きみがさす みかさのやまの もみぢばのいろ
かみなづき しぐれのあめの そめるなりけり
君がさす みかさの山の もみぢ葉の色
神無月 時雨の雨の 染めるなりけり
紀貫之
あなた様がさす御笠と同じ名を持つ三笠山のもみじ葉の色は、十月の時雨の雨が染めているものなのです。
古今集に四首だけ採録されている旋頭歌の四首目は、撰者紀貫之の歌。ここまでの三首は前半の五七七と後半の五七七が対の問答になっていて、それが本来の旋頭歌の形のようですが、この貫之歌はそうではなく、普通の短歌が少し長くなったというイメージですね。