吉原もんと市中の対立。
親父さんたちが鶴屋喜右衛門(風間俊介)を階段から転がり下ろして叫ぶ。
「悪いけど俺たちだってあんたらと同じ座敷にいたくねえんだ!」
「出切り禁止だ」
「おや、ということは皆さんは吉原の本はつくれない?」
「あらま、じゃあ今後は重三しかつくれないことになるねえ」
「黙って大門くぐればいいなんて考えるなよ」
「そうですよ。二度と出ていけなくなりますから」
「覚悟しろや、この赤子面!」
まず親父さんたちのそれぞれの語り口が面白い。
台詞まわしが三人三様、緩急、強弱が耳に心地いい。
親父さんたちが激怒したのは鶴屋喜右衛門に
「卑しい外道」「吉原もんを市中に加えたくない」「同じ座敷にいたくない」
と言われたから。
確かに吉原もんは「忘八」である。
だがプライドもある。
吉原は幕府に認められた「天下御免」の岡場所であり、
かつては鶴屋喜右衛門たちのいる「日本橋」にあった。
「男と女」という人生の喜びを提供している場所でもある。
散々、下に見られて来た者の反撃。
聴く耳を持たない理不尽さへの怒りの爆発。
取り澄ました偽善への嘲笑。
ドラマ的にも盛り上がる、心地いいシーンだ。
さて吉原と市中の対立、これからどうなる?
簡単に解決せず、対立を激化させるとドラマとしてグングン面白くなると思う。
……………………………………………
瀬川・花の井(小芝風花)は蔦重(横浜流星)のことが好きだった。
蔦重のためにがんばってきたのに蔦重にとっては「幼なじみの女郎」でしかないようだ。
「重三にとって、わっちは女郎なんだねえ」
これを受けて蔦重、
「ガキの頃からのつき合いで世話になったから、女郎の中でもとりわけ幸せになってほしい」
これを受けて瀬川、
「バカらしうありんす」
吉原の者は女郎に手を出してはならない、というしきたりがあるから仕方ないのかもしれないが、
蔦重、鈍すぎる。
瀬川を身請けするには千両かかるので、その発想を持てないのだろうが。
さて次回は、そんな瀬川の身請け話。
瀬川を失うという現実を前にして、蔦重は「失うものの大きさ」を知るのだろう。
後悔して、好きな女郎を身請けできる財を持ちたいと考えるのかもしれない。
予告に拠れば、次回はうつせみ(小野花梨)と小田新之助(井之脇海)が駆け落ちするようなので、
これで蔦重は、男女の愛について考えるのかもしれない。
さて、いろいろ盛り上がってまいりました!
※追記
目の見えない鳥山検校(市原隼人)に瀬川は本を読み、耳で愉しんでもらった。
こういう心遣いに鳥山検校は魅かれたのだろう。
検校で谷崎潤一郎の『春琴抄』の佐助を思い出したが、
江戸時代の検校は高利貸しを営むことを許されていてお金持ちだったのか。
『春琴抄』、美しく見事な作品です。
松の井(久保田紗友)は、瀬川に客が殺到した結果、あぶれた客を押しつけられて不満な様子。
花の井の「瀬川」の襲名は必ずしも好意的に受け入れられたものではなかった。
こういう描写は作品に厚みが出ていいですね。
親父さんたちが鶴屋喜右衛門(風間俊介)を階段から転がり下ろして叫ぶ。
「悪いけど俺たちだってあんたらと同じ座敷にいたくねえんだ!」
「出切り禁止だ」
「おや、ということは皆さんは吉原の本はつくれない?」
「あらま、じゃあ今後は重三しかつくれないことになるねえ」
「黙って大門くぐればいいなんて考えるなよ」
「そうですよ。二度と出ていけなくなりますから」
「覚悟しろや、この赤子面!」
まず親父さんたちのそれぞれの語り口が面白い。
台詞まわしが三人三様、緩急、強弱が耳に心地いい。
親父さんたちが激怒したのは鶴屋喜右衛門に
「卑しい外道」「吉原もんを市中に加えたくない」「同じ座敷にいたくない」
と言われたから。
確かに吉原もんは「忘八」である。
だがプライドもある。
吉原は幕府に認められた「天下御免」の岡場所であり、
かつては鶴屋喜右衛門たちのいる「日本橋」にあった。
「男と女」という人生の喜びを提供している場所でもある。
散々、下に見られて来た者の反撃。
聴く耳を持たない理不尽さへの怒りの爆発。
取り澄ました偽善への嘲笑。
ドラマ的にも盛り上がる、心地いいシーンだ。
さて吉原と市中の対立、これからどうなる?
簡単に解決せず、対立を激化させるとドラマとしてグングン面白くなると思う。
……………………………………………
瀬川・花の井(小芝風花)は蔦重(横浜流星)のことが好きだった。
蔦重のためにがんばってきたのに蔦重にとっては「幼なじみの女郎」でしかないようだ。
「重三にとって、わっちは女郎なんだねえ」
これを受けて蔦重、
「ガキの頃からのつき合いで世話になったから、女郎の中でもとりわけ幸せになってほしい」
これを受けて瀬川、
「バカらしうありんす」
吉原の者は女郎に手を出してはならない、というしきたりがあるから仕方ないのかもしれないが、
蔦重、鈍すぎる。
瀬川を身請けするには千両かかるので、その発想を持てないのだろうが。
さて次回は、そんな瀬川の身請け話。
瀬川を失うという現実を前にして、蔦重は「失うものの大きさ」を知るのだろう。
後悔して、好きな女郎を身請けできる財を持ちたいと考えるのかもしれない。
予告に拠れば、次回はうつせみ(小野花梨)と小田新之助(井之脇海)が駆け落ちするようなので、
これで蔦重は、男女の愛について考えるのかもしれない。
さて、いろいろ盛り上がってまいりました!
※追記
目の見えない鳥山検校(市原隼人)に瀬川は本を読み、耳で愉しんでもらった。
こういう心遣いに鳥山検校は魅かれたのだろう。
検校で谷崎潤一郎の『春琴抄』の佐助を思い出したが、
江戸時代の検校は高利貸しを営むことを許されていてお金持ちだったのか。
『春琴抄』、美しく見事な作品です。
松の井(久保田紗友)は、瀬川に客が殺到した結果、あぶれた客を押しつけられて不満な様子。
花の井の「瀬川」の襲名は必ずしも好意的に受け入れられたものではなかった。
こういう描写は作品に厚みが出ていいですね。