やまぶきの はないろごろも ぬしやたれ とへどこたへず くちなしにして
山吹の 花色衣 主や誰 問へど答へず くちなしにして
素性法師
山吹の花の色の衣よ、あなたの持ち主は誰なのか。そう問うても答は返って来ない。「くちなし」なのだから。
植物の「梔子(くちなし)」と「口無し」をかけて戯れた歌。掛詞と言うより駄洒落に近い気がしますね、と言っては失礼かもしれませんが、諧謔歌らしい歌と言えましょうか。印象的な「ぬしやたれ」のフレーズは 0873 にも出てきましたね。
ぬしやたれ とへどしらたま いはなくに さらばなべてや あはれとおもはむ
主やたれ 問へど白玉 言はなくに さらばなべてや あはれと思はむ
河原左大臣