漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 1036

2022-08-31 05:35:15 | 古今和歌集

かくれぬの したよりおふる ねぬなはの ねぬなはたてじ くるないとひそ

隠れ沼の 下よりおふる ねぬはなの 寝ぬ名は立てじ くるないとひそ

 

壬生忠岑

 

 隠れ沼の底から生えている 「ねぬなは」の名のように、共寝をしていないという噂は立てないでおこう。だから私がやって来ることを、どうかいやがらないでほしい。

 「隠れ沼」は人目につかないひっそりとした沼。「ねぬはな」は蓴菜(じゅんさい)のこと。「共寝をしていないという噂は立てない」なので、回りくどいですが、共寝しているとの噂が立っても構わないということですね。第五句がわかりづらいですが、「来る+な+いとひ+そ」で、来ることをいとうなという命令表現となっています。