平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

秋元康、AKB48を語る~30%の伸びしろ

2011年12月29日 | アイドル
 先週の「笑っていいとも!」に秋元康さんが出ていた。
 <会場の100人の女性がスイッチを持っていて、ひとりに該当する質問を出すと、携帯ストラップもらえる>というアンケートコーナー。
 三年前に秋元さんが出演した時に出した質問は次のようなものだった。
 『カラオケでAKB48の歌を歌ったことがある人』
 結果は『1人』。
 これで秋元さんは携帯ストラップを獲得したわけだが、三年前のAKBって、この位のアイドルグループだった。
 そして今回、秋元さんは試みに同じ質問をしてみた。
 『カラオケでAKB48の歌を歌ったことがある人』
 すると結果は『70人』。
 何と三年間で70倍になったわけだ。

 この70という数字をどう見るかは、面白い。
 今の勢いからすると少ないと見る人、アルタの100人の女性すべてがカラオケに行くわけではないから妥当と見る人、さまざまであろう。
 秋元康さんはこんなコメントをしていた。
 「ということは、あと30人の伸びしろがあるわけですね」
 見事なマーケティングセンスである。
 残り30人を獲得すれば、AKB48はさらに伸びると読んでいる。

 実際、今年のAKB48はすごかった。
・シングル売り上げでトップ5を史上初めて独占。
・年間売り上げ162・8億円はSPEEDが持つ女性グループ史上最高記録を更新。
・オリコン年間部門で7冠を達成。
 シングル、アルバム、ミュージックDVD、ブルーレイの音楽ソフト総売上金額「アーティスト別トータルセールス」、シングル部門「売り上げ枚数」「売り上げ金額」「アーティスト別売り上げ金額」、ミュージックブルーレイ部門「売り上げ枚数」「売り上げ金額」「アーティスト別売り上げ金額」の7部門。

 堂々たる数字である。
 ただ一方で、頂点を極めたという感じも否めない。
 メンバーたちもよく口にするように「いずれはブームが去り、落ちる時が来る」。
 子供たちが支持しているというのは層の厚さがあって心強いが、さて、来年はどうなるか?
 秋元康さんは、ファンの反発を買うことを覚悟してAKBの大改革をやるそうだが、果たして現在の70%を確保しつつ、残りの30%を取り込むことが出来るか?
 『笑っていいとも!』で秋元さんは、ジャカルタなどで展開している48グループをさらに全世界に展開していき、
 「世界規模の『総選挙』を行いたい」
 「テレビの音楽番組などで司会が『本日はAKB48の皆さん、2000人が会場に来ています』と紹介するようなグループに育てたい」
 とおっしゃっていたが。
 プロデューサー手腕の見せ所である。

 そしてAKB48の物語は今後も続いていく。
 われわれファンもそれに参加していく。
 出来れば、今年はレコード大賞の大賞を獲らせてあげたいが、どうだろう?
 実績から言えば十分なのだが、レコード大賞の選考委員って頭が硬そうですからね。

※追記
 AKB48はついに2011年のレコード大賞を受賞した。
 たかみなの涙には感動したな。本当にがんばってきたから。
 さて、歌手として一応の頂点を極めたここからがポイントである。
 このまま少しずつ落ちていくのか、秋元さんのイメージどおり世界規模の総選挙が行えるくらいのグループになるのか。
 そしてわれわれファンはそのどちらであっても彼女たちを見ていく。
 物語を共有していく。


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ラブ・アクチュアリー~お洒落な会話でいっぱいの佳作!

2011年12月28日 | 洋画
 クリスマスは「ラブ・アクチュアリー」を観る。
 この作品には、愛とお洒落な会話が溢れている。

 たとえば、首相と秘書。
 首相は新任の秘書のことが気になっていて、こう尋ねる。
 「君は誰と住んでいる? 恋人? 夫? 子供三人?」
 「両親と住んでいますわ。恋人とは別れました。私のことを太ってると言ったから」
 「その男を首相の権限で、狙撃手を使って暗殺してやろうか」(笑)

 恋に悩む首相はサッチャー元首相の肖像画に尋ねる。
 「どうしたらいいんでしょう?」
 そして、何も答えない肖像画のサッチャーに対して、こうつぶやく。
 「鉄の女には無理か」(笑)

 気になっている秘書が首脳会談でやってきたアメリカ大統領に誘惑された時には、記者会見でこうアメリカに怒りをぶちまける。
 「われわれはアメリカには屈しない。英国は小国だが、偉大な国だ。われわれには偉大なものがある。シェークスピア、チャーチル、ビートルズ、ショーン・コネリー、ハリー・ポッター、それにベッカムの右足」(笑)

 何というユーモアだろう!

 下ネタのユーモアもある。
 破天荒でメチャクチャな老ロックシンガーがインタビューを受ける。
 「今までで最高のSEXの相手は?」
 「ブリトニー・スピアーズ」
 「本当ですか?」
 「ウソだよ。最低だった」(笑)

 こんなのも。
 「この曲がNO.1になったら、TVで素っ裸になって歌ってやる。下見するかい?」
 と言って、ズボンのファスナーを下ろすロックシンガー。
 すると司会はズボンの中のモノを見てつぶやく。
 「NO.1にはなれない」(笑)

 会社社長と女性社員はこんなお洒落な会話をする。
 「君はここに勤めてどれくらいになる?」
 「2年と7ヶ月、3日と3時間ですわ」(笑)
 「私のことを好きになったのは?」
 「2年と7ヶ月、3日と1時間半ですわ」(笑)

 そして作家と家政婦。
 作家がタイプライターで打ち出した原稿が、家政婦の不注意で風で飛んで湖の中へ。
 家政婦は冬の寒い中、湖に飛び込んで原稿を拾う。
 その時に家政婦は言う。
 「駄作だったら許さないわ」(笑)

 ふたりの恋が深まってからはこんな会話。
 毎日夕方家政婦を駅まで車で送っている作家は車の中でこう言う。
 「君を送る時が一日で一番楽しい」
 すると家政婦
 「あなたに送られて別れる時が一番悲しいわ」

 作家が家政婦にプロポーズした時は
 「返事を聞かせてほしい」
 「……もちろんYESよ。簡単な質問だわ」
 一見、普通のやりとりだが、<簡単な質問だわ>をつけ加えることでお洒落になっている。

 このように「ラブ・アクチュアリー」にはお洒落な会話がいっぱい詰まっている。
 リチャード・カーチスの脚本は本当に上手い。

 この作品では音楽の使い方も上手かった。
 亡くなった妻を弔う教会で、夫は妻の好きだった曲を流す。
 それはベイシティ・ローラーズの「バイバイ、ベイビー」。
 聖歌とかでなく、まさかここでベイシティ・ローラーズを持ってくるとは!
 おまけに教会にはスクリーンが設置されていて、生前の妻の写真が「バイバイ、ベイビー」の曲をバックに次々と映されていく。
 このシーンは泣ける。

 というわけで、「ラブ・アクチュアリー」は一年に一度は観たい、特にクリスマスにふさわしいお洒落な作品です。


 以前に書いた「ラブ・アクチュアリー」の過去記事はこちら。





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注目の美女たち~木村文乃さん、野波麻帆さん、本田翼さん!

2011年12月27日 | 監督・俳優・歌手・芸人
 先週放送していたバラエティ「ずっとあなたが好きだった」

 フルーツポンチの村上さんは、好きな女性として、木村文乃さん、野波麻帆さんをあげていた。
 名前だけだとピンと来ないが、最近の出演作を聞くと顔が浮かんでくる。

 木村文乃さんは、ドラマ『蜜の味』で頼陽華(ライライ)役を演じていた。
 物怖じしない陽気な中国人女性の演技が見事だった。
 それにドコモのスマートフォンのCM。
 桑田佳祐さんが、OL役の木村さんのスマートフォンになるというCM。
 軒下に桑田さんと雨宿りしている映像が渋くてよかった。
 バックに流れている曲は『明日へのマーチ』。
 地味な顔立ちの印象だが、実にきれいな方。
 だがフルポンの村上さんいわく、化粧品のちふれのCMの彼女は別人で華やかだとのこと。
 今度、注意して見てみよう。
 男は女性の化粧品のCMは注意して見ませんからね。

 野波麻帆さんは『家政婦のミタ』。
 誰を演じていたかというと、恵一の不倫相手の風間美枝役。
 こう聞くと顔が浮かんでくる。
 目鼻立ちがはっきりしていて、ハーフのような印象の美女。
 その他には映画『モテキ』などにも出演されているらしい。

 ピース又吉さんがラブコールを送っていたのは、モデルの本田翼さん。
 ダイドーコーヒーのCMで、オーディションを受けにいく女の子を演じていた。
 「本田翼です!」とCM中で叫んでいたから、印象に残っている方も多いだろう。
 そして、本田さんと又吉さんは相思相愛?
 実は本田さん、前回の「ずっとあなたが好きだった」に出演されて「憧れの人は又吉さんです」と宣言したのだ。
 何とうらやましい!
 このふたりの関係はどう発展していくか。

 というわけでTVの中には美女が溢れている。
 前回、このブログで紹介した忽那汐里さんや剛力彩芽さん(「注目の女優! 忽那汐里さん、剛力彩芽さん」)もそう。
 今まではドラマでチェックしていたが、CMにも存在しているのだから気が抜けない。
 『家政婦のミタ』では忽那さんには注目していたが、野波さんまでは目が届かなかった。
 『蜜の味』でも榮倉奈々さんと菅野美穂ばかり見ていて、木村さんを忘れていた。
 何という不覚!
 そして、木村文乃さん、野波麻帆さんをしっかりチェックしていたフルポン・村上さんはさすがである。

 というわけで繰り返すと
 TVの中には美女が溢れている。一瞬たりとも気が抜けない。


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坂の上の雲 「日本海海戦」~お世話になりました。これからひとりで往きますから。

2011年12月26日 | 大河ドラマ・時代劇
 真之(本木雅弘)は揺れる。
 海戦史上、最高の大勝利をしたにもかかわらず、その顔は晴れやかでない。沈痛だ。
 日本海海戦の後の、真之の生涯は<抜け殻>のようなものだったのだろう。
 「わしは少しは世の中のお役に立てたのじゃろうか」と真之は問い続ける。

 横浜に連合艦隊が凱旋する時、真之は子規(香川照之)の墓を訪ねる。
 凱旋の日に訪ねたというのが象徴的だ。
 真之にとっては、日本海海戦での勝利は祝福されるべきものではないのだ。
 むしろ真之は子規のような生き方をしたかったのかもしれない。
 漱石(小澤征悦)は、文学に生きる自分の無力を感じ、軍人・真之をうらやましく思ったが、真之はその逆だったのではないか?
 真之は文学に生きたかった?

 そのことは後に言及される真之の文才にも現れている。
 『連合艦隊解散の辞』
 「武人の一生は連戦不断の戦争にして……」と書かれた真之の文章は、後の<規範となった文章>であるとナレーションは語る。
 「天気晴朗なれども、浪し」も真之の文章だ。
 子規が俳句を遺したように、真之も「天気晴朗なれども、浪し」という名文を遺した。

 真之が『連合艦隊解散の辞』を書いたのも象徴的だ。
 これで真之は、気持ちの中で<海軍>と<軍人である自分>から決別したのであろう。
 その後は、最初に書いたように<抜け殻>の人生。

 軍人である自分からの決別は、真之の最期の言葉にも表れている。
 「皆さん、お世話になりました。これからひとりで往きますから」
 何と普通の言葉であろう。
 「ひとりで往きますから」は文学的であるが、「お世話になりました」は一般的な言葉。
 軍人である自分から決別した真之は、普通の人間として生きたのだ。
 それは死の床で「馬引け、行くぞ奉天へ」と満州の荒野をさまよった好古(阿部寛)とは対照的だ。
 好古は最後の最後まで<軍人>だった。

 普通の人間として生きた真之の姿勢は、子規の墓誌の言葉にも通じる。
 子規の墓誌は、文学者としての自分の業績を書き綴ったものではなかった。
 墓誌の草稿に描かれていたことは、100巻以上も刊行された「ホトトギス」を作り、日本の短歌を芸術にまで高めた男の生涯ではなく、月給40円をもらって新聞社で働き、病気になってからは母に養われて生きたひとりの男の姿だった。
 真之も、この子規の姿勢に共感して<普通の人間>として、残りの人生を生きようと思ったのではないか。


 この作品のタイトルは「坂の上の雲」。
 一片の白い雲のみを見つめて、坂をのぼっていった男たちの物語。
 しかし、真之は坂を下った。
 真之が子規の墓参りをした後に、ナレーションはこう語る。
 「子規の墓前を後にした真之は雨の坂を下った。
  道は飛鳥山、川越へ通じる旧街道である。
  真之はふと三笠の艦橋から見た、あの日の日本海の海原を思い出した」

 坂を下った真之。
 これは、無邪気に坂をのぼっていった男たちの物語の終焉を意味する。
 こうして明治という時代は終わったのだ。


※追記
 この作品のラストのせりふは好古の妻・多美(松たか子)の「あなた、馬から落ちてはいけませんよ」。
 いろいろに解釈出来るせりふだが、陸軍大将にまで昇りつめた勇壮な好古がこんなふうに言われてしまうことが、どこかユーモラス。
 結局、女性は強く、男は女性の掌の上で子供のように遊んでいるだけのように思える。


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蜜の味 最終回~純粋な感情というのは残酷である。

2011年12月23日 | 恋愛ドラマ
 人はどうして愛するんでしょうね。
 きついし、心の中は常に嵐が吹き荒れているし。
 直子(榮倉奈々)と雅人(ARATA)のようにすべてを失ってしまうし。

 次の彩(菅野美穂)のせりふが<愛>というものの本質を語っているように思える。

 「私は、いったい何と戦っていたんだろう?あの人たちをもう少し早く自由にしてあげていれば私の心も楽だったかもしれないのに」
 「天井が流れてくようなものすごい目まいがして、色々な思い出も色々な感情も全部流していったからかな」

 恋愛は熱病のようなものと表現したのは、たしかシェ-クスピアだったと思うが、たぶん恋や愛の熱情から醒めてみれば、彩のような感想が出て来るように思う。
 自分は何であんなに苦しんでいたんだろうって。
 嵐が過ぎ去った後には何て穏やかな日々があるんだろうって。

 それにしても、愛のパワーというのは凄まじい。
 第1話の感想でも書きましたけど、普通の高校生の直子に医学部合格をさせ、医者にしてしまうほどのパワーがある。
 このパワーはプラスに働けば有効だが、マイナスに働けば、直子たちのように、今まで持っていたものや医者としての未来など、すべて破壊し尽くす力になる。

 「私が恋愛できない理由」の恵美(香里奈)や咲(吉高由里子)は、破壊に至る前に一歩踏みとどまる。
 恵美は、彼の夢につき合ってアメリカに行くことは自分の夢を否定することになると考えて、アメリカ行きを断る。
 咲は、相手の家庭を壊すことは考えない。
 「蜜の味」の直子たちに比べたら、恵美たちははるかに聡明で軽やかだ。理性的客観的に物事を見ることができる。
 まあ、そういう人間だからこそ恵美たちは「恋愛できない」のかもしれないが。

 まとめます。
 今まで述べてきたことは、次の彩のせりふに集約される。

 「あなたの一途さは、そういう残酷な一途さなのよ。自分の感情を理性でコントロールできる人間だけが、人生の勝者になるのだと信じてきた私があなたに負けたのは、あなたの一途な強さ、理性を超えた純粋さにかなわなかったからよ」

 理性は純粋な感情にかなわない。
 後者の方が圧倒的なパワーがある。
 しかし、純粋な感情というのは、危なっかしくてエゴイスティックだ。
 彩の言葉を借りれば<残酷>だ。
 <純粋>は決していいことではない。

 <理性>の彩と<純粋な感情>の直子。
 彩は大学病院、直子は愛する人と戦場。
 どちらが幸せなのだろう?
 ラストカットの戦場で眠るふたりの姿は、幸せなのか不幸せなのか?
 観る人の考え方に拠って、意見が分かれる所でしょうね。

 ちなみに僕は理性派。理性で自分をコントロールしたい。
 それも彩というよりは、「私が恋愛できない理由」の恵美や咲くらいの軽やかさで。
 物事は<ほどよく適当>くらいがちょうどいい。


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家政婦のミタ 最終回~満月が象徴するもの

2011年12月22日 | ホームドラマ
 劇中、何度か<月>が出て来る。
 この月が象徴するものは何だろう?
 おそらくは三田さん(松島菜々子)。

 月は荒涼としている。生命がいない。自分では輝けない。
 それは心が死んでしまった三田自身でもある。
 だが、一方で月は太陽の光を受けて、夜に人々をやさしく照らす。
 この場合、太陽の光とは阿須田家の人々。あるいは心がイキイキと動いて生きている人間。
 三田は、生きて、悩み苦しんでいる人達の光を受けて輝き、これら苦しんでいる人たちを明るく照らすのだ。
 まさに月のように。

 この作品には、その他にもたくさんの象徴がある。
 <北極星>もそう。
 劇中で具体的に語られていたが、これは<家>の象徴。
 いつも動かずにあって、どんなに迷っていてもここに戻ってくれば、自分を見出せる場所。救われる場所。
 上手い象徴表現だ。

 希衣の<石>もそう。
 これは家族ひとりひとりの象徴。
 この石の出入りが離れたり元に戻ったりする家族を表し、上手い小道具にもなっている。

 登場人物たちの名前も全部意味がある。
 結、翔、海斗、希衣……。
 子供たちの名前には、家族を<結ぶ>とか、家族に何かがあったときは<翔けつける>とか<解答を出す>とか、家族の扉を開く<鍵(キイ)>になるとかの意味があった。

 三田灯の<灯>も、周囲の人々に灯りをともすという意味が込められているのだろう。
 <三田>にも意味が込められているというのは意外だった。
 三田=サンタ=サンタクロース。
 少しこじつけの感じもするが、12/25が誕生日であること、灯がキャンドルを連想させることなども含めて、<三田灯>という名前にはどこか<クリスマス>の雰囲気。

 <うらら>という名前もなかなか深い。
 辞書に拠ると
 ①空が明るく晴れて、日がのどかに照っているさま。
 ②心にわだかまりがなく、晴れ晴れと明るいさま。とある。
 これはまさに、うららちゃん(相武紗季)そのもの。
 今回の最終回で、どちらをお母さんにするかで三田と対立したように、うららは三田と正反対の、対照的なキャラクターだった。
 うららは、すべてが完璧な三田と違って、アバウトで失敗ばかり。
 しかし、三田が持っていないものをすべて持っている。
 それは三田のこのせりふに象徴されている。
 「『私がなんとかするから』『人を憎むより、好きになって欲しい』『大丈夫だよ。ハートでぶつかっていけば』。今まであなたが言ってきたことは全部正しいんです。ただ伝え方が間違っているだけです。今までのようにあなたがババを引いてあの家族にふりかかる災いをすべてはね返してください。そして最後には、いつもあなたの笑顔でみんなを包んでください。あなたは私のようになっては、絶対ダメです」
 三田が<月>なら、うららは<太陽>なのだ。

 このようにさまざまな<象徴>に溢れている「家政婦のミタ」。
 内容もそうですが、登場人物の名前など、実によく作り込まれていることも大ヒットの要因かもしれませんね。


※追記
 「わたしはこれからも夫と息子を死なせた十字架を背負っていきます。しかし、皆さんのおかげで取り戻すことの出来た小さな灯りとともに生きていこうと思います」
 三田さんの十字架は消えてなくなることはないんですね。
 安易な解決にしなかったことに好感を持ちます。

※追記
 「奇跡とは普通に考えれば絶対起きない出来事が、そうなって欲しいと願う人間の強い意志で起きる出来事です。自分には無理だと諦めている人には絶対に起きません」 
 隣のおばさんに三田が言った言葉。
 この前に、恵一(長谷川博己)もこう言っている。
 「大丈夫ですよ。僕のような最低の父親でも、この子たちを取り戻すことができたんですから」
 ダメ男だった恵一も<自分の言葉>を取り戻すことができたんですね。
 しかも三田が口を開こうとした瞬間に、恵一は言った。
 三田さんはこのことで「阿須田家はもう大丈夫だ」と思ったのでしょうね。

※追記
 最終回の平均視聴率は40・0%(関東地区)。
 同日までの今年のテレビ番組の視聴率では最高。
 連続ドラマで視聴率が40%台になったのは、2000年3月に放送されたTBS系「ビューティフルライフ」の最終回(41・3%、関東地区)以来11年ぶり。
 瞬間最高視聴率は主人公が派遣先の家族と別れるクライマックスの42・8%。

 すごいですね。
 冒険をしない安全な内容(言葉を換えれば、ありきたり)、豪華な役者さんを揃えればOKと考えているテレビ関係者には、学んでほしい所です。


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謎解きはディナーのあとで 最終回~お嬢様は素敵な女性でいらっしゃいますね。

2011年12月21日 | キャラクター
 「お嬢様は素敵な女性でいらっしゃいますね」
 麗子(北川景子)は、サンタクロースがいると信じていた。
 「早く帰って大きな靴下を吊さなきゃ」と心配する麗子は、とても可愛い。

 僕は麗子みたいなキャラクターが好きです。
 喜怒哀楽がはっきりしていて、単純明快!
 風祭警部(椎名桔平)の天然ボケには的確にツッ込むし、影山(櫻井翔)の上から発言には無気になって対抗しようとする。
 今回は何とか<初勝利!>と勝ち取ったし、「クビよ、クビよ、クビよ、クビよ」は僕の中ではマイブーム!

 こんな麗子お嬢様に対し、他のドラマの主人公たちは複雑だ。
 <恋愛できない理由>を探し、<居場所>や<自分>を探し、<悲惨な過去>から抜け出すことが出来ず、<愛>のためにドロドロな戦いを展開する。
 ドラマの性質が違うと言ってしまえばそれまでですが、僕は麗子のシンプルさが好きです。
 何と言ってもドラマを見ていて疲れない。
 先程書いた麗子お嬢様の秘密だって、実は<血が繋がっていない子で>とか、<不治の病に冒されていて>とかだったら、全然お洒落じゃない。
 やはり<サンタを信じている>が一番しっくりくる。
 それに麗子お嬢様には、犯人に対する<共感力・やさしさ>も、毎回影山がラストで「お忘れなきよう」と語る教訓話を真摯に聞く<素直さ>もありますし。

 というわけで、
 悩まない、自分の気持ちに素直な、シンプルで可愛い麗子お嬢様は、素敵な女性でいらっしゃいますね。


 以下は、麗子お嬢様の邸宅のロケ地、旧岩崎弥太郎邸。










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南極大陸 最終話~犬たちは立派でした。

2011年12月20日 | その他ドラマ
 最終的には犬たちと倉持(木村拓哉)の話になってしまった。
 第1話で描かれていた敗戦国・日本の誇りや仲間たちとの友情、美雪(綾瀬はるか)との恋愛?といった話もトーンダウン。
 後半は氷室(堺雅人)を始めとする仲間たちは皆、協力的になってしまい、倉持との対立軸がなくなってしまいましたからね。
 どうしてもドラマとして薄くなる。
 星野(香川照之)が第三次越冬隊を譲ることも、氷室が南極観測のために政治的に動くことも予想できてしまったし。

 予想できると言えば、おそらく視聴者のほとんどは太郎と次郎が生きていることを知っている。
 あるいはインターネットなどで情報として知らされている。
 なので、ドラマを見る興味としては半減。
 結末がわかっているドラマを見るほど、視聴者はヒマではない。他に見たいものはいくらでもある。
 唯一、見る動機としては、犬たちとの再会がどう描かれるか?
 そして描かれたのは、木村拓哉さんのひとり芝居。
 死んだ犬たちとのシーンでは、途中、他の登場人物が挿入されるシーンが何度かあったが、基本的にはひとり芝居。
 雪を掘り、死んだ犬たちを見て悔しがり、首輪の先に犬の遺体がないことを喜ぶというひとり芝居。
 「チェンジ!」でも総理大臣役の木村さんはラストで演説というひとり芝居をしましたが、スタッフは木村さんにひとり芝居をさせたがりますね。
 木村さんとしては役者冥利に尽きると思いますけど。
 そして、そのひとり芝居が終わると、太郎、次郎とのやりとり。
 第一話であれだけ沢山いた登場人物が最終的には、倉持と太郎、次郎だけになってしまった。
 いろいろ様々なことが描かれてきましたが、結局、これがこの作品の本質部分。

 過酷な自然の中、懸命に生きた犬たちは立派でした。
 この作品、主役は犬たちですね。
 逆に人間たちはだらしなくて、内輪もめをしたり、官僚主義で守りに入ったり、全く立派でない。
 敗戦国・日本の誇りを取り戻すという思いも、犬たちの生きる姿に吹き消されてしまった。
 そして最後は、<犬たちから学んで、自分たちも負けずに生きよう>というメッセージになっている。
 本当に人間はだらしない。
 うがった見方をすれば、犬たちにとっては迷惑な話だ。
 人間のつまらぬ情熱や見栄のために南極に連れて来られて、置き去りにされて。
 結局は人間のエゴの犠牲者?


 ということで、氷にはばまれて身動きがとれない砕氷船・宗谷の姿は、日本の誇りどころか、閉塞感にとらわれ停滞している現在の日本の姿に見えてならない。
 おっ、このたとえ、なかなか上手くないですか?


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坂の上の雲 「敵艦見ゆ」~天気晴朗なれども、浪し。

2011年12月19日 | 大河ドラマ・時代劇
 「それもまた痛快よ」
 迫り来るロシア軍の大軍を前にしての秋山好古(阿部寛)のせりふ。
 騎兵がもたらした情報を無視して援軍を送らない満州軍本部。後に「こんなことはいかんのだ」と語ったように、この時、好古は援軍が来ないことに関して怒り心頭であっただろう。
 それを押し殺して「痛快よ」と語る強さ。
 実に格好いい。人間、こうありたいものだ。
 私などは目の前のことにすぐ一喜一憂してフラフラしているものですから。
 「人生を単純にする」という生き方も学びたい。
 好古は<騎兵を育てること>のみを人生の課題にして、その他のことは捨てて来た。
 私などは、あれもこれもと思い惑い、結局すべてが中途半端に終わる始末。
 好古のシンプルな生き方は実にさわやかで潔い。

 奉天会戦の帰趨は、児玉(高橋英樹)とクロパトキンの考え方の違いに拠る所が大きいだろう。
 児玉は軍事的勝利ではなく、<六分四分>に戦況を持っていくことを目指した。
 60%優勢の状況に持っていけば、国際世論が変わり、ロシアも国内情勢から軟化し、和平交渉に持ち込める。
 児玉はそう考えた。
 一方、クロパトキンは完全勝利を目指した。
 そのためにリスクを冒して秋山支隊を攻めることをせず、いったん軍を奉天から引いて、後に大軍に拠って日本軍を攻め滅ぼそうとした。
 この戦略思想の違いだろう。

 このことは、おそらく、この作品が伝えたかったことであろう次のテーマに繋がる。
 すなわち<無謀な太平洋戦争>との違い。
 太平洋戦争の軍部は、戦況を<六分四分>に持っていき、優勢の中で<和平交渉>に持って行くという考え方がなかった。
 開戦当初、山本五十六などはその考え方を持っていたようだが、軍部はどんどん戦線を拡大していった。
 一方、明治政府は、ナレーションにもあったとおり、日露戦争が<国家財政的に無謀な戦争>であること、<三年四年と長引けば国が死滅すること>を認識していた。
 この戦争観において、どちらが聡明であったかといえば、やはり明治政府に軍配があがるだろう。
 もちろん、これは現在だから言えることで、太平洋戦争のまっただ中では、なかなか情勢を客観的に見られなかったとは思うが。

 秋山真之(本木雅弘)は、兄・好古のような剛胆さはなかったようだ。
 バルチック艦隊が対馬から来るか、太平洋をまわって津軽海峡から来るか?
 真之は迷い、あせる。何度も艦隊を津軽海峡に移動させるよう進言する。
 自分が判断を間違えれば、この戦争の結果が違ってくる立場にいたのだから相当なプレッシャーだったとは思うが、真之は実に真摯だ。余裕がない。
 一方、こんな真之をフォローするのが、上官である島村速雄(舘ひろし)や東郷平八郎(渡哲也)だ。
 迷う真之に島村は冗談めかして言う。
 「遅い遅いとキリキリするのは、まるで巌流島の小次郎じゃき」
 東郷は「対馬を来るというから来るんじゃろう。通るというから通るんじゃろう」
 これは、<バルチック艦隊が対馬から来ると判断したのはすべて自分の責任、真之はただ作戦のみに専心しろ>という東郷の思いの表れであろう。
 こういう上司がいると部下は助かる。安心できる。
 それは児玉が好古に「神速でもってやれ。それが騎兵の本分じゃろう。存分にやれ」と激励したのにも似ている。
 あと、付け加えると、真之は<参謀向き>ですね。
 兵たちの前では暗い顔を見せるし、「俺について来い」という司令官向きではない。人望も仲間から「また、秋山の奇行が始まった」と揶揄されていたし。

 そして日本海海戦。
 「本日、天気晴朗なれども、浪し」と電文に付け加える真之。
 Z旗があがり、東郷が「皇国の興廃この一戦にあり」と宣言する。
 ある意味、日露戦争の名場面!
 彼らは命を奪い合う戦争をしているんだと思いながら、こういうシーンに胸が躍るんですよね、男の子は。
 戦いの姿が、肉体をリアルに感じさせる陸軍でなく、艦隊戦の海軍だからかもしれない。


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江頭2:50名言集PART2~俺の夢は、のたれ死にだ!

2011年12月16日 | 名セリフ・名言集
 江頭2:50名言集、前回は芸人論だったが、今回は人生論。
 以下の言葉は、どれも鋭い。力を与えてくれる。

★幸福は自己満足。不幸は被害妄想。
 クールな物の見方ですね。幸福も不幸も一刀両断。
 でも真実。
 現在、自分を不幸だと思っていたら、自分は<被害妄想>に囚われているんだと思えれば楽になる。
 幸福になるためには、美味しいものを食べたり、ちょっとぜいたくをしたりして<自己満足>すればいい。
 こんな幸福論もある。

★笑えてるやつには、笑えるという幸せを、幸福を知って欲しい。
 これは現実の肯定。
 たとえばお笑い番組を見て笑えれば、その瞬間は幸せなのだ。楽しいのだ。
 それをじっくり味わい、噛みしめて生きていくことが大切なのではないか。
 
★どんなに美しい夢であっても、叶えられぬ者にとっては悪夢だ。
 これもクールな言葉ですね。
 歌やドラマは<夢を持とう>と語るけれど、叶えられない場合のつらさ、悪夢は語らない。
 こういう夢の持つ別の面を認識することで、人は強く生きることが出来る。
 こんな言葉もある。

★謙虚と臆病を間違えるな!日本人!!

 なるほど!
 こんな言葉も真実。

★人は生きる上で笑われる者になるか、笑う者になるか…選ばなきゃならないんだよ。
 個人的には<笑われる者>になりたいかな。<笑う者>って上から目線で偉そうだし。
 笑いに関しては、こんな言葉もある。

★ただ笑わせたい。 だって気持ちいいですもん。
 江頭さんは<笑われる者>になる道を選んだが、<笑わせる者>でもある。
 偉そうに上から人を笑おうとする者を、自分の力で笑わせることが出来た時、<笑われる者>は<笑う者>より上に行くことが出来る。
 これは<笑われる者>の密かなプライドでもある。

 江頭さんには、こんな叱咤激励の言葉もある。

★やろうと思ったら今すぐやれ!人生に保険なんてないんだよ!
★人生は何度だってリセットできんだよ。 俺を見ろ。笑え。 笑って泣け。
★あのね、目が前についてるのは前に進むためなんだよ。
★諦めた瞬間に老いは始まってるから。
★オレはお金ないからさ。体で払ってきただけなんだよ
 江頭さんは行動して人生を豊かに生きろと言う。
 ハングリーになれと言う。
 江頭さんのハングリーさは半端じゃない。何しろ……
★今日はね、オレ、神になるから!伝説じゃないよ、今日は。 神話に残す!
★これじゃ終わらねえじゃねえか!!俺が終わらせてやる!! 伝説作ってやるよ!!
 と語って<神><伝説>になろうとしているのだから。

 でも、これらの言葉を、熱く語り、自分の体を使って表現する江頭さんは<神>になるかもしれませんね。
 江頭信者がたくさん出てきて、神に祭り上げられる日が来るかもしれない。
 ご本人は嫌がるでしょうが。

 そして、これらの言葉を語る江頭さんの根底にあるのは、次の言葉だと思う。

★俺の夢は、のたれ死にだ!!

 この覚悟があれば人間、何でも出来る。
 というわけで、今後も江頭2:50さんの行動と言葉には目が離せない。

 江頭2:50名言集PART1はこちら。


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