うめのはな みにこそきつれ うぐひすの ひとくひとくと いとひしもをる
梅の花 見にこそ来つれ 鶯の ひとくひとくと いとひしもをる
よみ人知らず
梅の花を見にやって来たのに、鶯が「人が来た人が来た」と嫌がっている。
「ひとくひとく」は「人来人来」で、鶯の鳴き声がそう聞こえたということ。鶯が花見にやってくる人の邪魔をして、梅の花の美しさを独占しようとしているとみなした詠歌です。
ここから巻末の 1068 まで「諧謔歌」が続きます。「諧謔歌」とは滑稽な歌の意で、風変わりな掛詞や卑俗な語句、奇抜な着想などで、正道から外れた歌とされます。