道行く人の馬よりおりて、岸のほとりなる松のもとに休みて、波のよるを見たるところ
われのみや かげとはたのむ しらなみも たえずたちよる きしのひめまつ
われのみや 陰とはたのむ 白波も たえず立ちよる 岸の姫松
道行く人が馬から降りて、岸のほとりにある松の木陰で休んで、波が寄って来るのを見ているところ
岸の姫松を木陰とたのんでいるのは私だけでしょうか。いいえ、白波が絶えず岸に寄せてくるように、大勢の人たちが立ち寄って来るのです。
第四句の「立ちよる」は波が「立つ」と、白波になぞらえた大勢の人々が「立ち寄る」ことの両義が掛かっています。「姫松」は小さな松の意。「岸の姫松」は古今集の 0905、0906 にも歌われていますね。
023 からの、尚侍(藤原満子)の四十賀の席での屏風歌はここまでとなります。