漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 411

2024-05-31 04:24:50 | 貫之集

さきのこる きくにはみづも ながれねど あきふかくこそ にほふべらなれ

咲き残る 菊には水も 流れねど 秋深くこそ にほふべらなれ

 

咲き残った菊には、しずくの落ちて流れる菊水も見当たらないけれども、秋が深まった今も美しく咲きほこっていることよ。

 

 晩秋の季語ともなっている「残菊」を詠んだ歌。第五句の「にほふ」は、現代では香る意のみに使われますが、古語では「美しく咲いている」意がありました。ここではそちらの意味ですね。