平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

アイシテル ~海容~ 第3話

2009年04月30日 | ホームドラマ
 第3話

★智也(嘉数一星)への理解と共感が始まった。
 そうですね、人に対する時はどんな人間でも理解しよう、共感しようという所から入らなければならないですね。
 「死ね、人殺し」とペンキで書くのはそれを放棄している。乱暴な対人関係。

 さてその理解と共感。
 直接的に共感したのは家裁調査官の富田葉子(田中美佐子)。
 自分のために息子との時間をとれない葉子のことを智也は気遣っている。
 そして話始める智也。事件の佳境に入ると苦しくて話せなくなるが……。

 間接的に共感したのは母親のさつき(稲森いずみ)。
 カブトムシ。
 最初は自分の知らなかった智也の顔に戸惑うが、カブトムシの赤ん坊のことを思いやる智也に「やさしい子」を見出す。
 まだ道は遠いが、さつきはカブトムシを通して智也と繋がることが出来た。
 人と人が繋がるにはこんな間接的な方法もあるんですね。

★一方、聖子(板谷由夏)の一家
 時間が少しずつ傷を癒していく。
 聖子も料理を始めて、秀昭(佐野史郎)の妻であり、美帆子(川島海荷)の母親であることを取り戻そうとする。
 この点で人間というのは強い。
 まだ清貴(佐藤詩音)の皿を見たり、自転車に乗ってくる同年代の子を見ると傷口は開いてしまうが。
 聖子の行き着く先はどこか?
 また危機は家族をひとつにしますね。
 「十四才の母」でもそうだった。
 半ばバラバラだった家族がひとつになる。お互いのことを思いやる様になる。

 <人が苦難から立ち直る姿>、そして家族の再生を含めた<人と人が繋がる姿>は感動的ですね。
 この作品はストレートにそれを描いている。

※追記
 <海容>とは大きな包み込むような優しさという意味らしいが、その語源は<母親のお腹の中>という意味だろう。
 <海>であり<容>(=うつわ)ですからね。
 今回は土の中のカブトムシになぞらえて<母親のお腹>というイメージが出て来た。
 そう言えば「十四才の母」のオープニングは母親のお腹の中にいる登場人物たちでしたね。

※追記
 今回面白かったのは家裁調査官の葉子。
 彼女は健太の母親でありながら父親でもあるんですね。
 智也は葉子の男性的な面に惹かれている様。
 智也は父親を求めているのかもしれませんね。

 そしてその辺は次回。
 トイレを貸してキャッチボールをした後で生じた殺意。
 それはどの様なものだったのか?


 
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タロットカード殺人事件

2009年04月29日 | 洋画
★ウディ・アレンとスカーレット・ヨハンソン。
 このふたりがコンビになって『タロットカード殺人事件』の容疑者を追う。

 軽妙なミステリーコメディに仕上がっていますね。
 そしてウディのヨハンソンへのLOVE、崇拝が見え隠れする。
 役者として共演してせりふのやりとりをし、監督としてカメラを通して美しく描く。
 作品を作りながら、ウディは彼女と恋愛しているのかもしれません。
 そう言えば同じミステリーコメディの『マンハッタン殺人ミステリー』ではウディとダイアン・キートンのコンビでしたね。
 ダイアン・キートンにミア・ファローにスカーレット・ヨハンソン……ウディ・アレンは本当に美しい女性が大好きな様です。
 
★今回面白かったのは、ラストの死後の世界に行くウディの演じたマジシャン・シドニーですね。
 死神の乗る船に乗ってあの世に行くシドニー。
 彼は同じく死んであの世に行く同乗者にジョークを言う。
 「もし英国が左側通行でなかったら自分は彼女を助けてヒーローになっていた」
 シドニーは、ジャーナリスト志望のサンドラ(スカーレット・ヨハンソン)を助けるため車を走らせるのですが、英国がアメリカと違う左側通行なので自動車事故で死んでしまう。
 それをジョークにしたのがこのせりふ。

 ウディ・アレンが演じる人物はみんな常に死に脅えているのですが、このシドニーは自分の死を淡々と受け入れている。
 これはウディ・アレンの出した<死>に対するひとつの答えかもしれませんね。
 つまり
 『死なんてそんなに大したことはありませんよ。同じく死んで自分のジョークを聞いてくれる人もいるわけだし。そりゃあ、サンドラのヒーローになれなかった未練は少しはありますが』みたいな。

 そして若いサンドラはジャーナリストとして未来を生きていく。
 シドニーのことは心の片隅に少し残して。

 深読みするとこの作品はウディの死生観を描いている様な気がします。

※追記
 この作品でウディが演じているマジシャン・シドニーもいつもウディが演じている典型的な人物。
 小心でいつも女性に振りまわされていて、早口でジョークを連発。
 ジョークで相手を煙に巻くのは襲いかかる世界から自分を守る手段。


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勝間和代さんのノウハウ

2009年04月28日 | バラエティ・報道
 日曜日のサンデープロジェクトに今話題の勝間和代さんが出ておられた。
 その脳活性化術とは?

★怒らない、妬まない、愚痴らない
 なるほど、これらのマイナスの感情は何も生まないですからね。
 逆に怒った後とかって落ち込むし。
 このことに加えて勝間さんは次の様な意味を語っていらっしゃった。
 すなわち
 怒らない様にするにはどうしたらいいか?
 妬まない様に   〃        ?
 愚痴らない様に  〃        ?を考えることにより<問題処理能力>がつく。
 つまりこういうこと。
 例えば会社で実績をあげて昇進した同期の人間がいるとする。
 その人を妬むことは簡単。
 しかし何の成長もない。
 そこで妬まなくなる様にその人のいい所を探してみる。
 実績をあげているその人の仕事のやり方を真似てみる。
 そうすることによって自分が成長する。
 なるほど、その方が妬むよりもはるかに建設的だ。
 
★勝間さんのノウハウの真髄はこの様に<現状分析を常にすること>にある。
 妬んでいる現状について妬むだけでなく、さらに一歩進めて考えてみる。
 それは時間の使い方でも。

 勝間さんは時間を<投資>と<消費>の時間に使えと言う。
 <投資>の時間とは、文字どおり将来のために自分に投資するということ。
 本を読んだり、人脈を広げたり、体力を作ったり。
 <消費>の時間とは、現在を生きるためにお金を稼いだり、著述家であれば自分の持っているものを本としてアウトプットしたりすること。
 <投資>でインプットし<消費>でアウトプットするというわけだ。
 そして勝間さんが提唱する時間の使い方で一番やってはいけないのは<浪費>の時間。
 何も生み出さず自分の将来にもプラスにならない時間の使い方。
 漫然とテレビを見ている時間などはそうかもしれない。

 この様に勝間さんは目の前に流れている時間さえも分析の対象にする。
 すなわち<投資><消費><浪費>の時間。
 おそらく勝間さんの頭の中にはこの様な思考が働いているのだろう。
 「今の自分の時間の過ごし方は<投資><消費><浪費>のいずれかか?」
 そして今が<浪費>の時間だったらすぐに別のことをする。

 なるほどねえ。
 人の生き方には様々なものがあると思いますが、人生をより良く生きようとする人には勝間さんのノウハウはお薦めですね。

★最後に番組中勝間さんは次の様なことをおっしゃっておられた。
 勝間さんの最終目標は何か?と聞かれて
 「子供たちのために住みやすい、幸福度の高い日本にしたい。そのために自分は本を書き発言している」

 僕も勝間さんと同じ40代ですが、若者や子供たちのために自分は何をやれるかを考えなくてはいけませんね。


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天地人 第17回「直江兼続誕生」

2009年04月27日 | 大河ドラマ・時代劇
 『直江兼続誕生』

 迫る織田軍。
 武田が滅び、上杉包囲網が完成する。
 やはり危機はドラマを盛り上げますよね。
 狂気に囚われていく信長(吉川晃司)も見られたし。(信長の光秀面罵の場面は戦国ものでは欠かせない。「忠臣蔵」の松の廊下みたいなもの)

 信長にとって上杉の<義>は怖ろしいものだったんですね。
 <義>のために武田に援軍を出した景勝(北村一輝)。
 それに対して織田の家臣達は動揺する。
 <謙信公の威風><この世に残っていたすがすがしい行為>を世に示されたからだ。
 これは風向きを変えるのには十分。
 織田軍の侵攻は残虐ばかりで<すがすがしい風>が吹いていなかったから。
 自分たちの行為は正しいのかという疑念が生まれる。
 おそらく当時の民衆も支持したことだろう。

 そしてこの時景勝が武田を助けなかったら……?
 風向きは変わらず、天はきっと上杉を見放していただろう。
 上杉の兵達も胸を張って戦えなかっただろう。
 歴史のifではありますが。
 <すがすがしい行為>には気持ちを明るくする力がある。
 それはきっと<邪>を払う?

 ということでなかなか面白かった今回。
 ただせっかくいい素材なのにもったいない。
 もっとじっくり描けばよかったのに。
 「御館の乱」が<すがすがしく>なかったのだから、その対照として描けばメリハリがついてもっと盛り上がったはず。
 「御館の乱」の教訓を活かして<義>のために戦うことを決意した、みたいなドラマでもいい。
 上杉軍は主役なので<すがすがしい軍>であってほしいですね。
 しかし兼続(妻夫木聡)は……。
 「魚津城を見捨てろ」と進言。
 どうも兼続は現実主義者の様です。
 <義>の景勝に対し兼続は異を唱えて極端に突っ走らないようにする存在?
 このふたりがコンビだから上杉は生き残れたのかもしれませんね。
 皆が同じ方向を向いていたら調子がいい時はいいですが、調子が悪い時は滅びに向かってしまう。
 以前僕は『兼続には義がない』と書きましたが、作者は<義>とのバランスを取る存在として兼続を位置づけているのかもしれません。

※追記
 お船(常磐貴子)と夫婦になった兼続。
 今回は会えなかったが出会った時、どんな会話を交わすのか?
 なかなか楽しみ。


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必殺仕事人2009 第13話

2009年04月25日 | 大河ドラマ・時代劇
 『給付金VS新仕事人』

★新仕事人・匳(田中聖)の登場のさせ方がいいですね。
 小五郎(東山紀之)が仕留めるはずだったターゲットを先んじて仕留めた謎の男。
 その殺し技を含めてどんな男か期待が膨らみます。
 観ている者に想像させる。
 これって重要なことですね。

 それにしても匳の殺し技って!
 肩に足をかけて糸で首絞めて、実に複雑!
 <糸>という精細さと<肩に足をかける>という豪快さが同居しているのも面白い。

 他の仕事人の技と比較すると涼次(松岡昌宏)の技はシンプル。
 だから応用がきく。
 床下から刺したり、天井からぶら下がって刺したり。
 今回の様に着物を頭から被せて刺すということも出来る。
 しかし匳の技は……?
 応用がききづらい。
 今回の橋の下の様にひと目のつかない所に誘い込まなくてはならないし、しかも源太と違い体を密着させての近距離攻撃。
 プロレス技のウエスタンラリアットの様に技はシンプルな方がいいのかもしれません。
 匳と同様の技では髪の毛で首を絞めて殺す技がありましたね。
 侍が髷を解いて長いザンバラ髪で殺すやつ。

★さて話は変わりますが、今回のシリーズは<仕事人>ということにこだわっていますね。
 「善悪を裁くのは地獄の閻魔様のお役目だ。俺たちは銭もらって人の恨み晴らす薄ぎたねえ裏仕事だ。おめえ、それを忘れると人じゃなくなるぜ」
 主水(藤田まこと)が匳に言ったせりふ。
 仕事人は恨みに任せて殺したり、正義の化身になって殺してはいけないんですね。
 恨みや怒りに任せて殺せば心は<鬼>になってしまう。
 自らを正義と思えば<神>になってしまう。自分を<神>だと狂信する人間ほどいかがわしいものはありませんからね。
 だから彼らは金をもらう。
 金をもらう<仕事>として殺すからかろうじて<人間>でいることが出来る。
 こだわってますね。
 それは昨今心が<鬼>になってしまった犯人による殺人事件が連発しているせいでしょうか?
 オウム真理教事件の様な自らを<神>と過信してしまった事件が起きたせいでしょうか?

※追記
 小五郎と主水の殺しの違い。
 主水は相手に殺気を感じさせずに殺すのに対し、小五郎は殺気を感じさせてしまう。
 小五郎はまだ若いんですね。


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鳩山大臣の「最低人間」発言を考える

2009年04月24日 | 事件・出来事
鳩山総務相「許さない」草なぎ容疑者を「最低人間」(スポーツニッポン) - goo ニュース

 信用というものは一瞬で壊れてしまうものなんですね。
 草なぎさんが努力して積み上げてきたものを考えると残念でならない。
 これが芸人さんなら笑いのネタにも出来るだろうが、草なぎさんの背負っているものの大きさを感じます。

 さて今回問題にしたいのは鳩山総務大臣の会見。
 「絶対許さない」と言いながらこの人、目の奥が笑っている。
 東京中央郵便局の時もそうだったが、明らかにパフォマンス。
 これで自分をアピールしようとしていることが見え見え。
 自分は清廉潔白、物事に厳しい政治家みたいな。

 「とくダネ」で小倉智昭さんが言っていたが、中川大臣の時これだけ痛烈な批判をしたか?
 中川大臣の時も同様の発言をしていたのなら認めるが。

 ともかくこの人は自分より下の人間、弱い人間に対して居丈高。
 自分をアピールする道具としか考えていない。
 総務大臣の立場だったらまず詫びるべきでしょう。
 そして「こういう不祥事があったが何とか地デジ移行の理解してほしい」とコメントするのが筋。

 そう言えば結局、中央郵便局や簡保の宿のことはどうなってしまったのだろう?
 中央郵便局を建て替えて大きなビルにすることは僕は賛成。
 そのテナント収入で地方の赤字郵便局の維持に補填する。
 いいアイデアではないですか?
 僕は学生時代あの建物でアルバイトしていたが、あんなに大騒ぎするほど文化的価値のあるビルには見えなかったし。
 簡保の宿はオリックスへの入札のことは気になるが、結局現状のままで何も変わっていない。
 依然として赤字垂れ流し。
 鳩山総務大臣の発言はすべて言った切り。
 騒ぎを起こしただけで何も解決していない。

 話を今回の問題に戻すと、朝のワイドショーでは鳩山大臣の「最低人間」発言はカットされていましたね。
 この発言に関しては鳩山大臣に対する批判があがったそうですが、それを抑えるためのカット? 
 だとするとテレビマスコミも情けない。
 総務省の圧力に負けた?
 総務省は地デジを推進する所管官庁ですからね。テレビ局は弱い立場?

 いずれにしても今回の鳩山大臣の様な<威勢のいいパフォマンス>に騙されてはいけない。 

※追記
 昨日の日テレ「サプライズ」。
 草なぎさんの話題をふられて大竹まことさんは脱ぎだした。
 さすが大竹まこと。すごい毒。

※追記
 4/24 鳩山大臣は「最低の人間」と言ったことを謝罪した。


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アイシテル ~海容~ 第2話

2009年04月23日 | ホームドラマ
 第2話「禁断の葬儀」

 信じているものに裏切られるということはありますよね。
 さつき(稲森いずみ)の場合は息子・智也(嘉数一星)。
 ここで裏切られて信じられなくなってしまった智也を拒絶することは簡単。
 父・和彦(山本太郎)はそうしようとしている。
 だがさつきは……。
 智也と向き合い信じ抜こうとする。
 「智也君のこと好きですか?」
 これがこれからのさつきの物語。

 一般論になるが、人は常に<信じる><信じない>の葛藤をして生きている。
 自分を取り巻く人間を信用できるか出来ないか。
 さつきもまさにその状況。
 さつきのこれからの戦いはつらいものでしょうが、「いっしょに答えを見つけていきましょう」という家庭裁判所の調査官・葉子(田中美佐子)の存在や母や妹の存在は大きな支えでしょうね。
 そして<愛する>とは<信じる>こと。

 一方、聖子(板谷由夏)。
 彼女は自分を信じられなくなっている。
 ランチに行ったがために清貴(佐藤詩音)を死なせてしまった。
 この現実が聖子を責め立てる。

 自分を信じられなくなった時はつらいですね。
 他人を信じられなくなっても自分を信じていられればまだ生きていられる。
 聖子の物語は自分回復の物語。
 いかに自分を信じられるようになるか。

 繰り返しになるが、人は常に<信じる><信じない>の葛藤をして生きている。
 それは自分に関しても同じ。
 自分を信じられるか信じられないか。
 聖子の場合は夫・秀昭(佐野史郎)や子・美帆子(川島海荷)がポイントになりそう。
 
 それにしてもすごい緊張感ですね。
 人と人とが生身でぶつかり合う。
 それは<さつきと智也>だけではない。
 <さつきと夫・和彦><さつきとマスコミ><さつきと清貴一家>。
 <聖子と夫・秀昭><聖子と子・美帆子><聖子とマスコミ>。
 ドラマというのは人と人とのぶつかり合いなんですね。
 そして生身でぶつかり合って痛ければ痛いほど、激しいドラマになる。
 こういうドラマを見ると、楽しいだけの薄味ドラマは物足りなくなる。


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ザ・クイズショウ

2009年04月22日 | 推理・サスペンスドラマ
 見ていて「Q」という日本映画を思い出した。
 <正直に質問に答えないと殺されてしまう>という映画。
 解答者は殺されてしまうから本当のことをどんなに都合の悪いことでも答えざるを得ないというわけだ。
 この作品「ザ・クイズショウ」も同じコンセプトの作品。
 ただしテレビドラマだから毒性は薄まっている。(もともとは深夜ドラマだったらしいですね。深夜で放映した時の方が毒が強かったとか)

 こういう作品のいい所はロケの製作費がかからないことですね。
 スタジオだけで撮影が済んでしまう。
 しかも映像的には新鮮!
 CGも使えるしテレビの調整室の様子もわかる。

 しかしマイナスも。
 映像的に最初は新鮮でも段々飽きられてくること。
 ネタバレしやすいこと。
 実際今回も安藤康介(哀川翔)が犯人であることは見え見えでしたからね。
 だから小技(<以心伝心>とか<召還>とか)で繋いでいくしかない。
 「恥部」を連発する康介の歌とロック歌手をデフォルメした描写も面白かった。
 しかしそれらはあくまで小技。絶対的な面白さには繋がらない。

 では大技は?
 この作品の大技はラストの種明かし。
 なぜ神山悟(櫻井翔)とディレクター本間俊雄(横山裕)は康介の犯したことのすべてを知っているのか?
 それはマネージャーの駒沢(東根作寿英)が話していたから。
 種明かしをされてみれば「そんなことか」と思ってしまう内容だが、しっかり辻褄があっている所がいい。
 番組中に流れた『駒沢逮捕』のテロップも康介を騙すためフェイクだったというのも気がきいている。

 この作品の今後の面白さは<クイズの解答者にどんな人物を持ってくるか>ということと<どんな種明かしを用意するか>ということでしょうね。
 後は<頭脳戦>。
 今回は犯人・康介が一方的にやられっぱなしでしたからね。
 すべてディレクター本間の手の中で踊っている感じ。
 あるいは康介はクイズでわざと間違えて犯行を隠すことも出来たという可能性もあるわけで。
 これではイマイチサスペンスとして盛り上がらない。

 様々な課題を残すこの作品ですが、こういう作品を作った製作側の志を買います。


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婚カツ!

2009年04月21日 | 恋愛ドラマ
★主人公が<婚カツ>せざるを得なくなる状況の作り方が上手いですね。
 就職のためについてしまったウソ。(「就職できれば待ってくれている彼女と結婚できる」)
 それがケーブルテレビ「こんにちは区長」で美談として放映され、商店街はお祭り騒ぎ。ご祝儀袋がいっぱい。
 翌日区長からは大反響だと聞かされ、結婚式では主賓としてスピーチをすると言われる。
 父親は婚礼衣装をあれこれ考え、友人・繁(佐藤隆太)はバイクを売ってお祝いのお金を作る。
 ひとつのウソがどんどん発展していって主人公が抜き差しならない状況に置かれる。
 まさに喜劇の常道。

★邦之(中居正広)を取り巻く女性達の描き分けもいい。
 春乃(上戸彩)はバイト。邦之に密かに想いを寄せているらしい。
 優子(釈由美子)はお見合いパーティで知り合った女性。
 真剣に結婚を考えている彼女は邦之を相手にしていない。
 そして真琴(りょう)。結婚パーティを主宰する会社の社長で邦之とは子供時代の野球仲間。
 春乃が邦之に対してプラス、優子がマイナスとすれば、真琴はどちらにも転ぶニュートラルなキャラ。
 今後この3人の女性達との恋愛がそう発展していくか?
 そんな期待の持てる描き分けでした。

★この様にこの作品は語り口がスムーズな作品。安心して見られる。
 ただその分ゴツゴツした引っかかりがないんですよね。
 薄味のドラマ。
 まあ半分喜劇ですから仕方がないのですが、最近その薄味が物足りなくなってきた。
 テーマは<幸せになることに貪欲になれ!>ということでしょうか?
 邦之は一応今回で<本気>になった様ですが、今後どれくらいの本気を見せてくれるか?
 あるいは<結婚><婚カツ>に関して邦之が何を考え、どれくらい悩むのか?
 そんな所がこの作品の成否を分けるポイントになると思います。

※追記
 ウソが本当になる。
 大河ドラマ「天地人」もそうでしたね。
 跡目は遺言で景勝。そのウソが本当になった。
 ウソも方便。邦之の様にウソを本当にするために戦う。
 ウソから入って事態を打開していくというのも生き方のひとつかもしれません。


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天地人 第16回「信玄の娘」

2009年04月20日 | 大河ドラマ・時代劇
 結局描き込みが浅いんですよね。

 例えば吉江(山本圭)。
 その前のシーンでは兼続(妻夫木聡)のことを批判していたが、次のシーンでは直江信綱(山下真司)と共に「ひるまず前に進め。わしらがずっと支える」。
 この変化が起きた理由は?
 <武田との同盟の大切さを再認識した>というせりふぐらいで、ほとんどなされていない。
 まあ彼らは脇役だからこれでいいのでしょうが。

 では今回のメインの菊姫(比嘉愛未)はどうか?
 武田を守るために輿入れして来た真剣な思いが<雪割草>ひとつで納得してしまっていいのか?
 この納得の背景には「約束は出来ない」としか言えない景勝(北村一輝)の無器用な誠実さを菊姫が理解したからだと推測出来るが、景勝と菊姫もその間理解し合うために言葉を交わしていないんですよね。
 だから<雪割草>ひとつで納得してしまっていいのか?という疑問が出てしまう。
 少なくとも菊姫がこだわって景勝から本音を聞き出すやりとりがほしかった。
 まあこだわらずに見てしまえば「そういうことなんだ」と見られなくもないのですが、それはいずれ視聴者の作品離れに繋がる。
 視聴者は<人と人とのぶつかり合い><葛藤>を観たいのだ。
 それがダメならば、せめて派手ないくさシーンを見せてほしい。

 <葛藤>と言えば兼続もそう。
 御館の乱のことで責任を感じているのなら家老職を簡単に受けてはならない。
 「このいくさの罪を背負うのはわしなのじゃ」と言う景勝の言葉に感動してこの人を支えていこうと改めて思った故なのだろうが簡単すぎる。脳天気すぎる。
 仮に家老就任を容認するにしても、罪の結果得た家老職なのだから父や弟と祝いの酒を酌み交わしてはならない。

 <脳天気>といえばお船(常盤貴子)もそう。
 雪割草を見て「華姫様が導いてくれた」と都合のいい解釈。
 華姫が恨みの中で死んでいったと考えればそんな前向きな解釈は出来ないはず。
 「恨みの中で死んでいった華姫が雪割草になって出て来た」と怖い解釈をすることも出来る。

 この様に描き込みが少なく葛藤があっさりと解消されてしまうこの作品。
 ドラマでなく脳天気に歴史事実を追っているという感じは否めない。


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