平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

花燃ゆ 第48回「富岡製糸場の危機」~草莽崛起と、至誠によって守られた富岡製糸場

2015年11月30日 | 大河ドラマ・時代劇
 富岡製糸場を守るために群馬の女性たちが署名。
 バックに流れるオープニングテーマ。
 美和(井上真央)に渡される政府からの返事。
 返事を見た美和は楫取(大沢たかお)のもとに走る。スローモーション。
 楫取の顔を見て、うなずく美和。
 楫取もうなずき、阿久沢(江守徹)たちは肩をたたいて喜び合う。
 
 まあ、いいんですけどね……。
 希望があったし、躍動があったし。
 でも、笑ってしまう演出。古くさい。
 文化祭で高校生が撮る映画でも、こんな手法使わないだろう。
 これに大河ドラマの莫大な製作費が使われているのか……。

 ただ、群馬の女性たちが、自分で考えるようになり、署名活動を始めたのはよかったと思います。
 自分たちは全国の見本になる、という意識も。
 これこそ、まさに草莽崛起(そうもうくっき)。
 『志を持った在野の人々が一斉 に立ち上がり、大きな物事を成し遂げようとすることを意味する語。江戸時代末期に、 吉田松陰が民衆主体の改革を望んで唱えた思想として知られる』(日本語表現辞典)
 「自分たちは全国の見本になる」という女性たち意識も、久坂たちが言っていた「長州は尊皇攘夷の見本になる」に通じるものがありますよね。
 松陰や久坂たちの思想は、美和たちに受け継がれている。

 そう言えば、楫取がつくった女児の学校には、『至誠』と『至誠にして動かざるものは未だこれあらざるなり』の松陰の言葉が書かれていました。
 今回のエピソードは、松陰に言及する部分があった方が、作品に統一感が出て、よかったような気がします。
 美和が政府からの電報を伝えたシーンの最後には、『至誠』の書がアップにされていましたが。
 こういうディティルって、作品に厚みを持たせるために必要なんですよね。

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掟上今日子の備忘録 第8話~今回は今日子さん視点でした! なので彼女の世界認識過程がよくわかった!

2015年11月29日 | 推理・サスペンスドラマ
 今回は、今日子(新垣結衣)視点でしたね。
 いつもは厄介(岡田将生)視点で描かれるのに。
 なので、今日子が起きてから何を考え、どのように世界を認識していくか、がよくわかりました。

 面白かったのは、今日子さんの厄介に対する認識の変化。
・最初は、厄介を〝やっかい〟と読んでしまうような認識。
・会った時は、ふうん、この人が……。
・事件の捜査が進むにつれて、正直者、いい人ではある。
・しかし、よく知っていくと、フツーの人、どうでもいい人……、太ももに書いたメモを消してしまおう。
・しかし、最後には、信用できる相棒。

 よかったね、厄介。
 今日子さんの<信頼できる相棒>になれて。
 最後には、今日子さん、映画にもいっしょに行きたそうな感じだったし。
 いずれ厄介は、喫茶店のサンドグラスの猫のように、そばにいるのが当たり前になるような存在になるのかもしれない。

 それと、今日子が、なぜ卓越した推理力を持っているのか、わかったような気がした。
 今日子は、毎朝、目が覚めると、世界を認識していく作業をおこなっているから、物事を把握する力が自然と鍛えられていったのだろう。
 ちょうど盲目の方が、そのハンデを補うために、聴力を鋭くしていくように、今日子は物事を認識する力を研ぎ澄ませていった。
 人間、何かを失えば何かを得るし、何かを得れば何かを失うんですね。
 普通の人は記憶を持っているが、世界を新鮮な目で認識する能力や、かけがえのない一日を大切に生きる気持ちをなくしている。

 それと、今日子が記憶をリセットするようになった原因には、過去の悲惨な出来事が関連してそう。
 人間、自分を破壊してしまうようなつらい出来事は、自己防衛のために、心の奥底に封印してしまうって言いますからね。
 そんなことが今日子さんの心に起きたのかもしれません。

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乃木坂46と、ももいろクローバーZ~紅白出場をめぐる、それぞれのドラマ!

2015年11月27日 | アイドル

 乃木坂46が紅白歌合戦出場!
 紅白出場っていうのは、今や権威になってるんですね。
 昔はレコード大賞がそうだったんですけど、世間的にまったく認知のない歌手が新人賞を獲ったり、毎年、決まったアーティストが大賞を獲ったりで(=つまり事務所主導の政治的なものが見え隠れして)、すっかり権威をなくしてしまった。
 とはいえ、乃木坂の出演はおめでたい。
 昨年はスキャンダル続きで、出場確定まで行っていたのに逃したから、喜びはひとしおだろう。

 そんな紅白出場の記者会見で、インパクトを残したのは、生駒里奈。
 涙を流して、
「喜びをみんなで共有できて、ファンにも伝えることができて、今日ここにくることができてうれしいです。パフォーマンスも乃木坂らしい音楽を伝えられるように一生懸命頑張りたいと思います」
 ここで涙を流せるのが、生駒里奈なんですよね。
 泣いてドラマを作り出せる存在。
 AKBファンの前でデビュー曲を披露した時の号泣も、AKB兼任時のメンバーとの葛藤や総選挙も、まっつんのスキャンダルの時のラジオも、生駒里奈は常にドラマを作り出してきた。
 AKBで言えば、前田敦子さんのような感じ。
 でも、まあ、最近、生駒里奈は大人になったのか、こういうことが少なくなった。
 悪く言えば、小さくまとまってしまった。
 これが僕には物足りない。
 秋元康さん、そろそろふたたび生駒ちゃんに試練を与える時じゃないですか?
 生駒里奈は、試練を与えた時にエネルギーを爆発させる。

 もうひとつ紅白出場で面白かったのは、出場を逃したももクロ。
「ももいろクローバーZは紅白歌合戦を卒業します。ありがとうございました」
「冬の軽井沢、5大ドームツアー、そしてその先も私たちは私たちのやり方で、みなさんと一緒に『私たちの道』を歩き続けます。ど真ん中しか歩きません」
 そして、紅白に対抗するかのように年越しカウントダウンライブ。
 これって、カッコいいですよね。
 紅白という権威を完全に否定している。
 紅白出場なんてことにこだわらず、わが道を行く。
 特にNHKは職員の平均年収が1100万とも1700万とも言われているブルジョア企業だ。
 視聴者から視聴料をもらっているのに高給取りでふんぞり返っている。
 そんな大きなものや権威を、ふん! と鼻で笑う。
 これこそがロックではないか。
 とはいえ、これで来年、ももクロが紅白に出ちゃったらカッコ悪いんですけど……(笑)

 紅白にたどりついた乃木坂と、紅白を乗り越えた、ももクロ。
 アイドルの間にも、目に見えないさまざまなドラマが読み取れる。

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相棒14 「はつ恋」~現実は、童話の「青い鳥」とは違っていた……。現実とは残酷なもの。

2015年11月26日 | 推理・サスペンスドラマ
 罪を犯した者と犯させた者。
 罪を犯した者は、ジャンクアーティストの山本将人(内浦純一)。
 犯させた者は、星野玲奈(笛木優子)。

 山本に罪を犯させたゆえに、玲奈は山本と人生を歩いていく決心をし、他にいっしょに歩きたい人物・坂上武雄(石井テルユキ)が現れても、拒絶する。
 玲奈は「自分が幸せになってはいけない」と考えているのだ。
 一方、山本はそんな玲奈の気持ちを知り、「自分がいる限り、玲奈を苦しめ続ける」と考えて、彼女の前から消えようとする。
 将来、玲奈の幸せを邪魔するかもしれない、アートディレクターの白石由紀(中原果南)を道連れにして。

 無償の愛ですね。
「自分が幸せになってはいけない」と考えるのも「自分がいる限り、玲奈を苦しめ続ける」と考えるのも、相手のことを想うがゆえの行為なのに、歯車がひとつ狂っただけで悲劇になってしまう。

 まあ、僕なら玲奈の前から姿を消しますけどね。
 坂上と幸せになれ、という置き手紙を残して海外に行く。←おおっ、カッコいい!
 山本のように、死んでしまったら、玲奈はますます責任を感じて、幸せになれなくなると思いますし。
 しかし、激情型の山本は別の方法をとってしまった。

 幸せの青い鳥。
 山本も玲奈も幸せを追い求めて生きてきた人間だった。
 童話の『青い鳥』の場合は、幸せは身近な所にあったという結末なのだが、山本と玲奈の現実は童話とは違ったようだ。
 玲奈は山本ではなく、別の人物との生活に幸せを見出してしまった。
 現実とは残酷ですね。
 逆に童話の『青い鳥』を信じられる人は幸せだ。

 最後は、はつ恋。
 冠城(反町隆史)のはつ恋は、幼稚園の時のとなりの席の女の子。
 角田課長(山西惇)は、小4の時で、漁師の娘(笑)
 右京さん(水谷豊)のはつ恋は、はぐらかされてしまった。
 で、はつ恋についての結論は「はつ恋は実らない」。
 だから、山本と玲奈のはつ恋が実らなかったのも、当然と言えば当然だったのです。
 やっぱり現実は寂しいですね。
 ロマンのかけらもない。

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安倍自民党が画策する「共謀罪」の危うさ~どんどん国家の力が強くなる傾向ってどうなのだろう?

2015年11月25日 | 事件・出来事

 フランスでのテロを受けて、政府では〝共謀罪〟の法制化が検討されているらしい。

 共謀罪。
 実行しなくても、2名以上の人間が犯罪行為について話し合い、合意しただけで摘発されるという犯罪だ。

 普通の人間は、犯罪をおこなおうとは思わないから、これくらいいいじゃないか、と考える方もおられるかもしれない。
 だが、怖いのは、これを権力側が恣意的に使う時だ。
 たとえば、「安倍政権はイヤだから抗議デモをしよう」と話し合ったとする。
 平時なら問題のない行為だが、これが、仮に中国や北朝鮮などとの戦争状態、緊張状態になった時は、話が違ってくる。
・敵を利する行為
・政府転覆を謀る行為
・内乱を起こす行為
 と拡大解釈されかねない。
 こうなると完全に、戦前・戦中の治安維持法だ。
 仮に逮捕や起訴に至らなかったとしても、家宅捜査や取り調べを受けて、政府に批判的な言動はどんどん萎縮させられていく。

 妄想だと思われるかもしれないが、僕は現在の安倍自民党を始め、権力というものを全く信用していないから、どうしてもこう考えてしまう。
 何しろ、「政府に批判的なマスコミは潰してしまえ」「法的安定性は関係ない」と平気で言える議員が存在しているのだ。
 そんな人間が政府の中枢にいたら、批判的な言論やデモを〝共謀罪〟を使って潰そうとするのは当然であろう。
 それに社会の空気。
 『報道ステーション』のフランス・テロ報道で、キャスターの古舘伊知郎さんが、「有志連合も見方を変えればテロと同じ」(=アメリカ、フランス、ロシアなどの空爆によって一般市民が巻き添えになる現実もある)という、ごく当たり前の発言をしただけで、「お前はテロリストを応援するのか」という批判が集まるのだ。
 今の社会は、多様な物の見方や意見が排除され、やわらかさをなくしている。
 ひとつの価値観、ひとつの目的に向かって国民一丸となって進むことの危うさは、先の戦争で学んでいるのに社会はその方向に向かっている。

 2015年。
 日本もそうだが、世界全体がまずい方向に向かっているような気がする。
 国家主義や戦争への道をひた走り。
 悲惨が足を忍ばせてやって来る。
 僕はある程度生きたからいいけど、今の子供たちや若者が可哀想だ。

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下町ロケット ガウディ計画~真摯に仕事と向き合う真野と、プライドにふりまわされる中里

2015年11月24日 | 職業ドラマ
 仕事は何のためにするか?
 お金のため、生活のため、出世のため、会社を大きくするため。
 でも、それだけじゃつまらない。
 自分の技術でロケットを飛ばしたい。
 自分の娘が心臓病で死んでしまったので、娘と同じように苦しむ子供たちを救いたい。
 そんな思いが動機であってもいいじゃないか。
 この作品はこう問いかけている。

 さて、ガウディ編。
 3人の人物が面白い。

 まずは真野賢作(山崎育三郎)。
 佃製作所にいた時は、あんなにとんがって、ロケット事業に反発して、会社を辞めたのに、現在は憑きものが落ちたように穏やかな顔になっている。
 佃航平(阿部寛)には、あの時の自分は未熟だったと頭を下げ、感謝することができる。
 大きな変化だ。
 真野にこうした変化をもたらしたのは、夢だったんですね。
〝自分の技術で心臓病に苦しむ子供たちを救いたい〟
 この夢を見出した時、彼は変われた。
 まわりにふりまわされず、真摯かつ純粋に自分の仕事と向き合えるようになれた。
 こういう境地にたどりついた人は強いですよね。
 そして、魅力的だ。
 こういう職業人になりたい。

 ふたりめは中里淳(高橋光臣)。
 彼はプライドの塊だ。
 たいした実力もないのに、プライドだけは高くて、壁にぶち当たると、他人のせいにして逃げて、自分と向き合うことをしない。
 結果、佃製作所を辞めて、サヤマ製作所に行ってしまう。
 山崎(安田顕)のアイデアとデータを盗んで。
 本来なら中里は、自分の技術が足りないことを認識して、磨くべきなんですよね。
 だが、プライドが邪魔をする。
 山崎の方がはるかに上のアイデアと技術を持っているのに、山崎から学ぼうとしない。
 おそらく中里はサヤマ製作所に行っても、技術のなさゆえに苦しむことになるのだろう。
 現に、人工心臓コアハートの弁のバージョンアップを要求されて、困惑している。
 はたして中里は真野のような心境になれるのか?
 仕事ではプライドが大切ですが、そのつき合い方は難しいですよね。
 自分の技術に裏打ちされたものでなければ、結構イタい。
 プライド=技術 ならOKだが、
 プライド>技術 だと、中里のようなことになる。

 三人目は佃利菜(土屋太鳳)。
 ボーリングの投げ方が面白い。
 父親の航平がレーンを緻密に計算してボールを投げるのに対し、彼女は両手でガニ股になって、計算せず投げる。
 技術者としては航平が正しいのでしょうが、もしかしたら利菜は天才肌なのかもしれません。現にストライクを取りましたし。
 あるいは、いまだに反抗期ってことなのか?
 面白い人物の描き分けだと思いました。

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花燃ゆ 第47回「姉妹の約束」~この作品の登場人物たちは、皆、物分かりがいい

2015年11月23日 | 大河ドラマ・時代劇
 この作品の登場人物たちは物分かりがいい。
 簡単に問題が解決してしまう。
 久米次郎(市川理矩)は「それが母の願いなら」と簡単に美和(井上真央)を許してしまうし、
 信用のためにアメリカのリチャードソンに相場より低い契約値段で売ってしまう時も、県の職員たちは「私は県令殿に賛成します」。
 最後まで反対していた阿久沢(江守徹)も、「とびっきしの大博打」として結局、協力してしまう。

 ドラマというのは、主人公が困難を乗り越えて、いかにして問題を解決していくかを描くものだと思うが、『花燃ゆ』の場合は、それがない。
 美和や楫取(大沢たかお)が右往左往しているうちに、いつのまにか解決してしまっている。
 主人公たちはたいした努力をしていない。

 とはいえ、当ブログは、作品の批判を積極的にしないスタンスなので、今回の良かった所を書くと、次の2点。
 寿(優香)の「妬けるくらいに感謝している」というせりふと、
 楫取の「目先の利益を追わず、20年、30年、50年、いや100年後のことまで考える」という考え方。
 「妬けるくらいに感謝している」というのは実に複雑な感情ですね。
 〝妬ける〟という感情と〝感謝する〟って感情は普通は結びつかないものですが、寿の場合は理解できる。これをせりふだけでなく、具体的な行動で描いてくれれば、なお良かったのだが、今作の場合、それは無理か。
 「20年、30年、50年、いや100年後のことまで考える」というのは、政治家にぜひ持ってほしいスタンス。
 現在、目先の利益を追って原発の再稼働をしているが、未来に生きる人間のことを考えたら、処理のできない核廃棄物を生み出していく原発を動かすのはどうなのだろう?
 20年後、30年後のことを考えて、自然エネルギーに投資して、自然エネルギー立国を目指した方がいいと思うのだが……。

 寿に関しては、完全に菩薩様になってしまったな~。
 昔はぜいたくな暮らしをしたくて男に色目を使ったり、兄・寅次郎に振りまわされて怒り狂ったり、すごく人間っぽかった。
 回想シーンで、それらを描けば、陰影が生まれて、寿という人間をより克明に描けたと思うのだが、脚本家が代わってしまったからな~。
 煩悩から菩薩へ。
 その過程がしっかり描かれた人間ドラマを見てみたい。

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掟上今日子の備忘録 第7話~今日子さんのハダカを見た厄介、うらやましい……ていうか許せん!

2015年11月22日 | 推理・サスペンスドラマ
 私、反省しております……。
 バスルームで倒れている今日子さん(新垣結衣)のハダカに「おおっ!」と喜んでしまったことを深く反省します……。

 私などに比べたら、厄介(岡田将生)は何と立派なのでしょう。
 今日子の体を蘇生させるために必死に看護し、二度とあんな大変な徹夜をさせないために、体に書いたメモを消す。
 厄介は本当に誠実でやさしい。
 真剣に今日子のことを考えている。
 これに比べて私は……。

 須永昼兵衛先生も素晴らしい。
 17歳で亡くなった好きな女性を作品の中に登場させて、幸せな人生をおくらせる。
 彼女が生きていたら、こんな人生をおくったのではないかと想像する。
 何と愛情あふれる人なのでしょう。
 これに比べて私は……。

 今回の今日子さんは人間らしかった。
 徹夜が続いて不機嫌になる。
 性格が悪くなる。
 わがままになる。
 でも、こういう姿を見せられるのって、厄介を信頼して、心を許しているからなんだよなぁ。
 今日子さんの記憶は寝れば消えてしますが、厄介のことは無意識の世界の中で確実に刻まれているはず。
 厄介がしてくれたことは今日子の無意識の中で、どんどん蓄積されている。

 それにしても……。
 厄介のやつは今日子さんのハダカを見たよね。
 今日子さんの頬をぷにゅって引っ張ったよね。
 うらやましい……。
 ていうか許せん!

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「星の王子さま」~友達のつくり方、本当に大切なもの、そして、王子さまはなぜヘビに咬まれて死んだのか?

2015年11月20日 | 小説
 サンテクジュペリの「星の王子さま」は大人が読むべき童話だと思う。

 たとえば、〝友達をつくる方法〟。
 キツネは、王子さまにこのことを尋ねられて、こう答える。
「最初は、こんなふうに、お互いちょっと離れて草の中に座る。
 ぼくは君を目の隅でチラッと見て、君も何も言わない。言葉は誤解のもとだからね。
 でも、毎日すこしずつ近くに座るようにしていけば……」

 他人といっしょにいる時は何かを話さなければならない。
 以前、こんな強迫観念にとらわれていた僕は、この言葉に救われました。
 一気に親しくなっていくのではなく、言葉をひと言、ふた言交わして、すこしずつ親しくなっていく。
 こんな友達関係の方が、長続きするような気がします。

 王子さまとバラのエピソードも「なるほど」と思いました。
 地球に降りた王子さまは、5000本のバラが咲いているのを見て、自分の星のバラが、実はどこにでもある、ありふれたものであったことを知る。
「ぼくは豊かだと思っていたけど、ぼくが持っていたのは普通の花だった。これじゃあ、立派な王子とは言えない」
 しかし、キツネとの会話で、王子さまは自分の星のバラがかけがえのないものであったことに気づく。
 そして、5000本のバラたちに言う。
「君たちは美しい。でも、からっぽだね。
 誰も君たちのために死ねない。
 もちろん、ぼくのバラだって通りすがりの人が見れば、君たちと同じだと思うだろう。
 でも、ぼくにとっては、あのバラだけが、彼女だけが、君たち全部より大切だ。
 ぼくが水をかけたのもあのバラだし、ガラスの覆いをかけてやったのもあのバラだ。
 ついたてで守ってやったのも、毛虫をやっつけてやったのも、愚痴や自慢話や、ときどき黙り込んだりするのに耳をかたむけてやったのも、あのバラ。
 だから彼女はぼくのバラなんだ」

 5000本のバラよりも1本のバラ。
 王子さまのバラはわがままで、気分屋で、いっしょにいてつらいことの方が多かった。
 だが、地球にやって来て、王子さまは彼女を愛していたことに気づく。
 苦労やつらい思いをされられたことこそが、実は絆をつくっていたことに気づき、彼女を自分の星に残してきたことを悔やむ。
 これも真実ですね。
 たとえば、子育てってすごく大変だと思いますけど、その大変さが愛情を育み、自分の子供をかけがえのない存在にしている。
 たとえば、ケンカして、わがままを言い合ったカノジョの方が記憶にくっきり刻まれていたりする。

 さて、「星の王子さま」で僕がずっとわからなかったことがありました。
 それは〝なぜ、王子さまは毒ヘビに咬まれて死ぬことを選んだのか?〟
 でも、やっと気づきました。
 <重力>なんですね。
 肉体を持っていたら、重力に縛られて地球から出られず、かけがえのないバラがいる自分の星に帰れない。
 だから王子さまは肉体から解放されるために、毒ヘビに咬まれて死んだ。
 このことに気づくまで、僕は数年かかりました。
 別にこのテーマをずっと考え続けていたわけではないのですが、脳というのは不思議ですね。
 無意識の世界でいろいろ考えていて、ある時、ふと答えが浮かんでくる。
 僕にとってのエウレカ体験です。

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相棒14 「2045」~電子頭脳と人間の愛情関係は成立するか?

2015年11月19日 | 推理・サスペンスドラマ
 犯人は、まあ、あの人ですよね。
 なので動機は何なんだろう? という視点で見ていた。

 普通に考えれば、ジェームズの正しさを立証するために殺人を犯したという動機。
 でも、この動機って結構、使われてるんですよね。
 ドラマ『トリック』では、予言が正しいことを示すために殺人がおこなわれたし、ドラマ『ハードナッツ』では、まさに犯罪予測システムが正確であることを示すために犯行がおこなわれた。

 では、『相棒』は?

・ジェームズに投入される予算が削られるから、担当である法務省の官僚・藤井由紀夫(小林博)を殺した。
・犯人にとってジェームズは、自分の子供のような存在だから奪われるのが許せなかった。

 なるほど、ひとひねりしてありますね。
 その他にも、官僚・藤井との男女関係のもつれという動機も考えられるが、これは犯人に一笑に付された。
 犯人の長江菜美子(平岩紙)にとって、愛する対象は、あくまでジェームズ。
 ジェームズの初期化は、愛する人の死に等しい。
 ここには電子頭脳と人間との恋愛は成立するかというSF的テーマがある。
 D・クーンツの『デモンシード』なんかは、まさにこのテーマだったなぁ。
 人工頭脳が自ら学習をして、どんどん賢くなっていくって設定も『デモンシード』にあった。

 では、電子頭脳と人間との愛情関係は成立するか?
 ギャルゲーとかで、ゲームの中の女の子に夢中になっているのを見ると、この関係は簡単に成立しそう。
 ボーカロイドの初音ミクに声援をおくるのもこの感じですかね?

 では、ジェームズと長江菜美子は?
 菜美子は、「犯人は長江菜美子です」と語らせないために、一時的にジェームズの情報量を少なくし、おバカにしたが、もしかしたらジェームズは愛する菜美子を守るために、「事件は自殺によるものです」とウソをついたのかもしれない。
 あるいは、ラストで冠城(反町隆史)が言ったように、ジェームズは自分を守るために長江菜美子におもねり、利用したのかもしれない。
 こうなると、完全に男女の関係ですよね。
 守り守られ、ダマしダマされ、ほとんど人間どうしの恋愛関係と同じ。

 物語としては、長江菜美子が逮捕された時の
「さようなら、ジェームズ」
「ありがとう、菜美子」
 のやりとりが、ちょっとせつない。
 一方、ネット上に存在し、知識を蓄えて成長していく電子頭脳ジェームズ君というのは、結構怖い。
 恋愛とホラーがミックスされた、なかなか味のあるエピソードでした。

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