遅まきながら、アニメ「けいおん!」を見ている。
面白い。
描かれるのは、唯(豊崎愛生)、律(佐藤聡美)、澪(日笠陽子)、紬(寿美菜子)、梓(竹達彩奈)の5人の軽音楽部員のまったりした日常。
この5人が、バンドの全国大会を目指して努力したり、ラブコメのような恋愛したり、世界を滅ぼす悪と戦ったりすることはない。
ただ、放課後、部室でお茶を飲みながらボケとツッコミのおバカ話をして、時々、バンドの演奏をするだけ。
たとえば、第8話の「進路!」という話では、招来の進路をどうするかをめぐって、唯が悩むのだが、何の結論も出ずに終わる。
お花屋さん、幼稚園の先生、OL……、いろいろ候補が仲間たちから出るのだが、どれもダメダメな唯には合わず、却下。それでお話は終わり。
第5話の「修学旅行」では、唯たちがお土産のお金を使ってしまったり、道に迷うくらいで、大した事件は起こらない。
通常、こうした淡々とした物語は退屈で飽きてしまうのだが、「けいおん!」はキャラクターの魅力で最後まで見せてしまう。
これが見事!
何でもないようなあっさりしたシナリオが実は計算し尽くされていて、作画も演出もしっかりしているから可能なのだ。
こんな「けいおん!」に魅了されてしまうのはなぜだろう?
僕たちは、<夢や目標に向かって努力したり><恋愛をしたり><正義のために悪と戦う>なんてことに疲れてしまったからではないだろうか?
たとえば<正義>。
<正義>って何だろう? アメリカはフセインやビン・ラディンを殺害したが、彼らには彼らの正義の論理があったはずだ。
たとえば<夢や目標>、あるいは<恋愛>。
仮に<夢や目標><恋愛>を成し遂げたとして、次に見えて来るのは虚しさだ。達成した時は歓喜に包まれるかもしれないが、やがて色あせてくる。こんなものだったか、と思い知らされることもある。転落や裏切りや別れもある。
だとしたら、<夢や目標><恋愛>という荷物を下ろしてしまった方が、ずっと楽だ。
過去、物語は<夢><目標><恋愛><正義>を描いてきた。
だが、僕たちはそれらの虚しさ、胡散臭さに気づきつつある。
それらを描いた物語に感情移入できなくなり、結果として何も描かない「けいおん!」の世界に魅了される。
最後に計算し尽くされたシナリオについて、いくつか。
第5話の「修学旅行」の次のエピソード・第6話の「お留守番」では、唯たちが京都に修学旅行に行っている間、東京で留守番をしている唯の妹・憂(米澤円)や軽音部・二年生の梓の物語が描かれる。唯たちが京都でおバカをしている間、東京で梓たちが何をしていたかが同時進行で描かれるのだ。
そこで行われるのはエピソードのリンク。
たとえば「あたしたち迷子になっちゃった。どうしよう?」といった京都の唯たちのメールが、東京の梓たちに届くという仕掛け。
作劇として、すごくお洒落だ。
あるいは唯の妹・憂がバッティングセンターで獲ったカメのぬいぐるみが、次の話で、憂のベッドの上に置いてあるといったディティルへのこだわりもある。
この作品、細かく見ていけば、まだまだいろいろな発見があるだろう。それが楽しい。
面白い。
描かれるのは、唯(豊崎愛生)、律(佐藤聡美)、澪(日笠陽子)、紬(寿美菜子)、梓(竹達彩奈)の5人の軽音楽部員のまったりした日常。
この5人が、バンドの全国大会を目指して努力したり、ラブコメのような恋愛したり、世界を滅ぼす悪と戦ったりすることはない。
ただ、放課後、部室でお茶を飲みながらボケとツッコミのおバカ話をして、時々、バンドの演奏をするだけ。
たとえば、第8話の「進路!」という話では、招来の進路をどうするかをめぐって、唯が悩むのだが、何の結論も出ずに終わる。
お花屋さん、幼稚園の先生、OL……、いろいろ候補が仲間たちから出るのだが、どれもダメダメな唯には合わず、却下。それでお話は終わり。
第5話の「修学旅行」では、唯たちがお土産のお金を使ってしまったり、道に迷うくらいで、大した事件は起こらない。
通常、こうした淡々とした物語は退屈で飽きてしまうのだが、「けいおん!」はキャラクターの魅力で最後まで見せてしまう。
これが見事!
何でもないようなあっさりしたシナリオが実は計算し尽くされていて、作画も演出もしっかりしているから可能なのだ。
こんな「けいおん!」に魅了されてしまうのはなぜだろう?
僕たちは、<夢や目標に向かって努力したり><恋愛をしたり><正義のために悪と戦う>なんてことに疲れてしまったからではないだろうか?
たとえば<正義>。
<正義>って何だろう? アメリカはフセインやビン・ラディンを殺害したが、彼らには彼らの正義の論理があったはずだ。
たとえば<夢や目標>、あるいは<恋愛>。
仮に<夢や目標><恋愛>を成し遂げたとして、次に見えて来るのは虚しさだ。達成した時は歓喜に包まれるかもしれないが、やがて色あせてくる。こんなものだったか、と思い知らされることもある。転落や裏切りや別れもある。
だとしたら、<夢や目標><恋愛>という荷物を下ろしてしまった方が、ずっと楽だ。
過去、物語は<夢><目標><恋愛><正義>を描いてきた。
だが、僕たちはそれらの虚しさ、胡散臭さに気づきつつある。
それらを描いた物語に感情移入できなくなり、結果として何も描かない「けいおん!」の世界に魅了される。
最後に計算し尽くされたシナリオについて、いくつか。
第5話の「修学旅行」の次のエピソード・第6話の「お留守番」では、唯たちが京都に修学旅行に行っている間、東京で留守番をしている唯の妹・憂(米澤円)や軽音部・二年生の梓の物語が描かれる。唯たちが京都でおバカをしている間、東京で梓たちが何をしていたかが同時進行で描かれるのだ。
そこで行われるのはエピソードのリンク。
たとえば「あたしたち迷子になっちゃった。どうしよう?」といった京都の唯たちのメールが、東京の梓たちに届くという仕掛け。
作劇として、すごくお洒落だ。
あるいは唯の妹・憂がバッティングセンターで獲ったカメのぬいぐるみが、次の話で、憂のベッドの上に置いてあるといったディティルへのこだわりもある。
この作品、細かく見ていけば、まだまだいろいろな発見があるだろう。それが楽しい。