平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

守屋元事務次官 証人喚問など

2007年10月30日 | 事件・出来事
★かっこ悪いオヤジである。
 21歳の若者(亀田興毅)だってちゃんと「反則を指示した」って認めた。
 罪を受けた。ちゃんと詫びた。
 ここは事務次官まで務めた人、「接待、そして口利きがあった」と証言するべき。
 守屋武昌元事務次官、あなたは反省してインド洋の補給艦が戻ってきたら、その甲板掃除でもしなさい。
 防衛省の前に立って出勤してくる防衛省の皆さんひとりひとりに頭を下げなさい。
 退職金はちゃんと返すのかな?
 ドラマの世界では、こういう時、葛藤のすえ真実を告白し慚愧の涙を流すのだが現実はそうでもないらしい。
 あくまで往生際が悪く、罪を背負って生きていく。

★防衛予算は新しいおいしい利権である。
 専門性が問われるから突っ込みにくい。
 しかも公共事業の様に削減されることもない。
 先日の「サンデープロジェクト」によればアメリカで50億の戦闘機を日本では100億で買っているらしい。
 それが10機にもなれば。
 証人喚問でも山田洋行の1億円水増し請求が追及された。
 今の日本には「おにぎりが食べたい」と言って死んでいく人がいるんだよ。
 国や製薬会社のミスで病気にされ、治療費が高くて苦しんでいる人がいるんだよ。
 富の配分が間違っている。
 それは長年作られてきたシステム、構造によるものらしいが、代議士の皆さん、何とかならないものか?
 増税はそれからの話だ。

★「友達の友達はアルカイダ」
 鳩山法務大臣の発言。
 入国しているのを知っていたのなら捕まえなよ。
 バリ島の爆破テロ、本当に知ったのは3ヶ月後なの?
 こんな発言が出てしまうこと自体、この国の危機管理はどうなっているんだと思ってしまう。
 まあ防衛省のトップが毎週ゴルフですからねえ。

★マスコミの皆さん
 亀田問題はだいぶ収まった様ですが、亀田一家なんかよりもっと悪いやつを追いかけて下さい。

 
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風林火山 第43回 「信玄誕生」

2007年10月29日 | 大河ドラマ・時代劇
 第43回 「信玄誕生」

 晴信(市川亀治郎)は人に向かい、景虎(Gackt)は理想に向かう。
 地と天。
 それは女性への対し方で示される。
 晴信は死んだ由布(柴本幸)のことを思う。
 自分は十分に由布のことを慈しめなかった。
 それが出家、信玄となるきっかけとなる。
 晴信は人を慈しもうと思う。
 己をすて、民と家臣、領国のために生きる決心。

 一方景虎。
 彼を慕う浪のことなど考えることもしない。
 彼は帝、将軍のために生きる。
 帝、将軍のために生きることが天の意思の実現(=民が幸せになること)と信じている。
 結局、浪は景虎の意識にのぼることなく、出家する。

 このふたりの対照的な生き方。
 目指す所は、民の幸せということで同じなのだが、入口が違う。
 人間を愛することから入るか、天の意思(理念)から入るか。

 そして勘助。
 勘助(内野聖陽)の生き方は晴信と同じである。
 まず人間から入る。
 由布そして養女となったリツ(前田亜季)。
 五十に近い自分と結婚することはリツを不幸にすることだと思っている。
 勘助もまた人間に向かっている。
 そして人間っぽい。
 出家して「道鬼」となった勘助。
 あらゆる欲望を断つと偉そうに言うが、酒だけは少しならいいらしい(笑)。

 それにしても勘助とリツのやりとりはおかしいな。
 リツが負けていないのがいい。
 勘助に冷たくされても暗くならないのがいい。
 リツが山本家に来て不憫なのは、自分が「娘」であることだと堂々と言う。
 「そんなまわりくどいことをしなくても、私が子を産んであげます」と言う。
 勘助が「茂助」との婚姻を考えていると「茂助はイヤ!誰でもイヤ!」「もちろん伝兵衛もイヤ」「だんな様とふたりでいるのが幸せでございます」と言う。
 こんなに思われて勘助は幸せ。
 リツを受け入れてあげればいいのに。

 どうやら男というのは別の世界に生きている様だ。
 それは平蔵(佐藤隆太)もそう。
 ふたりの子をもうけ、ヒサ(水川あさみ)は「今のままで十分幸せ。平蔵の命が大事」と言うが、平蔵は満足せず武田を討つことにとらわれている。
 宇佐美(緒形拳)に軍学を教えてほしいと申し出る。

 今回は信濃守護となった晴信、関東管領を譲られた景虎の政治的駆け引きを描くと共に男たちのそばで生きる女たちを描いた。
 晴信と由布。
 勘助とリツ。
 景虎と浪。
 平蔵とヒサ。
 男の求めるものと女の求めるものは大きく違う。

※追記
 不動明王の怒りの顔。
 それは信玄の怒りの表情でもあったらしい。
 理想を求めて戦う神。
 戦いの中で見せるのは当然怒りの表情だ。
 一方、菩薩の表情は穏やか。
 こんな所に人が生きるとはどういうことか描かれている気がする。


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ノッティングヒルの恋人

2007年10月28日 | 洋画
 「ローマの休日」の映画スターと一般人版。

 書店経営の一般人ウィリアム(ヒュー・グラント)の気持ちが的確に描かれている。
 すなわち映画スターと自分は違う世界に住んでいる。
 生活、人生観、所詮は価値観が違う。
 つき合えば傷つくだけだ。
 彼女、映画スターのアナ・スコット(ジュリア・ロバーツ)はこんな生活をしている。
★スキャンダルを気にするあまり人一倍気を使わなくてはならない生活。(ウィリアムの家にマスコミが殺到し、アナとウィリアムはケンカする。無名時代のヌード写真がすっぱ抜かれ、ヒステリックになる)
★まわりにいるスター、魅力的な男たち。(アナの元彼が現れて、ウィリアムは現実を知る)
★自分の虚像を守るために嘘を言わなくてはならない生活。(アナはウィリアムが会いに来た時、「過去の人よ。何しに来たのかわからない」と言って傷つけてしまう)
 アナとの生活に耐えられなくて別れようと思うウィリアム。
 ウィリアムは言う。
「君はビバリーヒルズ、僕はノッティングヒルの住人だ。僕の未熟なハートじゃ耐えられない」

 一方、アナの気持ち。
 アナは現在の虚飾の生活でなく平凡な生活を求めている。
 彼女は未来を見ている。
 このままの生活を続けていけば、いずれは年を取り女優としての商品価値がなくなり捨てられる。その時には誰も心を通じ合わせる人間はいない。(なぜならまわりの人間は自分と同じ虚飾の世界に生きているからだ)
 そして本音。
「わたしはただの女よ。愛してほしいと言ってほしいだけ」
「名声など意味のないこと」
「自分は銀幕の中に生き人々に夢を見せているが、自分が現実の女だとわかった時に人々は夢から醒める」

 このふたりの恋が成就するためには乗り越えなければならないことがある。
 すなわち
 ウィリアムは、銀幕の中、夢の中のアナ(彼の言葉を借りれば「シュールで素敵な女性」「女神」)ではなく現実のアナを愛さなくてはならないこと。
 アナは虚飾の生活を捨てなければならないこと。現実の自分としてウィリアムに向き合わなければならないこと。
 それをふたりはラストの記者会見でやってのける。
 ここはまさに「ローマの休日」。
 以下、ネタバレ。


 雑誌『馬と猟犬』の記者として会見に参加したウィリアムはアナに質問する。
ウィリアム「ノッティングヒルの恋人がひざまづいてもう一度やりなおしたいと言ったら?」
アナ「やりなおしたいです」
ウィリアム「今後のロンドンの滞在予定は?」
アナ「永遠に」
ウィリアム「『馬と猟犬』の読者も喜びます」

 あざやか!
 ラスト、アナがウィリアムに膝枕されて公園のベンチでくつろぐ姿が印象的だ。
 人の幸せとはこんな所にあるのだと教えてくれる。


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冬のソナタ 第9話

2007年10月27日 | テレビドラマ(海外)
 第9話「揺れる心」

★サンヒョク(パク・ヨンハ)の無器用な愛し方
 サンヒョクは本当に無器用だ。
 
 まずは勝手な納得。自分への言い聞かせ。
 サンヒョクはミニョン(ペ・ヨンジュン)に言う。
 「ユジンが愛しているのはチュンサンです。それを利用して彼女をたぶらかさないで下さい」
 サンヒョクはユジン(チェ・ジウ)が迷っているのはあくまでチュンサンの幻影のせいだと思っている。
 しかし、それはごまかしだ。 
 彼は知っている。
 ユジンの心がミニョンに向けられていることを。
 このシーンの前にサンヒョクはユジンとこんな会話をした。
ユジン「迷っているのは彼(ミニョン)だけが原因じゃないわ」
サンヒョク「彼だけじゃないってことは、彼も原因だってこと?」
 サンヒョクはユジンの心がミニョンに行っているとは思いたくないのだ。
 なぜならミニョンは生きて目の前にいるからだ。

 そしてサンヒャクはさらに強引にユジンを得ようとする。
 前回、ホテルで彼女を押し倒したことと同じ間違いをする。
 スキー場にやって来たサンヒョクらコンサートチーム。
 DJの先輩に無理やりユジンを紹介し夕食をいっしょにとる。
 ミニョンがいると知れば、聞こえるように結婚式のことなどを話題にする。
 サンヒャクはユジンが臨まないことをまたしてもしてしまった。
 この時のユジンの心は決まっている。
 「サンヒョクのことを思うとミニョンのことを考えてしまう。ミニョンのことを思うとサンヒョクのことを考えてしまう。だからどちらも選ばない。ひとりでやっていく」
 ユジンの思いを無視する行動はさらに大きくなる。
 コンサートが終了し、サンヒョクの婚約者として舞台にあげられるユジン。
 そこにはサンヒャクやユジンの親、チュリンやチンスクらもいる。
 無理やり既成事実を作ろうとするサンヒョク。
 普段の穏やかで自分のことよりユジンを尊重するサンヒョクを視聴者は知っているため、彼のこの極端な行為は逆にせつない。
 見事な作劇だ。

 しかし思わぬ障害が。
 サンヒョクの母親。マフラーのことでユジンがミニョンを愛していると思うと、ユジンを問いつめる。
 「本当にサンヒャクのことを愛しているの?」
 そう問われて、ユジンも本音を話す。
 「結婚しません。出来ません。ごめんなさい。結婚できないんです」

★ミニョンの愛し方
 こんなサンヒョクの一途な愛し方に対し、ミニョンは距離を保ち、必要な時に的確な言葉をぶつけていく。
・迷っているユジンには
 「誰も分かれ道に立つ瞬間がある。どちらに行くか決めなくてはならない。わからない時は手を引かれてみてはどうですか?」
・ミニョンとサンヒョク、どちらも選べない。だから一人で生きていくというユジンには
 「違う。それは選択じゃない。放棄だ」
・迷うユジンに対してこんな言葉も
 「いい人は人を傷つけます」
 ユジンが「優柔不断ですね」と返すと 
 「そういう所も好きです。でも思ったことは言った方がいい。どちらを選んでも僕は味方です」
 とグッと来るせりふ。

 また必要な時に的確な行動もする。
 サンヒョクがユジンに掴みかかろうとすると
 「殴るなら僕を殴れ。彼女に暴力をふるうのは許せない」
 結婚のことでサンヒョクの母にユジンが責められると
 「何を見たか知りませんが、悪いのは僕です」
 そしてまわりがすべて敵で傷心のユジンに
 「もう放さない。誰にも渡さない。僕についてきて。言うとおりにして」
 ボクシングでいうジャブを繰り出しておいて、ここでノックアウトパンチ。 

 この作品はミニョンとサンヒョクの愛し方が対照的だから面白い。
 サンヒョクの青年らしい一途で無器用な愛し方。
 ミニョンの距離をおいた大人の愛し方。
 距離の取り方ではミニョンに軍配があがるが、恋愛はそれだけでない。
 ミニョンにはサンヒョクにない何かがあるのだろう。

※追記
 サンヒョクの次のせりふはすごい。
 DJの先輩と食事した後にユジンは言う。
 「サンヒョク、無理しないで」
 ユジンはサンヒョクの強引な行為の理由をちゃんと理解している。
 それに対するサンヒョクの言葉。

 「愛してくれなくてもいい。今までみたいに側にいてくれればいい」

 何という強い思い。
 ここまで愛されるユジンは幸せだ。
 しかし恋愛はうまくいかないもの。これでもユジンの心は迷っている。

※追記
 今回の小道具はマフラー。
 寒いでしょうと言ってミニョンが無理やりかけたマフラーが後に活きてくる。
 マフラーを返すユジン。
 それをサンヒョクのお母さんが見てしまうという仕掛けだ。
 それにしても韓国の人はレストランで食事をする時でもマフラーをしている。
 コートも着ている。マナーはいいのかな?不思議だ。

 あとの小道具としては積雪機。
 ユジンの結婚がコンサートで明らかにされ、積雪機の前に立つミニョン。
 これだけでミニョンが泣いていることがわかる。

※追記
 今回、ミニョンは薄緑のスーツ。
 緑が似合うのはヨン様以外なかなかいないだろう。


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医龍2 カルテ3

2007年10月26日 | 職業ドラマ
★手術シーンはサスペンス
 この作品での手術シーンはハラハラドキドキのサスペンスシーンでもある。
 まずは不安。
 荒瀬(阿部サダヲ)なら60分の所、90分かかる麻酔医師。(マイナス要素)
 野口(岸部一徳)の謎の言葉「その手術は失敗するよ」
 これらで不安を煽っておいてトラブル発生。
 ガーゼオーマ(手術時の止血ガーゼの取り忘れ)。
 これの摘出を行うが、懸念されていた麻酔医の技量が露呈。
 麻酔深度が浅くて出血。
 パニックになる外科医の外山誠二(高橋一生)。
 「この麻酔医では持たない」と判断した朝田龍太郎(坂口憲二)の指示で、もうひとりの麻酔医・小高七海(大塚寧々)が呼ばれるが、なかなか来ない。
 「これ以上圧迫すると血圧を維持できません」といったまわりの人間の言葉がさらにサスペンスを作る。
 『不安要素』『トラブル』『パニックになるキャラ』『動かないキャラ』がハラハラドキドキを煽る。
 まさにサスペンスドラマだ。
 この中で冷静に判断し対処できる人間がキャラとして光を放つ。
 朝田、そして遅れてやって来た小高がそうだ。
 小高はまごつく若い麻酔医に的確な指示を出した。

★医療ドラマのテーマ
 朝田龍太郎と鬼頭笙子(夏木マリ)の会話は医療ドラマの究極のテーマでもある。
 すなわち「目の前の苦しんでいる人を救うか、10年後に1万人の人を救うか」
 才能についても。
 「人間には与えられた才能がある。与えられた才能を使わないのは罪」
 朝田を「自分の腕を磨くことにしか興味のないエゴイスト」であってほしいと願う鬼頭。
 この対立の中で朝田と鬼頭のキャラの描き分けがなされる。
 すなわち鬼頭はリアリスト(理論)で朝田はロマンチスト(感情)。

★「金で人の心は買えるか?」
 第3話のテーマはこれ。
 ガーゼオーマの医療ミス、執刀医は野口だが、それを若い医師に押しつけて隠蔽。
 告発しようとする朝田らに片岡一美(内田有紀)が対応。
 被害者西沢への謝罪と見舞金200万円。
 医療裁判には時間がかかる。お金もかかる。
 明真は優秀な弁護士を用意してくるから、勝てる要素は少ない。
 老齢なのに何度も裁判所に足を運ばなくてはならない。
 西沢の奥さんの容態も悪い。いっしょにいてやらなくていいのか?
 裁判などに貴重な時間を使っていいのか?
 
 こう言われて告発をしないことにする西沢。
 「人は結局は目先の利益、理念では動かない」とほくそ笑む野口。
 「ビジネスはお互いが得すること」と持論を展開する片岡。

 しかし、このふたりとは違う理由で西沢は告発をしなかった。
 しなかったのは、妻と過ごす時間が欲しかったから。
 西沢は見舞金の200万を返す。
 藤吉圭介(佐々木蔵之介)を通して片岡に言う。
 「こんなものは受け取れません。あなたに心配していただかなくても妻は元気です」
 金で動かない人間の尊厳。
 これで視聴者は溜飲を下げる。
 敵に取り込まれたと思わせておいて逆転する。
 見事な作劇だ。

※追記
 「手術は掛け算。ゼロを掛ければ、ゼロになる」
 こう語る鬼頭に荒瀬は言う。
 「ゼロどころかマイナスじゃないか。だが、マイナスとマイナスを掛ければプラスになる」
 これはどういうことか?
 次回への引き。
 「戻ってきたな、小高七海」と荒瀬が言って、スローモーションで歩いてくる七海がかっこいい。

※追記
 ダメダメと思われていた外科医・外山が優秀。
 視聴者の予想を裏切るキャラ作り。
 うまい!


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BONES

2007年10月25日 | テレビドラマ(海外)
 BONES 第1回は主人公テンパレンス・ブレナン博士(エミリー・デシャネル)の紹介編。

★冒頭は空港。
 国土安全保障省に拘束されるテンパレンス。
 理由は骸骨を持ち込んでいるから。
 安全保障省の人間であることを知らずに反撃するテンパレンス。
 後の取り調べでテンパレンスが人類学者で骸骨は職務上のものであることがわかる。
 そして身柄の引き取りにやってくるFBI捜査官。

 見事なオープニングシーンだ。
 時間にして5分ないシーンの中で主人公を完璧に紹介している。
 このやりとりの中でテンパレンスが、人類学者であり骸骨を扱うことに違和感のない人間であり、FBI捜査の協力者であることがわかる。
 また武術の達人であることも。
 人物紹介はかくありたいもの。

★中盤はさらに主人公を描く。
 テンパレンスは優秀な学者で、アーリントン墓地の池から見つかった腐乱死体の骨を分析、死体の身元と死因、情況証拠を見つけ出す。
 通常のFBI捜査ではできない科学の勝利だ。
 しかし作者はそんなテンパレンスに弱点を持たせる。
 『彼女は骨とはつき合えるが、人間とはつき合えない』
 テンパレンスは遺体から被害者がどの様に殺害されたかを類推して涙することができるが、現実の人間に相対した時、まごついてしまう。彼女は他人には鋭い分析能力を発揮するが、それは理屈で揺れ動く微妙な他人の心までは理解できない。
 通常コミュニケーションは双方向だが、彼女は自分のことを話し心を通じ合わせることができない。そのために夫とも離婚した。テンパレンスは言われる。
 「たまには素の自分を見せるといいよ。打ち明けてみるのもいいよ」
 彼女は心でなく頭で他人を理解する人間なのだ。

★そして後半。
 そんな主人公を補う登場するのがFBI捜査官のシーリー・ブース(デビッド・ボレアナズ)だ。
 彼は人間相手のプロ。
 人殺しや嘘つきの心理がわかる。
 まさにテンパレンスの弱点を補う存在。
 事件の全貌が明らかになるにつれ、上院議員犯行の可能性が出て来る。
 上院議員の家宅捜査となれば大事件。
 様々な力関係、しがらみもある。
 テンパレンスは家宅捜査をするために何をどうしていいかわからない。
 これは政治力、人間関係の問題。
 ブース捜査官は政治的な困難を乗り越えて、令状を取り上院議員の家宅捜査を行う。

 前半で主人公のアウトラインを。
 中盤で主人公の内面を。
 後半で主人公を補うパートナーを。
 第1回の人物紹介編としては申し分ない。
 人の心を読むのが苦手な主人公がブースとの関わりからどう変化し、事件を解決していくか?
 そんな興味を見ている者に抱かせる。

※追記/テンパランスについて
 他人の心を理解できない彼女は他人を怖れ、自分を守るために銃や格闘技を学んだ。
 これで彼女が拳銃と格闘技の達人という設定に説得力を持たせることができた。

※追記/テンパランスとブース
 対照的なふたりの描写はこんな形でも。
 被害者の両親に報告に行くふたり。
 「娘は苦しみましたか?」と父親に問われ、テンパランスは悲惨な犯行の模様をそのまま話そうとするが、ブースは「即死で苦しみませんでした」と嘘を言う。
 それが両親への配慮だと思ったからだ。
 またふたりが犯人への怒りをかき立てるきっかけも面白い。
 テンパランスは骨から類推した犯行の再現ホログラム。
 ブースは生前の被害者の幸せそうなビデオ。
 対照的なふたりだ。


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冬のソナタ 第8話

2007年10月24日 | テレビドラマ(海外)
 第8話「疑惑」。
 ミニョン(ペ・ヨンジュン)のユジン(チェ・ジウ)への愛の告白に対するリアクション。

 まずはチュリン(パク・ソルミ)。
 「心の糸は固く結ばれていてもほどけることがある。ほどけた糸は二度と元に戻らない。その糸はどこに行くかわからない」とミニョンに言われる。巧みな比喩。
それに対してチュリン、ユジンに「あなたに奪われるのはチュンサンだけで十分!」
 しかしミニョンにまたも言われてしまう。
 「君に必要なのは僕じゃなくて時間だ」

 相手を思う気持ちが強ければ強いほど、ぶつかった時に大きな嵐が吹く。
 これがドラマだ。
 この嵐はサンヒョク(パク・ヨンハ)の場合、さらに大きい。
 告白されたユジンを冷たく突き放す。
 「愛してるなんて言わせた君にも責任がある」
 スキー場から去るサンヒョク。
 ユジンは仕事を任せてサンヒョクに会いに行くが、彼の心は閉ざされたまま。
 ユジンの食事の申し出を断る。
 本心ではユジンが来てくれたことが嬉しいのだが、素直に表現できない。
 それでも心の嵐は収まる。
 サンヒョクは「来てくれたことは嬉しかった」と携帯に伝言を残す。結婚を早めることで心の整理をしようとする。
 しかし、さらに嵐が起こる出来事が。
 チュリンに「ユジンは浮気をしている。そのことでサンヒョクは悩んでいる」と聞かされたサンヒョクの母親は誕生日会でユジンを突き放す態度。
 母親にしてみれば、ユジンは『大事なサンヒョクを苦しめる悪い女』。
 これにサンヒョクは反発。母親といさかい。頬を打たれる。
 恐らくこの親子、今までこんなぶつかりあいをしたことがないのだろう。
 いい子、サンヒョクは母親を悲しませてしまったことに悩み、一方でユジンを失いたくない思いが葛藤し、ユジンをホテルで押し倒す。
 ミニョンからの電話では「彼女は僕といるんです。今日は帰りません」と言い捨てる。
 サンヒョクの心の嵐は収まっていなかった。
 くすぶっていた炎が再び燃え立つように極端な行動をとらせる。  
 サンヒョクは心の優しい青年。
 何より調和を求める。
 だから心の葛藤を避けてきたし、葛藤に見舞われた時、どう処理していいかわからない。
 サンヒョクは『心をコントロールできないマザコン青年』でもある。
 この辺のサンヒョクの描写は的確。
 今までの『優等生』『優しい青年』の姿をさらに深く描いた。
 
 一方、ミニョンは大人。
 恋の情熱は純粋で強いが、それをコントロールする術を知っている。
 彼は自分が告白したことについてユジンに言う。
 「僕は謝りません。あなたを混乱させてしまいましたけど、僕の本心ですから」
 ユジンがミニョンを受け入れられないことを告げると
 「一度でも僕のことを思ったことはありませんか?」と問い、「思ったことがない」と答えると、「では誰を愛しているのです?」と問う。
 これは暗にサンヒョクを否定している言葉。「ユジン、あなたは本当にサンヒョクを愛しているのですか?」という問いかけ。
 この様にミニョンはねばり強い。
 否定されてもねばってユジンの心を開こうとする。
 これがサンヒョクならたちまち不機嫌か感情的になってしまうだろう。

 ミニョンのアプローチは続く。
 今度は180度変わって、告白したことを謝る。
 それはユジンがサンヒョクに会いに行くために旅立つシーン。
 「告白したのは自分が楽になりたかったから。それがあなたをこんなに苦しめるとは思わなかった。もう二度とあなたの本心を聞きません」
 押してもダメだったので引いてみたのであろうか、ミニョンは恋愛に巧みだ。
 そして決めせりふ。
 「戻ってくる時は笑顔で戻ると約束して」
 こう比較してみるとミニョンは大人、サンヒョクは子供であることがわかる。

 ミニョンはさらにユジンの心に迫る。
 サンヒョクとうまく行かずに戻ってきて空元気のユジンを察して、積雪機の所に連れていく。
 「今泣きたいのでしょう。ここなら誰にも聞こえませんよ」
 ユジンがホテルで押し倒された時には「今、行きますから」と言って駆けつける。
 ミニョンはユジンのしてほしいことを的確にしてくれる。
 それは彼が大人で距離を置いたり縮めたりといった心のコントロールが出来るからだが、何よりもユジンの気持ちを第一に考えている。
 一方サンヒョクは、やって来たユジンを冷たく帰したり押し倒したり、ユジンの気持ちとは正反対のことをしてしまう。

 この恋愛勝負、勝敗は明確であろう。


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僕の彼女を紹介します

2007年10月23日 | 洋画
 すごいアイデアだ。
 アクション映画にこんなやり方があったか!?という感じ。

 ギョンジン(チョン・ジヒョン)は熱血刑事。
 しかし、彼女の恋人ミョンウ(チャン・ヒョク)が事件に巻き込まれて死んでしまう。
 それはギョンジンの誤射による死。
 こんなつらいことはない。
 自分を責めるギョンジンは高層ビルの屋上から投身自殺するが、そこで一陣の風が。
 風がギョンジンの体を運び、アドバルーンの上に乗せる。
 彼女の命は助かる。
 この風こそ死んだ恋人ミョンウだった。
 死者は四十九日、この世に留まるという。
 この四十九日の間、ミョンウはギョンジンを守り続ける。
 暴走してギョンジンに向かってくる車を風の力で逸らし、弾丸を逸らす。
 ミョンウは風になってギョンジンを守っている。
 素晴らしい。
 アクションとファンタジー、そして恋愛が見事に融合している。

 クライマックスは脱走犯でミョンウが死ぬきっかけにもなったシンチャンスとの戦い。
 この戦いでギョンジンは赤ん坊を守って撃たれてしまう。ミョンウもこれには間に合わなかった。
 ギョンジンが生死を彷徨う中、ミョンウは彼女に生きる気力を持たせるために、自分が生きている夢を見せる。
 死しても愛する人を守る愛。
 ラストは四十九日目の別れ。(以下、ネタバレ)


 ミョンウはギョンジンに言う。
「また、いずれ会える。今度会った時は君がこれから体験する幸せのことを話してくれ」
 まずはギョンジンのこれからの人生の幸せを祈るミョンウ。
 そして他に愛する人を求めよとも言う。
「風の中で僕の囁きを聞いたら、僕に似た魂を持った人物が現れる」
 これでギョンジンはミョンウから解放されるというわけだ。
 何という大きな愛。
 そしてこういうやさしい気持ちで死ねることは何と幸福だろう。
 ラスト、ミョンウはこう満足した言葉を残して旅立っていく。

「僕の彼女を紹介します。僕の彼女は僕のためにたくさん涙を流してくれました」

※追記
 前半は「猟奇的な彼女」。
 誤認逮捕で暴行を加えミョンウを捕らえても謝らない。
「私の中に『ごめん』という言葉はない。言ってほしかったら、名前を『ごめん』に変えなさい」
 このせりふにはラストにも繋がっている。
 この世で生きる決心をするギョンジンはミョンウに「ごめん」と謝る。
 するとミョンウ。
「僕の名は『ごめん』じゃない。ミョンウだ」
※追記
 風がミョンウだとわからせる方法も見事。
 ミョンウが折った紙飛行機。
 これがどこからともなくギョンジンのもとに飛んでくる。
 これで風がミョンウだとわかるのだ。
 小道具の使い方の妙。
 その他の小道具にはこんなものがある。
 古い写真。
 ここに学生時代のギョンジンが偶然写っている。ふたりはずっと以前に会っていたのだ。
 また白い鍵盤のピアノ。そこにはメッセージが残されている。
 「君がピアノを弾く姿を見たい」
 恐らくミョンウは生前、いつかギョンジンがピアノの蓋をあけることを思い、鍵盤を白く塗り、このメッセージを置いておいたのだろう。(ギョンジンは姉を亡くしたことでピアノの黒の鍵盤を弾かないことにしているという設定がある)


 
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風林火山 第42回 「軍師と軍神」

2007年10月22日 | 大河ドラマ・時代劇
 高野山で出会った勘助(内野聖陽)と景虎(Gackt)。
 戦いを僧・清胤(佐藤慶)に一括されて食事をする並んでシーンは変な緊張感。
 公式HPで内野さんとGacktさんは「お前のせいで怒られたじゃないか」という小学生のケンカの様な気持ちと表現されていたが、まさにそんな感じ。
 面白い。

 さてマンダラを見せた清胤に「天と地と」と称されたこのふたりだが、無私という点で共通している。
 勘助は由布姫に対する見返りを求めない想い。
 景虎は天に対する想い。(天の意思・理想の実現)
 ここには私心がない。
 この点でふたりは理解し合える。
 この無私の想いが『人』に向かうか、『天』に向かうかの差だ。
 彼らと対照的なのが自分のわずかな領地のために争う景虎の重臣・大熊(大橋吾郎)。

 そしてドラマの後半ではそんなふたりの現実との折り合いのつけ方が描かれる。
 まず勘助。
 由布姫の遺言。「嫁を取り、跡継ぎをつくるのです」
 しかし勘助は姫との愛を全うするためにはリツ(前田亜季)を愛せない。
 家のため、欲望のためにリツを妻に迎えてしまったら、自分の愛を全うできない。私心が生まれる。
 そこで勘助が考えたのがリツを養女に迎えるという折り合いのつけ方。

 次に景虎。
 天の意思の実現のためには戦わなくてはならないと思う。
 天の意思に背いた大熊は討たねばならない。
 出奔して理想を実現することも出来たが、景虎は敢えて戦うことで理想を実現しようと思った。
 そして戦うのは勘助も同じ。
 由布姫との愛を全うするためには晴信、勝頼を天下人にしなければならない。
 そのために戦う。 

 勘助の魔支利天、景虎の毘沙門天は中心の大日如来を守る戦いの神だそうだが、ふたりは戦うことで理想を実現しようとしたのだ。


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HEROES ヒーローズ 第3話

2007年10月21日 | テレビドラマ(海外)
 第3話。
 映像の楽しさで溢れている。

★事故に巻き込まれる少女を救うヒロ・ナカムラ(マシ・オカ)。
 どうやって助けるかと言えば、時間を止める。
 すべてが動かなくなった所でヒロが少女を助ける(「サイボーグ009」みたい)。
 町のすべてが動かなくなる。
 今までに見たことがない映像だ。
 それが楽しい。
 アイザック・メンデス(サンティ・カブレラ)が描いたコミックどおりのことが起こるのも面白い。
 コミックの絵がそっくりそのまま映像になっている。
 この楽しさ。
 ちなみにヒロと彼の同僚(←吹き替え版でないものを聞くと、この人の日本語は変)はこれからニューヨークまで珍道中を行うらしい。

★怖い映像もある。
 事件のキイ人物である謎の殺人鬼サイラー。超能力の使い手らしい。
 FBI捜査官が「フリーズ!」と言って追いつめると、念力を使って捜査官の銃をこめかみへ。引き金を引けば自分で自分を撃つことになる。
 一方父親のメモからサイラーの家にやって来るモヒンダー・スレシュ(センディル・ラママーシュ)。
 壁にびっしり書かれた落書き(『許して』『私は罪を犯した』)。
 これも怖い。
 後日モヒンダーが警官を連れて踏み込むと、家はもぬけの殻。
 家具も落書きもない。
 これも鮮やかで怖い。
 サイラーのミステリアスな部分が増す。

★最後は怖くてサプライズな映像。
 (サプライズな映像なので第3話を未見の方にはネタバレになります)

 身体再生能力を持つクレア・ベネット(ヘイデン・バネッティーア)。
 彼女はビジュアル的な面白さのキャラだと前回書いたが、今回もすごい。
 ボーイフレンドにエッチされそうになるクレア。
 クレアは抵抗。自分の異常な体のことが気になっているのだ。
 結果、ふたりはもみ合い、倒れたクレアは木の枝に刺さって意識を失う。
 そして時を経て、第3話のラストシーン。
 クレアは謎の人物(恐らくはサイラー)に拘束されている。
 その時の彼女は……。
 彼女の再生能力に関わることなのだが、あまりに怖ろしくてグロテスクで書けない。 

 ともかくこの作品はサプライズな映像でいっぱいだ。
 同じ海外ドラマで「チャーリージェイド」という作品があったが、未来都市の映像が見事であった。しかし未来都市よりは「ヒーローズ」の様な特撮シーンへのお金の使い方の方が効果的な気がする。

※追記
 モヒンダーの父は、超能力の研究で家庭を犠牲にしたらしい。そのことでモヒンダーは父を憎んでいる。
 アイザックの恋人はアイザックに未来が見えるのは、ヤク中のせいだと思っている。理解されない苦しさ。自分には未来を描く使命があると言うと「だったらあたしのいない未来を描いていなさい」と言って恋人は出ていく。
 人の心を読めるマット・パークマン(グレッグ・グランバーグ)は妻とうまく行っていない。家に帰って妻の心が読めてしまいつらい。
 この様にこの作品は人物のドラマもしっかり描いている。


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