九月菊
いのりつつ なほながつきの きくのはな いづれのあきか うゑてみざらむ
祈りつつ なほ長月の 菊の花 いづれの秋か 植ゑて見ざらむ
九月菊
なお一層のあなた様のご長寿を祈りながら菊の花を植えて見ることのない秋がありましょうか。
秋には毎年必ず菊を植えて長寿を祈るということを反語表現で詠んだものですね。
この歌は新古今和歌集(巻第七「賀歌」 第718番)に入集しています。そちらでは「延喜御時屏風哥」との詞書が付されていますが、貫之集では 389 記載の通り天慶年間の詠歌とされていますので、新古今和歌集の詞書は誤りということのようです。