平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

ギャルサー 第3話

2006年04月30日 | その他ドラマ
ギャルサー第3回のテーマは「食べることの幸せ」「食べ物への感謝」。
毎回書くが幼稚園や小学校で教えてもらうことを土曜9時で真面目に描いているから素晴らしい。

ナギサ(新垣 結衣)は「食べることの幸せ」を否定してきた少女。
太る体質であった彼女は「食べないこと」で上に上がってきた。

まず、デブは人にバカにされる。
だから痩せて人にバカにされなくなった。
彼女はさらに痩せてきれいになった。
すると、エンジェルハートの黒組のリーダーになることができた。
みんなから一目置かれるようになった。
だから彼女は上に行くためもっとがんばった。
あと3キロ痩せれば、ギャル雑誌に連続掲載されると言われて必死に痩せようとした。
彼女の上に上がりたいという意識はさらに頑なになり、150万をリカ(岩佐 真悠子)が盗んだことにして追い落とそうとし、エンジェルハートのリーダーのレミ(鈴木 えみ)までもリーダーの地位から失墜させようとした。

こうしたナギサがシンノスケ(藤木 直人)には信じられない。
「食べることの幸せ」を犠牲にしてまでやらなくてはならないことなどないからだ。
なぜなら食べることは生命の源。
食べなければ、生きることを否定することになる。
それがシンノスケには信じられない。

また、人は食べ物から生命をもらって生きている。
もやしのような植物1本。
「小さくてもおまえに生命を分け与えてくれる」
そんな食べ物に感謝をしないで、捨ててしまうナギサが信じられない。

シンノスケは気づかせるために、罠の中にナギサを落とす。
ナギサは自分が上に立つために仲間を大事にして来なかったつけがまわってきて、仲間から総スカンを食っていた。
だから、シンノスケに罠に落とされてもヤケになり、仲間に助けを求めようともしない。
そして数日。
穴の中から植物が生えてくる。
シンノスケは大地と太陽、水の恵みによって植物が生まれることを示したかったのだ。
それが大事な1個の生命であることも。
そして感謝祭に行き、一杯のわんこそばを食べさせて「食べることの喜び」を教える。
ナギサはわんこそばを食べて言う。
「うまい!」

★研究ポイント
テーマ:「食べることの幸せ」「食べ物への感謝」
    「食べることの幸せ」を犠牲にしてまでやらなくてはならないことなどない。
    「食べ物は生命を分け与えてくれる」

★名セリフ
 シンノスケが物を食べる時に言う言葉。
 「ありがとう大地、ありがとう太陽、命をありがとう。いただきます」
 ナギサに仲間の反発。
 「ナギサさんは自分のことばっかじゃん。あたしたちのことなんか全然考えてなくて。だったらひとりで生きていけばいい。信じたあたしたちがバカだった」
 太っていた時のナギサの写真の裏に書かれていること。
 「つらい時にはこれを見ろ」

★ギャグせりふ
1.ことわざ「働かざる者食うべからず」にシンノスケ「どんなサルだ?」
2.1/3のラーメンに
  シンノスケ「モモ、がまんしろ。このおまわり貧乏だ」
       ※自分が居候であることを棚にあげたせりふ。
3.150万の犯人探しをしないことを言われて
  レミ「犯人探しをしたら、ギャルサー刑事が始まったとか思われるの嫌じゃん」
  きょとんとしてるメンバー。
  レミ「突っ込めよ。どうしようかと思ったじゃん」
4.5000円が戻ってこないで
 サキ「戻って来ないのかよ。5000円」
 シズカ「ていうか、あれサキの5000円じゃないじゃん」
 ※サキ、完全に貧乏キャラ定着!
5.常時接続が可能になって
  ジェロ~ニモ「ジョージ雪辱」
  この後、ボクシングでジョージが勝つシーンがイメージされる。
6.罠に落ちているハンバーガーを見て
  シンノスケ「ハンバーガーがかかっている!」

★ディティル
 シンノスケとモモは「のろし」で意思伝達ができる。

★追記
 今回のブーメラントーク
「大地の恵みとはブーメランのようなもの。本当に必要としているものの前にだけその実りをもたらす。これを我々業界では『ブーメランストリート』と言う。
♪帰らなきゃいけない♪」
「お~、ジェロ~ニモ、音痴!」
「違う、これは『ブーツを脱いで朝食を』のほうだ」
 ※西条秀樹ファン必見!
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クロサギ 第3話

2006年04月29日 | 職業ドラマ
 黒崎(山下智久)の過去を吉川氷柱(堀北真希)が知って、やっともうひとつのドラマがイキイキしてきた。
 「クロサギ」は詐欺話がメインプロット。黒崎と氷柱の話が全話を貫くサブプロットになっている。

 さて、その黒崎と氷柱。
 黒崎の過去のコメントを思い出し、新聞検索をして氷柱は黒崎の過去を知る。
 黒崎の過去を知った氷柱はラスト黒崎とこんな会話を。

氷柱「6年前の事件の事…ごめん…私…知らなくて…」
黒崎「俺の問題だ。そんな安っぽい同情いらねぇんだよ!」

 確かに、確かに。
 黒崎としては当事者でもない氷柱に言われたくないだろう。
 刑事の神志名将(哀川翔)に「家族を滅茶苦茶にされたからと言って何をしてもいいというわけではないんですよ」と言われた方がすっきりする。

 しかし、次の氷柱のせりふが黒崎の心をえぐった。

 「あなたは…あなたはそれで幸せなの?」

 今回は氷柱の勝ち。
 同時に黒崎のことを真剣に考えていなければ言えないせりふ。
 正義感だけからでは言えないせりふ。
 氷柱がここまで黒崎のことを考える理由は「恋愛感情」?
 この一言で、今までの氷柱のもやもやした気持ちを集約した。
 同時にこのせりふは黒崎が自分の中に押し込めていた疑問でもある。
 実に見事なせりふだ。

★研究ポイント
 せりふ:ただ一言にすべてを集約するせりふ。

★名セリフ
 黒崎と氷柱のやりとり。
黒崎「早く出て行けよ」
氷柱「立ち退きには6ヶ月の猶予があります」
黒崎「金貸してやろうか。貧乏」
氷柱「いいです。バイトをして引っ越し代稼ぎますから。これから面接なんです」
黒崎「性格で落とされないよう気をつけろよ」
 ※「6ヶ月の猶予がある」は検事を目指している氷柱が言いそうなせりふ。
  氷柱に「貧乏」という呼び名がついた。
  「性格で落とされないように……」というせりふも楽しい。

 コンビニでネコのエサを買う氷柱にこんなせりふも。
黒崎「引っ越しする金もないのに。余計なもの買うな。貧乏」

 氷柱が検事を目指していることを知って
黒崎
「お前検事目指してるそうだな。どうりで正論ばっか言うわけだ…俺は検事って奴等を知ってるよ。いろいろあって…あの時…法律屋の正体ってのを思い知ったんだ…。あいつらは負ける試合は絶対しない…被害者より自分がかわいい…そういう連中だ!」
 ※今までも「法律や警察は無力」ということを繰り返し言っているのですが、氷柱が検事を目指していると知って少し内容が変わった。これでふたりの距離が縮まったことも表現している。

桂木(山崎努)が黒崎に
「退屈……、コーヒー飲んでくか?」

詐欺師に騙された女の子に黒崎が
「あんたってホントに世間知らずだね。みんな、いい人だと思ってる」

★キャラクター研究:吉川氷柱
 黒崎の言ったことをすべて覚えているほど、黒崎にこだわる氷柱ちゃん。
 やっぱり黒崎に自分では気がつかない恋愛感情があるんでしょうな。
 アパートはなかなか出ていかないし、三島ゆかり(市川由衣)の黒崎への恋には無意識に邪魔しているし。
 「偶然」入居したアパートの大家さんは黒崎だし、「桂」から出て来る黒崎を「偶然」見てしまうし。

 本人がそれと気づいていないが、視聴者は恋だと知っている。
 氷柱は自分が黒崎に関わるのは、「詐欺をやめさせるためだ」と思いこみ、自分の恋愛感情を否定している。
 「はやく気がついて」と視聴者は応援してしまう。
 面白い仕掛けのキャラだ。

★小道具
 黒崎と氷柱の距離を縮める小道具としてネコが使われた。
 ふたりはネコを介して会話のきっかけを作った。

★追記
 今回の詐欺はこんな内容。
 宝石詐欺
「あなたと同じ年頃の娘がおりまして。明後日誕生日なんです。内緒で指輪を買ってプレゼントしたいのですが……」
 と若い娘に持ちかける清水忠幸(堺正章)。
 宝石店で声をかけた娘と指輪を見て「自然光で見てみたいな…」と言って外に出る清水。
 店の者は娘が店内にいるのだから大丈夫と思って、清水を外に出すが清水は戻ってこない。

 黒崎はこれをさらに複雑な形にして清水を騙す。
 まずは仕込み。
 ブライダル業者の相馬を装い、清水の結婚指輪の制作を依頼する。
 100万円ぐらいの指輪の取り引きを2回繰り返し、清水を信用させる黒崎。
 さらにホテルに客が来ていて心待ちにしているから届けたいという行動を自然なこととして清水に認知させる。

 そして詐欺。
 黒崎は政治家の賄賂だと言って、5000万の指輪の制作を依頼する。
黒崎「ブライダル業界も生き残りに必死でして…」
清水「賄賂ですか?わかりますよ。お互い生き残るのは大変な業界だ。どのくらいの物をご用意しましょうか?」
黒崎「五千万の指輪を…無理でしょうか?」
清水「まったく問題ありません」
 5000万の指輪の取り引きの当日。
 黒崎は本物のブライダル業者・相馬を取り引きのホテルに呼び出す。
 相馬の手にはジュラルミンのアタッシュケース。
 相馬の営業カバンだ。
 やって来た相馬に「結婚相手の父親がやっと結婚を認めてくれた。今日、父親がやって来る」と説明する黒崎。
 結婚相手の父親とは清水のこと。
 一方、やって来た清水には相馬を自分の部下だと紹介する。
「キャッシュを持たせてるんです。今日は金額が大きいですから」
 と言って相馬のジュラルミンケースに目をやる黒崎。
 そして取り引き。
 相馬は少し離れた所に待たせている。
 そして、いつもの様に「すぐに渡したいので」と言って指輪を持って席を立つ。
 清水は相馬がいるから大丈夫と考えて、黒崎に指輪を持っていかせる。
 あとは清水と本物の相馬のちぐはぐな会話。
 清水は「黒崎の部下」だと思っているし、相馬は「花嫁の父」だと思っている。

★追記2
 黒崎と清水はこんな駆け引きもした。
 ホワイトブライダルの相馬という名刺を黒崎に提示されて清水は席を外し、ホワイトブライダルに電話をかける。
 相馬は外出。実は同じ時間に黒崎は会いたいと相馬を呼び出していた。
 しかし、清水はなおも黒崎を試す。
 ホワイトブライダルの営業磯辺という人間がいないことを確かめると清水は黒崎に言うのだ。
 「営業の磯辺さんはお元気ですか?」
 ここで黒崎が元気ですと言えば、黒崎の正体がばれてしまう。
 しかし、黒崎は平然と言う。
 「うちには磯辺という営業マンはいませんよ」
 黒崎は事前にホワイトブライダルの社員名簿を手に入れていたのだ。
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弁護士のくず 第3話

2006年04月28日 | 職業ドラマ
 第3回は「どんな手段を使っても這い上がりたい人間」のドラマ。

 瀬能セリ(北川弘美)は元グラビアアイドル。
 だが、グラビアアイドルとしては売れず、彼女が所属していたグループ「おねだりガールズ」もクビになってしまった。
 それでもセリは「どんな手段を使っても這い上がりたい人間」。
 出版社に自分をグラビアに使ってくれるよう頼みに行った時に1枚のフロッピーを見つける。
 開いて見てみると小説。
 エロティックで面白い。
 これを自分のものとして写真集付で発表したら……。
 結果、セリの書いたというより盗作した小説はベストセラーになった。

 そこへそれは自分の作品だと言って乗り込んで来た女・豪田珠美(片桐はいり)。
 セリを盗作で訴えたいと武田(伊藤英明)に頼み込む。
 武田と九頭(豊川悦司)はセリの小説が盗作かどうかを調べ始めるが、実はその背景には珠美によって仕組まれた巧妙なシナリオがあった。

 九頭は珠美のシナリオを物語ふうに話す。(以下、ネタバレ)
「文壇のシンデレラを目指す女の話だ。
 華やかな世界にどうしても戻りたかったグラビアアイドルは知り合いの編集者にフロッピーの中のそれを自分が書いた文章だと言って見せた。
 その文章は編集長の目に留まり、すぐに出版されて大ヒット。
 彼女は瞬く間に、文壇のシンデレラになった。
 そこへ、この物語のもう一人の主人公が登場する。
 やはりチャンスに恵まれてはいなかった本物の作者だ。本物の作者はサイン会に乱入し、妄想癖の女を演じてマスコミの注目を集め、スキャンダラスな告訴合戦で大衆の目を引く。
 そして最終的に決定的な証拠を出し、劇的な勝利を収めた本物の作者は衝撃のデビューを果たす。
 本物の作者はグラビアアイドルの作者がわざとフロッピーを拾うように仕向けたんだ。シンデレラがガラスの靴を王子に拾わせたようにね」

 「どんな手段を使っても這い上がりたい人間(セリ)」の裏にもうひとり「どんな手段を使っても這い上がりたい人間(珠美)」がいた。

 同じ動機を持つ人間が同じ動機を持つ他の人間を利用する。
 これがこのプロットの面白いところ。

 ふたりの動機は交錯し、微妙な人生のドラマを醸し出す。
 セリを踏み台にして這い上がろうとする珠美に九頭が釘を刺すのだ。
 セリも這い上がろうとして血の滲む努力をしていたことを話す九頭先生。
 セリの指には吐きダコがあった。
 吐くために喉に指を突っこんだ時に出来るタコだ。
 それはグラビアアイドルとしてのスタイルを保つためにセリがしていたことだった。
 ここで珠美はセリを告発することをためらう。
 セリもまた自分と同じシンデレラになりたくてなれない苦しみを抱えていた人間だとわかったから。

 今回の九頭先生は推理ドラマ。
 トリックはある動機を持った人間が同じ動機を持った人間を利用して目的を果たそうとするというもの。
 また、同じ動機を持つ者どうしが交錯してドラマを作り出した。

★研究ポイント
 推理ドラマの作り方:ある動機を持った人間が同じ動機を持った人間を利用して目的を果たそうとする。

★名セリフ
「シンデレラってさ、わざとガラスの靴を階段に落としていったって思わない?
シンデレラはガラスの靴を落としていかなかったら王子の目に留まることもなかった。合コンでもさ、なんかダラダラいる女より、スパっと帰っちゃう女の方が気になるでしょ?」

★ディティル
 キャバクラは「セーラー服と機関坊」
 ホステスはセーラー服で、客は学ランを着なくてはならない。
 入店するには学生証の提示が求められる。

 加藤徹子(高島礼子)は「12時過ぎたシンデレラ」と言われてしまう。
 武田真実(伊藤英明)は「あそこもきっと短い」と言われてしまう。

★ちょっと一言
 セリが盗作をしたことが視聴者にわかるまでに時間がかかりすぎている。
 むしろ武田が珠美の誘導でセリが盗作をした証拠を掴み、訴えるところを九頭が止めて真相を話すという形にした方がよかったのでは?
 物語で明らかにしたいのは「セリが盗作したか?しなかったのか?」ということではなく、その裏にある珠美の思惑の方なのだから。
 少しキレの悪い話でした。
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プリマダム 第3回

2006年04月27日 | ホームドラマ
 「プリマダム」第3回は見事なシナリオ。

 第3回目の冒頭の状況はこう。
 万田佳奈(黒木瞳)はバレエをやりたがっている。
 夫・高太郎(古田新太)はバレエをやることに反対している。

 そんなふたりがラストではこんな会話を交わすのだから。
 佳奈「私、バレエをやめる。最後のレッスンをしてやっと吹っ切れたわ」
 高太郎「もっとちゃんと踊れるようになれ。あれじゃモスラーだ」

 冒頭の状況とは全く正反対のことをそれぞれが言っている。
 こんな言葉が出た背景には佳奈・高太郎の次のような思いがある。
 佳奈……バレエをやって自分は家族を犠牲にしてしまった。
      家族のためにバレエをやめる。
 高太郎…妻がやっと見つけた生きがいを奪うことはできない。
 お互いがお互いを思いやって出た言葉。
 だからこの夫婦はいい夫婦だと思うし、ホンワカする。

 「功名が辻」も夫婦を描いた作品だが、その会話はひねりがなくストレートだからつまらない。
 「千代は一豊様と生きるのも死ぬのもいっしょでございまする」
 「わしもじゃ」
 と言った所で、視聴者は1回目は共感しても、2回目は「ああ、そう」と思ってしまう。

 だから、このシナリオはお見事!

★研究ポイント
 ドラマの作り方:冒頭と反対のことをお互いが言っている。
 
★名セリフ
 今回はドキドキする会話がいっぱいだった。
・バレエに反対する高太郎、新聞記事で熟年離婚の記事を読んでいる。
 そこへ佳奈が来て「大事なお話があります」
・佳奈から出た大事な話とはバレエをどうしてもやりたいということ。
 そこでこんな会話。
 高太郎「たかがバレエ、そんなものやめてしまえ」
 佳奈「たかがバレエなら、どうしてそんなに目くじら立てるの?」
 高太郎「レッスンの金はどうするんだよ?」
 佳奈「それは教室を掃除する掃除代で払っているから」
 高太郎「そんな金があるんだったら老後の資金にしろ」
 佳奈
「こうしてまで私、あなたにお願いしたことある?一生のお願い!絶対迷惑はかけない。ね?……私にバレエやらせて!」
 高太郎の意見に佳奈がこれだけ反論すると、佳奈の懸命さが伝わってくる。
・結局、家事をおろそかにしないことで認めてもらう佳奈は嬉しくてしょうがない。
 そこで出たのがこんな会話。
 佳奈「ありがとう。コウちゃん」
 高太郎「コウちゃん呼ぶな」
 佳奈「独身の時はそう呼んでたじゃない」
 高太郎「完全におばさんの自覚なくしてる」
 回想シーンがなくても、独身時代のふたりが目に浮かぶよう。
 実に見事な会話だ。
・吉村夏芽(高岡早紀)のことで帰るのが遅くなってしまった佳奈に
 高太郎「約束どおりバレエやめるんだな」
 佳奈「話くらい聞いてよ」
 娘「続けさせてあげてよ。まだイエローカード一枚じゃない」
・「バレエをやめないのなら離婚だ」という高太郎に佳奈は「わかりました」と一言。
 翌日、バレエをする佳奈を見て「俺よりバレエをとるつもりか……」
・ファーストフードでバレエをする妻をバカにされて
 高太郎
「俺の女房をバカにすんなッ!!お前らもウチのやつの事、公害だと思ってるんだろ。ああ見えてなぁ、いい所だってあるんだよ!今はおばさんだけどな、初めてあった頃は 『学食のマドンナ』って呼ばれてたんだ!あいつは、朝から晩まで働きづめでも、一言も愚痴を言わずに俺の女房やってるんだよ!!」
・夏芽(高岡早紀)がバレエについて一言。
 「私バレエに恋している。毎朝目が覚めるとバレエのことを考えているから」

★ディティル
 倉橋嵐子の浮世離れシーンは毎回入れるようだ。
 前回はピザ屋にサインを求められていると勘違い。
 今回はファーストフードで注文を聞きにくるのを待っている。また支払いもカードで。

★追記
 「バレエをやるとイキイキしてくる」がサブプロット。
 バツイチの夏芽は娘の冬美に言われる。
 「男に声をかけられるようになってよかったじゃない。お友だちもできたみたいだし」
 保険の外交員だったが、食事に誘われて口紅を買ったり。
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THE 有頂天ホテル

2006年04月26日 | 邦画
 「有頂天ホテル」の人物たちはすべて自分を偽っている。
 それは世間の目であったり、しがらみであったり、自分の弱さであったり。

 そんな彼らが「自分自身のままでいいじゃないか。今の自分を好きになり自分を生きよう」と思う。

 これが作品全体を貫くドラマとテーマ。
 だから、これだけ人が入り乱れていても作品として破綻しない。
 すべての人物が「自分を生きよう」という結末に向かって動いていく。
 そして作者は彼らが動いていくのを描いていくだけでいい。

 それを具体的に見てみると……
 
★新堂平吉(役所広司)
 別れた恋人・堀田由美(原田美枝子)に自分が演劇で成功したように見せる。
 自分がマン・オブ・ザ・イヤーに選ばれたと嘘を言うのだ。
 しかし、マン・オブ・ザ・イヤーに選ばれたのは由美の夫・堀田衛(角野卓造)。
 だから新堂が嘘をついているのはバレバレ。
 新堂が取り繕えば取り繕うほどギャグになる。
 最後にばれて新堂は由美に言われる。
「今、ホテルの仕事でがんばっているんでしょう。だったら今のあなたでいいじゃない」
★堀田衛
 コールガール・ヨーコ(篠原涼子)とつき合っているのを、恥ずかしい写真まで撮られているのを隠そうとして、七転八倒する。
 彼は最後まで嘘を突きとおすが、世間の目を気にして自分を偽ることがどんなに大変で愚かしいことを教えてくれる。
★只野憲二(香取慎吾)
 彼は30歳という年齢からミュージシャンになるのを諦めた。
 まだミュージシャンになる夢を捨てていないのに。
 巡りめぐって戻ってきた幸運を呼ぶ人形?とアヒルに運ばれてきたバンダナ、そしてギターが手許に戻り、再び夢に生きる決心をする。
★竹本ハナ(松たか子)
 彼女は老齢の社長・板東健治(津川雅彦)の愛人・小原なおみ(麻生久美子)のふりをした。というより勘違いに巻き込まれてなってしまった。
 健治の息子・直正(近藤芳正)がふたりを別れさせようとしているのを目の当たりにして、世間体を気にして自分たちの思いを全うできない愚かしさを実感する。
 愛し合っているなら年の差、世間体なんか気にしないで愛し合えばいいのにと思う。
 また、それは彼女にも当てはまることだった。
 彼女は自分がシングルマザーであることを恥じていた。
 しかし、そんなことは気にせず子供を愛そうと思った。
★桜チェリー(YOU)
 彼女は自分の歌を歌いたいと思っている。
 しかし、事務所の絡みで演歌しか歌わせてもらえない。
 仲間たちにも後押しされ彼女は最後に自分の納得する歌を歌う。
★武藤田勝利(佐藤浩一)
 彼は迷っている。
 汚職のすべてをぶちまけ政界から去るか、マスコミに叩かれながらも政界で生き残るか。そして第3の道自殺も。
 勝利は格好つけでもあり、いろいろ右往左往して迷うが、最後に見出した自分を見出す。
 どんなに叩かれて格好悪くても政界に残る。
 政界に残って政治をする。
★右近(オダギリジョー)
 筆耕係の彼は教科書どおりの書を書いてきたが、最後に自分の書を書く。

 とこんな感じ。
 大晦日、このホテルに集まって喜劇を繰り広げた人たちは、「自分を見出すことが一番幸せなんだ」ということを教えてくれる。
 そして、「自分を偽って右往左往することの愚かしさ」も。
 もっとも、作者は「自分を偽って右往左往することの愚かしさ」を否定はしていない。
 それが人間なのだと語っている。
 すべてを肯定すること。
 それが喜劇なのだから。

★研究ポイント
 テーマ:自分自身で行こう。
 ドラマの作り方:登場人物すべてを貫くテーマ。グランドホテル形式。

★キャラクター研究
「申し分のない副支配人」、「副支配人の分かれた妻」「能天気な総支配人」、「怪しい飲食部・副支配人」「神出鬼没のコールガール」、「人生崖っぷちの汚職国会議員」「議員の元愛人、今は客室係」、「筆の達人・筆耕係」、「謎のフライトアテンダント」、「一九分けの芸能プロ社長」、「不幸せなシンガー」、「事故にあった大富豪」「死にたがる演歌歌手」

★名セリフ
 総支配人
 「今×××にいる。洗顔クリームを持ってきてくれ」
 ※あの白塗りは「オペラ座の怪人」のパロディでしょうか?
 
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あいのり 4/24

2006年04月25日 | バラエティ・報道
 アレック撃沈!
「成功確率70%。和泉はスーザンに傾きかけている」
 最後まで勘違い・自分の世界にいた。

 和泉に告白したお風呂の言葉は象徴的。
「37度のお湯は入りやすいけど、心も体もあまり満たされない。
 41度のお湯は入りづらいけど、入れば満たされる。
 和泉は41度のお湯だ」

 アレックも深い人間関係を望んでいたんでしょうね。
 37度のぬるま湯の人間関係より、41度の強烈な人間関係。
 今までは当たりさわりのない37度のぬるま湯の人間関係しか結んでこなかったから、他人の気持ちのわからない勘違い男になってしまった。
 ゲームの中のキャラはわかりやすいし、自分(プレイヤー)にはやさしいし。

 しかし、アレックは41度を望んだ。
 ここが「あいのり」の旅でアレックが成長した点。

 でも、もっと旅を続けていけば、もっと変わったかも。
 ヒデの様に。
 ヒデの後半はみんなに心を開いていた。
 無器用だがまわりのことを気遣い思いやっていた。
 でも、アレック、「うん」の数36回。
 実に愛すべきキャラでした。

★研究ポイント
 「あいのり」は現実に生きる人間の宝庫。
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トップキャスター 第2話

2006年04月25日 | 職業ドラマ
 椿木春香(天海祐希)が完全にいい人になってしまった。

 甲斐甲斐しく子供たちに夕食を作りに行くし、(結局は飛鳥が作るのだけれど)
結城雅人(谷原章介)と別れた理由も明らかに。
 「仕事と結婚」「スクープと愛する人」を天秤にかけて「仕事とスクープ」を取ったのではなく、愛する人が嘘をつくのが嫌だったからなのだそうだ。

 だから、子供を使ってスクープを取ろうとすることをまわりのスタッフが非難しても、視聴者には伝わって来ない。
 春香は「いい人」だから、子供を利用しようなんてことは考えてないということが視聴者にはすでに見えている。
 だから、次にどうなるんだろうというワクワク感がない。
 春香は報道メンバーの集まる焼鳥屋には飲みに来るし。

 春香は基本はいい人だから、「何よりもスクープよ」とツッパル理由がわからない。
 だったら、始めからいい人で描いてしまった方がいいのでは?
 自分は財前の無実を信じている。
 財前の子供たちのためにも、上からの圧力があっても、まわりから非難されても戦う。
 という姿勢を明確に見せてもいいのではないかと思う。

 また、解決の仕方も安易。
 家にゴルフバッグがなかったから、財前教授はゴルフに行っていない。
 お土産は十二支の人形。
 でもウサギではネコが入っている。
 こういう習慣のある所はベトナム。
 財前教授はベトナムに行っていた。

 金銭と引き換えに罪を被った財前。
 そんな彼が春香の説得に応じたのは、「嘘」。
 「あなたのついた嘘は子供たちから消えません」
 「今、子供に嘘をついたら、子供の顔を見られなくなりますよ」
 「子供たちに誇れる父親でいてください」

 昔ならこれで許されたかもしれないが、今はもっと複雑な時代。
 視聴者の目も肥えている。
 「白い巨塔」を例にとれば、伊藤英明の若い医師は真実を言うことに滅茶苦茶悩んでいた。
 「弁護士のくず」の九頭先生なら、「嘘をついて家族を守るのもあり」と言いそうだ。
 財前先生と病院との葛藤・対立もなかったから、あまりスッキリしない。

 中途半端なドラマはつまらない。
 缶詰のにおいのギャグも中途半端だったし。
 矢田亜希子が「里見教授の方が素敵だった」というギャグも楽屋オチだったし。


★研究ポイント
 ドラマの作り方:中途半端なドラマの失敗。
 中途半端とは……
 ・ギャグドラマなのか?シリアスドラマなのか?
  ※ギャグはあくまで味付け。この作品の場合は40%ぐらい入っている。
 ・対立が明確でない。
  ※春香は誰と対立しているのか?
   子供? 財前? 病院? 局の上層部? まわりのスタッフ?
 ・展開が安易
   子供が生徒手帳を落として、春香は子供の所に。(偶然)
   前述の財前が執刀していないことがわかった理由。

★名セリフ
 上層部から春香への圧力
 「病院の管理責任は問うな。叩くなら財前を叩け」
 「それってトカゲの尻尾切りじゃない」
 ※このモチーフをドラマにした方がよかったのでは?

 結城が放送を容認した理由を話して
 「バカみたいに正直なところが、僕の取り柄みたいだから」

★ギャグシーン
 春香と結城の会話
 「私は1分でも遅れて映画見るの嫌なのよ。冒頭から殺人シーンがあるかもしれないでしょう?」
 「釣りバカ日誌に殺人事件はない。おまけに君は映画を見てて寝ただろう?」
 「だって釣りばかりしててつまらないから」
 ※みたいな会話でした。「釣りバカ日誌」かわいそう……。

 春香と飛鳥に子供が
 「おばさんたち、何を聞きたいの?」
 「おばさんたち? おばさんはこの人だけでしょう?」

 辞表を引き換えに春香の行動を容認させる局長(児玉清)。
 辞表を出す代わりに奥さんから預けられた買い物リストを出す。
 一芝居あって
 「では、私、買い物がありますから」と言って、去っていく。
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功名が辻 長篠の悲劇

2006年04月24日 | 大河ドラマ・時代劇
 第16回「長篠の悲劇」は今まで未解決であった事柄が一気に解決した話。

1.千代(仲間由紀恵)が身ごもる。
2.小りん(長澤まさみ)の退場。
3.源助(小林正寛)の死。
4.市之丞(津川雅彦)の死。
5.強敵・武田の滅亡。

 ドラマ的には今までの「夫婦のドラマ」を繰り返しただけで、新しい展開はなし。
 また、5つの要素を詰め込んだことで、ひとつひとつのドラマが薄くなってしまった。
 史実の問題もあり、大河ドラマではこういった話も必要なのだろう。

 さて千代と一豊(上川達也)の「夫婦ドラマ」はこう。
 「殿のしくじりは私のしくじり」
 「どんな時にも命を共にするつもりです」
 これが同じモチーフの繰り返し。
 千代がそう思っていることは、視聴者はすでに知っている。
 だから面白くない。

 この夫婦に対して退場する人物が様々なリアクションをする。

 小りんは「千代には負けた。飽きたなあ、長浜も。あたしは行くよ」
 千代に子供が出来て、もう入り込む余地がないと思った様。
 まだ残るという六平太(香川照之)には小りん、皮肉を言う。
 「あんただって自分の気持ち、だましてんだろう」
 その前に六平太は思いを寄せる千代にこう語っていた。
 「おまえは強く生きるのだ。一豊のために、子供のために」

 市之丞は千代たちにメッセージ。
 子供ができた報告を聞き、冥途の土産ができたと言い、こう語る。
 「ふたりで枕を並べて、朝を迎える幸せを大切にしなさい。一豊殿、長生きをせよ」

 まあ、これら小りん、市之丞の言動も今までに聞いているから新しさはない。
 市之丞の津川雅彦はさすが芸達者だと思ったけれど。

 源助の死はわりとあっさり。
 長浜城に戻ってきた六平太が「源助は死んだ」とポツリと告げる。
 そして回想シーン。
 自分の作った馬防柵がどの様に使われるかを見に行く源助。
 そこへ矢が飛んでくる。
 矢が刺さって倒れる源助。
 シーンの時間は30秒ぐらい。
 敵が迫ってきて命が危ないというサスペンスもないし、源助のどうしても見たいという葛藤もない。
 何よりも六平太が死んだと告げているのだから、完全にネタバレだ。
 死んだ時と告げられた直後の一豊らのショックの描写もないから、後に描かれる一豊の無念後悔も伝わって来ない。
 もう少し作りこんでほしかった。

 責任をとって自分は腹を切るという一豊と千代だが、これもネタバレ。
 何しろ彼らはこの作品の主役なのだから、死ぬわけがない。
 一豊も千代も源助が死んだのは自分の責任と言っているのだから、ここで腹を切らなくては(ドラマ上は無理だけど)その後の言動に説得力がない。

 大石静さんのシナリオは毎回見事なのですが、今回は残念だった。
 ああなってこうなってという出来事を淡々と綴っただけ。
 あとはを市之丞の死を入れ込んでドラマの体裁を整えた感じ。
 やはり今回は詰め込み過ぎか?

 課題になっていた問題をすべて解決した今回。
 新しいドラマが発生するのか?
 子供が出来たことだし、母としての千代など新しい夫婦ドラマに期待したい。

★研究ポイント
 ドラマの作り方:詰め込み過ぎのドラマの失敗。

 例えば、死に行く市之丞と生まれ行く子でドラマがひとつ作れそう。
 市之丞がこれまでをもっと回想して。
 市之丞の視点で。

 あるいは源助と長篠の合戦。
 源助の命が危ないサスペンスと自分の柵がどう使われるかをみたいという職人魂。
 源助は「おらより速く柵を組み立てられるのはこの長浜にはおらんのじゃ」という自負を持っている。
 また、秀吉への兄弟愛。
 「おら、戦は好きじゃにゃーが、兄さぁがそんなに頼るなら行かねばならぬ」
 そして、源助を助けようとする秀吉・一豊と彼らの無念。

 あるいは小りんと六平太の愛の形。

 3話分は作れると思う。
 まあ、この後に千代と一豊でいろいろなドラマが目白押しなようで、ここまで細かく描けないとは思いますが。

★キャラクター研究:六平太
 六平太には魅力的なキャラとしてのすべての要素を持っている。
 ・洞察力……梅雨に信長が動かない理由(「鉄砲を戦闘で使うため」)を見抜いている。
 ・戦闘力……忍び、鉄砲に優れている。
 ・無償の愛…千代には「お前はただ強く生きよ」という。
         愛する人が幸せに生きる事以外を望まない無償の愛。
         小りんには「嘘だ」と言われるが。

★名セリフ
 ねねが、旭の側に立って源助を戦場に行かせまいとした千代をたしなめる。
「誰の気持ちをおもんぱかるべきか考えなさい」
 ※妻の見地ではなく政治的見地で物事を見ろとねねはたしなめた。

 一豊が信長が鉄砲を使おうとしていることに気がついて、六平太は言う。
「やっと頭に血がめぐって参りましたな」
 ※家臣(食客)なのにすごい失礼。

 秀吉、源助を亡くした旭に
「お味方の勝利の一番手柄は源助じゃ!」
 ※この時の秀吉の涙は本物。偽りの演技ではない。

★ディティル
 千代の家の庭には面白い顔の雀がやってくる。
 名前は多吾作。
 木からよく落ちる。

★追記 あらすじ(公式HPより)
 無敵と呼ばれる武田軍が長篠城への攻撃を開始。守る徳川軍は援軍を求めるが、信長(舘ひろし)は動かない。長大な馬防ぎの柵を作ろうという信長の秘策を知った秀吉(柄本明)は、旭(松本明子)の夫で長浜一の大工、源助(小林正寛)を呼び出すよう一豊(上川隆也)に命じる。真っ向から反対したのは千代(仲間由紀恵)。なぜなら、戦場には出ない約束で城に入ってもらったからだ。『戦ではない、柵造りじゃ』。命に危険はないと強調する一豊に、話が違うと旭が言うが、おらも男だ、と源助は立ち上がる。五月半ば、岐阜を出た織田軍は徳川勢と合流し、設楽原に陣を敷いた。信長は、鉄砲が使えるようになる梅雨明けを待っていたのだ。馬防柵の奥に並んだ三隊、三千挺の鉄砲隊から絶え間なく放たれる弾丸は、武田騎馬隊を粉砕した。数日後、秀吉軍は長浜城に凱旋。しかし源助の姿はない。馬防柵を作り終えた源助は、柵がどう使われるか見たくて長篠に戻り──。
 約束を違えた一豊は切腹をもって旭に詫びようとし、千代もまた自刃しようと懐刀を取り出す。秀吉は旭の新たな夫として副田(野口五郎)なる人物を選び出す。ほどなくして、美濃の市之丞(津川雅彦)危篤の知らせが──。
コメント (14)
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ギャルサー 第2話

2006年04月23日 | その他ドラマ
 今回のテーマは「与えられたら返すこと」。
 例えば、「親切にしてもらったらありがとうということ」
 リカ(岩佐真悠子)を例に取れば「借りたお金は返すこと」

 すごい!
 幼稚園や小学校で教えられることを土曜9時のテレビでテーマにしてる。
 これが「ギャルサー」のすごいところ。

 話を戻すが、シンノスケ(藤木直人)は「与えられたら必ず返す人」。

 サキ(戸田恵梨香)たちにいろいろ教えてもらうとシンノスケは言う。
 「娘達…いつもお前の欲しい物を分け与えた…その気持ちとても気高い!」
 そしてお返しに草で服を作ってあげる。
 警官の一ノ瀬誠(佐藤隆太)にラーメンを分けてもらうと、お皿をプレゼントする。(一ノ瀬はお皿をひとつしか持っていない)

 「与えられたら返す」
 その当たり前のことができない渋谷のギャルたちにシンノスケは疑問を投げかける。
 リカは小銭を借りまくって返して来なかった今までの自分を考えるようになる。
 返さないことで得をしたように思っていた自分。
 もらうばかりで与えることをしなかった自分。
 それは間違いではないかと思う。
 現にサキにイベントの衣装代5000円を与えたら、サキは自分をトコトン信用してくれた。
 サキの信用は、自分が与えたことによって得たもの。

 リカは150万をなくしたことを償うために、草の着物3着を与えた。
 徹夜での服作り。
 与えた服はダサかったが、仲間たちは自分を許してくれた。
 リーダーのレミ(鈴木えみ)は言う。
 「やっぱお前がいねぇと笑えねぇから。リカの復帰に賛成の人。拍手!」
 与えたから得られた仲間の許し。

 リカは気づく。
 小銭を返さなかったことで、150万円分の信用を失っていたことに。
 借りたものを返していれば、自分は疑われることはなかった。

 そして最後はジェロ~ニモ~のブーメラン理論。

 「物の貸し借りはブーメランのようなものだ。
  惜しみなく投げかければ必ず戻ってくる。
  しかし無知なものは飛んできたブーメランを掴んで放さず
  おのれの手のひらから血が出ていることに気づかない」

 リカのエピソードと共に警官の一ノ瀬のエピソードも同じテーマを表現している。
 ラーメンを分け与えた~土器のお皿をもらう~土器のお皿を投げることができたから泥棒を捕まえられた~結果、街の人の信頼を勝ち得た。
 ラーメンを与えるという些細なことが、連鎖して街の人の信頼まで勝ち取った。

 「小さなことでもいいから与えよう」というメッセージ。

 今回は話が破綻していたが、こんなメッセージを送ろうとしたスタッフの心意気に拍手!!

★研究ポイント
 テーマ:与えられたら返す。
     与えれば戻ってくる。

★名セリフ
 サキ
 「エンゼルハートはあたし等がやっと見つけた場所なんだよ。居場所のなくて渋谷の町を歩いてたあたし達がやっと見つけた場所なんだよ」
 シンノスケ
 「お前は良いお巡りだ!お前のようなお巡りがいてこの町は幸せだ!」 

★ギャグシーン
 リカのお金を得る方法は小銭をいろいろな人から借りること。
 小銭は借りても返せって言いにくい。
 チリも積もれば山となるというわけだ。
 これに対してサキ。
 「あたしは10円でも返せ」って言いますよ。
 ※サキ、「10円キャラ」として定着か?!

 コスチュームを着る女の子のイベントと聞いたジェローニモ~の妄想。
 「現実世界とうまくつきあえない男たちの参加するイベントに参加してるのか?」
 ※メイド喫茶のことのようです。アリゾナにいるジェローニモ~の方が文明ズレしている?

 何の疑問もなく草でコスチュームを作り始めるサキとリカ。
 ※シンノスケワールドに取り込まれている?

 獲物を捕る罠に落ちた一ノ瀬に街の人は「まだ罠に落ちるやつがいたのか?」
 ※街の人もシンノスケワールドが当たり前になってきている?

 オチは国際電話の請求書。
 ジェローニモ~とのテレビ電話で一ノ瀬に高い電話料金が。

※ディティル
 リカがファーストフードで注文したのは鬼ポテトとジュース。
 リカになでられたサキの頭に油がついた。

 シンノスケとモモは指笛で連絡がとれる。

 シンノスケはレコードプレイヤーをろくろにして、土器を作った。

 リカのロングネックレスはBUNBLE(3900円)
 ※リカのファッションポイントはこのロングネックレスだとか。
 リカのグリーンのカットソー、シズカの黄緑のカーディガンはbaby shoop。
 (公式HPより)

★ちょっと一言
 「シンノスケがバッグを奪って150万円燃やしたのに」(トラブルの元凶はシンノスケ)という思いがずっと頭にあって、シンノスケの言うことにイマイチ乗れなかったことが残念。
 もっと早くネタをばらしてもよかったのでは?
 また、リカのキャラクターなら「あたしが盗んだんじゃない」って言いそう。
 聡明なレミがろくに調べもせずに「おまえクビだ」とリカにいうのも変。

 これらの点で、今回はストーリーが破綻していた。
 一ノ瀬さんのエピソードは必要だったかな?
 この分をリカのエピソードにまわしていたら、もっと説得力があったかも。
コメント (5)
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クロサギ 第2話

2006年04月22日 | 職業ドラマ
 氷柱(堀北真希)の立ち位置が難しいですね。
 堀北真希ちゃんはうまい役者さんなのにもったいない。

 氷柱がイマイチの理由は、彼女が黒崎(山下智久)の過去を知らないこと。
 視聴者は「詐欺師にはめられて家族が心中したから、詐欺師に復讐している」ってことを知っているのに、「どうしてそんなに詐欺師を憎むの?家族のかたきって何?」ですからね。
 視聴者にしてみれば、「この子、どうして気づかないの?」「何も知らないくせに黒崎を責めてばっかりでひどい」という思い入れしかできないというわけです。

 視聴者が事実を知っていて、ドラマの中の人物がそれを知らないというのは、ドラマの作りの手法としてはかなり難しいものだと思います。
 この手法が活きるのは、サスペンスの時。
(「犯人はあの人なのにどうして気づかないの?危ない」という時)
 それにコメディの時。
(「どうして気づかないの。この人、バカねえ」って笑う時)
 それ以外の時にこれを使うと、人物が死んでしまうと思います。

 さて、こんな氷柱ですが、今回は少し揺れました。
 「法律は人を守れないんですか? わたし、おじさんやゆかりに何もできなくて悔しい」
 自分の無力や自分の信じている法律の無力を考え始めた様です。

 ズケズケ物を言う氷柱にも黒崎は釘をさしました。
 「友だちなら心の中にズカズカ入っていいのか? 友だちにおまえは何をしてやれるんだ? いい加減わかれよ」
 他人の心にズカズカ入って来るだけで、別に助けてくれるわけではない。
 それは単なるおせっかいであったり、自己満足ではないかと黒崎は言うのです。
 現にゆかり(市川由衣)は氷柱の言うことでなく、黒崎を選びました。
 ゆかりは言います。
 「あいつをぶっ潰して!!」

 この様に氷柱は非常に難しいキャラだと思います。
 間違えると、「おせっかい」「自己満足」キャラになって視聴者の反感を買ってしまいます。この点、原作ではどう描かれているんでしょうか?

 黒崎と共に氷柱がどう変わっていくかはこのドラマのテーマ。
 氷柱にも注目です。

★研究ポイント
 ドラマの作り方:事実を視聴者が知っていて、ドラマの中の人物が知らない場合。
 キャラクター:吉川氷柱の位置づけ

★名セリフ
 「友だちにおまえは何をしてやれるんだ?」
 今回のテーマせりふでした。
 このせりふ、氷柱に言っていると同時に自分自身にも言っている。
 詐欺をしている黒崎の親友・田辺智(小山慶一郎)。
 その親友に黒崎は「詐欺なんてやめろよ」と言うのではなく、逆に詐欺を仕掛け、警察に逮捕させる。
 これを深読みすれば、
 「親友に詐欺師なんかやってほしくない。痛い目にあって早く足を洗え」
 「楽に金儲けができるなんていう中途半端な気持ちで詐欺師なんかやるな。きっと痛い目にあう。そうなる前に俺がハメてわからせてやる」
 「口で言ってもわからないのだから、刑務所に行って頭を冷やせ」
 という友情の行為とも取れる。

 もちろん、黒崎は「すべての詐欺師を喰ってやる」という自分の信念からやっているのだと思うけれど。
 だから次のせりふを氷柱に言われる黒崎の心中はフクザツだ。
 「あなたって何なの?詐欺師なら友達でも平気で退治出来るんだ」
 黒崎はこの質問にYESともNOとも答えることができない。
 
 YESと答えた場合は「すべての詐欺師を喰ってやる」という自分の信念のためには、親友をも裏切るクロサギ黒崎に。
 NOと答えた場合は「親友に詐欺師をやめさるために詐欺を仕掛けた」黒崎になる。
 答えられない黒崎はこのふたつの黒崎の間で引き裂かれている。

 黒崎もすごく難しい役柄だと思う。
 最後に泣かせたってことは「親友をも裏切る黒崎」をこの作品の製作スタッフは選んだんだのかもしれないが。

★名セリフ・その他
 刑事・神志名将(哀川翔)が黒崎に
 「便利ですねぇ。クロサギを追えば、必ずそこに詐欺師がいる」
 アカサギ・田辺美咲(小沢真珠)
 「バカなボンボンか、3流詐欺師か。いずれにしてもあの1億円、あたしがもらってみせる」
 田辺智(小山慶一郎)
 「1億だぜ。お前もやってみろよ。人生変わるぞ」
 仕事を終えた黒崎に桂木敏夫(山崎努)が
 「親友を喰ったか? どんな味だった?」

★ディティル
 美咲は黒崎が詐欺師であることを汚い靴で見破った。
 ゆかりは智のお金を稼ぐためにメイド喫茶で働いた。(ファンサービス?)

★追記1
 今回は、美咲の詐欺と智の詐欺の2本立て。
 黒崎はこのふたりをハメ返さなければならない。
 また、美咲は黒崎が自分をはめようとしていることを知っている。
 詐欺をする困難さが増した。
 それゆえ、1話より詐欺の内容がバージョンアップ。
 3話以降はどうなるんだろう?

★追記2
 今回の詐欺手法は「銀行の担保になっている預金は引き落とせない」という銀行の仕組みを利用したもの。
 美咲の3000万と黒崎の相続税の問題でアメリカに置いてある1億で店を開こうと持ちかける。
 美咲はアメリカに架空会社を作り、その会社の口座に1億を振り込むように言う。
 架空会社から黒崎の銀行口座にお金を振り込めば、相続税はかからないというわけだ。
 果たして黒崎は架空会社に1億を振り込むが、担保金になっていたため、美咲は引き落とせない。
コメント (3)
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