延喜十四年十二月、女一宮御屏風の料の歌、亭子院の仰せに寄りて奉る十五首
あたらしき としとはいへど しかすがに からくふりぬる けふにぞありける
あたらしき 年とはいえど しかすがに からくふりぬる 今日にぞありける
延喜十四年(914年)十二月、勧子内親王の屏風に添えて、宇多法皇の仰せによって奉った歌十五首
新年になってめでたくはあるものの、私もひどく歳を取ってしまったものだと、しみじみと感じる今日の日であるよ。
「女一宮」は醍醐天皇の第一皇女勧子内親王、亭子院は宇多法皇で、勧子内親王の祖父にあたります。孫のために宴を催し、その際貫之に屏風絵の詠進を求めたというところでしょうか。
「しかすがに」は「そうはいうものの」「しかしながら」といった意味の副詞。「からし」は味覚の「辛い」意もありますが、ここでは「ひどい」「はなはだしい」「嫌だ」といった意味合いですね。