平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

24 シーズン1 第6話

2006年03月31日 | テレビドラマ(海外)
 「24」シーズン1 第6話(5:00~6:00)でこんな状況がある。

★車のトランクから発見された謎の死体。
 CTUは死体が誰であるかを手配する。

★一方、病院。
 誘拐されて瀕死の重傷を負ったキムの友人ジャネットを彼女の父アラン・ヨークとキムの母テリーが看病している。
 ジャックは警備する警官と共にやって来て、ジャネットが殺害される可能性があると言う。
 何事も疑わずにはいられない捜査官の性分でアランにいろいろなことを訊く。
 そんな夫ジャックに対して「失礼よ」と言うテリー。
 アランはテリーと共にキムとジャネットを夜の1時から探し回ったのだ。
 時にテリーを励まして。 
 そう言われてアランに自分の非礼を詫びるジャック。

 そしてここからどんでん返しが始まる。

★意識が戻ったジャネットをあろうことかアランが殺すのだ。
 「娘とふたりきりで話したい」と言って集中治療室へ入るアラン。
 入ってきたアランにジャネットは「パパはどこ?あなたは誰?」と問う。
 次の瞬間、アランに救命装置のチューブを塞がれる。
 これはどういうことか?
 実はアランは偽物だった。
 暗殺を計画する敵のまわし者で、本物のアランは殺されていた。

 意外な人物が敵。
 信じていた人物が敵は、「24」ではよくあること。
 しかし、ここではもうひとひねりあった。

★CTU。
 車のトランクから発見された死体が誰であるかがわかる。
 「被害者はアラン・ヨーク。殺害推定時刻は昨日の夜11時」
 ジャックはこの報告を受け、妻のテリーといっしょにいる人物が敵であることを知る。
 テリーに電話するジャック。

★同じ頃、テリーはアランの偽物とふたりで車で移動していた。
 そこへジャックから電話。
 「アランは殺されていた。そこにいるのはアランじゃない」
 無言で隣で運転している男を見るテリー。

 実に怖い。
 「意外な人物が敵」という手法をさらにふくらましている。
 この様なふくらましがあると作品はさらに面白くなる。

★研究ポイント
 物語の作り方
 構成の仕方
 ショックとサスペンス

 シーンを作り時は現状に満足しないでさらにひねることが出来ないか、面白くすることが出来ないかを考える。
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のだめカンタービレ ギャグ研究

2006年03月30日 | コミック・アニメ・特撮
 「のだめカンタービレ」でギャグシーンの研究を。

 千秋先輩が元カノと一夜を共にしたのを目撃してしまったのだめ。
 ショック!
 龍太郎が励ます。
 「いい加減、立ち直れ!おまえにはもいピアノしかないんだろう。せめてピアノぐらいまともに弾かなきゃ」
 「ピアノしかない」「せめてピアノ」というせりふがのだめを傷つける。
 ※ギャグポイント……実は人は他人の不幸が大好き。それに追い打ちをかけるせりふは効果的。
 龍太郎はさらに言う。
 「おい、くせーぞあたま!」
 ※ギャグポイント……文脈とは違うせりふをさりげなく入れる。しかものだめのマイナス要素の指摘。キャラクターギャグ。
 そして龍太郎は落ち込んでいるのだめにさりげなく言う。
 「なあ、それならオレとつきあわねーか」
 のだめは嫌な顔。龍太郎は言う。
 「だよなー」
 ※ギャグポイント……人は他人の不幸が大好き。今度は龍太郎の不幸。
 龍太郎はさらにのだめを慰める。
 「とりあえずやけ食いでもするか。麻婆ナスに麻婆豆腐、麻婆春雨。のだめの好きな麻婆づくしだぞ」
 ※ギャグポイント……麻婆系の料理が好きというキャラクターギャグ。
 しかしのだめは言う。
 「千秋先輩の料理が食べたい。カプリなんとかブロッコリー。愛の呪文料理」
 ※ギャグポイント……のだめしか言えないこのせりふの面白さ。
 これを聞いて龍太郎はリアクション。
 会話に新たな展開。
 「おまえ千秋に料理してもらってたのか?すげぇ!それって脈あるんじゃねーのか!?」
 「普通キライな女に料理なんてしねーって。もしかしたら彼女から奪えるかもしれねえぞ」
 こう言われてだめが復活する。
 「奪う!どうやって?」
 「オレなら寝取る」
 「寝取る?!」
 「そう!女の武器を使って直接男の本能に訴えかける。『わたしは新鮮な果実よ』。男は(オレは)そういうのに弱い」
 ※ギャグポイント……『わたしは新鮮な果実よ』というせりふ。
              「男は」の後に(オレは)と付け加えられている所に注目!
 「女の武器」「果実」と聞いたのだめのリアクション。
 「だっちゅうーの」
 「古い!しかもキモイ」と龍太郎に蹴り上げられる。
 ※ギャグポイント……ボケ・ツッコミはギャグの基本。
 そして色気作戦のために洋服を着替え、化粧を始める。
 しかしのだめは化粧が下手。
 龍太郎はアドバイス。
 「もう少しソフトにした方がいいんじゃねえの」
 「千秋はムッツリスケベそうだから、もう少し自然な感じにして」
 化粧を直していくが、いずれも変な顔。
 ※ギャグポイント……「千秋はムッツリスケベそうだから」とさりげなく千秋の悪口。
 そこへ「なんの相談をしているんだ?」と千秋がやって来る。
 ※ギャグポイント……まずい状況が発生。人は他人の不幸が大好き。
 のだめ、自分に会いに来てくれたと感動。自分に都合のいい勘違い。
 変な化粧で千秋の胸の中に飛び込む。
 そして一言。
 「む……ムラムラしますか?」
 ドカーンと千秋に段ボールを叩きつけられる。
 ※ギャグポイント……ボケはめげない。突進する。

★研究ポイント
 シーンの作り方
 ギャグの作り方
  ・人は他人の不幸、悪口が大好き
  ・キャラクターギャグ
  ・ツッコミ~どうやって突っ込むか?(蹴り・段ボール)
  ・ボケはめげない。あくまで直進。
  ・さりげないくすぐりのギャグ  
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インストール

2006年03月29日 | コミック・アニメ・特撮
 「インストール」樋川朝子はこんな17歳。

 「ここ数日のワタシ、朝起きて学校行って予備校行って、風呂入って寝る。以上。残っているもの 眠気」

 日常に流されて自分でいられない。若いエネルギーを持てあましている。
 自分は特別な存在だと思いたいが、特別な自分とは何かがわからない。
 エネルギーと思いの空まわり。
 かと言って特別な自分を見出すためにこれといった努力をしているわけではない。

 こんな思いが積もり積もって「5月某日 受験勉強から脱落」
 見た夢~「何者かに追われているんだけど、足がもつれてなんでこううまくいかないのかと思う夢」

 疲れ果てて学校をさぼりごみ置き場の地面の上にごろんと横になる。
 そして思う。
 「まるでゴミだ。こんなふうにちょっと奇妙な行動をしてみせるのが表現できる唯一の個性。近い将来この時間をむだだったと悩むんだろうな」
 「お酒も飲めない。車も乗れない。ついでにセックスも体験していない処女の17歳の、この何者にもなれないという枯れた悟りはなんなんだろう」
 「中学生くらいまではまだ漠然となににでもなれると思っていた。でも、高校生になって大学受験が視野に入った途端、先が見えてきてしまって、このまま小さくまとまった人生を送るのだと思うと……」
 「ごみと同化してる場合じゃない。今するべきなのは前進。わかっているのにできない」

 こんな朝子は自分をリセットしたくて、部屋にあるものを全部捨てる。
 ひとつ捨てるのに悩むのは、祖父が買ってくれたパソコン。
 孫とメール交換したくて祖父が買ってくれた品物。
 結局接続ができなくて使わず仕舞い。そして祖父は亡くなった。

 朝子はこのパソコンを通じて風俗チャットの世界に入っていく。
 そして自分を見出していく。

 「インストール」は物の溢れた、刺激・職業の選択肢がいくつもある現代に生きる若者の苦悩・現実がストレートに描かれている。

 自分が何者であるか見出せない苦悩。
 ありあまるエネルギーを持てあましている苦悩。
 自分は特別な存在であると思いたいが、それを否定してくる現実の苦悩。

 物は溢れているが心を通わせる物はほとんどないという現実。(朝子の場合はかろうして祖父の買ってくれたパソコン)
 刺激あふれる現実はテレビ・雑誌にあふれているが、実は享受できていないという現実。あるいは享受するために一歩踏み出せない現実。
 職業の選択肢はいくつもあるかの様だが、あこがれの職業は狭き門だという現実。あこがれの職業につくためには必死の努力をしなければならないという現実。大企業?官僚?政治家?自分の生涯をかけられる職業などないという現実。 

 こうした苦悩を抱えたキャラクターと現実を描くことによって、現代のエンタテインメントが描ける。
 あるいは反対のキャラクターを描くことによって現代のエンタテインメントが描ける。

★研究ポイント
 キャラクターの作り方
 キャラクター造型

 何者でもないキャラクター朝子と女優になるためにひたむきな「ガラスの仮面」北島マヤとの比較。
 何者でもないキャラクター朝子と壊れまくった天才「のだめカンタービレ」の野田恵との比較。

 上記の抜粋はコミック版「インストール」(綿矢りさ・原作 みづき水脈・作画)より。 
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のだめカンタービレ

2006年03月28日 | コミック・アニメ・特撮
天才ピアニスト野田恵こと「のだめ」のキャラクターが面白い。

まずは彼女の歌。
「フン フン フーン ネコのフン フーン フーン かたい」
学校中のあこがれの先輩・千秋真一が酔っぱらって倒れているのを見て
「ぴぎっ。なんとか先輩」
ちなみにのだめのマンションは千秋先輩の部屋の隣り。
そして自分の部屋に一晩泊めただけで「先輩、昨日のこと覚えていますか?」と恋人気分。
おまけに忘れていったベルト(苦しそうなので外しただけ)を学校で届けに来る。
「昨日うちに忘れていったですよー」
当然、他の人間は誤解する。千秋が「人違いだ」と言ってごまかそうとすると、「でもにおいが同じだよ」と言ってついてくる。
それを友だちが問いつめると「先輩の寝言って面白いんだよ~」と吹き出す。
のだめには全く悪気はない。ただ天然ボケなのだ。

そしてのだめの部屋は汚い。
悪臭がするので千秋が文句を言いに行くと、掃除をさせられる。
コミックポンポンがいっぱい入った段ボールがあり。宝物入れの段ボールがある。
おまけに甲子園の土までが埋まっている。
クリームシチューは黒く、御飯からはいくらの様なカビが生えている。
洗濯物からはきのこや正体不明の植物が生えている。
おまけに下着が出てきて「ふぎゃあブラジャー」「はぎゃあパンツ」と恥ずかしがって奪い取る。

さらにのだめはお風呂は1日おきシャンプーは5日おき。
「ふふ、こう見えてもキレイ好きでショ」と言う。
千秋先輩はストレスがたまると、わけの分からないボランティアをする癖があり、のだめの髪を洗いドライヤーで乾かしてやる。
そんな状態をのだめは王室で従僕にかしずかれている様だと話すが、千秋先輩は犬にドライヤーをかけている様だと答える。
しかし、のだめはともかくプラス思考だ。
「えーっ何犬ですか?」と尋ねる。(今までは魚系で犬系で例えられたことがないのだ)

そして数日後、千秋先輩はのだめのために夕食を作ることになっている。
のだめは「恋の大作戦」で黒こげのアジなどを持ってきたのだが、「殺す気か」と先輩に言われる。おまけに「俺が手本を見せてやる」と言って先輩が作り、出てきた料理に大感激する。
「ぎゃああ!これ何ですか?」
「ミレリーナ・アラ・パンナコン・イ・ブロッコリ」
「呪文料理。おいしーい、先輩。お母さんよりうまい。アンブレーラ(意味不明)」
「明日はもっとうまいのを作ってやるよ」
「きゃあー、救世主」
といった具合になる。そして横になって
「ふあーーっ、結婚っていいものですよね~」
「誰が結婚した?」
しかし、そんなのだめに新たなオトコが。ソウルでバイオリンを弾く峰龍太郎だ。
彼の家はラーメン屋でのだめはチャーハンをごちそうになる。
そして「ぎゃほーーっ(すごい)」とのだめは感激する。
千秋先輩は「エサをもらえればどこでもいいんじゃないかー」と怒り出す。
嫌がってはいたが、千秋の中にものだめの存在が大きなものになっていたのだ。

こんなのだめだが、ピアノには何か心をとらえる特別なものがある。
テクニックがあるとかいうことではなくメチャクチャで間違いだらけだが、自分流に弾いて味わいがある。

「のだめカンタービレ」の人気の理由はそのキャラクターの面白さだ。
この壊れ方がすごい。
天才とはどこか頭のねじが外れているものなのだろう。
そんな天才たちに振りまわされる千秋先輩。
千秋先輩は指揮者志望。
のだめを始めとする天才たちを彼がまとめて、どんな演奏をするか今後が楽しみだ。

★研究ポイント
 キャラクター造型
 キャラクターの作り方
  洗濯ダメ、料理ダメ、自分に都合の良い天然が魅力になる。
  壊れた人間が魅力になる。
  それに振りまわされる人間がいるとさらに面白くなる。
  千秋先輩も十分に変人なのだが、のだめはそれ以上にすごいからキャラが立つ。
  「ぎゃほーーっ」「びぎっ」なども擬音、「アンブレーラ」といった意味不明語も面白い。
  そしてピアノに光るものがあるという天才性が彼女を物語の主人公にする。
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功名が辻 信玄の影

2006年03月27日 | 大河ドラマ・時代劇
 第12回「信玄の影」は2プロットで進行する。

★プロット1
 ひとつは信玄上洛に対する各登場人物のリアクション。
 信長(舘ひろし)は少し動揺。「わが運は尽きたか」
 千代とねね(浅野ゆう子)は長刀の稽古。着物を土の中に埋める女もいる。
 足利義昭(三谷幸喜)は信長を叩く機会と考える。
 物語はこの義昭に対する明智光秀の心を描くことで進行する。
 義昭の信長への叛意に対する細川藤孝、光秀(坂東三津五郎)のリアクションはこうだった。
  藤孝……義昭から離れる。
  光秀……義昭を諫め聞き入れられず、信玄の訃報を聞き義昭を攻めるという信長にはこう言う。
 「大義名分を作って、足利義昭を討つ」
 光秀は時流を読んで動く政治家だ。(それは秀吉も同様だった)
 そして義昭を攻めて放逐する。
 プロット1は光秀の次のような心情を描いて締めた。
 「足利家再興のために半生をかけてきた光秀の虚しさ・終わった夢」
 「自分の手で足利家を滅ぼすことになった矛盾」

★プロット2
 一豊の生き方の葛藤。
 一豊のまわりに千代を始めとする3人の人間が現れて彼を揺さぶる。
 ・六平太(香川照之)……信長の比叡山焼き討ちを例にして、毛利のスパイになれと持ちかける。
 ・子りん(長澤まさみ)……野武士になっていっしょに暮らそうと言う。
  野武士の生活について彼女はこう言う。
  「寝たい時に寝る。怒りたい時に怒る。誰にも気を遣うことがない。人のために人を殺す必要もない」
  人のために無実の人を殺すは、比叡山焼き討ちのことを言っている。
  信長の家臣(サラリーマン)である以上、意に反した仕事をしなければならない。
 ・千代……日輪のもとで功名を立てる。織田家で出世していく。

 千代(妻)と小りん(愛人)の対立は同時に一豊の生き方の対立である。
 単なる不倫に迷う夫のドラマにせずに、生き方に関わるドラマに関わらせた所がこの作家のうまい所だ。
 ある事件に対してひとつ意味だけを描くのでなく、プラスアルファの意味を加えること。
 これによってドラマがふくらんでくる。

 第十二回のラストは、小谷城のお市を心配する千代の姿。
 これで第十三回への期待を煽った。

★研究ポイント
 構成の作り方
 物語の作り方……2プロットによる構成。

 ドラマの作り方……リアクション。事件にふたつ以上の意味を付加する。
 
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ガラスの仮面

2006年03月26日 | コミック・アニメ・特撮
 「ガラスの仮面」の北島マヤ。
 彼女はやはり偉大なキャラである。

 大晦日。
 芝居「椿姫」のチケットが絶対にほしい彼女は120件の出前を実行する。
 自分と自分の母が住み込みで働いているラーメン屋の娘にそそのかされたのだ。
 ラーメン屋の娘は当然、そんなことは不可能だと思っている。
 しかし、それを可能にしてしまう所がマヤのスゴイところだ。
 彼女は出前を成し遂げチケットをもらいにいくが、面白くない娘は横浜の海にチケットを投げてしまう。
 果たして冬の海の中に飛び込むマヤ。
 天才は思い込んだらトコトンやる!!
 この執念がスゴイ!!

 次にマヤがスゴイ所は「椿姫」の舞台を1回見ただけで、せりふ・動きすべてを覚えてしまった所だ。
 舞台を見て立ち上がれないマヤ。
 月影千草のもとにラーメンを届けに行くと、「椿姫」の台本が置いてある。
 月影先生はやってみろと指示を出すが、なんとマヤは台本を見ずに演じてしまうのだ。
 たまたま月影邸にやって来た演出家は未熟でなっていないとマヤのことを言うが、月影先生は言う。
 「彼女は『椿姫』の舞台を1回しか見ていないのよ」
 それで演出家は驚く。
 この見せ方の仕掛けが面白い!!
 おまけにマヤもスゴイ!!

 次にマヤは劇団月影に入る意思を月影先生に確認される。
 マヤは「お芝居ができるならどんなことでもします!」と言うが、その時に嵐が来て稲妻が走る。
 この演出がスゴイ!
 おまけに嵐を呼び寄せるマヤの情熱もスゴイ!!

 さて、劇団月影に入ったマヤは「若草物語」でベスをやることになる。
 しかし、うまく演じられない。
 「ベスの気持ちを理解して芝居をしてるの?」
 「気持ちが芝居を作るんです!」
 「だめ!ベスが弾んでいない!」
 とダメ出しの連続。代役の話も出る。
 この後のマヤがスゴイ!
 マヤは病弱なベスの役を掴むため、雨に打たれ40度の熱を出す。
 これでベッドで生死をさまようベスになり切ることができる。
 40度の熱を出して、ついにベスを演じきるマヤ。
 亜弓さんいわく「舞台が進めば進むほどよくなっている」
 役へのアプローチの仕方は様々あれど、この様にアプローチするマヤはスゴイ!
 少々、無器用ではあるが、ひたすら想う気持ちが彼女をこの様な行為に駆り立てる。

 それにしても人が輝くとはどういうことだろう。
 「若草物語」を終えて、速水社長は言う。
 「あの小さな体のどこに、あの不思議な力が潜んでいるのだろう」
 マヤはきれいでもなく、頭もよくなくてお金もないという設定だ。
 では彼女を輝かせるものとは?内なる心の力……。
 作品はこれに向かって描かれていく。

★研究ポイント
 キャラクターの作り方
 キャラクター造型

★追記
 彼女を取り巻く脇キャラもスゴイ!
 ライバル姫川亜弓は、パントマイムをやって小鳥が見える。
 月影先生は顔に傷を負って女優を引退している。
 大都芸能の速水真澄社長は「紫のバラ」を送ってマヤを陰ながら支援する。
 桜小路くんはマヤと等身大になっていっしょに悩んでくれる。

 ライバル、師、応援する異性。
 これはスポ根ものの王道。
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サイコメトラーEIJI

2006年03月25日 | コミック・アニメ・特撮
コミック「サイコメトラーEIJI」CASE3「サイレントストーカー」はこんな事件だ。
エイジたちはサイコメトリーと捜査で容疑者を絞り、犯人を捕まえていく。
この作品、犯人像の絞り込み方・容疑者像・犯人の動機が見事だ。

★事件
 人気アイドルグループ「スクエアドール」のメンバーが殺されていく。
 人形の様な姿・美しさで。
 犯人はサイレントストーカー。
 白紙のファンレターを送りつけ、無言電話をかける。
 まわりには大量のラベンダー(花言葉は沈黙)
 そして舌を切り取られている。
 ゆえにサイレントストーカー。

★サイコメトリーして見えたもの
 古い部屋に帽子を被りひらひらした服を着た女たち。
 Rの文字
 青・白・赤の色。

★情況から推定される犯人像
 独り暮らし
 ※何通もの手紙、何件もの無言電話をかけて怪しまれない。
 不規則な生活をしている~学生・マスコミ・自由業
 ※送られて来た手紙に指紋はない。手袋をはめてポストから投函して怪しまれないのは夜。消印は早朝の消印。
 バイク・自動車の免許を持っている。
 ※手紙は都内各所から投函されている。
 花に関心がある。
 ※花言葉
 スクエアドールの関係者もしくはスタジオに入れる人物
 ※録音されていた無言電話にTV番組「ミュージックスタジアム」の音。
  「ミュージックスタジアム」は収録番組で電話がかかってきたのは、ちょうど収録時。
  テレビや録画したビデオから聞こえた音ではない。
 ※犯行現場。玄関でもみ合った形跡がない。顔見知り。

★容疑者
 ・スクエアドールのメンバー赤城リエ
 ※彼女には知られてはまずい秘密があるらしい。
  リエはR。
 ・スタイリスト 関根修二
 ※フラワーアレンジメントの講師もしている。
  アイドルに手をつけるので有名な男。自分の車で移動。
 ・ファンクラブ副会長
 ※医学部学生
  赤・白・青は人体模型図ではないのか?
 ・男性アイドルグループRUTEの日下部淳也
 ※RUTEはR。
  実は過去にリエを強姦した。
 ・マネージャー

★物語の構成
 ・スクエアドールの岡村いずみが殺害される。
 ・いずみの部屋からサイコメトリー。犯人像の割り出し。
 ・浮上する容疑者
  現場に現れるマネージャー
  ミュージックスタジアムの収録……RUTEの日下部淳也登場。
  スクエアドールの朝美と関根修二がいっしょにいる所を目撃。
  つきまとうファンクラブ副会長
 ・第2の殺人
  スクエアドールの清水晶子が殺害される。
  留守番電話から、ミュージックスタジアム収録の音声。
 ・赤城リエの家にファンクラブ副会長逮捕される。
  しかし、手袋もしないで(指紋を残して)入り込んだ手口はサイレントストーカーではない。
 ・赤城リエと他のメンバーとの確執が発覚。
 ・同じ頃、赤城リエが朝美に呼び出される。
 ・ホテル……リエを朝美と関根が待っている。朝美と関根は言う。
  「RUTEの日下部に強姦されたことをバラされたくないから、他のメンバーを殺したんだろう」
  そこへやって来るマネージャー。
  「何をしているの?」
 ・やって来るエイジたち。朝美と関根が殺されている。  
 ・マネージャーがフランス帰り(赤・白・青)、父親は人形の収集家。
  Rはアールヌーヴォーであることがわかる。
  (マネージャーは殺害時、「芸術だ」と言って殺害した)
  犯人はマネージャー。
 ・マネージャーに殺害されそうになるリエを救うエイジ。

★動機
 幼い頃のトラウマ。
 フランスにいた時、ひらひらの服を着た3人の姉にいじめられた。
 「あなたはすぐに言いつける。おしゃべりだ」と言われて、舌の延びた仮面を付けさせられた。
 スクエアドールの人形のような姿が姉たちとダブり、強姦のことでいじめられているリエを自分とオーバーラップさせた。 

★研究ポイント
 物語の作り方
 推理ドラマの作り方
  ・事件
  ・情況から犯人像の絞り込み
  ・現れる容疑者たち
  ・第2、第3の事件~新しく現れる真事実。絞り込まれる容疑者。
  ・犯人確定
  ・犯人との対決
  ・動機
 普通の人間とは違った探偵能力
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バレーボール ワールドカップ2003

2006年03月24日 | スポーツ
「甦る 全日本バレー~新たな闘い~」(吉井妙子・著 日本経済新聞社)を読んだ。

 2003年ワールドカップバレーを取材したものである。
 低迷していた日本バレーに柳本昌一が就任した。
 そのチーム作りはまず日本バレーボール協会との闘いであった。

 まずは主将の吉原知子。
 柳本は吉原中心のチームを作ろうとした。
 吉原はバルセロナ、アトランタ五輪に出場し、日立、セリエA(イタリア1部リーグ)などで濃密な競技人生を送ってきた。
 しかし、その経験から培ってきた独自のバレースタイル・理論を持っていたため歴代の監督達からは使いにくいというレッテルを貼られ、7年間ナショナルチームから外されてきた。
 そして33歳という年齢。
 若手起用という協会の方針とは大きく違っている。

 次にセッターに起用したのが竹下佳江だった。
 身長は159センチ。
 卓越した運動神経を買われていたがやはり身長の件が問題にされ、バレーから離れてていた。
 本人が完璧主義者であることに疲れ果てていたせいもあったという。

 そして高橋みゆき。
 身長は170センチと高くはないが、サーブ、レシーブ、センターを絡めた移動攻撃、ブロックアウトを取る技術、空中での判断力などに卓越した能力を持ち、外国人選手からは「最も嫌な日本人選手」と怖れられていた。しかし、最下位に沈んだ02年の世界選手権で主将をしていたため関係者の評価は失墜していた。

 こんなバレー界の主流から外れてしまった3人を柳本は抜擢した。
 バレー関係者は彼女らの本当の実力を見抜けず、年齢、身長。性格といった選手の本質とはかけ離れた部分で判断を下していたのだが、柳本はそれと対決したのである。
 会議ではこんな会話が飛びかったという。
「まさか高橋を使おうなんて思っちゃいないだろうね。確かに得点力は高いしレシーブやサーブでは1位だけど、全日本のメンバーに選ぶには背が低すぎる」
「竹下はだめだよ。セッターとしてはうないかもしれないけど、身長が低いのはどうしようもない」

 しかし、柳本は突っぱねた。
 吉原、竹下、高橋の3本の矢が組み合わされば、大山加奈、栗原恵の19歳コンビも実践で使えるという読みもあった。
 大山は筋肉質の身体をボールに乗せパワーで打ち込むバズーカ砲。
 栗原はエッジの利いた動きで宙を切り裂く機関銃。
 タイプは違うがその威力は十分で、彼女たちの荒削りな部分は高橋たちがカバーしてくれると柳本は読んだのだ。

 そして、ワールドカップバレー、初戦アルゼンチン戦。
 開幕戦で大山、栗原を使おうとした柳本を協会は反対した。
 協会は「若手を育ててくれ」と柳本に要請したが、いきなり彼女たちを使っても勝てないと判断したのだ。
 しかし、柳本は突っぱねる。
「試合に出て勝つことで若手は急速に伸びるんです。もちろんアルゼンチンには勝てると思っていた」

 柳本の抜擢もこの様に型破りだったが、試合の内容も従来と違うものだった。
 竹下はプレイが不確実な選手や自信のない選手にはトスアップしなかったのだが、ミスをしても大山や栗原にトスを上げた。4ヶ月前から練習を始めたという大山のバックアタックも何度も打たせた。
 そして修羅場をくぐり抜けて来た吉原は「夜叉のような形相で」敵選手を睨みつけ、自軍には「大丈夫だから大丈夫だから」と「慈母の様な笑み」を向けた。
 高橋も自分を前に出すことなく、栗原や大山のミスをカバーしようとリベロの佐野と共にレシーブを拾いまくった。
 また、ひ弱だった杉山祥子もネット際を走り回り、ブロックをしクイックを決めた。

 そして韓国戦。
 全日本は新しいチームカラーを出して打ち勝った。
 センターに吉原と杉山、セッター竹下、ライト高橋、リベロ佐野、レフト大山と栗原。
 高さとパワー、そして機動力を駆使した攻撃バレーを展開したのである。
 それまでの日本は、韓国と同じ拾って繋ぐバレーであった。そんなバレーを攻撃力が粉砕した。
 韓国はよく拾い、栗原らは自分たちの攻撃バレーは通用しないのかと思ったが、吉原が声をかける。
「私たちがやって来たことを信じよう」
 そして佐々木みきの投入。
 佐々木は日本一のパワーアタッカーであったが、その人見知りの性格からこれまでの全日本の空気に馴染まず、ウェイトトレーニングを重視する佐々木と練習方針が合わず、溝を深めていったのである。
 そんな彼女が爆発した。
 佐々木の攻撃はボディブローの様に利いてくる。
 韓国のミスは11、日本のミスは28であったが、それを攻撃力が上回った。
 柳本の描いた攻撃バレーが花開いた試合であった。

 こうしたチームを作る中で柳本は選手の精神力も育てていった。
 韓国戦の後、高橋らはこんな感想をもらしたそうである。
「もっと早く仕留められた」
 精神力が強くなり、フルセットになれば必ずセットを取られていたチームが粘り取れる様になった。
「ピンチになればなるほど力を発揮するチーム」に生まれ変わったのである。

 そしてワールドカップバレーは高視聴率を取って日本中の話題をさらった。
 1ヶ月にわたってゴールデンタイプを使うことはフジテレビにとっては冒険であった。しかし、数字を取った。
 フジテレビのプロデューサー川口哲生は言う。
「選手達の戦う姿と諦めない精神が視聴者を惹きつけたんだと思います。選手達が星なら僕等はその周りの土星の輪の様なもの。選手達がどんな輝きを見せるかわからなかったので、せめて舞台だけでも豪華にと思え、いろんな仕掛けをしてきましたけど、星が輝き始めたら土星の輪は霞んでもいいと思っています」

★研究ポイント
 ドラマ
 物語の作り方
 対立を乗り越えて勝利する。
 個人が自分の力を発揮する。
 荒削りと洗練。
 チームワーク。
 監督との信頼関係。
 勝ちたいという気迫。
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CSI マイアミ/科学捜査官

2006年03月23日 | テレビドラマ(海外)
CSIマイアミとCSI科学捜査官をもとに科学捜査がどう行われるかを書いてみる。

★CSIマイアミ
 2人の脱走犯。
 数千人いる受刑者の間でID番号を交換しているため脱走犯の特定ができない。
 脱走に使われたパトロールヘリが発見される。
 操縦者のこめかみに弾丸。
 銃口を横にして撃っていることから、犯人のひとりをターナーと特定。
 捜査方法=警察データ。
 車を奪おうとしたふたりは同じく運転のこめかみを撃つ。
 交通違反カメラに写っていた映像からもうひとりを幼女誘拐殺人犯のスチュアートを断定。
 捜査方法=街の映像の分析。
 ターナーとスチュアートはその後、別行動をとり、ターナーは復讐を考え、自分を刑務所に送った女子学生、判事を殺害していく。
 刑事は聞き込みでターナーの女の居場所を確認、乗り込むがすでにターナーは逃げている。
 壁にガンオイルで次の犯行を予告するメッセージ。
 刑事はガンオイルを分析。
 原料は石油、黒鉛が使われ、テフロンが使われていないことから古い製品と断定。
 捜査方法=遺留品の分析
 それが売られている雑貨屋は1軒しかなく、そこでターナーを見つける。
 いささか強引な気もするが、そこで逮捕。

 一方、幼児殺害犯のスチュアート。
 エマという子供がさらわれる。子供は声を出すとママを殺すぞと脅迫されて抵抗できない。
 エマの服を警察犬に嗅がせて追跡。
 捜査方法=警察犬
 スチュアートはエマの髪を切り、エマを男の子の服に着替えさせて逃走。
 足跡が残っており、逃走に使った車からオイルが漏れている。
 捜査方法=足跡、オイル。(少々、ご都合主義だが)
 たどり着いたのはある男の家。
 飲み物のカップなど、スチュアートがいた形跡。
 男の車がない。
 問いつめると、男はチャイルドポルノの常習者で、写真と引き換えに車を課したという。
 エマを撮った写真を分析する刑事。
 カーテン越しにビルの陰が映っている。
 ジオインフォシステムで分析する刑事。
 ジオインフォシステムとは、街のあらゆる景観をデータ化して照合するデータベース。
 ビルの陰が一致して、スチュアートの潜伏場所を特定。
 これでエマを発見。
 捜査方法=特別なデータベース。
 スチュアートは逃げるが、エマが「従兄のことを話した」と言ったのを受けて、従兄の少女のもとへ。
 スチュアートを逮捕する。

 こうして1時間の番組は終了する。
 何だか物足りない。
 すべてが段取り。刑事に都合よく出来ていて、大きな困難も刑事が知恵を使った形跡もないからだ。
 犯人のモチベーションは、「復讐」と「チャイルドポルノ」。
 これはまだドラマとして許容範囲。
 刑事のモチベーションは、ともかく犯人逮捕。刑事としての使命感。
 刑事はターナーとスチュアートに言う。
 おまえを殺してやると言うターナーに
「私が死んでも他の人間が引き受けてくれる。それに証拠は永遠にあなたが犯人だと叫び続ける」
 追跡されビルから落ちそうになるスチュアート。
「死なせてくれ」と言うスチュアートに。
「俺もそうしたいよ。でもお前は裁判を受け、死刑で死ぬんだ」
 刑事のせりふはいいのだが、それまでの過程がご都合主義だから響いて来ない。

 この作品から学ぶのは、ドラマの悪い例と科学捜査の仕方だ。

 もうひとつの作品「CSI科学捜査官」は、状況が面白い。

 高架橋の下で発見された死体。
 顔には疵。
 ねずみも口から出て来る。
 死体は荷物を運ぶホームレスの乳母車に載せられている。
 乳母車には新聞と雑誌。

 CSIはコンピュータで顔を復元する。
 人気モデルのアシュリー・デイビスと特定。
 捜査方法=顔の復元
 乳母車に残された新聞・雑誌、死体がアシュリーの看板の近くの高架橋に置かれていたことから、彼女の熱狂的なファンの犯行ではないかと刑事は判断する。

 アシュリーの家を捜査。
 捜査方法=家宅捜査
 家中に自分の写真が飾られている。
 台所のシンクには血を吐いた痕。
 床にはビニールに入った便。
 クローゼットにはケジラミのついたコート。
 たくさんの下剤と浣腸。
 コカインとポテトチップス。
 手帳にはBC250、EVO50Gと書かれた暗号の様なメモ。 

 一方、検死も行われる。
 捜査方法=検死。
 指の爪の間に皮膚と血痕。
 喉には傷。ただし、フェラチオされて出来たものではない。

 ケジラミのついたコートのラインからアシュリーの姉を発見。
 姉はホームレスをしていた。
 乳母車は姉の物。
 彼女もかつてモデルをしていたが、妹のアシュリーにその地位を奪われたことがわかり、妹に恨みを持っているのではないかと思われる。

 しかし、真相はこうだった。
 アシュリーはモデルとしての地位を保つために極端なダイエットをし、コカインを常習したため精神を病んでいた。
 爪の間の皮膚と血痕は自分の顔をかきむしった時にできたもの。
 喉の傷は、食べた物を吐こうとして、指を自分の喉に入れた時にできたもの。
 浣腸はもちろん痩せるために使ったもの。 
 手帳のBC250はBADカロリー250を摂取したという意味。
 EVO50Gは排便で50Gを出したという意味。
 彼女は手帳でカロリー計算をしていたのだ。
 ビニールに入った便は、その重さを量るためのしたこと。

 アシュリーの姉はそんな妹を心配して自分のもとに連れて行こうとした。
 アシュリーの載った新聞や雑誌を持って。
 そして途中で死んだのだ。

 この作品は状況と真相が面白い。
 事件解決の仕方は刑事の知恵というものが働かないから安易だが。
 アシュリーは死んでしまって彼女は自分の内面を語ることはできないが、病的にダイエットにこだわったアシュリーの姿は想像できる。

★研究ポイント
 捜査方法
 ドラマの作り方
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N’s あおい 最終回

2006年03月22日 | 職業ドラマ
★「葛藤」がドラマを作る。今回の葛藤はこうだった。

総師長・泉田を助けるために気管送管を行わなければならないあおい。
しかし、気管送管は看護士には認められていない医療行為。
あおいは以前も同じ様なことを行って桜川病院に赴任してきた。
もし、今度行ったら、看護士の資格を剥奪されてしまうかもしれない。

あおいは葛藤する。
高樹も葛藤する。
高樹は自分が責任をとる決心をして、あおいにGOを出す。
あおいもGOが出て自分の迷いがとけた。
何よりも人の命が大事なのだ。
それが「ナースあおい」の信念だった。
副院長の田所はその場を通り過ぎやめさせようとするが、自分に責任が及ぶと言われその場を去る。

★ドラマは「変化」である。今回変化したのは副院長の田所だった。

結果、総師長は助かった。
しかし、あおいには倫理委員会が。
覚悟を決めるあおい。
高樹は自分の責任と弁護するが、高樹は1ヶ月の謹慎、あおいは病院からの除名を言い渡される。
高樹は自分が辞めると言い出すが、認められない。
高樹は循環器の内科として優秀で病院にとって欠かせない存在だからだ。
あおいはもともと覚悟していたことと高樹に言い、高樹の医師としての腕が埋もれ多くの人が助からなくなることを惜しむ。

キーマンは田所。
田所が「変化」しなければならない。
作家は田所を変化させるために3つのエピソードを用意する。

1.嘆願書
 仲間達は自分たちが辞めることを盾に田所に嘆願書を出すが、受け入れてもらえない。
 逆に「辞めれば。君たちの代わりならいくらでもいるんだ」と言われてしまう。
2.特別室の患者の処置
 田所のVIP患者の容態が急変する。
 田所だけでは医療行為はままならない。
 あおいは「患者に区別はない」と言ってヘルプに向かい、嘆願書を出した仲間達も病院に駆けつける。
 そして抜群のチームワークでVIP患者は助かる。
 医療現場のあるべき姿を見る田所。
3.田所の母の死
 田所のことを「人のために尽くす」医師だと信じて死んでいった田所の母。
 現在は失われてしまったかつての自分を思い出す田所。
 「人のために尽くす医師であってほしい」という母の願いも感じる。
 
これらのことがあって、田所は変わっていく。
送管のことは現場にもいた自分に責任があると言って、副院長を辞め桜川病院を辞める。
※田所にもこの決断を下すまでには「葛藤」があっただろうが、ここでは描かず、倫理委員会の場で突然発言するというサプライズという手法をこの作品の作家はとった。
たしかにその方が悪役・田所には適切だろうし、メリハリがつく。

★研究ポイント
 ドラマの作り方
 ナースあおいはドラマ作りの王道。
 主人公も「人を救うためにベストを尽くす」というスタンスは変わらず、まわりが変わっていくという形。
 ラスト。あおいは看護助手の北沢に恋心をにおわされるが、何も感じない。「にぶいなぁ、あいつ」と北沢は言う。
 この作品は青春ドラマでもあるが、あおいのスタンスは変わらないのだ。

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