平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

「ルックバック」②~おっさん、藤野と京本のあのシーンに号泣した!

2024年12月15日 | コミック・アニメ・特撮
 劇場用アニメ『ルックバック』の名シーンをご紹介。

 以下、一部ネタバレ。


 藤野(CV河合優実)と京本(CV吉田美月喜)──ふたりは漫画を描き続け、雑誌連載が決まる。
 京本は絵を描くことが好きな引きこもりだった。
 藤野と知り合うことでいっしょに漫画を描き、外の世界に出ることができた。
 そんな京本が「漫画をやめて美大に行きたい」と言い出す。
 藤野は漫画連載が決まったし、京本とずっといっしょに漫画を描いて行きたいから引き止める。
 以下はその時の会話。

「美大なんか行っても意味ないよ。美術系の就職先なんかほとんどないし」
「それは知ってるけど」
「知らない人といっぱい話すことになるんだよ」
「それはがんばるよ」
「わたしについて来ればさ、全部うまくいくんだよ」
「……わたし、藤野ちゃんに頼らないでひとりで生きていきたいの」
「そんなのつまんないよ!」
「つまんなくないよ!」
「ぜったいにつまんないし、ていうか、あんたがさ、ひとりで大学生活できるわけないじゃん」
「できるよ、できるようにする!」
「無理だよ。だってコンビニのレジの人とだって恥ずかしくて話せないじゃん」
「これから練習するもん」
「ぜったいに無理!」
「でも……」
「なに?」
「もっと絵うまくなりたいもん」

 …………………………………………………………

 このシーンだけで僕は号泣してしまうのである。
 引き止めたい藤野の気持ちもわかる。
 そこには、かなりエゴも入っている。
 藤野にとって、京本は漫画を描く原動力であり、いなくなる心細さもある。
 自立したい京本の気持ちもわかる。
 自我に目覚めた京本は今のままではダメだと思っている。
 というか、
「できるようにする!」「これから練習するもん」
 で泣ける。
 不器用でもがんばって生きていく人は素晴しい。

 ぶつかり合うふたりの思い。
 藤野はあきらかだけど、京本も本当は別れたくないんだよね。
 このシーンを見るだけでも『ルックバック』を見る価値があると思う。


※関連動画
「ルックバック」公開記念PV(YouTube)

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「ルックバック」~コミック・アニメの「革命」と言われている作品を観た!

2024年12月13日 | コミック・アニメ・特撮
 コミック・アニメ業界で「革命」といわれている劇場アニメ『ルックバック』
 わずか58分の作品だ。
 原作の藤本タツキ先生に拠ると、タイトル『ルックバック』には3つの意味があるらしい。

 ひとつは「背中を見ろ」
 作品では、漫画を描く藤野(CV河合優実)の背中がひたすら描かれる。
 その後ろには、アシスタントとしてこたつで漫画の背景を描いている京本(CV吉田美月喜)。
 京本は漫画を描く藤野の背中を見ている。
 面白い漫画を生み出す藤野を驚嘆と賞賛の目で見ている。
 そう、『ルックバック』はこの光景をひたすら描く作品なのだ。

 この背中の描写が実に見事でリアル。
 漫画を描くことにのめり込むあまり体が大きく左に傾いたり、極端に前屈みになったり。
 ただそれだけだが、ぜんぜん退屈しない。それだけで見ていられる。
 藤子不二雄先生の『まんが道』でも漫画を描く漫画家の背中が描かれたが、
 漫画を描くというのは「背中を描く」ということなのだ。

 ふたつめは「過去をふり返る」
 藤野は京本といっしょに漫画を描いていた過去をふり返る。
 それはかけがえのない時間。
 大変だったけど、とても楽しかった時間。
 こうした時間を得られただけでも人生の意味はある。

 三つ目は「背景を見ろ」
 漫画やアニメでは、どうしても「ストーリー」「キャラクター」に目が行って、
「背景」は忘れられがち。
 でも「背景」も見てほしい。
 背景ってすごいのだ。
 特に京本の描いた背景はすごかった。
 藤野は大ヒット漫画家となったが、京本をリスペクトしている。
 京本の存在を忘れないでほしいと訴えている。

 そして後半。
 藤野と京本が別れてからの物語。

 以下、ネタバレ。

※関連動画はこちら
『LOOK BACK』オフィシャルトレーラー(YouYube)

 …………………………………………………………

 そして後半。
 あの後半をどう解釈すればいいのだろう?

 京本の部屋の扉を「現実とフィクションを繋ぐ扉」と解釈している方がいて、なるほど!
 いろいろ考察がふくらむ解釈だ。

 僕はもっと単純に解釈していて、
「もし京本が部屋から出ずに引きこもりを続けていたら」の描写は、藤野の空想だと考えている。

 もし京本が部屋から出なかったら自分が空手で助けて、ふたりはいっしょに漫画を描く。
 これで京本は死なずにハッピーエンド。明るい希望に満ちた未来。
 藤野はこれを求めて空想した。
 空想の世界なら、こうしたハッピーエンドはいくらでも作れる。
 だが現実は……?
 京本は亡くなっていて帰って来ない……。

 藤野は亡くなった京本の部屋に入る。
 そこにはスケッチブックの山と、藤野の漫画のコミックスと読者のアンケートハガキ。
 別れて離ればなれになっていても、京本は藤野の漫画のファンで応援していた。
 京本はずっと藤野を見ていた。

 そしてドアの所には、藤野のサインが書かれたどてら・丹前。
 京本がいつも羽織っていたものだ。
 ここで藤野は『京本の背中』を見せられる。
 この京本の背中が訴えているメッセージは何か?

「藤野さん、漫画を描いて! 藤野さんはすごいんだから!」

 この京本のメッセージを見て、藤野はふたたび漫画を描き始める。
 しかし、このラストは明るく力強いものではない。
 藤野はひとりぼっちだからだ。
 もはや京本はいない。
 藤野はこれからひとりで漫画を描いていかなくてはならない。

 さまざまな感情を抱かせる、見事なラストだった。


※追記
 藤野役の声は『不適切にもほどがある』『家族だから……』の河合優実さん。
 上手すぎる!
 何だ、このさりげない感情演技!
 これは型にはまった既存の声優さんではできない表現!

 京本役の吉田美月喜さんもすごかった。
 僕は存じ上げなかったが、スタダのモデル・女優さんで、いろいろな作品に出ている。
 今後の活躍が楽しみだ。

※追記
 このラストを見て、僕は宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』を思い出した。
 カンパネルラを失ってジョバンニはこれからひとりで生きていかなくてはならない。
 人々の幸いのためにジョバンニはひとりで苦闘しなければならない。
 この姿は藤本に重なった。

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「ち。-地球の運動について-」~天動説と地動説、宗教と科学、キリスト教とギリシャ哲学、そして理性・知性の復権

2024年10月17日 | コミック・アニメ・特撮
 アニメ『ち。-地球の運動について-』(NHK・土曜23時45分ほか)
 この作品はさまざまなことを考えさせてくれる。

 作品は──
 15世紀のヨーロッパで禁じられた地動説を命がけで研究する人間たちの生き様と信念を描いた物語だ。
 この時代、地動説を唱えたり、研究して証明しようとすれば「異端」の審判を下され、
 拷問・火あぶりにされる。
 でも「地動説」を追い求めずにはいられない。

 第1章の主人公ラファウ(CV坂本真綾)は大学で神学を学ぶ予定の秀才だったが、
 地動説を知って考える。
「地動説の方が惑星の運行をきれいに証明できる」
 これに比べて天動説は美しくない。
 だからタファウは疑問を持つ。
「神がこんなに美しくない世界をつくるだろうか?」

 ラファウは冷徹な合理主義者だ。
 だから地動説を信じていないと平気でウソを言えるし、
 大学で神学を学ぶふりをしながら、地動説の研究をしようとしている。

 一方で、こんな合理主義者のラファウだから非合理なものを否定せずにはいられない。
 非合理なもの──具体的にはキリスト教だ。
 キリスト教は教える。
「異端者は悪魔に取り憑かれている」
「人から悪魔を追い出すには火あぶりにするしかない」
「火あぶりにすれば人は灰になるが、灰になった人間は肉体を失っているので、
 最後の審判の時、復活できない」

 ラファウはこれを非合理だと否定する。
 キリスト教が教える「絶対神による救い」を拒絶する。
 彼は共感するのはギリシャの哲学者の言葉だ。
 ソクラテス、いはく、
「誰も死を味わっていないのに誰もが死を悪であるかのように決めつけている」
 エピクロス、いはく、
「われわれのある所に死はない。死のある所にわれわれはない」
 セネカ、いはく、
「生は適切に活用すれば十分に長い」
 ソクラテスたちは理性的に生と死を考え、怖れることなく乗り越えている。
 ラファウもこれに同意して、やすやすと死を乗り越える。

 ラファウはさらに異端審問官のノヴァク(CV津田健次郎)にはこんなことを語る。
「あなたが相手にしている敵は僕でも異端者でもない。
 想像力であり好奇心であり、畢竟、それは知性だ。
 これは伝染病のように拡がり、一組織が手なずけられるほど可愛げのあるものではない」

 ラファウが主張するのは──想像力・好奇心・理性・知性の素晴らしさだ。
 これらの揺るぎない堅固さだ。
 そして「感動」。
 地動説に感動したラファウはこの感動を誰かに伝えずにはいられない。
 自分の研究成果を後世の人間に残さずにはいられない。
 …………………………………………

・天動説と地動説
・宗教と科学
・キリスト教の死生観とギリシャの死生観
・理性、知性の復権

『ち。-地球の運動について-』に込められているテーマはさまざまだ。

 僕は最近、死についていろいろ考えているから、
 ラファウが死をどう乗り越えたかはとても興味深かった。
 ラファウのとった選択に心がザワザワした。

 原作者の魚豊氏はこの作品についてこう語っている。

『天動説から地動説へ移行する、知の感覚が大きく変わる瞬間がいいんですよね。
 哲学と結びついて、「コペルニクス的転回」や「パラダイムシフト」って言葉が生まれるくらいの衝撃を与えました。
 その瞬間が面白くて、漫画にしようと決意しました』

 何かを求めて見ることで、この作品は見る者に「パラダイムシフト」をもたらすと思う。
 現在は第3話まで放送。
 第1章が終了したばかりなので、まだ間に合う。
 多くの人に見てもらいたい。

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「機動戦士ガンダムSEED 」3部作~どうしたら戦争をなくすことができるのか?

2024年08月13日 | コミック・アニメ・特撮
「機動戦士ガンダムSEED」(テレビシリーズ48話)
「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」(テレビシリーズ50話)
「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」(劇場映画)

 3作品を貫くテーマは『どうしたら戦争をなくすことができるのか?』

 以下、おおまかなネタバレあり。

「機動戦士ガンダムSEED」
 この作品が描いたのは「憎しみの連鎖を止めよう」だった。
 やられたから報復する。
 地球連合とプラント(ザフト)はこの論理で戦いを繰り返す。
 この背景には「普通の人間」と「遺伝子改良された人間=コーディネイター」の差別・対立がある。
 両者の戦いはどんどんエスカレートしていき、強力な武器を使い合い、
 相手を絶滅させる段階にまで至る。
 ここに登場する、どちらにも属さない主人公たちの第三勢力!

「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」
 ギルバート・デュランダル (CV 池田秀一)がやろうとしたのは
「戦争をつくりだしている勢力を滅ぼすこと」だった。
 つまり倒すべきは、戦争に拠って兵器を売って金儲けしている勢力=軍産複合体だ。
 追い詰められた軍産複合体は最終兵器レクイエムを使おうとするが阻止される。

 だが戦いはここで終わらなかった。
「人類から戦争をなくす」ためにデュランダル は『デスティニープラン』の施行を宣言する。
 『デスティニープラン』
「人々の人生すべてを遺伝子によって決定する管理社会制度」だ。
 人には欲があり、結果として争い、間違いを犯す。
 遺伝子的に定められた役割を果たしていれば人は満足し平穏に暮らすことができる。
 果たしてそんな理論が成り立つかどうかは疑問だが、
 たとえば動植物は遺伝に従って生きていて、生きるために他の種をエサにするが、
 少なくとも同族で争うことはない。
 デュランダルは人間にも同じ理論が成り立つ、と考えている。

 この理論は伊藤計劃氏のSF小説『ハーモニー』でも同じようなことが描かれている。

 さて、ここで出て来る課題は「人間の自由」だ。
 夢を持ち、遺伝子で決定されない誰かを愛し、失敗したり成功したりして、泣いたり笑ったりする。
 これこそが「人間」であり「自由」ではないか?

 このテーマは劇場映画「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」で引き継がれる。
 主人公たちがどのように葛藤し、どのような結論を出すかは実際に作品を観て確認してほしいが、
 僕としてはもう少し新しい見解を提示してほしかった。

 なぜなら僕は人類という種にほとんど期待していないから。
 現状の人類の意識や思考には限界があり、現状維持では争いや戦争はなくならない。
 キラ・ヤマト(CV保志総一朗)、ラクス・クライン(CV田中理恵)らは今後も戦いを繰り広げていくだろう。

 かと言って「管理社会」がいいわけではないんですけどね。
 でも管理され去勢されて、お前はこう生きろと言われた方がずっと楽。
 自由は不安だから、孤独でつらい。
 不安を解消するためにいろいろなことをやらかす。

 管理社会か? 自由社会か?
 これはSF小説がずっと描いて来たテーマ。
 というより「人類の永遠のテーマ」。
 さて、皆さんはどう考えられるだろう?
 この点で、ファーストガンダムの「人類の覚醒=ニュータイプの誕生」という切り口は新しかった。

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「推しの子」~黒川あかねは「俺の嫁」! そして本日、舞台「東京ブレイド」の幕が開く!

2024年08月07日 | コミック・アニメ・特撮
 本日オンエアされる『推しの子』17話~東京MXの場合。
「さあ、すべてを見せて来い!」
 いよいよ舞台『東京ブレイド』が披露される。

・アビ子先生(CV佐倉綾音)と脚本GOA(CV小野大輔)共作の攻めた台本とは?
・有馬かな(CV潘めぐみ)と黒川あかね(石見舞菜香)の芝居対決や、いかに?
・鳴嶋メルト(CV前田誠二)はどのような成長した演技を見せるのか?
・アクア(CV大塚剛央)は過去のトラウマを乗り越えられるのか?

 これまでの伏線が舞台で一気に回収される。
 見事な作劇だ。

 有馬かなVS黒川あかね
 芝居対決は『ガラスの仮面』以来の演技ドラマの必須だよね。

 メルトは演技力がヴァージョンアップしているんだろうけど、
 鴨志田朔夜(CV小林裕介)との絡みがポイントになりそう。
 16話で鴨志田はメルトを「下手だ」と挑発したが、おそらくこれはわざと。
 自分への怒りをメルトにぶつけさせるためにわざと挑発した。

 アクアは自分のトラウマを武器に変える決断をした様子。
 瀕死の鞘姫を抱きしめる刀鬼。
 何かを失って絶望し、吐き気を催すほど自分を責める芝居はトラウマに従えば十分にできる。
 問題は「歓び」の演技だが、これをどう乗り越えるか?
 ポイントは黒川あかねかな?
 あかねの思いがアクアを救い、歓びをもたらす?

 いずれにしてもワクワクする。
 アニメ作品は他にも見ているが、『推しの子』だけはリアタイで見ている。
 …………………………………………………………

 で、黒川あかね様!
 『僕の嫁』確定ですね。笑

・可愛い! 美人!
・芝居は天才。
・プク~ッとすぐ怒る。
・基本真面目。だが負けず嫌い。
・料理が上手い。
・アクアのようなマイナスオーラ全開の男が好き。
・分析能力に優れ、相手のことを深く理解してくれる。
・どんなことがあっても味方だよ、と言ってくれる。

 全国の陰キャ・ダメ男にとっては女神様のような存在だ!

 まあ、アクアが求めているのはアイ(CV高橋李依)なんだよね。
 アイの呪縛が解けた時、アクアが向かうのは、かななのか? あかねなのか?
 かなに対してアクアは「感情」でつき合っている感じ。
 かなの前ではアクアは自分を素直に出せる。
 あかねに対しては「理性」でつき合っている感じ。
 アクアは論理的にあかねを見て受け入れている。
 あるいは、あかねを通してアイを見ているのかもしれない。

「感情」と「理性」
・恋愛をするなら「感情」の有馬かな。
・結婚するなら「理性」の黒川あかね。
 という感じだろうか。

 いずれにしても、
 恋愛においても「有馬かなVS黒川あかね」という対立図式をつくった所が
 物語をグングン面白くしている。

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「しかのこのこのここしたんたん」~シュールでアタオカでナンセンス! 頭を空っぽにして自由になろう!

2024年07月26日 | コミック・アニメ・特撮
 シュール、アタオカ、ナンセンス!
 今、話題のアニメ『しかのこのこのここしたんたん』

 し~~か! し~~か!

 どんなに頭のおかしい作品かというと──
 たとえば第1話。

 ※以下はほとんど論理性がないので、頭をからっぽにして読んで下さい。笑
 …………………………………………

 元ヤンキーで今は生徒会長・虎視 虎子(CV藤田咲)が通学していると、
 鹿の角の生えた女の子・鹿乃子 のこ(CV潘めぐみ)が電信柱の電線にぶら下がっている。
 電信柱の下にはなぜかハイエナ、空にはハゲワシ。鹿の姿も見える。
 関わりたくないので虎子が逃げようとすると、鼻水を飛ばされて引き止められる。

 鹿乃子のこ(愛称のこたん)は実は転校生。
 教室に入って来る時、角がつかえて教室のドアや壁を壊してしまう。
 先生や生徒は、ガラスの破片が突き刺さったり、コンクリートが当たって
 額から血を流しているのに、ぜんぜん気にしていない。

 のこたんは朝、助けてもらったお礼で、虎子に山のような「鹿せんべい」をプレゼントする。
 でも食べたくて、ナイアガラの滝のようなヨダレを流す。
 虎子が要らないといって鹿せんべいを返すと、代わりに自分に角をとってプレゼントする。
 角は取り外しが可能で、のこたんの頭も取り外し可能。

 放課後、倉庫で物音がしたので虎子が行くと、角が刺さって、のこたんが血を流して死んでいる。
 でも、死んでいなくて角が頭に刺さっただけだった。
 倉庫の整理をしていて脚立が倒れて、角が刺さったのだ。
 のこたんは『しか部』の部室をつくるために、倉庫整理をしていた。
『しか部』は鹿である、のこたんを世話する部活で虎子は入部することに。
 …………………………………………

 以上が第1話のストーリーだが、よくわかりませんよね?
 というか、この作品、意味を考えてはいけない。

 意味なく鹿がいたり、頭が取れたり、論理性がムチャクチャだったりして、
「悪夢」を見ているような感じもある。

 論理からの解放。
 意味からの解放。
『しかのこのここしたんたん』の意図はここにある。

 普通、人は論理に縛られ、意味に囚われ窮屈な思いをして生きている。
 ネット上に溢れている言葉も、さまざまな人がいろいろなことを言っていて疲れる。
 では、そんなものが取っ払らわれたらどうなるか?
 人は「自由」になれるのだ!

 これを突き詰めていくと『シュールリアリズム宣言』になるのだが、それはいずれまた。
 タイトル『しかのこのこのここしたんたん』も意味がわからなければ単なる「音のつらなり」。

 第2話は第1話ほどのメチャクチャは少なくなった。
 ジョーシキ人の僕にはこれくらいが丁度いい。
 でも少し残念な気もする。

 第3話は、虎子(愛称こしたん)が自分の黒歴史を1分半に渡って歌うシーンがある。笑

 虎視虎子(こしたん)オリジナルソング「それゆけ元ヤンこしたん」(YouTube)
 ※この歌がこの作品の頭のおかしさを物語っていると思うので、ぜひ見て下さい。

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『機動戦士ガンダム』と『ガンダムSEED』を徹底比較!~SEEDはファースト・ガンダムを越えた!?

2024年07月19日 | コミック・アニメ・特撮
『機動戦士ガンダムSEED』全48話をイッキ見した!
 面白かった!
 僕にとって『ガンダム』と言えば「ファースト・ガンダム」で
 それ以降の『ガンダム』もいろいろ見たが「ファースト」を越えるものはほとんどなかった。
 同じことを『ガンダム』制作陣も考えたんじゃないのかな?
 ここは原点に戻るべきではないか、と。
 歳月が経ち、ファースト・ガンダムを見ていない世代も出て来ただろうし。
 ……………………………………………………

『機動戦士ガンダム』と『機動戦士ガンダムSEED』

 基本的なストーリーラインは同じである。
・コロニー脱出→追って来る敵→地球へ→迫り来る敵→地球軍基地壊滅→宇宙へ。

 登場人物やメカも
・宇宙艦ホワイトベース→アークエンジェル
・シャア→ラウ・ル・クルーゼ
・アムロ→キラ・ヤマト
・ブライト→マリュー・ラミアス
・ランバラル→アンドリュー・バルトフェルド
・ララァ→ネタバレになるので書けない。

 ストーリーラインとキャラクター配置はファーストと同じにして、
『機動戦士ガンダムSEED』はオリジナルのテーマを展開している。

 では両者の違いは何か?

『機動戦士ガンダム(ファースト・ガンダム)』
・地球政府VSジオン公国
・地球に住む者VS宇宙に住む者
・人類の革新~ニュータイプの登場

 戦いがもたらしたニュータイプ誕生。
 この展開は激アツ!だった。
 人類は覚醒し、新たな段階に進む。
 この展開は希望のもてるものだった。
 まあ、それ以降の『ガンダム』でグチャグチャになるんですけど……。

『機動戦士ガンダムSEED』
・地球連合軍VSザフト(プラント)
・ナチュラル(人類)VSコーディネイター(遺伝子強化された人類)

 SEEDでは「ニュータイプ」という概念は登場していない。
 最初からナチュラルとコーディネイターは対立し、憎み合っている。
 両者の対立は激化し、憎しみの連鎖で惨劇が次々と起こるのだが、
 SEEDでは「ニュータイプの誕生」という展開にはいかない。
 主人公のキラたちは「どうして自分たちは戦っているんだろう?」と悩み、別の展開に進む。
 ネタバレになるので具体的には書かないが、この展開も激アツだった。

 シャアに該当するラウ・ル・クルーゼもな……。
 シャアの行動目的は「ザビ家への復讐」から「人類の覚醒」へ変化するのだが、
 ラウ・ル・クルーゼはまったく別の動機で行動している。

 というわけで『機動戦士ガンダムSEED』面白かった!
 今は『DESTINY』を見ているが、どんな展開になるのだろう?

 ちなみに僕が「見ないと人生の損」と考えているアニメは以下の三作品だ。
『機動戦士ガンダム』
『進撃の巨人』
『銀河英雄伝説』

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「THE FIRST SLAM DUNK」~『脱チート』の時代! リョータの視点で描かれる「スラムダンク」!

2024年07月17日 | コミック・アニメ・特撮
 『THE FIRST SLAM DUNK』を観た。

 宮城リョータ(CV仲村宗悟)が視点で描かれる『湘北VS山王工業戦』である。

 では、なぜ今回はリョータ視点なのか?
 
・流川楓(CV神尾晋一郎)は完璧なチートキャラだ。 
・桜木花道 (CV木村昴)は奇跡を起こすチートキャラだが、シロウトだ。笑
・三井寿(CV笠間淳)はスリーポイントシュートに長けたチートだが、体力がない。笑

 原作・監督・脚本の井上雄彦先生は『脱チート』を狙ったのだと思う。
 体の小さい、神奈川でも二番手くらいの選手が葛藤し、足掻いて最後に輝く。
 亡くなった兄を克服する。
 そんなドラマを描きたかったに違いない。

 では赤木剛憲 (CV三宅健太)視点はどうだろう?
 ゴリは体格に恵まれてはいるが、チートキャラではない。
 いわゆる努力の人で、イマイチドラマ性に欠ける。
 赤木が主人公だと、 妹・晴子(CV坂本真綾)と花道の話を描かなくてはならなくなる。
 こんな所が主人公から外れた理由だろう。

 まあ個人的には、赤木視点の『スラムダンク』を見てみたいが……。
 赤木の心の中では、多くの葛藤や思いが渦巻いていたに違いない。
 赤木が花道や三井たちをどう見ていたのかも気になる。

 それにしても井上雄彦先生の絵がよくもまあ、こんなにグリグリ動いたなぁ。
 バスケに詳しい人に拠ると、実際のプレイの細かい部分まで再現されているらしい。
 アニメーションは日々どんどん進化していく。

 さて、『THE FIRST SLAM DUNK』の海外の評価。
・中国熱狂!
・韓国熱狂!
・シンガポール熱狂!
 客層のメインはテレビシリーズの『SLAM DUNK』を見ていた40代~50代らしい。

 エンタテインメントは国境を越える。
 作品を通して「あれがよかった」「ここがすごかった」と語り合える。
 こんなふうに共感し合えるのだから、国どうしが争うのは愚かなことだ。
 銃を捨て戦争をやめて、エンタテインメントについて語り合おう。


※関連動画
 【THE FIRST SLAM DUNK MAD】第ゼロ感/10-FEET(YouTube)

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「推しの子」シーズン2~見事な演劇論・芝居論・脚本論! そして、やっぱり黒川あかね推し!

2024年07月12日 | コミック・アニメ・特撮
『推しの子』シーズン2が始まった。
 2.5次元舞台編。
 アクア(CV大塚剛央)たちが2.5次元の舞台劇「東京ブレード」を創りあげる!

 やっぱ僕は黒川あかね(CV石見舞菜香)推しだな。

「アクアくん、おひさ~」←か、かわいいっ!

「わたしの彼氏孤立してるな。あまり人と馴染むの好きじゃないのかな? ちょっと親近感♪」
 ←これで全国の陰キャな男たちは歓喜で涙したことだろう!

 一方、アクアが有馬かな(CV潘めぐみ)の方を見ていると、プンプン怒り出す←フェルンか!

 でも、いったん芝居モードに入ると、表情が変わる。
 アクアを演劇の良さを知ってもらうために舞台に誘う時は星野アイモードになる。
 星野アイモードになると、アクアは断れない……素直になる……笑
 こういうとこ、あかねはしたたかだよね!
 ………………………………………………………

 黒川あかねと有馬かなの芝居対決も見物!

・あかねは没入型
  役の情報データを徹底的に集め、役を構築していく。

・有馬かなは適応型
  まわりの演技をきれいに受けて演技をする。
  相手の芝居レベルに合せることもできる。

 当初、芝居対決で、有馬かなは劣勢かと思われたが、今回覚醒した。
 相手役の姫川大輝(内山昂輝)が演劇賞を総ナメした務める実力派俳優だったからだ。
「遠慮しないでいいよ」
 姫川にこう言われて、かなはリミッターを外す!
 自分の全力をぶつけられる相手を見つけて本来の実力を発揮する!
 その相乗効果でふたりの芝居が輝き出す!

 見事な芝居論だ。
 上手い役者同士がぶつかり合って生まれる相乗効果。
 同じシーンでも上手い役者と下手な役者が演じるのでは格段の差が出る。

 一方、あかね。
 演じる「鞘姫」の解釈が脚本と違っていて悩んでいる。
 原作の鞘姫はこんな人物ではないと考えている。
 この疑問をぶつけると、脚本家と演出家は舞台の進行をスムーズにするため、
 仕方なく鞘姫のキャラを変えたのだと説明する。
 鞘姫の心情を深掘りすると、舞台を散漫にする「ノイズ」になってしまうのだ。
 現在の鞘姫はストーリーをスムーズに進める「便利キャラ」でしかない。

 これも見事な脚本論だ。
 2時間の舞台に収めるためには、どうしてもカットしなければならなくなる。
 深掘りが浅くなるキャラも出て来る。

 この脚本論は第2話でさらに深く描かれた。
・原作者との感性の違い。
・メディアの違い~コミックでは1コマで表現できることが演劇では長い尺が必要。
・編集者、プロデューサー、演出などが間に入る「伝言ゲーム」。
 結果、原作者と現場の不信感が生まれていく。

 これで思い出されるのは、テレビドラマ『セクシー田中さん』の出来事だ。
 あの時、脚本家はメチャクチャ叩かれたが、僕は間に入った人間の責任だと考えていた。
 実際、発表された日テレ、小学館の報告書にもそのことが書かれていた。

 さて『推しの子』。
 第2話で「脚本全否定」「原作者が脚本を書くこと」になったわけだが、どう決着をつけるのか?
 おそらく修正脚本で「鞘姫」のキャラは変わるだろうな。
 結果、黒川あかねは全力の芝居ができるようになる。


※関連動画
 「推しの子」第2期メインPV(YouTube)

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「響け!ユーフォニアム3」~久美子ってムチムチしてるよな。色気を表現できる京都アニメーションの作画力!

2024年06月09日 | コミック・アニメ・特撮
 久美子(CV黒沢ともよ)と麗奈(CV安済知佳)がついに決裂!
 佳境に向かって盛り上がって来た『響け! ユーフォニアム3』。
 本当に見応えのあるアニメーション作品だ。

 真由(戸松遥)に悪気はない。
 むしろ自分の存在が吹奏楽部にどのような影響を及ぼすかを理解していて一歩引いている。
 久美子に何度も警告している。
 まあ、こんな洞察ができる真由には過去に何らかのトラウマがあるんだろうけど。
 ネットで真由のことを『天然マウント少女』と表現している方がいたが、なるほど!
 真由は静かなる時限爆弾。
 それが先週の第9回で炸裂した。

 さて、このようなギスギスの中でコンテストを迎えたら、北宇治吹奏楽部はどのような演奏を
 するのだろう?
 音楽の完成度は高い。
 でも楽しくない。
 今のままではコンテスト落選だ。
 今のギスギスはどのように昇華され、結果としてどのような音楽が奏でられるのか?
 ………………………………………………………

 それにしても京都アニメーションの作画ってすごいな。
 何がすごいかと言えば、ものすごくエロいのだ。

 高校三年生の久美子はムチムチしている。
 久美子は足は短いし、等身もどちらかと言うとご立派とは言えないし、すごくリアル。
 高校一年の時から久美子を見ている当方としては、久美子のムチムチに目を見張ってしまう。
 高校一年の久美子はまだ子供だった。
 これに加えて、今回の青春ドラマと声優・黒沢ともよさんの芝居で、むせ返るような色気が
 滲み出ている。

 それは葉月(CV朝井彩加)や 緑輝(豊田萌絵)にも言えて、
 特に緑輝、すっかり大人になったねえ。以前はアホ毛の天然キャラだったのに。

 その他、 奏(CV雨宮天)はしっかり高校二年生の感じだし、
 アイスを差し入れに来た 優子先輩(CV山岡ゆり)と夏紀先輩(CV藤村鼓乃美)は
 しっかり大学生の感じになっている。

 おそるべし! 京都アニメーションの作画!
 世の中には、すごい作画の作品はたくさんあるが、この滲み出る色気はなかなか出せない。
 宮崎駿作品もそうだ。
 キャラのムンムン、ムチムチ感はさすがの宮崎駿さんも描けていない。

『響け!ユーフォニアム3』は、日曜日夕方5時・Eテレにて放送中 ←何とEテレ!


※関連動画
 今からでも楽しめる!「響け!ユーフォニアム」(京アニチャンネル・YouTube)
 
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