらの仮定のひとつは、クライエントさしたる問題はないというものでした。・・・。同じように天気のよい1日を、各人各様の異なった見方に基づいて体験しているわけです。つまり、問題は体験を形成するやり方にあるのであって、体験が問題として実存しているのではないのです。
・フェルデンクライスがよく言ったものです。「自分が今していることを知るまでは、自分のやりたいことをできるようにはならない」。体験を形成している自分のパターンを知るまでは、自分のやりたいことをできるようにならない」。体験を形成している自分のパターンを知るというこおてゃ、それを違った方向に再構築できるようになることを意味します。
・私たちの体験を決定するものとして、全く異なる2つの要因が存在します。
1つは、実際に私たちの周りで起こっている出来事
もう1つは、それらの出来事を情報として変換するときのさまざまな習慣です。
・ハコミ・セラピー(ハコミというのは、ホピインディアンの言葉「Who are you?(あなたは何者か?)」)において、クライエントは自分がどのようにして出来事に意味づけし、感じ方を決めているかを学びます。すなわち、体験を形成しているシステム、コア・マテリアル(深いレベルでの思い込みを色づけている情報など)の存在に気づくのです。
・セラピーにおいては、大まかに言って3つの取り組み方が存在します。
その1は、セラピストとクライエントが日常的な会話を行うことです。
その2は、まさにそこで起こっている体験を重視することです。
その3は、すなわち体験の形成を学習することです。
・現実とは、数ある可能性のうちのひとつの実体化にすぎない(Ilya Prigogine)
・ハコミの5つの原理
1) 有機性;リビングシステム
2) マインドフルネス;意識の通り道
3) ノンバイオレンス;生命の尊厳
4) 心と体の融合(ホリズム)
5) ユニティー;参画する宇宙
・ベイトソンの定理
1)人はコミュニケーションしないでいることは出来ない
2)すべてのコミュニケーションは「内容(コンテンツ)」と「関係」からなる
3)コミュニケーションは相手とのダンスのようなもので直線的な因果関係に還元することは出来ない。(句読点や間によって意味が変わってくる)
4)人のコミュニケーションはデジタルとアナログの両方のモダリティを含んでいる
5)人のコミュニケーションは対称もしくは補完的である
・ハコミで使われる8つの主要な性格戦略
1) 敏感-孤独
自己表現および他者との接触を抑制。考えや空想に引きこもる。
2) 無力-依存
子どものようにふるまう。無力であるように見せることによって援助を得ようとする。
3) 自力-挑戦
ひとりで挑戦し続ける。自分だけを頼りにし援助を期待しない。
4) 誇示-寛大(見せかけ方1)
弱さ、不安定さ、恐れを隠す。強くて重要な人物に見せようとする。親分肌で面倒見がよい。
5) 魅力-誘惑(見せかけ型2)
真の意図を隠す。他者を誘惑し、利用することによって、必要なものを手に入れる。
6) 受動-忍耐
じっと我慢して、状況の好転を待つ。責任を避ける。自分からは行動しない。遅らせる。
7) 拡大-愛着
ものごとや感情をオーバーに表現することによって、注意を引き、人との分離を避ける。
8) 勤勉-達成
働き続け、休んだり、リラックスできない。行動に逃げ込む。
・セラピーの目的は、ある特定の体験をさせることではありません。むしろ、すべての体験を新しい方法で形成するような変化、すなわち体験の仕方に変化を引き起こすことです。そうした変化を起こすには、体験だけではなくその意味をも扱っていかなければなりません。すなわち普段自分がどう体験を形成し、どうものごとを行い、どう自分の世界をまとめあげ、それを認識し、考えているかについて、その背後に存在する意味を明らかにすることが必要なのです。
感想;
「ハコミセラピー タオイズムと心理療法」グレッグ・ヨハン/ロン・クルツ共著
読んでいて、仏教の”唯識”の言葉を思い出しました。
簡単に言うと、自分の見えている世界は自分の考え方を通して見ている世界であるということです。
不幸だと思うのはその事象を不幸と考えている自分がいるからです。
ハコミセラピーでは自分の考え方の形成の仕方を知ることで、自由自在に選択肢を広げることができるようにするようです。
ワイングラスにワインが半分
・もう半分しかない、悲しい
・まだ半分残っている、嬉しい
事象は同じでも自分の感情は真逆です。
ハコミセラピーで、どうして半分しかなく悲しいと思うのだろうかと知ることにより、まだ半分あると思えるような選択肢も可能にすることができるようになるようです。
感謝の気持ちが自分の心のベースにあり、そして日々感謝できるかどうかが、まさに自分の人生における分水嶺のように思いました。
心と身体の声を聴くことがとても大切なように思います。
そこで起こっている「生(なま)」の体験、特に感情の表出に焦点をあてるようになったのは近年になってからのことです。ライヒアン・セラピー(筋肉の緊張をほぐすことで、心理的抑圧を解除する心理セラピー)、サイコドラマ、ゲシュタルト、エンカウンター・グループ、そしてそれらの傍系がそうです。・・・。そうしてワークでは、思考のもっと下にある身体や感覚のレベルにまで遡るようになりました。
・エンカウンターにおけるルールのひとつは、そのときその部屋で、すなわち「ヒア・アンド・ナウ(here and now)」で起こっていることだけを語るというものです。「現在」に留まるわけです。
・80年代に入ると、モーシェ・フェルデンクライスやNLP(神経言語プログラム)のような当時セラピーの前衛をなしていたものが、心理療法をさらに1歩先へと進めることになります。これらのセラピーは体験だけを扱うのではなく、「体験の形成」というものにいっそう重きを置いて取り扱うようになったのです。
・ミルトン・エリクソンやバージニア・サタイヤーといったセラピーの神様になると、ある種の共通の仮定を持ってワークをしていたとのことです。驚いたことに、これらの仮定のひとつは、クライエントさしたる問題はないというものでした。・・・。同じように天気のよい1日を、各人各様の異なった見方に基づいて体験しているわけです。つまり、問題は体験を形成するやり方にあるのであって、体験が問題として実存しているのではないのです。
・フェルデンクライスがよく言ったものです。「自分が今していることを知るまでは、自分のやりたいことをできるようにはならない」。体験を形成している自分のパターンを知るまでは、自分のやりたいことをできるようにならない」。体験を形成している自分のパターンを知るというこおてゃ、それを違った方向に再構築できるようになることを意味します。
・私たちの体験を決定するものとして、全く異なる2つの要因が存在します。
1つは、実際に私たちの周りで起こっている出来事
もう1つは、それらの出来事を情報として変換するときのさまざまな習慣です。
・ハコミ・セラピー(ハコミというのは、ホピインディアンの言葉「Who are you?(あなたは何者か?)」)において、クライエントは自分がどのようにして出来事に意味づけし、感じ方を決めているかを学びます。すなわち、体験を形成しているシステム、コア・マテリアル(深いレベルでの思い込みを色づけている情報など)の存在に気づくのです。
・セラピーにおいては、大まかに言って3つの取り組み方が存在します。
その1は、セラピストとクライエントが日常的な会話を行うことです。
その2は、まさにそこで起こっている体験を重視することです。
その3は、すなわち体験の形成を学習することです。
・現実とは、数ある可能性のうちのひとつの実体化にすぎない(Ilya Prigogine)
・ハコミの5つの原理
1) 有機性;リビングシステム
2) マインドフルネス;意識の通り道
3) ノンバイオレンス;生命の尊厳
4) 心と体の融合(ホリズム)
5) ユニティー;参画する宇宙
・ベイトソンの定理
1)人はコミュニケーションしないでいることは出来ない
2)すべてのコミュニケーションは「内容(コンテンツ)」と「関係」からなる
3)コミュニケーションは相手とのダンスのようなもので直線的な因果関係に還元することは出来ない。(句読点や間によって意味が変わってくる)
4)人のコミュニケーションはデジタルとアナログの両方のモダリティを含んでいる
5)人のコミュニケーションは対称もしくは補完的である
・ハコミで使われる8つの主要な性格戦略
1) 敏感-孤独
自己表現および他者との接触を抑制。考えや空想に引きこもる。
2) 無力-依存
子どものようにふるまう。無力であるように見せることによって援助を得ようとする。
3) 自力-挑戦
ひとりで挑戦し続ける。自分だけを頼りにし援助を期待しない。
4) 誇示-寛大(見せかけ方1)
弱さ、不安定さ、恐れを隠す。強くて重要な人物に見せようとする。親分肌で面倒見がよい。
5) 魅力-誘惑(見せかけ型2)
真の意図を隠す。他者を誘惑し、利用することによって、必要なものを手に入れる。
6) 受動-忍耐
じっと我慢して、状況の好転を待つ。責任を避ける。自分からは行動しない。遅らせる。
7) 拡大-愛着
ものごとや感情をオーバーに表現することによって、注意を引き、人との分離を避ける。
8) 勤勉-達成
働き続け、休んだり、リラックスできない。行動に逃げ込む。
・セラピーの目的は、ある特定の体験をさせることではありません。むしろ、すべての体験を新しい方法で形成するような変化、すなわち体験の仕方に変化を引き起こすことです。そうした変化を起こすには、体験だけではなくその意味をも扱っていかなければなりません。すなわち普段自分がどう体験を形成し、どうものごとを行い、どう自分の世界をまとめあげ、それを認識し、考えているかについて、その背後に存在する意味を明らかにすることが必要なのです。
感想;
「ハコミセラピー タオイズムと心理療法」グレッグ・ヨハン/ロン・クルツ共著
読んでいて、仏教の”唯識”の言葉を思い出しました。
簡単に言うと、自分の見えている世界は自分の考え方を通して見ている世界であるということです。
不幸だと思うのはその事象を不幸と考えている自分がいるからです。
ハコミセラピーでは自分の考え方の形成の仕方を知ることで、自由自在に選択肢を広げることができるようにするようです。
ワイングラスにワインが半分
・もう半分しかない、悲しい
・まだ半分残っている、嬉しい
事象は同じでも自分の感情は真逆です。
ハコミセラピーで、どうして半分しかなく悲しいと思うのだろうかと知ることにより、まだ半分あると思えるような選択肢も可能にすることができるようになるようです。
感謝の気持ちが自分の心のベースにあり、そして日々感謝できるかどうかが、まさに自分の人生における分水嶺のように思いました。
心と身体の声を聴くことがとても大切なように思います。