漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 028

2023-05-14 05:53:23 | 貫之集

道行く人の馬よりおりて、岸のほとりなる松のもとに休みて、波のよるを見たるところ

われのみや かげとはたのむ しらなみも たえずたちよる きしのひめまつ

われのみや 陰とはたのむ 白波も たえず立ちよる 岸の姫松

 

道行く人が馬から降りて、岸のほとりにある松の木陰で休んで、波が寄って来るのを見ているところ

岸の姫松を木陰とたのんでいるのは私だけでしょうか。いいえ、白波が絶えず岸に寄せてくるように、大勢の人たちが立ち寄って来るのです。

 

 第四句の「立ちよる」は波が「立つ」と、白波になぞらえた大勢の人々が「立ち寄る」ことの両義が掛かっています。「姫松」は小さな松の意。「岸の姫松」は古今集の 09050906 にも歌われていますね。

 

 023 からの、尚侍(藤原満子)の四十賀の席での屏風歌はここまでとなります。