平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

日銀・黒田総裁「円安は全体としてプラス」~そんなわけあるかー! 現状、円安のメリットはほとんどない

2022年04月29日 | 事件・出来事
 円安が止まらない。
 昨日は1ドル130円に……。

 円高・円安にはそれぞれに功罪があるのだが、僕たち庶民には円安はマイナスでしかない。
 なぜなら小麦や原油などの輸入品が高くなるからだ。
 結果、それらが原材料となる商品はすべて値上げ。
 石油に依存しているトラックなどの流通費、電気などの光熱費も値上げ。
 んでもって、収入は現状維持だから、僕たちの生活はますます苦しくなる。

 そんな中、テレビでは円安を猛批判するかと言うと、
『円安の物価高でも生き残る節約術♪』とか『100円ショップ活用術♪』などのオンパレード!
 どんだけ迎合してるんだよ!?
 これだからテレビはつまらない。
 こんなことだから、日本はデフレから脱却できない。

 円安でメリットを得るのはトヨタなどの輸出大企業である。
 なぜなら、仮に海外に100ドルの商品を売ったとして、円換算で今まで11,000円だったのが13,000円になるから。
 何の努力をしなくても2,000円儲かる。
 だが、先程書いたように輸入に関しては小麦などを高く買わなくてはならず、物価が上がる。
 これで給料が上がればいいのだが、日本の賃金上昇率は低い。
 結果、庶民の生活はどんどん苦しくなる。
 内部留保が示すように円安で肥え太るのは大企業ばかりだ。

 あと円安でメリットを得るのは旅行業者だが、コロナで海外からの観光客は現状期待できない。
 そもそも、コロナで観光客が来なくなったように観光って水もの……。
『観光立国』という方針は正しいのか?

 あと円安でメリットがあるのが海外に資産を持っている人とドルを買っている人。
 ドルが上がれば自分たちの資産が自動的に増える。
 大企業のほとんどはこれをやっているだろう。
 だから経団連は先程の輸出増もあって、円安を支持している。
 安倍晋三や日銀総裁の黒田東彦なんかはこのラインで『円安継続』『円安万歳』を主張している。
 彼らは『大企業の味方』で『庶民の味方』ではない。
 庶民は生かさず殺さず、不満や怒りがこちらに向かないようにコントロールしていけばいいと思っている。
 たとえばオリンピック。感動をありがとう! これで庶民は不満を忘れる。
 外に外敵を作るのも有効。
 だから庶民なのに安倍晋三や日銀・黒田を支持するのは『肉屋を支持するブタ』だ。

 近い将来、日本人は海外に出稼ぎに行くことになるかもしれない。
 なぜなら海外の方が賃金が高いから。
 実際、優秀な人は中国やアメリカで働いている。
 アニメのクリエイターも中国に流出。
 こんな状況下の防衛策としては『ドル』を買うことですかね?
 金融市場に才覚のある方はやってみましょう。
 …………………………

 以下はネットの言葉。

「全体として円安がプラスという考え方を変えたわけではないが、過度な変動はマイナスに作用する」という黒田日銀総裁の発言を受けて。

・全体ねえ。この人らの言う全体は、上級国民だけのようだ。

・>全体として円安がプラス
 検証のために プラス側・マイナス側の 具体的な根拠(数値)を示すべき

・アベノミクスで当初売りにしていたトリクルダウンが無かったのを考えれば
 円安で大企業が儲かれば日本経済が潤うのが完全な嘘だとわかるだろ
 黒田はマジで一族財産没収くらいしていい

・経団連の犬だからな自民党も黒田も

・大企業は儲かるって話だろ
 庶民生活のことなんかひとつも考えてない

・未だに円しか持ってない情弱おりゅう?

・こいつは何年か前、原油価格が安かったときに
 デフレ脱却できない要因は原油が安いからと言い放った無能だからな

・日本のエンゲル係数が上がったのは外食のせいとか言い切ったのは安倍晋三だったか

・現状円安のメリットないんだよな
 資源不足で製造ができないから生産が伸びない
 円安でくる観光客もコロナでこない
 デメリットしかない

・メリットがあるのは海外で現地生産してて為替差分で日本円にすると得って企業
 日本国内の工場回帰なんてないし、海外労働者だってこないし、良い訳が無い
 そもそもこれで優秀な外国人労働者が来ない状況になるのに経団連の今までの海外労働者の話はどこに行ったんだと思う

・既に日本は貿易赤字国
 円安で輸入コスト増により赤字が拡大するだけ

・おまけに少子高齢化や贅沢を覚えた怠惰な人間ばかり増えて労働人口も激減してるからね。
 いくら円安にしても終わりだよ

・今でさえ、衰退してアメリカの半分しか所得が無い。円安なんか続けたら破滅だ。

・昔の日本再びとか無理なんだよね。世界中が成長して豊かになって来たから今は食料も資源も奪い合いだから高騰してるのにね。
 その辺理解してないで円安もっとなれとかいう人たちは知的障害を疑うわ。
 …………………………

 上の最後の言葉は特に重要だと思う。
 これからは資源も食料も国際的な奪い合いの時代。
 こんな時に円安にしてどうする?
 日本は食糧自給率もエネルギー自給率も低い国なのに……。

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ふしぎの国のアリス②~わたしはいったい何者なのかしら?

2022年04月27日 | 小説
『ふしぎの国のアリス』は基本ナンセンスな作品だが、作品はさまざまな読まれ方をされていい。

『少女のアイデンティティ』をテーマとして読み取ることもできる。

 アリスの体は大きくなったり小さくなったりする。
 昨日まで暗唱できていた詩を間違って読んでしまったりもする。
 アリスは自分の中で起きているこの変化は何なんだろう? と考える。

 白ウサギには「メアリー・ジェーン、公爵夫人の扇と手袋を持って来い!」と命令される。
 メアリー・ジェーンはメイドらしい。
 アリスは、じぶんはメイドじゃないし、メアリー・ジェーンでもないのに、と思う。

 きのこを食べた時は、首がヒョロヒョロ伸びて、木の上の鳩の巣に到達してしまう。
 そこで鳩に「あなたは巣の卵を食べに来たヘビね?」と言われる。
 アリスの首がヒョロヒョロと長いからだ。
 アリスが「朝食に卵を食べる」と言うと、鳩に「やっぱりあなたはヘビね」と言われる。

「メアリー・ジェーン」「メイド」「ヘビ」──
 このようにアリスのアイデンティティは揺らいでいく。
「わたしはいったい者なのかしら?」と思ってしまう。

 これはサルトルの実存主義なんですね。
「わたしは会社員である」「夫である」「鉄道マニアである」「中年男である」
 といった具合に、人は「わたしは○○である」という形で自分というものを形作っている。
 でも、これは簡単に変わってしまうもの。
 会社を辞めれば会社員でなくなってしまうし、離婚すれば夫でなくなってしまうし、鉄道マニアをやめれば鉄道マニアでなくなってしまうし、年をとれば中年男でなくなってしまう。
 このように自分というものは実に頼りないものなのである。
「○○である」をすべて剥ぎ取ってしまえば、人は何者でもなくなってしまう。
 つまり「無」だ。

 このように『ふしぎの国のアリス』は哲学的・心理学的作品でもある。
 作者ルイス・キャロルの本名はチャールズ・ラトウィッジ・ドジスン。
 オクスフォード大学の数学者・論理学者である。
 少女趣味で、少女の裸の写真を何枚も撮った人でもある。
 やはり、こういう特異な作品を書く人は変人が多い。

『ふしぎの国のアリス』は今後もさまざまな読まれ方をされて、人間というものを深く掘り下げていくだろう。

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鎌倉殿の13人 第16回「伝説の幕開け」~義経、義仲・景時よりすぐれた軍略家であることを示す!

2022年04月25日 | 大河ドラマ・時代劇
 いくさ神・八幡大菩薩の化身・源義経(菅田将暉)、いよいよ始動である。

 木曽義仲(青木崇高)との戦い。
 義経は二方面からの攻撃作戦をとる。
 義仲から使者が来ると、義仲の現状認識の甘さ(=話し合えば解決する)を理解。
 使者の首を斬り、義仲を挑発。
 さらに義経の軍が1000人であるというフェイク情報を流した。

 これに対する義仲。
 義経の『二方面攻撃』『挑発』は見抜いたが、『1000人のフェイク』は見抜けなかった。
 結果、敗走。京を棄て近江に逃げる。
 義経の方が策において一手多かった。
 一手多かった分、勝利に繋がった。
 そして、いくさはスピード。
 休む間もなく、木曽軍を攻めて義仲を討ち取った。

 一ノ谷の戦い。
 義経は梶原景時(中村獅童)が立案した山から攻める奇襲作戦を採用しなかった。
 そんな作戦は誰でも思いつくからだ。
 義経は敢えて手の内を見せて、敵を分断する作戦をとった。
 自分の策を否定されて景時は──
「すべてが理にかなっている。これを思いつかなかった自分が腹立たしい」
 義経は景時よりも一枚上手だった。
 作家は、義経が梶原景時よりも木曽義仲よりもすぐれた軍略家であることを描いた。

 上手い作劇ですね。
 それは頼朝(大泉洋)への義仲討伐の書状でも。
 和田義盛 (横田 栄司)の書状は絵入り。笑
 義時(小栗旬)の書状は「細かすぎて何が書いてあるかわからん!」笑
 梶原景時の書状は「理路整然としてわかりやすい」
 一方、義経の書状は、勝利のみを書いた簡潔なもの。
 それは義時たちの書状の前日に届いた。
 義経は内容よりもスピードを重視したのだ。
 凡人は文章を書くことに時間を費やしてしまう。
 ここでも、義経>景時>義時>和田義盛 である。

 義経の一ノ谷での策は続く。
 後白河法皇(西田敏行)に「和解」の調停をさせて敵を油断させ、自分は知らなかったことにして攻めるという作戦をとった。
 いわば、だまし討ちである。
 ためらう御家人たちに対して義経は「だまし討ちの何が悪い!?」
 後白河法皇も「こういうのは大好きじゃ」
 義経が都で休まなかったことといい、ふたりは気が合うようだ。
 そして、鵯越(ひよどりごえ)。
 馬から降りて戦うことをためらう板東武者たちに義経は──
「いくさに見栄など関係ない!」

 敵や味方の常識や予想をはるかに越えた策を次々と打ち出して来る義経。
 やはり天才軍略家なんでしょうね。
 ただ描かれ方は狂気を帯びている。
 快進撃を美化していない。
 むしろ作家は義経より敗者の義仲に思い入れがあるようだ。
 敗走にあたり義仲は──
「法皇様を連れて行くことは義に反する!」
「お目どおりがかなわなかったのは義仲の不徳の致す所……」
「やるだけのことはやった……」
 とまっすぐで清々しい。
 義仲の最期の言葉は何だったのだろう?
「唯一の心残りは──」と言った瞬間、矢が頭に刺さった。
 …………………………

 一方、鎌倉。
 上総介広常(佐藤浩市)の殺害が、御家人たちに及ぼした影響は大きかった。
 疑心暗鬼、恐怖政治の始まりである。
 だから御家人たちの怒りの矛先は首謀者の頼朝でなく景時へ。
 時政(坂東彌十郎)は、北条がいつ寝首をかかれるかわからないので鎌倉に帰って来た。
 現在、御家人たちと頼朝を繋いでいるのは「恐怖」と「敵の所領を与えられる恩賞」。
 昔の素朴な馴れ合いの時代は終わってしまった。
 どうなる、鎌倉?

 そんな中、政子(小池栄子)は御台所として、御家人たちの調整役になろうとするが、母(宮沢りえ)からは子供を産むのが女の役割と諭される。
 ここに女性の役割だけに安住しない、将来の北条政子が垣間見える。
 義時も「怒りを向けるべきは梶原殿ではなくて鎌倉殿でしょう!?」と言った。
 さまざまな伏線が張られて、北条一族も面白くなって来た。
 
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アンガールズ田中さん、キレ芸を極めてブレイク!~本日20時、冠番組『呼び出し先生タナカ』オンエア!

2022年04月24日 | 監督・俳優・歌手・芸人
 アンガールズの田中さんがブレイクしているようだ。
 実際、本日、田中さんの冠番組『呼び出し先生タナカ』(フジテレビ)が始まる!
 何とフジのゴールデンですよ!
 しかも今回は20時からの3時間SP!

 田中さんの芸は『キレ芸』だ。
 イジられると、敵意むき出しで周囲に噛みつく。
 噛みつく相手は、イケメン、美女、アイドル、リア充といったカーストの上の方の人たちだ。
 これをモテない、キモい、それでいてカワイイ田中さんがやるから面白い。
 デビ夫人も周囲をブッタ斬る芸風だが、夫人の場合は上から目線。
 これだと、あまり共感を呼ばない。
 ところが田中さんは下からの目線でブッタ斬る。
 いわゆる『底辺からの反撃』だ。
 カンニング竹山さんもキレ芸だが、町のおじさんのキレ芸で、田中さんほどの底辺ではない。
 
 田中さんの『キレ芸』はこれだけに留まらない。
 噛みつき方、ブッタ斬り方にボケが入っているのだ。
 だから周囲からツッコミ返される。
 ツッコまれると、田中さんはそれにさらに反撃し、言葉が増殖していく。
 言葉がどんどん過激になっていく。
 これが面白い。
 ハリセンボンの近藤春菜さんやアンジャッシュの児嶋さんは『キレ芸』だが、御存じのとおりパターンが決まっている。
「○○じゃねえよ!」「児嶋だよ!」
 これだとあまり発展しない。
 ところが田中さんの場合は返しが変幻自在。
 どう展開していくかわからない。

 田中さん、芸を極めましたね。
 田中さんしかできないオリジナルの『キレ芸』を作りあげた。
 自分をとことん突き詰めて芸にする。
 このあたりは同期のオードリー若林さん南海キャンディーズの山里亮太さんも同じ。
 こういう芸人さんは強い。

 さて、本日8時、田中さんは何を見せてくれるか?
 襲って来る世界に敵意をむき出しにして反撃し、倍返しにされて翻弄される。
 これがアンガールズ田中さんの芸だ。

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ふしぎの国のアリス~「意味」や「論理」から解放された世界は自由だ!

2022年04月22日 | 小説
 無意味な世界って自由だ!
 意味に縛られた世界から脱却しよう!

「ふしぎの国のアリス」を再読。
 再読して、そんなことを考えた。

「アリス」の世界ってムチャクチャなんですね。

 たとえば、有名な三月ウサギ、帽子屋、ヤマネの「お茶会」のシーン。
 長いテーブルにたくさん椅子があるのにアリスがやって来ると、彼らは「席はないよ! 席はないよ!」と叫び出す。
 ヤマネが眠ろうとすると三月ウサギたちはお茶をぶっかける!
 ヤマネを紅茶のポットに押し込む!
 なぞなぞをしてアリスが「降参! 答えを教えて」と言うと、「僕も知らない」「俺も知らない」と言う。
 帽子屋は時計にバターをベタベタ塗っている。
 その時計は時刻がわからない。日付けだけがわかる。
 三月ウサギたちの時間は、時間がヘソを曲げたため停まっていて、
 停まっているのがお茶会の時間なので、彼らはいつもお茶会をしている。

 ヤマネが語った物語は要約すると、こんな感じだ。
『昔、井戸に住んでいる3人の娘がいました。
 3人は糖蜜を食べていて病気でした。絵を描くのを習っていました。
 井戸は糖蜜の井戸でした』
 一応、ここには井戸の糖蜜を汲む(draw)と絵を描く(draw)という言葉遊びがあるのだが、ヤマネの話は筋が通っているようで通っていない。

 公爵夫人の家では、料理人がコショウをスープに大量に振り注いでいて、公爵夫人と赤ん坊はクシャミをしている。
 すると突然、料理人がキッチンにあった鍋とか皿を投げ始める。
 公爵夫人は女王からクロケーに誘われていると言って、アリスに赤ん坊を預け、アリスは飛んで来る鍋とか皿から避けるため外に出るが、赤ん坊はブタになってしまう。
 ……………………

 ほんと、頭のおかしいメチャクチャな世界だ。

 ここで僕たちは「なぜ料理人が突然鍋や皿を投げたのか?」「なぜ赤ん坊が突然ブタになったのか?」を考えてはいけない。
 考えた時点で「意味の世界」「論理の世界」に囚われてしまう。
「鍋や皿を投げる料理人」や「ブタになる赤ん坊」を素直に愉しむのだ。
 そうすることで、「意味」や「論理」から解放されて自由になれる。

 僕は昔『ふしぎの国のアリス』が好きでなかった。
 これのどこが面白いの? と思っていた。
 でも、今は何か楽しい。
 このメチャクチャな世界が清々しい。
「意味」や「論理」の世界は疲れるからだ。
『ふしぎの国のアリス』は世界を少しずつ破壊し、解体している。

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ピカソの『ゲルニカ』~この絵を見ると、現在のウクライナ侵攻が切実に迫って来る……

2022年04月20日 | その他
 ピカソの『ゲルニカ』

 

 ドイツ空軍によってスペインのゲルニカが無差別爆撃された時の絵だ。
 現在の『ウクライナ侵攻』の悲惨を見ると、
 この絵がどんな写実主義の絵よりも、心に刺さる。

 やっと、この絵を理解できたような気がした。

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鎌倉殿の13人 第15回「足固めの儀式」~これすべて鎌倉殿の大願成就と東国の太平のため

2022年04月18日 | 大河ドラマ・時代劇
『これから三年のうちにやるべきこと。
 明神様のために田んぼを作る。社も作る。流鏑馬を幾度もやる。
 これすべて鎌倉殿の大願成就と東国の太平のため』

 

 文字を満足に書けない上総介広常(佐藤浩市)が机ではなく、この姿勢で書くから伝わるんですね。
 これは上総介の嘘偽りのない魂の叫び。
 しかし、他人にはそれがわからない。
 外面ばかり見てしまう。

 頼朝(大泉洋)の上総介の認識は「いずれ何とかしなければならない男」。
 兵力や所領など、大きな力を持っているのだから頼朝が怖れるのは当然だ。
 いつ気が変わって歯向って来るかもしれない。
 大江広元(栗原英雄)いはく、「最も頼りになる者が最も怖ろしい」

 その前夜、上総介は頼朝にこんなことを言っていたのになあ……。
「お前は自分勝手な男だ。だが、おのれの道を行け。
 御家人が騒ぎ出したら俺が何とかしてやるよ」
 だが、頼朝の頭に残っていたのは「御家人は駒だ」ということだけだった。

 頼朝の「闇落ち」は早かった。
 権謀術数、脅威になる者は排除する。
 これが都風ということなのだろうか?
 義経(菅田将暉)も今回『淀んだ鎌倉』って言ってたなあ。
 一方、板東武者たちは無骨で素朴過ぎる。
 父・時政(坂東彌十郎)はこれを敏感に察して所領の伊豆へ。
 父上、無意識にやってるんだろうけど、なかなか賢明だ。
 梶原景時(中村獅童)は葛藤している。
 さすがに上総介殺害には抵抗があったようで、決行するか否かは、サイコロの目で決めた。

 そして義時(小栗旬)。
 彼もまた葛藤している。
 上総介が脅威になり得ること、上総介殺害は御家人たちへの見せしめになることは理解している。
 これで頼朝の板東での『足固め』は完了するかもしれない。
 しかし……。
『新撰組』の土方歳三、『真田丸』の真田幸村──
 彼らは権力を持たない人物であったから「純粋」でいられた。
 だが、北条義時は──
 権力維持のために、時には手を血で染めなくてはならないことを、今回理解したのであろう。

 上総介の死は理不尽で悲惨だった。
 上総介は最期に頼朝のことを『武衛』でなく『鎌倉殿』と呼んだ。
 あのすがるような顔は義時や頼朝の心に焼き付いたことだろう。
 それが人の心を蝕んでいく。
 頼朝は恐怖政治と所領の分配で鎌倉を経営していくのかな?
 そこには信頼や心の交流はない。
 そして義時。
 もはや『純粋』ではいられない。
 生まれた子供の存在が闇落ちを妨げるのかもしれない。

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悪女(わる)~今田美桜さ~ん! 彼女がダンボールを持って走りまわるだけで楽しくなる!

2022年04月15日 | 職業ドラマ
 今田美桜さん主演の『悪女(わる)』。
 懐かしい。
 昔、女の子の友達に「読め!」と言われて読んだ作品だった。
 30年前、石田ひかりさん主演でドラマ化もされてた。

 さて、この作品、令和の視聴者にはどう見えたのだろうか?
 装いは、主人公の務める会社がネット販売の巨大サイトだったり、部屋に入るのに顔認証が必要だったり、コロナ新卒の社員がいたりと「令和」にしているが、ベースは平成前半の女性向け漫画。
 まだ「がんばって働けば上に行けるし、充実した未来を獲得できる」ということが信じられた時代の作品だった。
 でも、今はなあ……。
 令和版のこの作品のサブタイトルは「働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?」だが、「カッコ悪い」を通り越して、「空虚」「諦め」「悲惨」しかない気がする。
 作劇の古くささもあって、それは新作の『ハケンの品格』にも同じことを感じた。
 主人公・田中麻理鈴は今の視聴者にどう映ったのだろう?
「こんなやつ、いねえよ」「所詮マンガだよね」と思われなければいいのだが……。
 上司の峰岸役の江口のりこさんが存在感とリアリティある演技をしているので、作品世界がかろうじてあり得るものになっている。

 とは言え、この作品は今田美桜さんが見られればいいのである!

 

 今田美桜さんが、社内をダンボールを持って走りまわり、
 階段を駆け下り、デスクの上に乗って叫び、
 大酒を飲んで早口言葉を言い、
 水をぶっかけられ、
 海の中に呼び込み、
 飛行機からパラシュートでダイブする!
 これらを見られればいいのである!

 原作は平成前半だが、いかにも今の子の今田美桜さんがヒロインを演じていることで令和の作品になっている気もする。
 
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「その着せ替え人形は恋をする」~この作品が素晴らしい5つのポイント!

2022年04月13日 | コミック・アニメ・特撮
 アニメ『その着せ替え人形は恋をする』面白かった!

 主人公は五条新菜(CV石毛翔弥)。
 将来、ひな人形職人の頭師(かしらし)を目指していて、造形物や衣裳に人並み以上のこだわりを持っている。
 内向的で学校では目立たない存在。
 一言で言えば「ひな人形オタク」

 ヒロインは喜多川海夢(CV直田姫奈)。
 明るく軽いノリのリア充なギャル。読者モデルもやっている。
 びえん、アガる、鬼ヤバ、オケマルといったギャル語を日常的に使う子。
 スクール・カーストの頂点にいるような女の子。

 
 ※喜多川さん エピソードが進むにつれてどんどん魅力的になっていく。

 こんな水と油のようなふたりがどうして交流を持つようになったか?
 それは「コスプレ衣装」だった。
 海夢はアニメ・ゲームが大好きで、好きなキャラクターのコスプレをしたくてしょうがなかった。
 でも自分ではコスプレ衣装を上手く作れない。
 そこで白羽の矢が立てられたのが五条新菜。
 五条君はとんでもないこだわりで素晴らしいコスプレ衣装を作っていく。
 ………………………………………

 この作品、『オタクのファンタジー』なんですね。

 内向的なオタクでもスクール・カーストの頂点にいるような女の子と青春できる。

 そんなファンタジーだ。
 それは『島耕作』が『サラリーマンのファンタジー』であるのと同じ。
 島耕作もさまざまな女性と交流を持ち、仕事が充実して、いつの間にか出世している。

 五条君と喜多川さんが交流を持つきっかけになるのが『コスプレ衣装』であるのが面白い。
 オタクは「何かを介さない」と他人と話ができないんですよね。←勝手に決めつけるな!
 五条君の場合は、コスプレ衣装。
 これがなかったら、喜多川さんとの会話は5分と続かなかっただろう。

 喜多川さんがすごくいい子だったというのも面白い。
 フツー、リア充のギャルと言えば底辺やオタクを見下すような所がある。←勝手に決めつけるな!
 でも喜多川さんは違う。
 感情表現が豊かなだけで実はすごくいい子。
 楽しいことは楽しいと言い、すごいことはすごいとストレートに言う。
 で、体の露出に関しては結構オープン←結局そこかいっ!
 今までのオタクと女の子の恋愛アニメだと、女の子がオタクだったり内向的だったりするが、敢えてギャルをヒロインに持って来た所がこの作品の新しい所。
 類似の作品をあげれば「俺妹」や「冴えカノ」だろうか?

 五条君と喜多川さんの恥ずかしさのツボが違うのも面白い。
 五条君はいわゆる思春期の男の子。
 喜多川さんの胸のふくらみや下着姿にドキドキしてしまう。
 でも喜多川さんは気にしない。
 下着は見せ下着だし、採寸などで服を脱ぐ時は時は水着だから。
 そんな喜多川さんだが、カラコンをしていない時などはアタフタして顔を赤らめてしまう。
 このふたりの恥ずかしさのツボの違い!
 実に面白い!

 この作品の面白さは他にもある。
 コスプレの詳細がわかることだ。
 見ていると、コスプレ衣装がどのようなこだわりで作られているかがわかる。
 コスプレイヤーがどのような思いで、キャラを再現しているかがわかる。
 その基本はキャラへの愛だ。
 何か好きなものがあるっていいものですね。
 何かハマるものがあるって楽しいことですね。

 そして主人公の成長。
 喜多川さんとの関わりはオタクだった五条君を変えた。
 花火、お祭り、海、マンガ喫茶、いっしょにホラー映画視聴──五条君は現実の楽しさを知る。
 コス撮影のためにラブホテルに行ったりもする。
 これらの体験が五条君の作るひな人形を変えるのだ。
 人形職人の師匠である、五条君の祖父は五条君の作った人形を見て言う。
「最近、良い表情を描けるようになったな」
 創作には現実体験が必要なんですね。
 現実で見聞きしたこと、感じたこと、考えたことが作品に活きて来る。
『その着せ替え人形は恋をする』は「青春ストーリー」であると同時に「五条君の成長物語」でもあるんですよね。

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鎌倉殿の13人 第14回「都の義仲」~義の人・木曽義仲、都での「政治」に翻弄される

2022年04月11日 | 大河ドラマ・時代劇
「義は我にあり!」
 木曽義仲(青木崇高)は「義」の人として描かれた。
 恩賞にも興味がなく「そんなものは頼朝にくれてやる」と平然と言う。
 武に優れたなかなか高潔な人物だ。
 ただ「政治」を知らない。
 田舎育ちで「都の風習」を知らない。
 だから言われる。
「そなたに肝心なのは都のなんたるかを知ることだ」

 この点、都育ちの頼朝(大泉洋)は長けている。
 平家が都落ちして、後白河法皇(西田敏行)が権力に返り咲くと、早速引き出物。
 結果、後白河法皇、いはく
「さすが頼朝はよくわかっておる」
 世の中、権力者に取り入る人間、政治的な駆け引きを出来る人間が勝つんですね。
「義」と「武力」だけでは太刀打ちできない。
 特に「義」なんてものは立場や権力者の鶴の一声で簡単に変わる。
 たとえば後白河法皇が「義仲追討」を命じれば「義」はたちまち頼朝に移ってしまう。
 働きに応じた報酬を求めるのも人の常で「恩賞などどうでもいい」という義仲のスタンスでは不平不満が起きてしまう。

 それにしても新しい木曽義仲像だ。
 こうなると義仲を追い詰める頼朝は「悪者」になってしまう。
 まあ、人は権力を持つと変わってしまうというのが、三谷幸喜さんの歴史観。
『真田丸』の家康もそうだった。
 頼朝はこれからどんどんブラックになっていくんだろうな。

 木曽義仲=都での乱暴狼藉というイメージも新たな解釈。
 三谷流では「寄せ集めの軍隊であるため統制が取れていなかった」という解釈になった。
 …………………………………………

 義仲の息子・義高(市川染五郎)はただの貴公子ではないようだ。
 後半、義経(菅田将暉)は父に負けると告げて妖しく笑った義高。
 彼の心の中には何があるのだろう?
「蝉の抜け殻」も何かの象徴か?

 義経と頼朝の別れも象徴的だった。
 この後、ふたりは会うことはない。
 義経の矢が頼朝の矢を落としたことも象徴的。

 最後は頼朝。
 頼朝は板東武者を完全に掌握できていない。
「われわれは鎌倉殿の駒ではない!」
 鎌倉で増えていく反頼朝派。
 組織が大きくなると、そこには主流・反主流の派閥が生まれ、内部抗争が勃発するんですね。
 反頼朝派は主に「源氏同士が戦うことに義はあるのか?」で動いているが、
 文覚(市川猿之助)なんかは蔑ろにされた私怨で動いている。
 梶原景時(中村獅童)は頼朝側のスパイ。
 文覚や景時といった毒が組織を蝕んでいく。
 組織というのは実に厄介だ。
 そんな中、主人公・義時(小栗旬)には、これを収める秘策がある様子。
 義時の手腕やいかに?

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