漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 384

2024-05-04 04:39:28 | 貫之集

九月

しぐれふる かみなづきこそ ちかからし やまのおしなべ いろづきにけり

しぐれふる 神無月こそ 近からし 山野おしなべ 色づきにけり

 

九月

時雨の降る十月が近づいたらしい。山も野も一体に紅葉が色づいてきた。

 

 「ちかからし」は「ちかかるらし」が縮まった形。第二句の「こそ」を係り結びで受けているので「らし」は已然形ですね。
 この歌は、続後撰和歌集(巻第七「秋下」 第439番)に入集しており、そちらでは第四句は「やまおしなべて」とされています。