平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

蜜の味 最終回~純粋な感情というのは残酷である。

2011年12月23日 | 恋愛ドラマ
 人はどうして愛するんでしょうね。
 きついし、心の中は常に嵐が吹き荒れているし。
 直子(榮倉奈々)と雅人(ARATA)のようにすべてを失ってしまうし。

 次の彩(菅野美穂)のせりふが<愛>というものの本質を語っているように思える。

 「私は、いったい何と戦っていたんだろう?あの人たちをもう少し早く自由にしてあげていれば私の心も楽だったかもしれないのに」
 「天井が流れてくようなものすごい目まいがして、色々な思い出も色々な感情も全部流していったからかな」

 恋愛は熱病のようなものと表現したのは、たしかシェ-クスピアだったと思うが、たぶん恋や愛の熱情から醒めてみれば、彩のような感想が出て来るように思う。
 自分は何であんなに苦しんでいたんだろうって。
 嵐が過ぎ去った後には何て穏やかな日々があるんだろうって。

 それにしても、愛のパワーというのは凄まじい。
 第1話の感想でも書きましたけど、普通の高校生の直子に医学部合格をさせ、医者にしてしまうほどのパワーがある。
 このパワーはプラスに働けば有効だが、マイナスに働けば、直子たちのように、今まで持っていたものや医者としての未来など、すべて破壊し尽くす力になる。

 「私が恋愛できない理由」の恵美(香里奈)や咲(吉高由里子)は、破壊に至る前に一歩踏みとどまる。
 恵美は、彼の夢につき合ってアメリカに行くことは自分の夢を否定することになると考えて、アメリカ行きを断る。
 咲は、相手の家庭を壊すことは考えない。
 「蜜の味」の直子たちに比べたら、恵美たちははるかに聡明で軽やかだ。理性的客観的に物事を見ることができる。
 まあ、そういう人間だからこそ恵美たちは「恋愛できない」のかもしれないが。

 まとめます。
 今まで述べてきたことは、次の彩のせりふに集約される。

 「あなたの一途さは、そういう残酷な一途さなのよ。自分の感情を理性でコントロールできる人間だけが、人生の勝者になるのだと信じてきた私があなたに負けたのは、あなたの一途な強さ、理性を超えた純粋さにかなわなかったからよ」

 理性は純粋な感情にかなわない。
 後者の方が圧倒的なパワーがある。
 しかし、純粋な感情というのは、危なっかしくてエゴイスティックだ。
 彩の言葉を借りれば<残酷>だ。
 <純粋>は決していいことではない。

 <理性>の彩と<純粋な感情>の直子。
 彩は大学病院、直子は愛する人と戦場。
 どちらが幸せなのだろう?
 ラストカットの戦場で眠るふたりの姿は、幸せなのか不幸せなのか?
 観る人の考え方に拠って、意見が分かれる所でしょうね。

 ちなみに僕は理性派。理性で自分をコントロールしたい。
 それも彩というよりは、「私が恋愛できない理由」の恵美や咲くらいの軽やかさで。
 物事は<ほどよく適当>くらいがちょうどいい。


コメント
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