漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 1011

2022-08-06 05:56:05 | 古今和歌集

うめのはな みにこそきつれ うぐひすの ひとくひとくと いとひしもをる

梅の花 見にこそ来つれ 鶯の ひとくひとくと いとひしもをる

 

よみ人知らず

 

 梅の花を見にやって来たのに、鶯が「人が来た人が来た」と嫌がっている。

 「ひとくひとく」は「人来人来」で、鶯の鳴き声がそう聞こえたということ。鶯が花見にやってくる人の邪魔をして、梅の花の美しさを独占しようとしているとみなした詠歌です。

 ここから巻末の 1068 まで「諧謔歌」が続きます。「諧謔歌」とは滑稽な歌の意で、風変わりな掛詞や卑俗な語句、奇抜な着想などで、正道から外れた歌とされます。