先月、「最近の『将棋世界』は、面白さが減った」という記事を書いた。
7月号も、「俊英棋士インタビュー vol.9 古賀悠聖五段」(12ページ)、「女流棋士たちのエモーション vol.8 和田はな女流1級」(11ページ)とインタビュー記事が並ぶ。
男性棋士、女性棋士を交互にしてほしいと思う。それが駄目なら、誌の中盤以降に配置してほしい。(順番に読まないと気が済まないタチなので、なかなかページが進まない)
それはともかく、今月号の人選には、疑問が少々……。新人や若手棋士は、これまで紹介されていないので、人選としては正しいと思う。
しかし、和田はな女流1級はどうなのか?
2020年9月に女流2級でプロ入り。21年に1級に昇級と順調のようだが、>2020年 5勝8敗 .385、21年 5勝14敗 .263、22年 8勝15敗 .347、23年 1勝4敗 .250
女流棋士考 その12「女流棋士の濫造?⑧ 新人、若手~中堅棋士」で調べた時、プロ入り後2022年度終了までの勝率(18勝37敗 .327)は下から4番目だった(ベテラン棋士は除く)
読みたくなければ、読まなければいいだけの話だが、約240ページで870円の11ページ…約4.6%の40円が惜しいし、性格的に全部読まないと気が済まない……
埼玉県和光市出身で、姉のあきさんも女流棋士(女流初段)。中学2年生から約3年間はアメリカ・ヒューストンで住む。アマチュア時代の戦歴は、2013年 小学生女子名人戦、2014年 女流アマ名人戦、2018年 全米将棋選手権、2019年3月 全国高等学校将棋女子選抜大会で優勝。早稲田大学社会科学部に在籍(推薦入学)、法律、政治、経済などいろいろ学んでいるそうだ。
将棋の勉強法、姉や同世代の女流棋士への意識、長年の巨人ファンとかその他の趣味、”白瀧あゆみ杯”優勝について……など、かなり充実した経歴や現在だと感じた。
でも、《プロ入り後の成績を思うと、人生を謳歌していて良いの?》と余計な心配をしてしまう(順風ライフへのヤッカミもある)
いや、そもそも、インタビュアー:内田晶氏、《こんな表面だけの通り一遍のインタビューで良いのか?》……《現在の成績に甘んじている和田女流1級の鬱積したモノを晒し出せ》とは言わないが、その一端を垣間見せてほしい。
せめて、「これまで一番悔しかったこと(将棋や指し手)」ぐらいは訊いて欲しい。そういう重いモノ扱いたくないというのなら、「今まで一番、心が動いた一手」でも良い。
今回、彼女の低勝率による先入観で、インタビュー記事を読んでしまったので、実際の和田女流一級の将棋を観てみようと思った。
観たのは
女流順位戦和田はな 女流1級 -木村朱里女流1級( ヒューリック杯第3期白玲戦 女流順位戦D級:2023年6月12日)。(他に6局で全7局)
和田女流1級の将棋の特徴のひとつが、手数が長いこと。
押したり引いたりが好きなのか、今一つ踏み込めないのか?
それに関連して、勢力争いの地点に歩を打って《取りあえず制圧》……反面、《抗争地点に歩を打ち、自分の駒の進路を埋めてしまっているので、捌けない》………
この将棋も、まだ中盤の第1図で既に107手。
先手玉7七の歩も楔はあるものの、一応、穴熊。後手陣は攻略はされていないものの、金銀が上ずらされている。先手の1歩損だが、2歩を持っているし、大きなマイナス要素ではない。
形勢は互角に近いかもしれないが、先手が勝ちやすそうだ。
数手進み、第2図。
叩きたくなる歩打ちだが、ここでは普通に▲3四歩、あるいは、捻って▲5三歩と打ちたい。
私が後手なら、▲2三歩(第2図)には、”これ幸い”と△5二飛と飛車を転回する。まあ、直後に▲5三歩と叩かれる手があり、簡単ではないが、この2三の歩は、先手の飛車の進路を塞いでおり、飛車を回られると、“しまった!”と思うのではないだろうか。
ところが、後手は△2三同飛。5二へ展開するのとは逆に、飛車の可動域が狭くなり、感覚的には受け入れにくい。
“水匠”その他の人間離れした超人が視ると、私の大局観や感覚など、全く関係ない形勢判断をするかもしれないが、この2手のやり取りは、賛同できない。
数手進み、第3図。
▲3四歩の叩きに、△3二飛と逃げたところである。
ここで、和田女流1級にかっこいい手が出た。
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