平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

「ワルキューレの騎行」と映画「地獄の黙示録」~ワーグナーの音楽は人を狂気に誘う

2024年02月28日 | 洋画
 リヒャルト・ワーグナーの『ワルキューレの騎行』
 初めて聴いた時、これ頭のおかしい曲だと思った。
・高らかに奏でる主旋律を管楽器!
・キュンキュンと泣き叫ぶ弦楽器!
・ワルキューレのブリュンヒルデ(歌手)が Hojotoho! Hojotoho!  Heiaha!

 実際、ワグナーに心酔する人には狂気の人物が多い。

 バイエルンの狂王ルートヴィッヒ二世
 彼のノイシュバンシュタイン城はルートヴィッヒ二世の理想の世界を実現するために造られた。
 目指すのは神話世界の実現だ。
 ワグナーはこれをオペラで表現したが、ルートヴィッヒ二世は建築物で表現しようとした。

 
 ※ノイシュバンシュタイン城~ヨーロッパに旅行に行った時、拝観した。
  完全に観光地化されていたが、そうでなければルートヴィッヒ二世の狂気を感じたかもしれない。

 アドルフ・ヒトラー
 ワグナーは民族主義者で、英国の資本主義、フランスの共和主義を否定し、
 ドイツの偉大さを芸術で表現しようとしたが、ヒトラーはこれを現実で表現しようとした。
 ワグナー同様ユダヤ人を憎み、憎悪を加速させてホロコーストをおこなった。
 連合軍がベルリンに迫っているのに、バイロイトのワグナー音楽祭を強行しようとした。
 ……………………………………………………………………………

 そしてコッポラーの映画『地獄の黙示録』

 ベトナム戦争。
 飛来する米軍のヘリコプター部隊。
 任務はベトコンの一掃。
 ヘリコプター部隊の隊長は戦闘時に『ワルキューレの騎行』を高らかに鳴らす。
『ワルキューレの騎行』を響かせながらベトコンおよび民間人を攻撃していく。
 ワルキューレとは「戦場の戦士を天上の宮殿ヴァルハラへ連れて行く女神たち」のことだが、
 ヘリコプター部隊はまさにそれ。

 

『地獄の黙示録』は戦場でのさまざまな狂気が描かれたが、このシーンの狂気はすごかった。
 ここで『ワルキューレの騎行』を持って来るコッポラーのセンス!
 この狂気についていけないヘリコプター部隊の隊員が戸惑った顔をしている所にテーマを感じる。
 途中でベトナムの村の子供たちの退避シーンを入れた所もコッポラーの主張を感じる。

 ワーグナーの音楽は人間を狂気に誘う。
 もしかしたら人間は狂いたがっているのかもしれない。
 日常はあまりにも平凡で、人を常識や世間の目や法律や道徳で縛りつけるから。
 人がワーグナーの音楽に魅了される理由はこんな所にあるのだろう。


※動画はこちら
「地獄の黙示録」~ワルキューレの騎行(YouTube)

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「光る君へ」 第8回「招かれざる者」~道長、直秀、為時、道兼……揺れ動くまひろの心

2024年02月26日 | 大河ドラマ・時代劇
 まひろ(吉高由里子)の心が揺れている。

 冒頭、道長(柄本佑)との身分の誓いを痛感させられて、
「もうあの人への想いを断ち切ったのだから」

 だが、赤染衛門(凰稀かなめ)からはこんな言葉。
「心はおのれだけのものでありますもの」
 そう、心の中は自由なのだ。
 心の中なら身分など関係なく誰かを愛せる。

 直秀(毎熊克哉)からは都の外の世界のことを聞かされて、
「いっしょに行くか?」
「……行っちゃおうかな」
 直秀と別の道を歩む可能性もあった。
 だが、ここでひと押しできないのが直秀。
「……行かないよな」
 言われてまひろは複雑な表情。

 父・為時(岸谷五朗)を支える道もあった。
 というより、まひろは父親のことを理解し、父親を支える道で生きていこうと考えていた。
「父上はこんな争いに巻き込まれたくないのよ。学問で身を立てたいのよ」
「内裏のことはわかりませぬが、父上には政治は似合いませぬ」

 仇敵・道兼(玉置玲央)と対峙。
「このようなことしかできませぬが、お耳汚しに」と言って、道兼のために琵琶を弾く。
 このようなことをしたのは道兼に負けたくなかったから。
 家に訪ねて来た道兼を見た時は逃げてしまった。
 だから、まっすぐ道兼の顔を見て琵琶を弾いた。
 そして道兼とこんな会話。
「母は七年前に身罷りました」
「ご病気か?」
「……はい」
「それは気の毒であった」
 後に道兼の前に現われた為時から理由を聞かれて、
「あの男に自分の気持ちを振りまわされるのは嫌なのです」
 まひろ、実に強い子だ。

 こんなふうに、まひろの心は揺れ動いている。
 まひろは何でもできる。
 道長を心の中で想うことも
 直秀と外の世界を見ることも
 為時と家のために生きることも
 道兼への怒りと憎しみを抱いて生きることも。
 まひろはこれらの思いをどのように昇華していくのだろう?
 ………………………………………………………………………

 政治の世界──
 花山天皇(本郷奏多)・藤原義懐(高橋光臣)一派と右大臣・左大臣・関白一派の政争が激化。
 義懐は権中納言に異例の出世。右大臣一派を排除しようとする。
 そんな中、兼家(段田安則)が病に倒れ、右大臣一派は劣勢に。
 詮子(吉田羊)は兼家を見限り、左大臣・源雅信(益岡徹)との結びつきを強くしようとする。
 花山天皇、義懐はさらに道兼を取り込もうとするが……。

 倫子(黒木華)の婚姻も進行中。
 雅信は道長との婚姻を渋っているようだが、倫子は道長に恋愛モード。
 父親の前では
「満更でもない顔などしておりませぬ……!」
 だが、ひとりになると、
「道長様……」

 道長と直秀は友情で結ばれつつあるようだ。
 道長は直秀が盗賊であることに気づいているが、黙認してキャッチボールをする。←進撃の巨人?
 しかし直秀が盗賊として捕まってしまい、次回どうなる?

 脚本の大石静さん、安定のストーリーテリングですね。
 すべての登場人物がイキイキと描かれている。
 派手ないくさや大きな事件は起きていないのに面白い。
 大きな事件がない分、人物の気持ちや事の経緯がゆっくりと、ていねいに描かれている。

 道兼は今後どう描かれるのだろう?
「どこへ行っても私は嫌われる」
 おそらく腕の傷は花山天皇に近づくための策略だろうが、それだけではない気がする。
 道兼も苦しんでいて誰かを求めている。
 だから為時の家に行った。兄・道隆(井浦新)の所ではなかった。
 為時は身分が下だし、政治的な人間ではないから、いっしょにいて楽なのだろう。
 為時は真面目すぎて、楽しく酒を飲む相手ではなかったが……。
 そして、まひろの琵琶に癒された。
 道兼は救いを求めている。

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大阪万博の大屋根リング~世界の木造建築と比べてみた! ワクワク、ロマン、工夫、思想がない……

2024年02月25日 | 事件・出来事
 大阪万博の大屋根リング。
 今年の夏には完成するようだが、完成したらパビリオン建設の資材や車輌が入れない?
 との懸念があがっている。
 まあ、さすがにそんなことはないよね?
 いくらなんでも資材や車輌が通れる通路は確保しているよね?

 一方、大屋根リングさん、雨や風に曝されて痛み始めているらしい……。
 万博協会はあわてて補修しているようだが、まだ開催まで1年以上……。
 大丈夫か?

 現在の世界最大の木造建築はこれらしい。

 

 メトロポール・パラソル(スペイン・セリビア)
 内部はショッピングセンターになっていて入ることができる。
 大阪万博もこういうのを造ればいいのにな。
 これなら万博終了後も活用できる。
 モニュメントとしても残せる。

 個人的に好きなのはロシア・キジ島の教会。

 

 七層の木造建築。
 世界遺産にもなっている。
 丸い尖塔とか、いかにもロシアだねえ。
 大阪万博でも「法隆寺を現在のデザインで造ったらこうなる」みたいなものは造れなかったのか?

 こんなのもある。

 

 ノアの方舟。
 アメリカケンタッキー州のテーマパーク「アーク・エンカウンター」の木造建築だ。
 これも中に入れてノアの方舟の構造を愉しめる。

 というわけで、大阪万博の大屋根リングは芸がない気がするなあ。
・ワクワクがない。
・ロマンがない。
・工夫がない。
・思想がない。
・モニュメントとして遺すことを考えていない。

 費用の面もあるけど、否定的な意見が多いのはこういう所が原因だと思うよ。
 後に残せて、シュッピングモールとかに活用できるのなら建設費用の問題は一気に解消する。
 大屋根リングを考えた建築家・藤本壮介氏の発想は残念ながら乏しいと言わざるを得ない。

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「葬送のフリーレン」~かけがえのない愛おしい時間! 上質の短編小説を読んでいるようなファンタジー作品! 

2024年02月23日 | コミック・アニメ・特撮
『葬送のフリーレン』昨日ネトフリで23話を見てやっと追いついた。

 エルフは1000年以上生きる。
 人間の寿命は長くて100年。
 だから時間の感覚が違っている。
 エルフの時間感覚は人間よりも希薄なのだ。

 そんな時間感覚の中、エルフのフリーレン(CV種﨑敦美)は人間のヒンメル (CV岡本信彦)、
 ハイター (CV東地宏樹)、ドワーフのアイゼン (上田燿司)と魔王討伐の旅をした。
 それはフリーレンにとってかけがえのない濃密な時間だった。
 しかし現在、ヒンメルとハイターは亡くなって、この世にいない。
 フリーレンは旅をしながら彼らと過ごした時間を思い出す。
 ヒンメルたちが語った言葉の意味を理解する。
 それは愛であったり、やさしさであったり、弱さであったり、誠実であったり。
 あるいはボケとツッコミであったり。

 そして現在、フリーレンは新たな仲間と旅をしている。
 フェルン (CV市ノ瀬加那)はハイターが育てた戦災孤児だ。
 死を覚ったハイターはフリーレンにフェルンを託す。
 シュタルク (CV小林千晃)戦士アイゼンの弟子だ。
 フェルンたちと旅をすることでフリーレンはふたたび濃密な時間を過ごす。
 今過ごしている時間がとんでもなく愛おしい時間であることを少しずつ理解していく。
 ………………………………………………………

 上質なファンタジー作品だ。

 大きなバトルは『断頭台のアウラ』と現在おこなわれている『一級魔法使い選抜試験』以外、
 ほとんどない。
 あとは旅をするフリーレンたちの日常が淡々と描かれる。
 それは誕生日プレゼントであったり、魔導書探しであったり、口喧嘩であったり、
 花を咲かせるとか銅像を磨くとかのクエストであったり。
 エピソードの中にはAパート、Bパート、10分程度で終わるものもある。
 そんな中、見事にオチをつけてくれるから上質な短編小説を読んでいる感じになる。

 たとえば世界の至る所にあるヒンメルの銅像。
 フリーレンはヒンメルの自己顕示欲と理解していたが、別の意味もあった。
 ヒンメルは自分が死んでも、銅像を見ればフリーレンがいっしょに過ごした旅を思い出してくれると
 考えて銅像を建てていた。
 あの旅のことを思い出せば、フリーレンはひとりぼっちでなくなると思っていた。

 ハイターに託されたフェルンが可愛い。
 クソ真面目。
 しっかり者。
 でも怒らせると怖い。
 機嫌がなかなか直らないので面倒くさい。
 でもフリーレンの教えを受けた魔法使いなのでメチャクチャ強い。
 使う魔法は基本技なのだが、魔力の保有量は多く、特殊な魔法を使う相手にも勝てる。
 実に見事なキャラ造形だ。
 キャラクターボイスは市ノ瀬加那さん。
 聞いたことのある声だと思ったら
『機動戦士ガンダム 水星の魔女』のスレッタ・マーキュリーだった!

 フリーレンの種﨑敦美さんは相変わらずすごいな。
『スパイファミリー』のアーニャ、『プリコネ』のクロエ。
 よくもまあ、こんなに引き出しがあるものだ!


※関連動画
 YOASOBI「勇者」 /『葬送のフリーレン』オープニングテーマ(YouTube)

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世相放談~岸田首相、支持率14%・不支持率82%! 自民党議員は「脱税」し放題だが、改める気なし!

2024年02月21日 | 事件・出来事
 岸田内閣の支持率が14%。不支持率が82%(毎日新聞世論調査)。
 まあ、なるべくしてなった数字かな。
 何しろ岸田首相、何もしていないからな。

 自民党裏金問題。
 これをクリアにするには──
①連座制~秘書や会計責任者がおこなった不正に議員も責任を問われる。
②政治資金パーティの禁止
③政策活動費の廃止あるいはオープン化
 が必要だが、手をつける様子がない。
 今のままではうやむやで終わりそう。

 ネットで公開されている国会答弁を見るかぎり、
 岸田首相はこの問題を「派閥」と「政治資金パーティ」の問題に矮小化したいらしい。
「政策活動費」を何に使っているかがわかるとまずいからだ。
 おそらく政策活動費は買収(票の取りまとめ)に使われているのだろう。
 自民党が選挙に強い理由はここにある。

 裏金(政策活動費)には課税しろよ。
 議員の1000万を超える裏金になぜ課税しない?
 二階元幹事長に至っては50億だ。
 もしこれで課税対象にならないのなら法律が悪い。
 法律は国会議員に有利に出来ている。
 検察は結局自民党の有力議員を逮捕できなかった。
 国税庁もな……。国会議員には及び腰だ。

 松野元官房長官は辞任した時に官房機密費4660万を引き出した。
 いったい何に使ったんだ?
 まさか自分のポケットに入れていないよな?

 GDPはドイツに抜かれて4位に転落。
 2026年にはインドにも抜かれると言われている。
 今は円安だからドル換算のGDPで一喜一憂する必要はないという意見もあるが、
 GDPは国力を表わすひとつの重要な指標。
 現政権と経済界は円安を歓迎しているわけだし、ドル換算だからという言い訳で現実から目を逸らしていたらこの国は衰退していくぞ。

 株価はバブル期に匹敵。
 先日は過去最高を記録しそうになった。
 一方でGDP4位で国民生活は苦しい。
 このアンバランスは何なのか?

 少子化対策では、予算捻出のために国民一人あたり月500円(年間で6000円)を負担することを閣議決定。
 共働き世帯では二人分で月1000円(年間で1万2000円)
 徴収方法は社会保険料の上乗せだ。
 毎月払っている保険料から自動的に500円が支払われる。

 この方法は財務省にとっては打ち出の小槌になる。
 この500円をどんどん上げていけば税金を上げなくても国庫にお金が入るのだ。
「消費税を15%にします」と言えば大反対が起こるが、社会保険料ならしれっと徴収できる。
 そもそも少子化と社会保険料と何の関係があるのか?
 完全に目的外ではないのか?

 岸田文雄さん。
 そろそろ辞めてくれないかな?
 あなたの鈍さは超一流だ。
 これほど国民の生活が理解できない総理はいない。
 その結果が支持率14%・不支持率82%だ。
 3月には訪米。
 アメリカとどんな約束をして来るのか?
 おそらく「武器のさらなる購入「東アジアの軍事面の役割強化」だろう。
 支持率14%の首相にそんな約束をする資格はないと思うのだが……。
 
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「光る君へ」 第7回「おかしきことこそ」~わたしは道長様から遠ざからねばならない。そのためには何かをしなければ

2024年02月19日 | 大河ドラマ・時代劇
 まひろ(吉高由里子)と道長(柄本佑)のすれ違いの恋愛物語は続く。

 まひろはこう語る。
「わたしは道長様から遠ざからねばならない。そのためには何かをしなければ」

 道長はまひろからの返歌がなくて
「ふられた!」

 散楽の騒動でふたりで手を繋ぐが、直秀(毎熊克哉)がやって来て、
「邪魔しちゃった?」笑

 そして打毬の後でまひろは上級貴族たちの本音を聞いてしまう。
「女こそ家柄が大事だ」
「右大臣家の息子であれば引く手あまたであろう」
「為時の娘? あれは地味でつまらぬ女だ」
「あれはないな」
 この会話に道長は曖昧にうなずく。
 だが、まひろにとってはこれだけで十分だった。
 やはり身分の壁は高いことを思い知らされ、道長の気持ちにも疑いを持つことに。

 あそこで道長が「つまらない女ではない」「身分など関係ない」と言っていれば事態は変わっていたのだろうが、道長はそこまで雄弁に自分を表現できない。
 瞬間的には言えるんですけどね。
「やめろ! 道長である」
「(右大臣家の中傷の散楽を)俺も見たかったな」
 直秀に「お前らの一族は下の下だな」と言われて
「まったくだ」

 結局、道長の真意が伝わらず、まひろは道長からの文を焼き捨てる。
 …………………………………………………………………………………

 まひろと道長の間に立ちはだかる身分の壁。

 まひろはこれに立ち向かう術を知らない。
 清少納言・ききょう(ファーストサマーウイカ)であれば、身分の違いなど乗り越えて自己主張するのだが、まひろはそれをできない。
 だから「つまらぬ女」と言われてしまう。

 お手本になる女性はいるんですけどね。
・兼家(段田安則)を虜にしている寧子(財前直見)~『蜻蛉日記』の作者・藤原道綱の母
・斉信(金田哲)を翻弄する清少納言ききょう
・奔放な和泉式部~本作には登場しないようだが……
 あるいは物語の人物だが、貴族や帝を翻弄した『竹取物語』のかぐや姫

 ただ、まひろには身分制度を乗り越えて自分を表現する手段が芽生えつつある。
『文芸』だ。
 今回の『キツネと猿』の話がそうだった。
「おかしきことこそめでたけれ」
 まひろは創作の世界に活路を見出すのだろう。
 物語の世界なら身分を乗り越えられる。
 ……………………………………………………………………………

 政治の世界では──
・忯子(井上咲楽)を喪って悲嘆に暮れる花山天皇(本郷奏多)
・自分の犯した罪に脅える右大臣・兼家
・弟・道兼(玉置玲央)の懐柔する道隆(井浦新)
・間者を辞めて誠実に生きようと思うまひろの父・為時(岸谷五朗)
・帝を威光を笠に着て権勢を振るおうとする義懐(高橋光臣)
・道長を見初めてしまった倫子(黒木華)
 そして
・逃げてしまった倫子の猫・小麻呂!~たぶん次回はしっかりいると思うけど。笑

 まひろは貴族社会と庶民社会の間にいる。
 それを象徴的に物語るのが道長と直秀だが、次回は庶民社会・直秀の方に傾くようだ。

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「どうする家康」のメインテーマを吹奏楽部の動画で鑑賞してみた!~あれはホルンだったのか!

2024年02月18日 | 大河ドラマ・時代劇
『どうする家康』のメインテーマを吹奏楽部が演奏していた。
 演奏しているのは大阪桐蔭高校。

 聞き慣れた大河ドラマの曲もオーケストラの演奏で見ると、別の楽しみがある。
 特に興味があるのは、曲のパートをどの楽器が演奏しているか?
 どんなアンサンブルを奏でているか?
 …………………………………………………………………

 導入はピアノ。
 これにクラリネットが入り、フルートが加わる。

 そしてメイン旋律♪
 パパーン、パパーン、パパパパーン♪
 これホルンだったんだ!
 間をクラリネットとフルートがつなぎ、
 トランペット、トロンボーン、サックスが加わり、ドーン! と盛り上がる。
 このパートでは金管楽器が主役だ。クラリネットとフルートがそれを支える。

 盛り上がりの後はピアノのソロパート。
 これをピッコロが支えている!
 これにクラリネットが入り、フルートが入る。
 金管楽器が加わり、ファゴットも!

 そしてふたたびメイン旋律♪
 パパーン、パパーン、パパパパーン♪
 ホルンの登場だ。
 そしてフルートがソロでIN!
 このフルートのソロの生徒さん、上手いな。
 このパートでクラップ(手拍子)が入る。
 パパン、パパンパ! パパン、パパンパ!
 ここでクラップが入るのが「どうする家康」のメインテーマの面白さだ。
 なお、大阪桐蔭高校の演奏ではこれをドラムのシンバルで表現している。
 そしてクラリネットとフルート!
 この曲を支えているのは実はこのふたつの楽器なのだ。
 これに木琴、鉄琴も入って曲に彩りを与える。
 そしてすべての楽器が入って大団円!!
 ……………………………………………………………………

 こうして聴いてみると『どうする家康』のメインテーマって素晴しい!
 見事に計算尽くされている。

 オーケストラも素晴しい!
 もし高校に吹奏楽部があったら、僕も入っていただろう。
 何かの楽器を必死に覚えて。
 みんなでひとつの曲を創造している時に孤独はない。
 少なくとも演奏をしている時は世界と調和している。

※動画はこちら
 どうする家康 メインテーマ~暁の空~【大阪桐蔭吹奏楽部】(YouTube)

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「不適切にもほどがある!」~もっこり少年隊、ポロリっ子クラブ、チョメチョメガールス、昭和のテレビにはパワーがあった!

2024年02月16日 | その他ドラマ
 さて本日は『不適切にもほどがある』(TBS系22時)が放送される!
 1月期の民放ドラマではこれが一番面白い。
 脚本は宮藤官九郎。
 令和にタイムトリップした昭和のおっさん・小川市郎(阿部サダヲ)は今回何を語るのか?

 第3話は「令和のテレビ」と「昭和のテレビ」が題材だった。

 令和のテレビ
 番組プロデューサー栗田一也(山本耕史)は急きょ司会になった八嶋智人(本人)にこう指示する。
「ソツなく淀みなく爪痕を残さないでください」笑
「ネットニュースにならなく済んだら八嶋さんの勝利です」笑
「そこは切り抜きされてネット記事にされます」笑
「無味無臭の情報を伝える番組なんです」笑
「髪切った? はセクハラになるからダメです」
「ヤシマンは八嶋さんが言うと、いやらしくなるからやめて下さい」笑
「茨城の行方(なめかた)は八嶋さんが言うと、いやらしくなるからやめて下さい」笑
「コロッケの中身がトロトロ、稲庭うどんはシコシコはやめて下さい」笑
 自称〝何とかする男〟〝テレビ界でしれっと生き抜いて来た男〟八嶋智人は必死に対応するが、
 結局、ADからこんなカンペ。
『CM明け 謝罪お願いします』笑

 昭和のテレビ
・番組名は『早く寝ナイト チョメチョメしちゃうぞ』笑
・アシスタントは『もっこり青年隊』『ポロリっ子クラブ』笑
・出演者は『チョメチョメガールズ』笑
・番組内での企画は女の子たちがまわしを締めておこなう『勝ち抜き食い込み相撲』笑
・番組司会はスカートの下から登場する通称ズッキーこと鈴木福助( 秋山竜次・ロバート)笑

 ふたつの番組とも誇張されているが、上手くポイントを突いている。
 令和のテレビは「コンプライアンス」と「炎上」を恐れてガチガチ。
 昭和のテレビは「何でもあり」。女の子もこれを受け入れ、楽しんでいる。

 そしていきなり始めるミュージカルシーン!

 セクシャル・ハラスメント・No.1(YouTube)
 桑名正博か! 布袋寅泰か! NOT YOU(ノチュー)笑

 Everybody Somebody's Daughter(YouTube)
 クイーンかよ! でも今プライアンスのガイドラインを教えてくれる。

 それにしてもここまでブッ飛んでいると面白い。
 さすがクドカン!
 これは僕が若かったからかもしれないけど、昭和の方が社会にパワーがあった気がする。
 あれをしてはダメ、これをしてはダメでは社会が閉塞する。
 無菌状態では免疫がなくなって人は弱くなる。
 こう考えてしまうのは僕が昭和世代だからだろうか?

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「エトロフ発緊急電」 佐々木譲~すべてが愚かだった。共和国の理想もデモクラシーも革命も

2024年02月14日 | 小説
 日本機軍機動部隊が真珠湾を奇襲?
 この情報をつかんだアメリカは真偽を確かめるべく、
 ひとりの日系人をスパイとして日本に派遣する。

 佐々木譲の『エトロフ発緊急電』は本格スパイ冒険小説だ。

 スパイとして白羽の矢が立てられたのはケニー・サイトウ。
 スペインでフランコ独裁政権と闘った元義勇兵だ。

 スペイン内戦。
 ここで作家ヘミングウェイは『誰がために鐘は鳴る』を書き、
 ジョージ・オーエルは『カタロニア讃歌』を書き、
 写真家のロバート・キャパは有名な写真『崩れ落ちる兵士』を撮った。
 ピカソは空爆された街ゲルニカの悲惨を目の当たりにして『ゲルニカ』を描いた。
 スペイン内戦は『自由と民主主義』のための戦いであり、世界中の耳目が集まった。

 さて、こんなスペイン内戦に参加した主人公ケニー。
 自由と民主主義のための闘争に裏切られて虚無的になっている。
 アメリカの諜報部からスパイとして日本に潜り込むことを依頼されるが、ケニーは拒絶する。
 いはく、
「おれは世界中のどの政府にも忠義を尽くすつもりはない」
「この世界はおれが真面目に怒らなくてはならないほどの価値はない」
「すべてが愚かだった。共和国の理想もデモクラシーも革命も」

 こんなケニーに、彼をスカウトに来たアメリカ軍のキャスリンは反論する。
「それは安っぽい虚無主義よ。愛したものから十分な見返りがなかったからと言って、
 かつて自分が何かを愛したという事実すら否定してしまうのは」

 しかしケニーの心は動かない。
 それどころかアメリカの批判を始める。
「貴様らの標榜するデモクラシーなどただのお題目」
「圧政と搾取を糊塗するためのきれいごとのスローガンでしかない」
「国内では黒人やメキシコ人やアジア人をどう扱っているか。
 中米ではどれほど好き勝手のし放題をしているか。胸に手を当ててよく考えてみろ」
 ……………………………………………………………………

 日本ではめずらしい骨太の冒険スパイ小説だ。
 僕はこの作品をスタート地点にして船戸与一など、日本の冒険小説を読んでいった。

 そして現在、僕はケニーの言葉に共感する。
「おれは世界中のどの政府にも忠義を尽くすつもりはない」
「この世界はおれが真面目に怒らなくてはならないほどの価値はない」
「すべてが愚かだった。共和国の理想もデモクラシーも革命も」

 国のために。自由と民主主義のために。
 政治家はきれいごとを言うけれど、裏金問題などでどうしようもない言い訳を聞いていると、
 懐疑的にならざるを得ない。

 この後、ケニーはカネのためにアメリカの要請を引き受けて日本に潜入する。
 そこで彼が何を見て考えたのかは本作を読んで確認して下さい。
 非常に面白い冒険小説です。

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光る君へ 第6回「二人の才女」~漢詩の会で「恋愛」「政治」「清少納言」を同時に描いた脚本・大石静の筆、おそるべし!

2024年02月12日 | 大河ドラマ・時代劇
 道長(柄本佑)、まひろ(吉高由里子)に気持ちを伝えた!

 まずは道長は漢詩の会で「禁中九月対菊花酒憶元九」(元ネタ白居易)を披露。
『酒は十分にあるのにあなたはいない。あなたがいないと虚しい』(意訳)

 その後、退出の際に立ち止まってまひろに視線を送る。

 その後、和歌(元ネタ『伊勢物語』)をまひろに送った。
『ちはやふる 神の斎垣(いがき)も 超えぬべし 恋しき人の みまくほしさに』
 恋するあなた。あなたに会うためなら神様のいる垣根さえも越えてみせる(意訳)

 平安時代の恋ですなぁ。すべてが雅。
 まひろは道長から来た和歌の文を抱きしめる!
 おっさんでもキュンキュンしましたぞ!

 この漢詩の会で、まひろと道長の恋愛を描き、政治を描き、
 清少納言(ファーストサマーウイカ)を同時に描いた。
 お見事な作劇でした!
 ………………………………………………………………………………………

 一方、政治──
「花山天皇(本郷奏多)・藤原義懐(高橋光臣)派」と「右大臣・左大臣・関白派」が対立。

 義懐は藤原公任(町田啓太)ら若手貴族を取り込むために、女性のいる酒会を開催。
 これを知った藤原道長(井浦新)は漢詩の会を開催して、これに対抗。
「女性のいる酒会」と「漢詩の会」。
 教養人である公任ら若手貴族は「漢詩の会」をおこなった道長を支持した。
 これまた雅ですね。
 こういう政争の描き方を初めて見た。

 一方、詮子(吉田羊)。
「わたしは父とは違う力が欲しいのです」
「末永く東宮と私の力になることをお誓いなさい」
 と、左大臣・源雅信(益岡徹)を取り込む策略。

 詮子は完全に自分の父・藤原兼家(段田安則)と闘う決意をした。
 そのために道長と雅信の娘・倫子(黒木華)を結婚させようとしている。
 他方、兼家も「右大臣・左大臣・関白連合」の結束を強くするために、道長と倫子の結婚を画策。
 思惑は違うが、「道長と倫子の結婚」という点で詮子と兼家の考えは一致した。
 これまた上手い作劇だ。
 これにまひろと道長の恋愛が加わって、倫子との結婚はどのように描かれるのだろう?

 まひろも左大臣家に目をつけている。
「右大臣家だけを拠り所にするのは良くない。左大臣家も味方につけておくべき」
 と倫子のサロンに参加し続けることを父・為時(岸谷五朗)に進言。
 動機は右大臣家の道兼(玉置玲央)への憎しみだが、まひろも政治的な思考をするようになった。
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 清少納言登場。
 漢詩の会で、早速まひろにマウントを取った!笑
 まひろは公任の漢詩を「白楽天ようだ」と評したのに対し、
 清少納言は「白楽天というよりは白楽天の親友の元微之(げんびし)のようでは?」と反論。
 空気を読まず、自分が自分がとグイグイ来る清少納言!
 今回はまひろが完全に負けている。
 まひろがおとなしく見える。
 というより、漢詩の会でのまひろは清少納言より道長のことで頭がいっぱいだったのだが……。

 清少納言に対してはF4も反応。
 藤原斉信(金田哲)は清少納言が気になった様子。清少納言も。
 そして斉信公任は「あの生意気な女の鼻をへし折ってやりたい」笑
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 散楽で盗賊の直秀(毎熊克哉)はまひろに市井の民の思いを伝える存在になりそう。
「民はかつかつの生活を送っていて笑いたいんだよ」
「おかしきことこそめでたけれ」
 こう言われて、まひろは「わかった。今度は笑える話を作ってみるわ」
 このふたりの関係もどうなって行くのだろう?
 散楽の仲間にからかわれていたが、直秀はまひろにことが気になっている様子。

 その他、『蜻蛉日記』のウンチクがあったりして『光る君』は本当に豊かな作品だ。
 マニアックに掘れば掘るほど愉しめる。

 たとえばこんな考察をしている人がいた。
『道長が漢詩の会で詠んだ歌「宮中の菊花を手に満たして私はひとり君を思う」。
 この菊、冒頭でまひろが水に映った月を掬(すく)う「掬月(きくづき)」に繋がっているのでは!
 月夜に互いに同じ想いでいたとわかったから目が潤んだまひろちゃん』

 はあ、ここまで計算されていたのか……。
 脚本・大石静おそるべし!

コメント (8)
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