英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

2013年度棋士活躍度ランキング

2014-04-02 19:46:25 | 将棋
 2013年度の『将棋大賞』の選考委員会が開催され、最優秀棋士に森内竜王・名人が選ばれました。
 各棋戦の関係者が集まっての選出であるが、通常、竜王戦、名人戦の結果が重視される傾向があるのは仕方のないところだ(個人的には重視すべきだと思っている)。
 それでも、竜王、名人の保持率が他のタイトルに比べて低い羽生三冠が、ほとんど毎年選出されてきたことは、羽生三冠の一年を通して好成績を上げ続けていることと、選考委員会が正常に機能していることの現れであろう。
 しかし、2013年度はそんな議論が全く関与できないほどの森内竜王・名人の勝ちっぷりであった。もちろん、2大タイトルを獲得したことは大きいが、その対戦相手が羽生三冠、渡辺三冠(当時)という年度当初、双璧と称された強敵である。この二人を寄せ付けない強さを見せつけたのだから、異論を挟む余地はほとんどない
 もちろん、『棋士活躍度ランキング』は『将棋大賞』の選考に反抗するものではなく、≪「個人的な基準」で得点(評価)を機械的に算出してみよう≫と毎年行っているものです。


算出基準==================================
 タイトル挑戦して奪取20点、タイトル防衛15点、タイトル挑戦して失敗10点、タイトル失冠は名人、竜王が5点、他の5タイトルを3点。(昨年度ランキングより改正。こちら
 ただし、名人位と竜王位は他のタイトルと重みが違うので獲得点を増やす。竜王挑戦・獲得は30点、同防衛は20点、同挑戦・失敗は15点。
 名人挑戦に関しては、4~6月の七番勝負進出のためのA級順位戦は前年度なので、ポイントには加えず、名人に挑戦し獲得した場合は15点、挑戦し失敗した場合は0点、名人防衛は20点、A級優勝(名人挑戦権獲得)は15点。
 さらに、A級2位と竜王挑戦者決定戦(敗退)は8点(1組優勝者の場合は4点)、竜王挑戦準決勝進出(敗退・1組優勝者は除く)は4点とする。 A級残留はかなりの難易度なので5点。
 順位戦各級の昇級もクラスで差をつけるのが妥当と考え、B1→A級は7点、B2→B1は5点、C1→B2、C2→C1は4点。
 竜王戦昇級の評価については、各クラスの昇級人数が4人と多いのと、クラス別の差別化などを考えると複雑なので、1組優勝者は6点、準優勝者は4点、2組以下は均一に優勝者5点、準優勝者3点。昇級者決定トーナメントを勝ち抜くと、かなり勝ち星を稼げるので昇級に対する加点はなし。

 棋戦(全棋士対象)優勝10点、棋戦準優勝6点、
 参加棋士限定棋戦(新人王戦、日本シリーズ、大和証券杯)優勝7点、同準優勝4点。

 あと、挑戦者決定戦で敗れたり、棋戦3位などの評価をしないのも誤差が生じそうだが、そこまで勝ち進めば勝ち星が多いはずなので、1勝=1点とすれば反映できる。
 ==================================


 【参照】
『放電日記的 2008年度棋士活躍度ランキング』(2009年3月31日)
『修正版 2008年度棋士活躍度ランキング』(2009年4月19日)
『放電日記的 2009年度棋士活躍度ランキング』(2010年4月2日)
『放電日記的 2010年度棋士活躍度ランキング』(訂正あり)(2011年4月4日)
『放電日記的 2011年度棋士活躍度ランキング』
『2012年度棋士活躍度ランキング 「渡辺竜王・棋王・王将vs羽生王位・王座・棋聖」編』
『2012年度棋士活躍度ランキング』



 今年もランキング20位から発表していきます。
 まず、19位タイが5人。(本当は「まず20位、ばーん!と始めたかったが)

19位 30点 佐藤九段(昨年度46点、5位)
 竜王位1組1位6点(挑戦者決定準決勝進出点は1組1位で除外)、A級残留5点、王位挑戦者決定戦進出敗退0点、王将位挑戦リーグ2位0点、年度成績19勝18敗。
19位 30点 糸谷六段(昨年度37点、14位)
 B級2組に昇級4点、年度成績26勝14敗。
19位 30点 佐々木慎六段(昨年度28点)
 B級2組に昇級4点、年度成績26勝12敗。
19位 30点 澤田五段(昨年度37点、14位)
 C級1組に昇級4点、年度成績26勝12敗。
19位 30点 及川五段(昨年度23点)
 竜王5組1位5点、年度成績25勝13敗。
17位 32点 三浦九段(昨年度26点)
 棋王位挑戦失敗10点、A級残留5点、年度成績17勝19敗。
17位 32点 久保九段(昨年度40点、10位)
 日本シリーズ優勝7点、A級残留5点、年度成績20勝17敗。
14位 34点 広瀬八段(昨年度23点)
 A級昇級7点、竜王3組2位3点、年度成績24勝13敗。
14位 34点 稲葉七段(昨年度40点、10位)
 銀河戦優勝10点、年度成績24勝10敗。
14位 34点 阿部光瑠段(昨年度23点)
 年度成績34勝16敗。
12位 36点 丸山九段(昨年度43点、7位)
 NHK杯準優勝6点、日本シリーズ3位0点、年度成績30勝15敗。
12位 36点 千田四段(新四段)
 加古川青流戦準優勝(加点なし)、年度成績36勝13敗。
11位 37点 大石六段(昨年度38点、13位)
 C級1組に昇級4点、竜王5組2位3点、NHK杯3位0点、年度成績30勝13敗。

8位 38点 豊島七段(昨年度45点、6位)
 竜王2組2位3点、朝日杯3位0点、年度成績35勝14敗。
8位 38点 村山六段(昨年度33点、18位)
 B級1組に昇級5点、年度成績33勝10敗。
8位 38点 中村太六段(昨年度41点、8位)
 王座挑戦失敗10点、日本シリーズ準決勝敗退0点、年度成績28勝23敗。
7位 39点 佐々木勇五段(昨年度27点)
 C級1組に昇級4点、加古川青流戦優勝(加点なし)、年度成績35勝14敗。
6位 42点 行方八段(昨年度39点、12位)
 王位挑戦失敗10点、A級2位8点、銀河戦3位0点、年度成績24勝16敗。

5位 43点 永瀬六段(昨年度56点、3位)
 竜王戦4組1位5点、棋王位挑戦者決定戦敗退0点、年度成績38勝13敗。
4位 55点 郷田九段(昨年度36点、16位)
 竜王位挑戦者決定戦敗退8点、A級残留5点、王座挑戦者決定戦敗退0点、棋聖位挑戦者決定戦敗退0点、NHK杯優勝10点、銀河戦3位0点、年度成績32勝19敗。
3位 82点 森内竜王・名人(昨年度33点、18位)
 竜王位奪取30点・同1組2位4点、名人位防衛20点、朝日杯3位0点、年度成績28勝12敗。
2位 84点 渡辺棋王・王将(昨年度133点、2位)
 棋王位防衛15点、王将位防衛15点、竜王位失冠5点、棋聖位挑戦失敗10点、朝日杯準優勝6点、A級残留5点、王位挑戦者決定戦敗退0点、日本シリーズ3位0点、年度成績28勝25敗。
1位 130点 羽生王位・王座・棋聖(昨年度136点、1位)
 棋聖位防衛15点、王位防衛15点、王座防衛15点、第71期名人位挑戦失敗0点、第72期名人位挑戦権獲得15点、王将位挑戦失敗10点、竜王位準決進出4点、朝日杯優勝10点、日本シリーズ準優勝4点、年度成績42勝20敗。(達人戦準優勝・非公式戦)


 1位の羽生三冠は名人戦で森内名人に叩きのめされたが、その後の巻き返しはさすが。三冠を維持し、順位戦は8勝1敗と危なげなく3年連続の挑戦権を獲得、王将戦はフルセットで惜しくも敗れたが1年を通して活躍。昨年とは勝数、勝率ともに落としたが、獲得ポイントは昨年とは6点下げただけの130点。ここ6年の平均を上回っている。
 2位の渡辺二冠も竜王位失冠の痛手を負いながら、棋王、王将と防衛したのは流石。昨年度後半の怒涛の進撃が棋聖位挑戦あたりで息切れしてしまい。竜王戦を終えるまで不調だったのが痛かった。
 3位の森内竜王・名人は、羽生、渡辺の二強を撃破し第一人者の地位を強固なものにした。その他の棋戦でも星を伸ばしたが、今ひとつ突き抜けられず、渡辺二冠に僅差の3位に終わった。(2013年度末から行われている棋聖戦トーナメントで準決勝に進出しており、名人戦に続いて羽生三冠とタイトルを争う可能性もある)
 4位の郷田九段は1年を通して活躍したが、棋聖、王座、竜王と挑戦者決定戦で敗れる無念を味わい続けたが、NHK杯で初優勝を飾る。『将棋大賞』では「敢闘賞」を受賞。まさに敢闘の1年であった。
 5位の永瀬六段は棋王戦で羽生三冠に連勝するなど実力を示した。昨年の3位に続いてのベスト5入りは見事。
 6位、7位にタイトル戦に登場した行方八段、中村太六段が続き、そのあとは新鋭、A級棋士、若手強豪が混在している。昨年度20位外からのランクインは、8位佐々木勇五段、12位千田四段(新四段)、14位の広瀬八段(常連だが昨年度は不振と阿部光五段、17位の三浦九段、19位の佐々木慎六段と及川五段の7名と平年より若干多い。
 昨年4位(49点)の藤井九段が今年度17点とランク外に落ちたのが寂しい。ただ、藤井九段は一昨年度15点だったので、今年度は復活を期待したい。
 あと特筆すべきは大石六段。話はそれるが、大石六段は、昨年の今頃は四段で、4月22日五段昇段、5月15日六段昇段という経歴の持ち主。五段の期間は23日。(女流棋士にはもっと急激な昇段、昇級があるが)これは、勝数で五段に昇段してすぐ、竜王戦の昇級を決め、「◦五段昇段後竜王ランキング戦連続2回昇級」という規定で六段に昇段している(前期も竜王戦の昇級をしている)。
 それはともかく、2011年度活躍度ランキング18位(32点)、2012年度13位(38点)、2013年度11位(37点)と好成績(上昇傾向)をあげている。昨年度はNHK杯3回戦で羽生三冠を破りベスト4まで進出、順位戦も9連勝でC級1組への昇級を決めている。注目の棋士である。

 
以下は、各棋戦ごとに、まとめたもの
 竜王戦
奪取30点・森内竜王 防衛失敗5点・渡辺二冠 挑決8点・郷田九段 準決4点・羽生三冠(佐藤康は1組優勝なので除外)
1組1位6点・佐藤康九段 2位4点・森内竜王・名人  2組1位5点・小林裕七段 2位3点・豊島七段
3組1位5点・谷川九段 2位3点・広瀬八段  4組1位5点・永瀬五段  2位3点・阿部健五段
5組1位5点・及川五段 2位3点・大石六段  6組1位5点・金井五段 2位3点・石田四段

 名人戦
防衛20点・森内竜王名人 挑戦失敗0点・羽生三冠 
A級1位15点・羽生三冠 2位8点・行方八段 残留5点・渡辺、佐藤、深浦、郷田、三浦、久保 降級・屋敷、谷川
B1→A級7点・広瀬八段、阿久津八段  降級・鈴木八段、高橋九段
BⅡ→BⅠ5点・佐藤天七段、村山六段  降級・南九段、堀口一七段
CⅠ→BⅡ4点・糸谷六段、佐々木慎六段  降級・小林九段、土佐七段、桐山九段、加藤九段
CⅡ→CⅠ4点・大石六段、澤田五段、佐々木勇五段  降級・伊奈六段

 王位戦
防衛15点・羽生三冠 挑戦失敗10点・行方八段 挑戦者決定戦0点・佐藤九段
 王座戦
防衛15点・羽生三冠 挑戦失敗10点・中村太六段 挑戦者決定戦0点・郷田九段
 棋王戦
防衛15点・渡辺二冠 挑戦失敗10点・三浦九段 挑戦者決定戦0点・永瀬六段
 王将戦
防衛15点・渡辺二冠 挑戦失敗10点・羽生三冠 挑戦者リーグ2位0点・佐藤九段
 棋聖戦
防衛15点・羽生三冠 挑戦失敗10点・渡辺二冠 挑戦者決定戦0点・郷田九段

NHK杯 優勝10点・郷田九段 準優勝6点・丸山九段 3位0点・大石六段、西川和四段
朝日杯  優勝10点・羽生三冠 準優勝6点・渡辺二冠 3位0点・森内竜王名人、豊島七段
銀河戦  優勝10点・稲葉七段 準優勝6点・橋本八段 3位0点・郷田九段、行方八段

大和証券杯  開催されず
日本シリーズ 優勝7点・久保九段 準優勝4点・羽生三冠 3位0点・渡辺二冠、丸山九段
新人王    優勝7点・都成三段 準優勝4点・藤森四段 3位0点・阿部健五段、斎藤五段

【獲得点なし】
加古川青流戦 優勝・佐々木勇五段 準優勝・千田四段 3位・高見四段、都成三段
【非公式戦】
達人戦   優勝・谷川九段 準優勝・羽生三冠 参加棋士が10→6人に縮小

2013年度 勝数ランキング
1 羽生 善治 42    12 菅井 竜也 29
2 永瀬 拓矢 38   13 森内 俊之 28
3 千田 翔太 36    13 渡辺 明 28
4 豊島 将之 35   15 村田 顕弘 27
4 佐々木 勇気 35   15 高見 泰地 27
6 阿部 光瑠 34   17 佐々木 慎 26
7 村山 慈明 33   17 高崎 一生 26
8 郷田 真隆 32   17 糸谷 哲郎 26
9 丸山 忠久 30   17 澤田 真吾 26
9 中村 太地 30
9 大石 直嗣 30

 最後に、ランキングをもう一度。
2013年度活躍度ランキング
 1位 130点 羽生王位・王座・棋聖(昨年度136点、1位)
 2位 84点 渡辺棋王・王将(昨年度133点、2位)
 3位 82点 森内竜王・名人(昨年度33点、18位)
 4位 55点 郷田九段(昨年度36点、16位)
 5位 43点 永瀬六段(昨年度56点、3位)
 6位 42点 行方八段(昨年度39点、12位)
 7位 39点 佐々木勇五段(昨年度27点)
 8位 38点 豊島七段(昨年度45点、6位)
 8位 38点 中村太六段(昨年度41点、8位)
 8位 38点 村山六段(昨年度33点、18位)
11位 37点 大石六段(昨年度38点、13位)
12位 36点 丸山九段(昨年度43点、7位)
12位 36点 千田四段(新四段)
14位 34点 広瀬八段(昨年度23点)
14位 34点 稲葉七段(昨年度40点、10位)
14位 34点 阿部光五段(昨年度23点)
17位 32点 三浦九段(昨年度26点)
17位 32点 久保九段(昨年度40点、10位)
19位 30点 佐藤九段(昨年度46点、5位)
19位 30点 糸谷六段(昨年度37点、14位)
19位 30点 佐々木慎六段(昨年度28点)
19位 30点 澤田五段(昨年度37点、14位)
19位 30点 及川五段(昨年度23点)
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