平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

映画「シビル・ウォー」~かくして少女は戦場カメラマンになり、彼女は戦場カメラマンでなくなった

2024年12月20日 | 洋画
 映画「シビル・ウォー」
 もしアメリカで内戦が起こったら? という作品である。

 舞台は近未来のアメリカ。
 憲法で禁じられているはずの3期目に突入し、FBIを解散させるなどの暴挙に及んだ大統領に反発し、19の州が分離独立を表明、内戦が勃発。
 テキサス・カリフォルニアが連合する「西部勢力(WF〈Western Forces〉)」と、フロリダ~オクラホマにかけて広がる「フロリダ同盟」は2つ星の星条旗を掲げ政府軍を次々と撃退。
 ワシントンD.C.に迫り、首都陥落は時間の問題。

 先日、韓国で非常戒厳が発動され、失敗に終わったが、
 もし成功していたら独裁政権の樹立、あるいは内戦になっていた可能性がある。
 それはシリアでも同じ。
 アサド大統領が亡命せず、戦い続けていたら内戦になっていたかもしれない。
 あるいは来年、大統領になるトランプ氏。
 トランプ氏があまりにも強権を振るえば内戦になるかも?
 というわけで、この作品、なかなかリアリティがある。

 さて、ここからが本題。
 以下、ネタバレ。


 ……………………………………

 この作品の本質は「内戦」を描くことではない。
「戦場カメラマン(ジャーナリスト)」を描くことにある。

 すなわち
・戦場カメラマンになる少女
・戦場カメラマンでなくなる女性
 の物語だ。

 ジェシー(ケイリー・スピーニー)は新人だ。
 戦場カメラマン、リー・スミス(キルティン・ダンスト)に憧れて、同行する。
 だが新人だから危なっかしい。
 無闇に飛び出さないように記者のジョエル(ヴァグネル・モウラ)にしばしば背中を掴まれる。
 死体でいっぱいの穴に落とされて吐いたりする。
 だがジェシーは若くて柔軟だ。
 スポンジが液体を吸い込むように戦場でのふるまい方を吸収していく。
 彼女は次第に一人前になっていく。

 一方、ベテラン戦場カメラマンのリー・スミス。
 リーはジェシーに「目の前で仲間が殺されても平然と写真を撮れるようになれ」と教える。
 だが、師であるサミー(スティーヴン・ヘンダーソン)が命を落とすことによって変貌する。
 弾丸が飛び交う戦場を怖れるようになる。
 戦場カメラマンとしての勘やセンスは残っているが、恐怖は拭えない。
 そして──
 飛び出したジェシーが撃たれそうになった時、リーはジェシーの盾になって命を落とす。
 リーはすでに戦場カメラマンではなくなっていたのだ。
 以前のリーならジェシーが撃たれる写真を平然と撮っていただろう。

 この作品、リーが撃たれた後がすごい。
 自分の代わりに撃たれたのにジェシーは何の感傷もなく、死んだリーを置き去りにし、
 スクープ写真を撮るために突っ込んでいく。
 リーの友人であるのに記者のジョエルも悲しむことなく、ジェシーと共に突っ込んでいく。

 これが戦場カメラマンなのだ。
 いちいち感傷に浸っていてはやっていけない。
 スクープ写真を撮るために心をダイヤモンドのように硬くする。 

 これが人として正しいのかどうかはわからない。
 幸せなのかもわからない。
 敢えてジェシーの立場で言えば、戦場は非日常空間なので日常の感覚ではやっていけないのだろう。
 日常の感覚を抱いた時点で殺されてしまう。

 この作品の後半30分はものすごくドライだ。
 リーを放置したジェシーを是とするか、身代わりになったリーを是とするか、
 これらの判断は観る者に委ねられる。

 ここが今作のすごい所だ。

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「冒険者たち」~冒険を描きながら孤独と哀愁。これぞフランス映画! 主題歌「レティシア」は青春の名曲!

2024年08月21日 | 洋画
 アラン・ドロンさんが亡くなった。88歳。
 素敵な作品をありがとうございました。
 ご冥福をお祈りいたします。
                             以下、敬称略

 アラン・ドロン作品で真っ先に思い出すのは『冒険者たち』
 冒頭エッフェル塔の下を複葉飛行機で飛び抜けるシーンで一気につかまれた。
 アラン・ドロン演じるマヌーはパイロット。
 リノ・ヴァンチュラ演じるローランは自動車エンジニア。
 ジョアンナ・シムカスが演じるレティシアは前衛芸術家。
 レティシアが作品で使う素材を求めてローランの工房を訪ねたことから3人の関係が始まる。
 3人はぞれぞれの仕事で挫折し、何かを求めていた所に「財宝探し」の情報が入ってくる。

 で、これが『冒険者たち』のポスター。

 

 見て下さい、このポスター!
『冒険者たち』ってタイトルなのにこれなんですよ!
 実際、作品はコンゴでの財宝探しやこれを狙う連中との銃撃戦など、冒険要素がいっぱいなのだが、
 ポスターはそんな要素をまったく入れずに、3人で笑いながら野原を歩いて行く光景。
 そう、この作品は3人の物語なんですね。
 財宝探しなどは二の次。
 その過程で3人がワチャワチャしたり、友情と恋愛の間で迷ったりすることの方がメインテーマ。
 男ふたり、女ひとりの関係は友情で結ばれている間はいいが、
 いったん恋愛に傾くと、残された男に哀しみと孤独が生まれる。
 作品はここを掘り下げる。

 これがフランス映画なんですね。
 冒険を扱っていながら、ベースには「哀愁」がある。
 友情や恋愛を扱っていながら「孤独」がある。

 同じ男ふたり、女ひとりのアクション映画に『明日に向かって撃て!』があるが、
 こちらに「哀愁」要素は少ない。メインはブッチとサンダースキッドの物語だ。
 僕は『明日に向かって撃て!』も大好きですが、やはりアメリカ映画なんですね。

 そしてヒロイン・レティシアの美しいこと!
 レティシアはマヌーとローランのふたりから愛されるわけだが、
 この作品を見たら、みんな、レティシアに心を奪われる。

 というわけで、最後は主題歌『レティシア』
 ときどき思い出す、大好きな歌です。

 レティシア ~映画「冒険者たち」(YouTube)
 ※語り口調の歌い方。フランス語が美しく、そして哀しい。

 ※歌詞はこちら

 Laetitia je ne savais pas
 Que tu étais tout pour moi
 Un oiseau chantait tout près de moi
 Mais je ne l'entendais pas
 Et tu vivais innocente, éphémère
 Tu habillais nos printemps de chimère

 Laetitia je ne savais pas
 Que la vie n'est rien sans toi
 L'oiseau fragile un jour s'est abattu
 La mort ne l'a pas rendu
 Et tu reposes dans le bleu de la mer
 Toi qui colorais de bleu nos chimères

 Un oiseau chantait près de moi
 Jamais il ne reviendra
 Laetitia, non je ne savais pas
 J'étais amoureux de toi !

 ChatGPTに訳してもらうと──

 レティシア、僕は知らなかった
 君が僕にとってすべてであることを
 鳥は僕の近くで歌っていたけれど
 その声を僕は聞かなかった
 君は無垢で、はかなく生きていた
 僕たちの春をはかない夢で彩っていた

 レティシア、僕は知らなかった
 君なしでは人生は何もないということを
 そのはかない鳥がある日、地に落ちた
 死は彼女を返してはくれなかった
 今、君は海の青に眠っている
 僕たちの空想を青く染めていた君が

 鳥が僕の近くで歌っていた
 もう戻ってはこない
 レティシア、僕は知らなかった
 僕は君に恋していたんだ

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「メッセージ」~三次元の言語を持つ者は四次元の世界を認識できる。それは時間と空間が融合した世界。

2024年04月13日 | 洋画
 現在、僕たちが使っている文字は2次元だ。
 平面(紙など)に上下左右の文字を書いている。
 そして僕たちは文字よりも次元がひとつ上の3次元空間を認識している。

 映画『メッセージ』に登場する宇宙人ヘプタポッドが使っている文字は3次元だ。
 彼らの文字には上下左右の他に奥行きがある。

 
 ※ヘプタポッドの文字。円形で繋がっている。

 では3次元の文字を使うヘプタポッドはどのように世界を認識しているのか?
 4次元世界である。
 なぜなら彼らの使っている文字が3次元なので、
 認識できる世界はひとつ次元が上の4次元なのだ。

 では4次元の世界とはどのような世界なのか?
 空間と時間が融合した世界。
 つまり過去、現在、未来という概念がない世界。
 一瞬で過去も未来も見ることのできる世界である。
 ………………………………………………………………………………

 映画『メッセージ』はこんなテーマを描いた作品である。

 主人公の言語学者ルイーズ(エイミー・アダムス)は飛来した宇宙人ヘプタポッドの言語を
 解析していくうちに「未来」が見えるようになる。
 未来が見えるようになって、人類とヘプタポッドが戦争を始めるのを妨げる。

 同時にルイーズは自分の未来も知る。
 将来、自分に起こる悲劇(娘のハンナが癌で死んでしまう未来)を目の当たりにする。
 その事実を知ってルイーズはどのような行動を取るのか?
 娘の死を回避するため結婚しないのか?
 でも、それはできない。
 未来を変えることができないからだ。
 そこでルイーズは運命を受け入れ、娘と過ごす一瞬一瞬を大切に生きていこうと考える。

 あるいは
 過去と未来を自在に見られるルイーズはいつもで娘のハンナに会えるのかもしれない。
 ハンナの死は一過性のもので、そんなに悲しむべきことではないのかもしれない。
 ………………………………………………………………………………

 最近SF小説を積極的に読むようにしている。
 もともと文系の人間なので、読むのは大変だ。
 時間、空間、重力、量子、生命、相対性理論──
 10ページ読んで立ち止まり、前の部分を読み返したりして奮闘している。
 それでもSF小説を読もうとしているのはSF的な思考を身につけたいからだ。

 それは、今作のルイーズがヘプタポッドの言語を理解しようとしていることに似ている。
 ヘプタポッドの言葉を理解した結果、ルイーズはヘプタポッドの見ている時間を超越した世界を
 知ることができた。
 僕もSF小説を格闘することで、新しい世界の見方を自分のものにしたい。

 現在、人類はすべてにおいて行き詰まっている気がする。
 思考方法は有史以来ほとんど変わっていない。
 このままだと人類は滅びる種になるのではないか?
 それを回避するには、思考のバージョンアップが必要だと思う。
 旧人類から覚醒した新しい人類へ。
 今作では「新たな言語を得ることが覚醒に繋がる」と描いているが、そうかもしれない。

 今作の原作はネビュラ賞を受賞した、テッド・チャンのSF小説『あなたの人生の物語』。

 現在、僕の机の上には本作を含めて20冊くらいのSF小説が置かれているが、
 読み終えるのにどれだけの時間がかかるのか?
 でも、ワクワクしている。

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「フェーム」~芸能学校の青春を描いた群像劇! 音が鳴り出すと、彼らは歌い、踊り、演奏を始める!

2024年03月08日 | 洋画
 映画『フェーム』(監督アラン・パーカー/1980年版)
 ニューヨークの芸能学校の学生たちを描いた群像劇だ。

 学科は「演劇」「音楽」「ダンス」。
 この中で学生たちは自分をさまざまに表現する。
「演劇」ではシェイクスピアをやるし、コントもやる。
「音楽」ではロック、クラシック、ゴスペル、電子音楽。
「ダンス」ではバレエ、ストリートダンス。

 登場人物もさまざまで、悩みを抱えていたりする。
・過保護な母親に育てられて内気なドリス→演劇で自分の殻を破りたい!
・名優の息子で、ゲイであることを隠して悩んでいるモンゴメリー→もっと自由になりたい!
・歌唱力抜群のコーコ→彼女はひたすら世に出たい! 有名になりたい!
・天才肌のブルーノー→俺は新しい音楽を作りたい! 俺の音楽を聴け!
・ダンスが得意なリロイは読み書きができない→俺を馬鹿にするやつを見返したい!

 こんな個性的な彼らだが、ランチタイムで音が鳴り始めると、歌い、踊り、演奏を始める。
「ホット・ランチ・ジャム」

 タクシー運転手のブルーノーの父親がブルーノーの作った曲をスピーカーで流すと、
 彼らはストリートで歌い、踊り、演奏を始める。
 警官の制止も聞かず、車の上に乗って踊り狂う。
「フェイム」

 卒業式は圧巻だ。
 芸能学校で学んだ3年間の思いを一気にぶつけて、パフォーマンスする。
「アイ・シング・ザ・ボディ・エレクトリック」
 そこで表現されるのは──
 歌唱!
 ゴスペル!
 クラシック!
 ロック!
 バレエ!
 ストレートダンス!
 合唱!
 ジャンルを越えた「総合パフォーマンス」だ。
 登場人物たちは自分の抱えていた悩みや苦しみを乗り越えて、自分を表現していく。
 クセのある個性派ばかりなのにこの時は一体となる。
 そして、
 私達はこの繋がりを大切にしよう♪ 私達は星(スター)になる♪
 晴れ晴れとした顔でこれからの未来を夢見る!
 ………………………………………………………………………………………

 見事な青春映画だった。

 音が鳴り出すと、歌い、踊り、演奏し始める彼ら。
 大人の制止も聞かず、ストリートで歌い、踊り出す彼ら。
 彼らはエネルギーの塊なのだ。
 そして、これが若さ!

 自分が何者であるかわからなくて苦悩する彼ら。
 エネルギーを制御できず、バカをやったり間違いを起こす彼ら。
 これが若さなのだ。

※動画はこちら

 『フェイム』テーマソング(YouTube)
 ※この映画にも出演してテーマ曲も歌っているアイリーン・キャラ。
  一昨年亡くなりましたよね……。元気な彼女見ていると涙が出て来る。

 『ホット・ランチ・ジャム』(YouTube)
 ※音が鳴ると、歌い、踊り、演奏を始める。内気なドリスはこれに馴染めない。

 卒業パフォーマンス『ボディ・エレクトリック』(YouTube)
 ※圧巻のパフォーマンス!
 
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「ワルキューレの騎行」と映画「地獄の黙示録」~ワーグナーの音楽は人を狂気に誘う

2024年02月28日 | 洋画
 リヒャルト・ワーグナーの『ワルキューレの騎行』
 初めて聴いた時、これ頭のおかしい曲だと思った。
・高らかに奏でる主旋律を管楽器!
・キュンキュンと泣き叫ぶ弦楽器!
・ワルキューレのブリュンヒルデ(歌手)が Hojotoho! Hojotoho!  Heiaha!

 実際、ワグナーに心酔する人には狂気の人物が多い。

 バイエルンの狂王ルートヴィッヒ二世
 彼のノイシュバンシュタイン城はルートヴィッヒ二世の理想の世界を実現するために造られた。
 目指すのは神話世界の実現だ。
 ワグナーはこれをオペラで表現したが、ルートヴィッヒ二世は建築物で表現しようとした。

 
 ※ノイシュバンシュタイン城~ヨーロッパに旅行に行った時、拝観した。
  完全に観光地化されていたが、そうでなければルートヴィッヒ二世の狂気を感じたかもしれない。

 アドルフ・ヒトラー
 ワグナーは民族主義者で、英国の資本主義、フランスの共和主義を否定し、
 ドイツの偉大さを芸術で表現しようとしたが、ヒトラーはこれを現実で表現しようとした。
 ワグナー同様ユダヤ人を憎み、憎悪を加速させてホロコーストをおこなった。
 連合軍がベルリンに迫っているのに、バイロイトのワグナー音楽祭を強行しようとした。
 ……………………………………………………………………………

 そしてコッポラーの映画『地獄の黙示録』

 ベトナム戦争。
 飛来する米軍のヘリコプター部隊。
 任務はベトコンの一掃。
 ヘリコプター部隊の隊長は戦闘時に『ワルキューレの騎行』を高らかに鳴らす。
『ワルキューレの騎行』を響かせながらベトコンおよび民間人を攻撃していく。
 ワルキューレとは「戦場の戦士を天上の宮殿ヴァルハラへ連れて行く女神たち」のことだが、
 ヘリコプター部隊はまさにそれ。

 

『地獄の黙示録』は戦場でのさまざまな狂気が描かれたが、このシーンの狂気はすごかった。
 ここで『ワルキューレの騎行』を持って来るコッポラーのセンス!
 この狂気についていけないヘリコプター部隊の隊員が戸惑った顔をしている所にテーマを感じる。
 途中でベトナムの村の子供たちの退避シーンを入れた所もコッポラーの主張を感じる。

 ワーグナーの音楽は人間を狂気に誘う。
 もしかしたら人間は狂いたがっているのかもしれない。
 日常はあまりにも平凡で、人を常識や世間の目や法律や道徳で縛りつけるから。
 人がワーグナーの音楽に魅了される理由はこんな所にあるのだろう。


※動画はこちら
「地獄の黙示録」~ワルキューレの騎行(YouTube)

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映画「サウンド・オブ・ミュージック」~コンサートシーンの「エーデルワイス」で涙腺崩壊!(動画あり)

2023年12月08日 | 洋画
 映画『サウンド・オブ・ミュージック』
 僕はこの映画を初めて観た時、素晴しすぎて劇場の椅子から立ち上がれなかった。

 どのシーンも音楽も素晴しいが、圧巻なのはラストの「ナチス主催の音楽会」のシーン。

 トラップ大佐(クリストファ・プラマー)はナチスの旗を破るくらいのナチス嫌いだ。
 だから祖国オーストリアがナチスに併合されることを憂いている。
 しかし歌で有名なトラップ一家はナチスが主催するコンサートに出演させられる。
 ナチスにとってはトラップ一家のコンサート参加は、併合のプロパガンダになるからだ。
 トラップ大佐はナチスのために歌うことに苦しむ。
 葛藤の末、彼が選んだのは、祖国を讃える歌「エーデルワイス」を歌うことだ。

♪ エーデルワイス エーデルワイス
 祖国を永遠に祝福したまえ ♪

 これを聞いて、ナチス支持者たちは苦い顔をする。
 歌っているトラップ大佐は感極まって涙があふれて来る。
 それを見た妻マリア(ジュリー・アンドリュース)は夫のもとに駆け寄り、
 いっしょに「エーデルワイス」を歌う。
 トラップ家の子供たちもやって来て歌う。
 家族で歌いながら、トラップ大佐は観衆にも「エーデルワイス」を歌うことをうながす。
 オーストリアの観衆たちはそれに応えて歌い、「エーデルワイス」の大合唱!

♪ エーデルワイス エーデルワイス
 祖国を永遠に祝福したまえ ♪

 ……………………………………………………………………………

 映画『サウンド・オブ・ミュージック』の最大のクライマックスだ。
 このシーン、まったく台詞がないんですよね。
 歌と映像だけで登場人物たちの心の中を描いている。
 僕はすっかり忘れていたが、トラップ大佐は途中で感極まって泣くんですね。
 それを見てマリアが駆け寄る。子供たちも来る。
 素晴しい!
 続くオーストリアの観衆の大合唱で涙腺崩壊!
 ここで「エーデルワイス」は反戦歌になった。
 

※動画はこちら
 The Sound of Music - Edelweiss(YouTube)

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ワンダーウーマン~DCコミックのアメリカン・ヒーローも健在だ! ドイツ陣地を突破するシーン、カッコ良すぎる!(動画あり)

2023年07月01日 | 洋画
『バットマンVSスーパーマン』『ワンダーウーマン』『ジャスティス・リーグ』
をイッキ見しました!

 アメリカン・ヒーローにはマーヴェル・ヒーローとDCヒーローの2系統があるが、
 こちらはDCヒーローの方。
 この3作品ともワンダーウーマンは登場していて、
 演じているガル・ガドット様があまりにもお美しくて、
『ワイルドスピード マックス』『同 メガマックス』『同 スカイミッション』まで見てしまった!
 …………………………………………………………………

 さて、今回は『ワンダーウーマン』。
『バットマンVSスーパーマン』『ジャスティス・リーグ』は監督がザック・スナイダーでマニアックなのだが、こちらは違う監督でエンタテインメントに徹している。

 時代は第1次世界大戦のまっただ中。
 ワンダーウーマン・ダイアナ(ガル・ガドット)の設定が面白い。
 ダイアナは世界から閉ざされたセミッシラ島の住むアマゾン族のプリンセスだ。
 セッミシラ島は世界から閉ざされた島なのでダイアナは外の世界のことをまったく知らない。
 そこへ偶然やって来た英国人兵士のスティーブ・トレバー(クリス・パイン)。
 ダイアナはスティーブから外の世界で世界大戦が行なわれていることを聞く。
 世界大戦の原因を軍神アレスの仕業だと考え、アレスを倒すためにドイツと戦う。
 ダイアナはまったく違う世界観の中で生きているのだ。
 このギャップの面白さ。

 この作品で圧巻なのは、ダイアナがドイツ軍の陣地を突破して村を救いにいく戦闘シーンだ。
 機関銃と迫撃砲で武装されたドイツの武装陣地を攻めあぐねている英国軍。
 このままでは背後の村が壊滅してしまう。
 スティーブ・トレバーは村を諦めて前に進もうと主張するが、
 ダイアナは「困っている人を見捨てておけない」と反論。
 単身ドイツの武装陣地を突破する決意をする。

 このシーンがすごい!

 
 ※山のように飛んで来る機関銃の弾丸を盾で防御する! カ、カッケー!

 
 ※相手を倒して見栄を切る。東映戦隊ものの影響か?

 激しい動きのシーンがあったかと思うと、今度は静止画で決めポーズ!
 随所にスローモーションも多様。

 このダイアナの奮闘にトレバーたちも立ち上がり、他の英国兵もこれに続く。

 やっぱり面白いな、ハリウッド映画は!
 アメリカン・ヒーローは健在だな!
 ハリウッド映画ではいつも悪者にされるドイツって可哀想……!
 でもドイツは大人だから、こういうことに目くじらを立てないんだよな。
 日本の右派は「日本が悪く描かれている」と言って怒りそう。

 というわけで、この戦闘シーンの動画があったので、ぜひ御覧下さい!

 Wonder Woman | No Man's Land Battle (YouTube)

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「工作~黒金星と呼ばれた男」~安倍政権の支持率が落ちると、なぜ北朝鮮はミサイルを撃って来たのか?

2023年01月28日 | 洋画
 安倍政権の時代。
 選挙が近くなったり、支持率が落ちた時、なぜ北朝鮮はミサイルを撃って来たのか?
 ネットでは、こんなウワサが流れていた。

 実は安倍政権は北朝鮮は通じていて、
 政権が危機に陥ると北朝鮮にミサイルを撃つよう要請していた。


 僕はいくらなんでもそんなことはないだろうと思っていたが、
 最近、見た韓国映画『工作~黒金星と呼ばれた男』でこんなことが描かれていた。
 1997年の韓国大統領選挙で左派の金大中が当選しそうになった時のことだ。

・北朝鮮は外貨が欲しい。
・韓国の国家安全企画部(KCIA)は左派の金大中を大統領にしたくない。
・国家安全企画部は北朝鮮に40万ドルを渡し、
 選挙の直前、軍事的挑発をおこなうように要請する。
 北朝鮮の脅威が高まれば、韓国国民は安心を求めて与党に投票するからだ。


 これは『北風工作』と呼ばれる現実の事件で、後に発覚して逮捕者も出たらしい。
 なるほど。
 国際政治というのはこんなふうに動いているのか。
 一見、敵対しているように見える北朝鮮と韓国。
 でも、利害が合えば裏で簡単に手を結ぶ。
 ここには右や左といったイデオロギーは関係ない。

 この『北風工作事件』を考えると、
 安倍政権と北朝鮮のミサイルの関係が想起される。
 たとえば──
・安倍官邸は「選挙が近いからミサイルを撃ってくれ」と北朝鮮に要請する。
・工作資金は官房機密費など。
・要請ルートは『安倍政権→統一教会→北朝鮮』
 まあ、これは想像でしかないのだけれど。
 でも岸田政権になってから北朝鮮はほとんどミサイルを撃って来なくなったよね。

 というわけで、世の中に出来事はすべて裏があると思って見た方がいい。
 あまり行き過ぎると『陰謀論』になってしまうのだけれど。
 今、話題になっている中国脅威論も誰かが演出しているのかもしれない。

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ラブ・アクチュアリー~クリスマス・イブに観たい映画! これぞ英国のユーモア!

2021年12月24日 | 洋画
 本日はクリスマスイブらしい。
 昔はワクワクしたけど、今は平常運転。
 老けたことを実感する。青春は遠くなった?

 そんな中、クリスマスに観たい映画は『ラブ・アクチュアリー』
 オムニバス形式で語られる、クリスマスイブの何組かのカップルの物語だが、これらが英国のユーモアで全部お洒落。
 
 たとえば──以下、ネタバレ

 英国首相と秘書。
 首相は新任の秘書のことが気になっていて、こう尋ねる。
「君は誰と住んでいる? 恋人? 夫? 子供三人?」
「両親と住んでいますわ。恋人とは別れました。私のことを太ってると言ったから」
「その男を首相の権限で、狙撃手を使って暗殺してやろうか」(笑)

 恋に悩む首相はサッチャー元首相の肖像画に尋ねる。
「どうしたらいいんでしょう?」
 そして、何も答えない肖像画のサッチャーに対して、こうつぶやく。
「鉄の女には無理か」(笑)

 気になっている秘書が首脳会談でやってきたアメリカ大統領に誘惑された時には、記者会見でこうアメリカに怒りをぶちまける。
「われわれはアメリカには屈しない。英国は小国だが、偉大な国だ。われわれには偉大なものがある。シェークスピア、チャーチル、ビートルズ、ショーン・コネリー、ハリー・ポッター、それにベッカムの右足」(笑)

 下ネタのユーモアもある。
 破天荒でメチャクチャな老ロックシンガーがインタビューを受ける。
「今までで最高のSEXの相手は?」
「ブリトニー・スピアーズ」
「本当ですか?」
「ウソだよ。最低だった」(笑)

 こんなのも。
「この曲がNO.1になったら、TVで素っ裸になって歌ってやる。下見するかい?」
 と言って、ズボンのファスナーを下ろすロックシンガー。
 すると司会はズボンの中のモノを見てつぶやく。
「NO.1にはなれない」(笑)

 会社社長と女性社員はこんなお洒落な会話をする。
「君はここに勤めてどれくらいになる?」
「2年と7ヶ月、3日と3時間ですわ」(笑)
「私のことを好きになったのは?」
「2年と7ヶ月、3日と1時間半ですわ」(笑)

 そして作家と家政婦。
 作家がタイプライターで打ち出した原稿が、家政婦の不注意で風で飛んで湖の中へ。
 家政婦は冬の寒い中、湖に飛び込んで原稿を拾う。
 その時に家政婦は言う。
「駄作だったら許さないわ」(笑)

 ふたりの恋が深まってからはこんな会話。
 毎日夕方家政婦を駅まで車で送っている作家は車の中でこう言う。
「君を送る時が一日で一番楽しい」
 すると家政婦
「あなたに送られて別れる時が一番悲しいわ」

 圧巻なのは、ある青年が女性にボードで告白するシーン。
 女性には夫がいて、夫と告白する青年は友人同士なのだが、彼女が負担にならない形でユーモアを交えて告白する。
『重荷に思わず、クリスマスだから聞き流してほしい』で始まるこの告白は映画史上5指に入る告白シーンだと思う。

 監督はリチャード・カーティス。
『ブリジット・ジョーンズの日記』『ノッティング・ヒルの恋人』などの脚本家でもある。
 この脚本作品を観ても、どんな作品かわかるだろう。

 クリスマスの夜、たくさんの幸せな愛に浸りたい方は、ぜひ、この作品をご覧下さい。

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レ・ミゼラブル~『民衆の歌』を高らかに歌え! 戦う者の歌が聞こえるか?

2021年06月02日 | 洋画
『レ・ミゼラブル』
 かつては『ああ無情』と翻訳されていたが、
『貧しき人々』『虐げられた人々』『悲惨な人々』と訳されるのが妥当だろう。

 さて19世紀のフランスで『虐げられた人々』はどう生きたか?

 主人公ジャン・バルジャンはお金を儲け、金持ちになり社会的な地位も得た。

 宿屋の主人でコゼットをこき使っていたティナルディエは強請、たかりで
 貧乏人はもちろん金持ちからカネをむしり取る。
 これもまた『虐げられた人々』のひとつの生き方だ。

 ジャン・バルジャンとティナルディエが信じているのは「お金」だ。
 バルジャンの場合は、これに
 ミリエル神父によって啓示された「神への愛」「信仰」「博愛」、
 コゼットによって呼び覚まされた「愛」が加わる。

 一方、ジャン・バルジャンの宿敵・ジャヴェール。
 彼が信じているのは「法」だ。
「法」によって「秩序」が保たれるのが絶対だと考えていて、
 そこには「人間愛」とか「人間の弱さ」とか「悲惨な社会状況」といった考察がない。

 そしてコゼットの恋人マリユス。
 彼は家から勘当されて貧乏生活を送っているが、ブルジョワ出身のインテリだ。
 悲惨な社会に憤っていて革命を夢想している。
 ブルジョワ出身のインテリが革命を夢想するのはめずらしいことではなくて、
 たとえばロベスピエールなど、フランス革命の指導者たちもそうだった。

 バルジャン、ティナルディエ、ジャヴェール、マリユス──見事な人物造詣ですね。
 その他にもコゼット、フォンテーヌ、ティナルディエの娘のエポニーヌなど魅力的な女性も登場する。
 こうした人物を配置しながら、作者ユゴーが描くのは──
「貧困」「お金」「法」「秩序」「神」「信仰」「親子愛」「男女の愛」「革命」「理想」など、
 さまざまなテーマだ。
 これらを描き切るユゴーの筆力は圧倒的で感嘆以外の何物でもない。
 原作で詳細に描かれた「ワーテルローの戦い」なども第一級の歴史資料だと思う。

 さて、ここで話を戻すと、
 ジャン・バルジャンはマリユスを知って「革命」という社会を変える手段を認知する。
 革命=民衆の連帯。
 それはこれまでバルジャンが信じてきた「お金」「信仰」「博愛」とは違う手段だ。
 バルジャンも悲惨で理不尽な社会を目にして何とか変えようと思ったが、「民衆の連帯」という発想はなかった。
 がく然とするバルジャン。

 そんなバルジャンの思いが描かれたのが、
 映画『レ・ミゼラブル』の『民衆の歌』のシーンだ。

 民衆を弾圧するために通り過ぎる軍隊。
 人々は『民衆の歌』を歌い始める。

 

 そんな人々を茫然と見ているジャン・バルジャン。

 

 映画『レ・ミゼラブル』の中でも圧巻の名シーンだ。

 それでは御覧下さい。

 映画『レ・ミゼラブル』民衆の歌(YouTube)

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